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  • 3同僚速度松 #過去絵を晒す #おそ松さん #速度松 #おそ松 #チョロ松咲島
  • 神谷浩史さん誕生日おめでとうございます! #声優 #誕生日 #チョロ松 #ペンギン #アナログLeon(^・ω・^)
  • 4桜の花びらとともに。 #おそ松さん
    #松野チョロ松
    #チョロ松
    #一松
    #夢小説
    #夢松
    #高校生
    #春
    #文庫ページメーカー


    桜の花びらとともに。キャプション。

    2018年8月に、診断メーカー様の診断にて。
    ーーーーーーーーーーーーーーー
    はるなつみかんさんには「あの日もこんなふうだった」で始まり、「そんな昔の話」で終わる物語を書いて欲しいです。できれば6ツイート(840字程度)でお願いします。
    #書き出しと終わり
    shindanmaker.com/801664
    ーーーーーーーーーーーーーーー

    という診断になったので、夢主の絵里ちゃんがチョロちゃんに片想いする高校時代の話でも書こうかなと思ってツイノベで書いてみました。(2018.8.5ツイッター投稿)
    結果、気になる以上片想い未満になりましたが。

    季節外れ過ぎですが、好きな話なのであげてみました(^^)
    haruna2mikan_ak
  • 13おそ松さん まとめ① #おそ松さん  #セラおそ  #レスおそ  #ねずおそ  #おそ松  #チョロ松  #色松  #紅松


    2017.6.7~2017.11.16までのイラスト

    歯磨きトッティが最初のデジタル絵
    azpainter2で描いてた
    自分絵と寄せ絵で迷っていた頃
    n_sp_rom
  • #チョロ松
    #初投稿
    QP2nd
  • しまの悪魔 #おそ松さん #チョロ松
    テスト
    ◯あすか◯
  • 三男と四男と北国の駅舎 #BL松 #チョロ一 #チョロ松 #一松 トラベル松 ##チョロ松と一松の話

    日曜日の夜。

    ホームに降りた途端、冷たい空気に包まれて思わず肩を縮こませ、身を震わせた。
    寒い。
    話には聞いてたけどここまで寒いとは。
    1年の大半を雪に覆われた陸地の末端の末端とも言うべき北国の大地。
    僕、チョロ松は今日から1週間だけここで駅員として働くことになった。

    何故1週間なのかというと、僕は正規ではなく、ヘルプ要員だからだ。
    元々ここの駅には1人だけではあるがちゃんと駅員がいる。
    …が、その駅員が捻挫で右足を痛めてしまったため、治るまでの間だけ手助けということで呼ばれてきたのだ。

    そんなわけで、
    スーツケースに必要最低限の荷物を詰め込んで、最終列車に揺られてたどり着いた北の大地は正に雪国だった。

    辺りは一面真っ白で、僕の吐く息も白い。
    木造の駅舎はいかにも田舎の駅といった風情で、どこか懐かしさすら感じた。

    「チョロ松兄さん!お疲れさまー!」
    「うん、十四松もお疲れ。」
    「早く行こ!一松兄さん待ってるよ!!」
    「そうだね。」

    僕たち六つ子の兄弟のうち、三男四男五男の3人は赤塚鉄道の駅員として働いている。
    僕は都市部の駅員、十四松は主に今僕が乗ってきた路線の運転手、
    そして一松はこの北国の田舎町の駅員として、それぞれ配属されている。

    そう、僕が行くことになった雪深い北国の末端のその末端の駅は、一松が配属されている駅。
    いわゆる赤字路線の1つではあるのだけど、鉄道が無くなってしまうと近隣の住民にとっては死活問題なので、住民のために運営されている路線と言っていいだろう。
    そんな陸地の末端の末端の駅で、右足を捻挫してしまった駅員とは、つまり一松のことだ。
    なんでも、線路の雪かき作業を終え、除雪車から降りようとしたときに
    うっかり足を滑らせて転倒してしまった拍子に捻ったらしい。
    …相変わらず変なところでドンくさい。
    駅員が1人しかいない中、足を負傷したままで業務をこなすのは厳しいだろうということで
    兄弟なんだしやりやすいだろ?という上司の計らいもあって
    僕が手助けするために1週間、一松と働くことになったのだ。

    足の具合は心配ではあるけど、少しだけ一松と一緒に働くことが楽しみだったりする。
    僕らは同じ鉄道会社に入社したけれど、研修を終えてからは一松と十四松と顔を合わせる機会がほとんどなかったから。

    改札を抜けると、駅舎の中に設けられたベンチに一松が腰掛けていた。
    傍らには松葉杖が無造作に立て掛けられている。
    十四松は車両の確認をしてくる、と先程別れた。
    一松は僕の姿を確認すると、少し表情を和らげてくれた。

    「チョロ松兄さん。」
    「久しぶり、一松。足の具合どう?立てる?」
    「大げさに見えるけど、大したことないよ。」

    久々に会った一松は少しも変わっていない。
    …と思う。
    あ、でも北国で生活しているせいか、心なしか肌が白くなった気がするな。

    十四松を待って3人で駅員の宿舎へ向かった。
    十四松が一松を背負い、僕は何故か自分のスーツケースに加え、一松と十四松の荷物も一緒に持っている。
    十四松はこの路線の日曜日の終電と月曜日の始発を担当しているらしく、毎週日曜日は一松の部屋に泊まっているそうだ。
    ここは終着駅であり、始発駅でもあるのだ。
    その割には車庫が非常に小さいのは、まぁ時刻表の本数の少なさを見ればお察しだ。

    宿舎は駅のすぐ傍で、3分もかからなかった。

    「チョロ松兄さん、兄さんの部屋なんだけど…、」
    「うん?」
    「急な話だったから手配が間に合わなくて…
     ここにいる間、おれと同じ部屋になるけど、いい?」
    「あー…まぁ、うん。いいよ。なんか今更だし。」
    「なんかごめん…。」
    「いや、いいって。」

    少し戸惑いはしたが、思えば就職前はプライベートなどあったもんじゃない6人一部屋な生活だったのだ。
    赤の他人ならともかく、一緒に寝泊りするのが一松ならそんなに大きな問題ではないだろう。
    それに一松の言う通り、僕がここに来るのは急な話だったし、足を負傷した一松に業務の傍ら部屋の準備なんて不可能に近い。

    「今日はぼくも一松兄さんの部屋に泊まるから、3人一緒っすねー!」
    「あ、そうか。…布団2つしかない。」
    「まぁ、2枚敷いて3人で寝たらいいんじゃないの?
     6人並んで寝てた頃と変わらないでしょ。」
    「チョロ松兄さんと十四松がそれでいいなら、いいけど…。」
    「あ!ぼく知ってる!
     下にバスタオル敷くと布団がズレないんだって!」
    「へー…試してみよ。」

    一松の部屋はおよそ2DKと存外広くて驚いた。
    田舎はこのくらいの広さが普通だし、
    それにここは雪が多いからサンルームがあるのが当たり前だから
    と説明されて、納得出来たような出来ないような心持ちだが
    これなら2人で過ごしても手狭にはならなさそうだ。
    キッチンも水周りも意外と綺麗にされていた。
    一松もやれば出来る子なんだよなぁ。と少しばかり感傷に浸ってみたりした。

    その日は2枚の布団で一松と十四松と3人寄り添うようにして眠った。
    両側から感じる一松と十四松の体温が、なんだか心地よかった。

    ーーー

    月曜日。

    「チョロ松兄さん、起きて。」

    朝6時、一松の声に起こされた。
    十四松は既に起き上がっていて、洗面所でバシャバシャと顔を洗っている。

    「おはよう…。」
    「ん、おはよ。」

    小さなテーブルを見れば、バターが乗ったトーストに、トマトとレタス、ブロッコリーの簡易なサラダ、あとはゆで卵。

    「結構ちゃんとした朝ごはんだね…。」
    「まあ、今日は十四松もいるし、それにチョロ松兄さんが来たから…。」
    「おはようございまーッスルマッスル!
     洗面所空いたよチョロ松兄さん!」
    「あ、うん。ありがとう十四松。」
    「一松兄さん!ジャム使っていい?オレンジジャム!」
    「いーよ。…あ、もうなくなりそう。」
    「また買い足ししとかないとね!
     あ、ぼく見つけたら買っておこうか?」
    「ほな、お願いしますわ〜。」
    「えっへへ〜任せなはれ〜!」

    久々にのんびりと朝ごはんを食べた。
    思えば駅員になってからというもの、時間に追われて毎日の食事も適当にコンビニ弁当をかき込むだけだった気がする。
    こんな風に団欒しながら食べるご飯はいつ振りだろう。
    一松と十四松の謎の掛け合いを見るのも久々だ。

    それから適当に片付けて着替えて準備して、3人一緒に駅舎へ向かう。
    駅舎に着くと、十四松が除雪車で線路の雪かきをしている間に一松が簡単に駅周りを案内してくれた。
    案内といっても駅の周囲は見渡す限りの白銀だし、今は何も植えられていない田んぼや畑の向こうに
    ポツポツと年季の入った家屋が見えるだけだ。

    「…買い物とかどうしてるの。」
    「食べ物系とか日用品は農協のおじさんが毎週火曜と金曜に販売車で来てくれる。
     服とかはまぁ…基本通販だけど、ぶっちゃけ3年くらい買ってない。」
    「なるほど…移動販売車ね。」

    話によれば、ここから一番近いコンビニへ行くのに車で30分掛かるそうだ。
    何だそれ、全然コンビニエンスじゃねーよ。
    近所のスーパーも電車で3駅先が最寄りとか、それ最早近所じゃねーし。
    想像以上の不便さに驚いている僕を見て、一松がヒヒッと笑みを零す。
    笑み、なんて可愛らしいモンじゃなかったが。

    「でもまぁ、そんなに困ってないよ。
     割となんとかなる。」
    「ふーん…そういうモン?」
    「そういうモン。」
    「なんて言ったらいいか…不便だからこそ、見えてくるものもあるよ。」
    「へぇ。…例えば?」
    「それはチョロ松兄さんが自分で見つけてみれば。」


    十四松が運転する始発の電車は8時ちょうど発。
    乗客は学校へ向かうのだろう学生数人と、3つ先の駅前スーパーへ行くらしいお年寄り数人。
    両手の指で事足りてしまう人数だった。
    車両もたったの2両編成だ。

    「出発、進行〜!」

    「いってらっしゃい。」
    「十四松、気をつけて。」

    「あいあい!いってきまーッスル!!」

    ワンマン線の田舎のローカル電車。
    車掌はおらず、ドアの開閉は乗客が自分で行うシステムだ。
    (もちろん、走行中は開かないようにロックがかかっている。)
    どこかの路線のお古らしい使い込まれた古い車体を揺らし、元気よく発進していった十四松を手を振って見送ると
    僕と一松は駅長室に戻った。
    足の具合はそれなりに回復しているのか、松葉杖はほとんど使っていない。

    次の電車は2時間後だ。
    ちら、と一松を見れば呑気にお茶を入れて啜っていた。
    よく見れば机の上にはミカンも転がっている。

    「…お前、いつもこんな感じなの?」
    「うん。」
    「……へぇ。」

    なんというか、駅員ってもっと慌ただしいものだと思っていたんだけど。
    都内の駅に比べるとあまりに静かであまりにのんびりしているものだから、なんだか拍子抜けだ。
    完全に寛いでいる一松を見て、つい笑ってしまった。
    可愛いな、なんて…いや思ってないよ?!
    歳の変わらない男の兄弟だよ有り得ない。

    まぁともかく、

    一松と一緒に働き始めた初日は、ひたすら平和でゆったりした空気が漂っていた。

    ーーー

    火曜日。

    今日の朝ごはんは白米に海藻の味噌汁、それに焼きジャケと漬け物。
    昨日とは打って変わって和テイストだ。
    漬け物は貰い物らしい。

    駅員の制服に着替え、コートを着込み、マフラーも装備して
    一松の足を気遣いつつ、ゆっくりとした歩調で駅舎へ向かった。

    この駅舎には、改札横にちょっとした憩いのスペースが設けられている。
    2畳ほどの広さで四角く区切られたそこは、コの字型に木でできたベンチでグルリと囲まれ
    中央には同じ木でできたテーブルが固定されている。
    ベンチには誰が用意したのか、くたびれてペチャンコになった座布団が敷かれていた。
    (聞けば、一松が配属された時には既にあったそうだ。)
    スペースの奥には昔懐かしのガスストーブが点灯していて、
    ストーブの上にはヤカンが置かれシュンシュンと湯気を吹き出している。

    そんな駅舎の憩いの場は、この近辺のお年寄り達が集う場所でもあるらしい。
    ベンチに腰掛け、世間話に花を咲かせるご老人の皆さんの楽しげな声が聞こえてくる。
    次の電車が来るまでおよそ1時間。
    電車を待ちながらこうして世間話をするのが、この町の人々の常なのだとか。

    過疎化の進む小さな町。
    町の人は全員顔見知りだそうで、今朝は物珍しさからか町の人に囲まれてちょっと大変だった。

    「一松くん、足の具合はどうだい?」
    「え、あ、僕は一松の兄で…」

    「あれま?!トメさん、一松くんが2人おるでよ?」
    「ほんとだねぇ〜いやぁ本当にそっくりだわ。」
    「アンタが一松くんが話してたお兄さんかい?」
    「兄さんが来てくれたなら一松くんも安心だねぇ〜。」

    「え、は…いや…その、」

    数人のお年寄りの皆さんに囲まれて困惑している僕を、一松は横目で面白そうに眺めていた。
    必死に笑いを堪えてたっぽいけど、心底愉快そうに「クヒヒッ」て笑ってたの聞こえてたからな。
    お前覚えてろよ。
    けどまぁ、嫌な気はしない。
    お年寄り方から聞く話の節々で、一松はこの町の人達に可愛がられているんだろうな、というのが伝わってきたから。

    「この町は年寄りばっかりでなぁ、
     若い子が少ないから年寄りはみ〜んな一松くんのこと
     孫みたいに可愛がってるんだわ。」
    「そうなんですか。」

    そんな孫のように可愛がられている一松は、いつの間にかお年寄り方に混ざって
    憩いの場のベンチに腰掛けて何故かおにぎりを食べていた。
    …何お前、実はジジババキラーだったのか?
    一松の膝の上には、どこから来たのか橙の毛色をした猫が乗っている。

    おい、お前駅員だぞ。

    というツッコみは必死に飲み込んだ。
    ほら、よく言うでしょ。
    田舎の常識は都会の非常識。
    多分、この駅ではあれはいつもの風景なのだろう。
    それに、この和やかな空気を壊してしまうのは少し気が引けた。

    数少ない電車がホームに入ってくると、お年寄り方はゾロゾロと電車へ向かっていった。
    同時に僕も改札へと向かい、切符を切る。
    (この駅には自動改札機なんてものはない。駅員が手動で切符を切るのだ。)
    そのうちの1人が「毎日ご苦労さん、これでもお食べ。」と手渡してくれたのはホカホカの肉まんだった。
    …一体どこから取り出したんだろうと思ったが、あまり考えないでおこう。

    一松は発車する列車に向かって、先ほど貰った肉まんを頬張りながら手を振って見送っている。

    「いっへはっひゃーい(いってらっしゃーい)」
    「コラ一松!口に入れたまま喋るなよ!」

    いや、口に肉まんを入れたまま喋るどうこう以前に、一応今は勤務中だ。
    呑気に肉まんを頬張りながら列車を見送る駅員など、横柄な態度にもほどがある。
    …が、ここではそれが許されてしまうのだろう。
    僕らのやり取りを見て、お年寄り方は大層楽しげに大笑いしながら電車に乗り込み、颯爽と去っていったのだった。

    はふはふと肉まんを頬張る一松にどう表現したらいいのか解らない感情がこみ上げてきたけど
    気のせいだと必死に言い聞かせた。
    可愛いなんて…思ってないよ。

    ーーー

    水曜日。

    「チョロ松兄さん、これもらった。」

    始発を見送った少し後、一松から話しかけられて振り向けば
    その手には大きくて立派なサツマイモが2本。
    町のお年寄り方の1人から貰ったらしい。
    そういえば朝食に出てくる漬け物や魚もお年寄りにもらったんだったか。
    お前ほんと可愛がられてるな。

    「もらったって…どうするんだよ、それ。」
    「え?焼いて食べよう?」
    「は?!」

    いうや否や、一松はどこからか取り出したアルミホイルでサツマイモを包み、ガスストーブの上へ乗せた。
    昨日の肉まんといい、日々こうして町の人達から色々もらっているのは、ほんの数日で何度も目にした。
    もう公私混同過ぎるだろ、とつっこむ気も起きない。
    元々配属されていた慌ただしい都市部の駅とは全く違う、ゆったりとした空気にも3日も経てば慣れてくる。

    ここは人々も、空気も、何もかもが穏やかだ。
    たった1週間なのが惜しいと思うくらいには、僕はこの雪深い田舎町での生活に馴染みつつあった。

    次の列車が来るまであと2時間。
    ガスストーブの上にはアルミホイルに包まれたサツマイモとミカン。

    …ん?ミカン?!

    「え、待って何でミカン乗ってんの?!
     てか、どっから出てきたこのミカンは?!」
    「焼きミカン…。割とイケる。
     あとミカンは八百屋のじいちゃんにもらった。」
    「ウソだろマジで?
     つーかもらい過ぎだろ!」
    「マジマジ、大マジ。」

    一松と2人、サツマイモを見守りながら憩いの場で湯呑みのお茶を啜った。
    焼きミカンは一松の言う通り、甘みが増していて割とイケた。新発見。
    今日は少し寒い。
    大きめの膝掛けに2人一緒に包まって身を寄せ合いながら
    僕も一松も降り続く雪をぼんやり見上げていた。

    北国の、過疎化が進んだ陸地の末端の末端の町。
    終電は20時30分だし、近くにスーパーもコンビニもない。
    何もない不便な町。
    けれど不思議と流れる時間は穏やかで
    こうして一松と肩を並べて過ごす時間が…陳腐な言葉だけど、かけがえのないものに思えた。
    ずっとこの時間が続いたらいいのにな、なんて思えるくらいには僕は田舎向きだったようだ。

    その後集まってきた町の人たちに「仲のえぇ兄弟だねぇ」と
    ニコニコされたのは非常に恥ずかしい限りだ。

    ホクホクに焼きあがったサツマイモは、駅舎に遊びに来た町の人たちと一緒に食べた。

    僕と一緒に食べるんじゃなかったのかよ。
    と、一瞬だけ思ったのは内緒だ。

    ーーー

    木曜日。

    その日は珍しく他の土地からの乗客が降りてきた。
    この駅を利用するのは地元の人がほとんどで、ほんの数日しかいない僕でさえ顔ぶれが大体頭に入っているくらいだ。
    その人は雪の降るこの土地でやけに薄着で、荷物は小さめのボストンバッグ一つ。
    20代前半くらいの女性客だった。
    垢抜けた、いかにも都会人です。といった装いはどう考えてもこの町にはそぐわない。
    古びた駅舎に佇むその姿がまるで下手くそな合成写真のように、やけに浮いて見えた。
    切符を切ると彼女はゆっくりと外を見渡し、そして遠慮がちに僕に尋ねた。

    「あの…涯の峠へ行きたいのですが。」
    「はてのとうげ…?えーと…すみません、僕はここに来て日が浅いもので…。
     他の駅員を呼びますね。

     ……一松!」

    憩いの場で猫を撫でていた一松に声を掛ける。
    一松は顔を上げて、僕の後ろにいる女性客を見ると
    しばらくじっと女性を眺め、そして微かに表情を曇らせた。
    猫の背を撫でる手は止めずに、一松はおずおずと口を開く。

    「え…っと…今は雪が降ってる、から…
     その軽装で涯の峠に行くのは、危険だと、思います…。」
    「…なら、行き方だけでも、教えて下さいませんか?」
    「…………。」
    「あの…駅員さん?」
    「一松?」

    「寒い、でしょう…?少し、ここで温まっていきませんか…?」
    「え?」
    「チョロ松兄さん、お茶入れてあげて。」
    「え?あ、うん。」

    言われるがまま、ガスストーブの上に乗ったヤカンを手に取り、来客用の湯呑みにお茶を入れた。
    女性は戸惑いながらも憩いの場のベンチに腰掛けたようだ。
    お茶を手渡すと、今度は一松が
    「駅長室の机にある、一番上の引き出しに地図が入ってるから取ってきて。」
    というから素直に取りに行った。

    地図を受け取った一松はそれを広げて少しの躊躇いを見せながらも、たどたどしく話し出した。

    「ここが、今いる駅。…涯の峠は、ここから歩くと1時間以上、かかります。
     峠って名前が付いてるけど…足場も悪いし…それに今は雪だし…
     しっかりとした防寒と登山の準備をして入らないと、危険です。
     それに…ここに入山するには、自治体の許可と
     ガイドを1人以上つける決まりが…。」
    「え?!そ、そんなの…聞いたことないです!」
    「えーと、じゃあ…今から、ガイドさん呼びましょうか…?」

    女性客は何故か悔しそうに唇を噛んでいる。
    そんなに涯の峠とやらに行きたかったのだろうか?
    一松がお茶と一緒にミカンを差し出したが、女性はそれを一瞥しただけだった。
    どこか空気が重苦しい上に、一松は口を噤んでしまった。

    どうしたものか、と考えあぐねていると、駅舎にやたらと明るい声が聞こえてきた。

    「はいよーガイドが来ましたよー」
    「え、トメさん?」
    「あーアンタは…チョロ松くんの方だね!」
    「あーはい、正解ですけど、え?」

    一松は町のお年寄りの代表的存在、トメさんの姿を確認すると、後は任せたと言わんばかりに憩いの場から離れてしまった。
    代わりにトメさんが女性の横に座り、何やら話始めている。

    …わけがわからない。

    駅長室に篭ってしまった一松の様子を窺いながらも、僕は駅のホームに立ち尽くす他なかった。

    女性客がトメさんとしばらく話した後、涙を流しながら再び電車に乗って
    引き返して行ったのはわかった。
    それを見送った一松が少しホッとした表情をしていたのも。
    一体どんな会話が繰り広げられていたのか、僕の知るところではないけれど。

    「一松。」
    「……何。」
    「あの女の人さ…何しにここに来たんだろうね?」
    「…さあね。」

    「ねぇ、待ってよ一松。」
    「………。」
    「本当は、何か分かってたんじゃないの…?」

    その日の夜、あの女性客に対する一松の態度が何故かどうしても気になって、
    僕は思い切って聞いてみた。
    後から調べてみたけど、涯の峠へ行くのに、自治体の許可やガイドなんて決まりは無かったのだ。
    つまり、一松はあの女性客涯の峠へ1人で向かわせないために嘘を吐いたということになる。
    …何故、そんなことを?
    素知らぬ振りをするべきだったのかもしれない。
    でも、それをしてはいけない気がした。
    一瞬だけ僕の目を見た一松の瞳が大きく揺らいだ。

    「ごめん…。」
    「一松…?」
    「聞かないで。
     …お願い、チョロ松兄さん。」
    「……。」

    それ以上一松は何も言ってくれなかった。
    そんな顔で言われては、これ以上の追及なんて、いくら遠慮の要らない弟であっても出来やしない。
    一松の絞り出すような声は今にも泣き出しそうな危うさを孕んでいて、
    布団の中で震える一松に僕はただただ寄り添うしかできなかった。

    ーーー

    金曜日。

    いつも通り除雪して、始発を見送って、憩いの場でガスストーブにあたり
    膝掛けを共有しながら湯飲みでお茶を啜る。

    このゆったりとした非日常な日常も今日と明日で終わりだ。
    そう考えると、昨日やってきた女性客によってもたらされた小さな事件で
    一松との間に僅かなしこりができてしまった事が悔やまれてならない。
    やっぱり見て見ぬ振りをするべきだった?
    いや、多分それは最悪手だ。根拠はないけど。

    帰るまでに、どうにかしたい。
    膝上の猫を撫でながら雪空を見上げる一松を見て、そう思った。
    一松の右足はもうすっかり良くなっている。
    僕は足が治るまでの手助けとしてここに来たのだから、
    完治すればこれ以上この駅にいる理由はなくなってしまうのだ。
    昨晩「聞かないで」とまるで怯えた子供のようだった一松の姿が頭から離れない。

    なあ、一松。
    お前は何を抱えているんだ?
    この穏やかな町で、一体何があったんだ?
    …何か心に傷を抱えているのなら、それを知りたいと思うし、少しでも痛みを和らげてあげたいと思う。
    けど、一松自身に拒絶されてしまってはそれも難しい。

    昨日みたいに、どうしたものかと湯呑みを片手に唸っていると、背後から突然声を掛けられた。
    思わず肩が飛び上がる。

    「あれ、そんなに驚いたかね?」
    「あ、いえ…すみません。
     少し考え事をしていたものですから…。」

    声を掛けてきたのは町のお年寄り方の1人だった。
    使い古したショッピングカートを引いているから、3つ先の駅前スーパーへ向かうのだろう。

    「昨日ここに来たっていうお嬢さんのことかい?
     無事に帰ってくれたか分からんが、引き返してくれてよかったよねぇ。」
    「え…?それってどういう…。」

    目を見開く僕を見て、お年寄りは
    「あちゃ~お兄さんの方だったか、まずったねぇ。」
    なんて、ちっとも焦った様子は見せずに僅かに微笑んだ。
    僕が「話を聞かせてほしい。」と言えば、町のお年寄りはすんなりと話してくれた。

    それから、

    お年寄りから話を聞いた僕は、お礼を述べると迷わず一松の元へと走った。


    「一松!」
    「え…どうしたのチョロ松兄さん。」
    「ごめん…昨日の女の人のことと、
     あと…2年前の話…聞いちゃって…。」
    「…!」

    一松の身体が強ばったのが分かった。
    ついさっき、町のお年寄りから聞いた話が脳裏に蘇る。

    ー 昨日この駅へ降り立って涯の峠へ向かおうとしたお嬢さんはね、自殺志願者だったんだよ。
    それに気付いた一松くんはこっそりうちらに連絡を入れてくれたんだ。
    そんで、話を聞いてやって考え直してもらってね。
    もちろん、来る人全員が引き返してくれるわけじゃぁない。
    強引に飛び出して行ってしまった人も過去にはいる。

    涯の峠はね、たまにそうやって全てを終わらせようとする人が訪れるんだ。
    その人達は、電車を降りると大体駅員さんに…一松くんに尋ねるんだよ。
    「涯の峠へはどうやって行けばいいですか」
    ってね。

    …2年前だったかねぇ。
    一松くんが涯の峠への道を聞かれたのは、その時が初めてだったんだよ。
    当時の一松くんは何も知らずに丁寧に峠までの行き方を教えてあげた。
    その人は何度も頭を下げて一松くんにお礼を行って峠へ向かったんだけど…
    その3日後に、遺体で発見されてね。
    一緒に遺書も見つかったから、自殺だって断定されたんだけど、
    一松くんは酷くショックを受けた様子だったよ。
    自殺の手助けをしてしまった、
    って自分を責めたんだろうねぇ…可哀想に。


    ………

    一松がそんな思いをしていたなんて、僕は知らなかった。
    不本意で見知らぬ誰かの自殺の手助けをしてしまい、それを責めて心に傷を負っていたなんて、知らなかった。

    「なんで…話してくれなかったんだよ…。」
    「………。」
    「一松が、そんな辛い思いしてたなんて…知らなかった…。」
    「だって…、」
    「僕の単なるエゴだけどさ、少しくらい頼ってほしかった…。」
    「チョロ松、兄さん…。」
    「なぁ、一松。僕ってそんなに頼りない兄かな?」

    「…ぼくのこと、軽蔑しない、の…?」
    「え?」

    「自殺の、手伝いしちゃったんだよ…。
     ぼくが道を教えたせいで、人が1人死んじゃったんだ。」
    「一松、」
    「ぼくのせいで…人が死んだんだよ…。」
    「一松、お前は何も悪くないよ。」

    一松は何かに怯えるように、そして同時に縋るような目で僕を見ていた。
    …ああ、ずっと独りで罪悪感に苛まれてきたんだな。
    昨日のあの女性客に対しても、何かを感じ取って、コミュ障のくせして咄嗟に引き止めたのだろう。
    再び罪を重ねないように、必死になって。

    「お前は悪くない、悪くないよ。」
    「…チョロ松兄さん、」
    「一松はいい子。
     はなまるぴっぴのいい子だから、ね?」

    寒さのせいなのか、泣いてるせいなのか、或いはその両方か
    肩を震わせる一松を、僕の体温を分け与えるようにぎゅっと抱き締めた。
    話を聞いて、昨日の出来事に合点がいった。
    僕だけ蚊帳の外なんて、酷いじゃないか。
    軽蔑なんてするわけがない。
    だからもう少し頼ってほしかった。
    隣同士だし歳も変わらないけど、僕は一松の兄なんだよ?
    …それに、
    それに、兄弟以上に一松の事は。
    …いや、これ以上はやめておこう。

    震える一松の肩は、なんだか酷く小さくか弱いものに感じた。

    ーーー

    土曜日。

    登りの最終列車を見送って、その1時間後に下りの最終列車を受け入れて
    車両の最終点検を済ませれば、もうここでの業務はほぼ終わったに等しい。
    明日の朝には始発の列車に乗って、僕は元いた職場へ戻らなければならない。

    「なんだか1週間あっという間だったなぁ。」
    「そう?…どうだった、田舎の駅での1週間は。」
    「なかなか楽しかったよ。
     このままずっとここにいたいくらいには。」
    「そう。」
    「週初めに一松が言ってた、「不便だからこそ見えるもの」もなんとなく分かった気がするし。」
    「そりゃよかった。」

    町の人達から肉まんやお芋を貰って。
    ガスストーブにあたりながら、一松と2人でお茶を飲んで。
    ちらつく雪を2人で見上げて。
    古びたワンマンの車両を見送って。
    町の人達から色んな話を聞いて。

    ここは、本当に本当にびっくりするくらいゆっくり時間が流れている。
    一松と2人で過ごす日々があまりにも穏やかだったものだから、正直帰りたくないな、なんて思ってしまった。

    「点検、終わったよ。」
    「うん、じゃあ帰ろうか。」
    「うん…あ、ねぇチョロ松兄さん。」
    「何?」
    「晩ご飯何がいい?
     今日は最後の晩餐だし、兄さんの好きなのでいいよ。」
    「ほんとに?じゃあお言葉に甘えようかなー。」
    「つっても、町のおばちゃん達がチョロ松兄さんへの餞別に、ってくれたお惣菜がたくさんあるんだけどね。」
    「え、何それそうだったの?!
     うわお礼言ってないよ教えろよ!
     なら今日はそれ食べよう!」
    「ん。でもメインで何か作るよ。」

    自販機で少しお酒を買って、そんな事を話しながら歩けばあっという間に宿舎にたどり着く。
    町の人達からもらったというお惣菜に、一松が作ってくれた肉野菜炒めを食べて、缶チューハイを開けて、
    僕らはいつもより遅い時間にようやく布団に潜り込んだ。
    こうして一松と並んで眠るのも、今日で最後だ。

    「…チョロ松兄さん。」
    「…うん?」
    「その…そっち、行ってもいい?」
    「へ?…あ、うん。いいよ。」

    くぐもった声で唐突にそんな事を言い出した一松がもぞもぞとこちらの布団に移動してきた。
    肩が触れ合って、そこからじわりと一松の体温を感じる。

    「どうしたの、一松。」
    「え…っと、」
    「うん?」
    「その…ありがと。
     …1週間、おれの手伝いしてくれて。」
    「まあ、それは…僕も結構楽しめたし。」
    「あと…おれのこと、いい子って…言ってくれて、あ、ありがと…。」
    「え…。」

    僕の肩口に顔を埋めてしまった一松の表情は見えない。

    「怖かったんだ…自殺の手助けをしたって知られたら
     みんなに軽蔑されるんじゃないか、って…。
     みんなに嫌われちゃうんじゃないかって…。」
    「一松…。」
    「ぼく、いい子なんかじゃないよ。
     あの時だって、あの人を助けたかったんじゃない…。
     自分が助かりたかっただけなんだ。
    もうあの時みたいな思いをするのが嫌で、ただ保身に走っただけで…。」
    「…それでもさ、」
    「え、」
    「結果的に、助けたことになったじゃない。」
    「でも、」
    「でもじゃない。
     一松はいい子だよ。はなまるぴっぴのいい子。
     …僕の言うこと信じられない?」
    「……その言い方は、ズルイ…。」

    ごろりと寝返りを打って一松の方を向くと、布団の中で一松を抱き締めた。
    なんだかこのまま一緒に溶け合ってしまえそうだ。
    嗚呼、やっぱり僕は一松に兄弟以上の感情を抱いているのかな。
    なんか今なら素直に認められる気がする。
    こうして腕の中に収まった一松を見下ろしてみると、こういう時は存外幼い表情をしているのが分かる。
    北国の小さな駅で穏やかな日々を過ごしながらも、人の命と向き合い葛藤してきたのであろう1つ下の弟が、途端に愛おしく感じた。
    誰にも話せず、胸の内に後悔と自責の念を抱え独りで耐えてきたのだろう。
    根幹にある真面目さ故に、悔いて悩んで人知れず涙を流してきたのかと思うと、どうにも今まで感じた事のない庇護欲がせり上がってくる。

    やっぱり、帰りたくないなぁ。

    最後の夜、僕は一松を腕の中に抱いたまま気付けば眠りに落ちていた。

    ーーー

    日曜日の朝。

    この駅とも今日でしばしの別れだ。
    今日僕は駅員の制服ではなく、私服に身を包んでいる。
    手にはスーツケース。そして町の人達からもらったお饅頭やら漬け物やらの餞別。

    午前8時ちょうど。
    始発列車が出発する時刻。

    「それじゃ、一松…元気で。」
    「うん…チョロ松兄さんもね。」
    「あ、今日は十四松が泊まる日だっけ。
     十四松にもよろしくね。」

    「うん。…チョロ松兄さん。」
    「ん?
     …………?!」

    ドアが閉まる直前、誰からも見えない死角から一松が身体を乗り出し
    僕と一松の唇が一瞬だけ重なった。
    突然のことに反応出来ず、呆然とする僕に構わず
    次の瞬間にはドアが閉まり列車は動き出す。
    一松はそんな僕に笑みを向け、普段と同じように見送った。

    「1週間ありがと。

     …いい子って言ってくれて、嬉しかった。」

    やがて一松も、駅のホームも見えなくなって
    僕は触れ合った唇を名残惜しむかのように指の腹でそっとなぞるだけで精一杯だった。




    その1ヶ月後、
    今度はホームの雪かき中に足を滑らせ、変な受身を取ったせいで左腕を骨折してしまった一松を見兼ねて
    チョロ松が再び北国の田舎駅へ行くことになり、
    更には「一松1人じゃ心配だから」とチョロ松もそのままその駅の正規担当となるのだった。

    ーーー

    陸地の最果て。
    末端の末端のとある田舎の駅。
    1年の大半を雪に覆われたその町の、木造で風情溢れるその駅に降り立つと、同じ顔をした駅員が出迎えてくれる。
    「こんな辺鄙な所によく来たね。
    寒いでしょう?少し温まって行きなよ。」
    と緑のマフラーの駅員が温かいお茶を差し出せば
    「そこ…座ったら…?」
    と橙の毛色の猫を引き連れた紫マフラーの駅員がミカンやサツマイモを手渡してくれる。
    改札横のスペースには古びたベンチと昔懐かしのガスストーブ。
    お昼頃に赴けば、ストーブにあたりながら大きめの膝掛けを共有し、仲良く並んで雪空を見上げる駅員さん達の姿が見れるのだとか…。

    fin.
    #BL松 #チョロ一 #チョロ松 #一松 トラベル松 ##チョロ松と一松の話

    日曜日の夜。

    ホームに降りた途端、冷たい空気に包まれて思わず肩を縮こませ、身を震わせた。
    寒い。
    話には聞いてたけどここまで寒いとは。
    1年の大半を雪に覆われた陸地の末端の末端とも言うべき北国の大地。
    僕、チョロ松は今日から1週間だけここで駅員として働くことになった。

    何故1週間なのかというと、僕は正規ではなく、ヘルプ要員だからだ。
    元々ここの駅には1人だけではあるがちゃんと駅員がいる。
    …が、その駅員が捻挫で右足を痛めてしまったため、治るまでの間だけ手助けということで呼ばれてきたのだ。

    そんなわけで、
    スーツケースに必要最低限の荷物を詰め込んで、最終列車に揺られてたどり着いた北の大地は正に雪国だった。

    辺りは一面真っ白で、僕の吐く息も白い。
    木造の駅舎はいかにも田舎の駅といった風情で、どこか懐かしさすら感じた。

    「チョロ松兄さん!お疲れさまー!」
    「うん、十四松もお疲れ。」
    「早く行こ!一松兄さん待ってるよ!!」
    「そうだね。」

    僕たち六つ子の兄弟のうち、三男四男五男の3人は赤塚鉄道の駅員として働いている。
    僕は都市部の駅員、十四松は主に今僕が乗ってきた路線の運転手、
    そして一松はこの北国の田舎町の駅員として、それぞれ配属されている。

    そう、僕が行くことになった雪深い北国の末端のその末端の駅は、一松が配属されている駅。
    いわゆる赤字路線の1つではあるのだけど、鉄道が無くなってしまうと近隣の住民にとっては死活問題なので、住民のために運営されている路線と言っていいだろう。
    そんな陸地の末端の末端の駅で、右足を捻挫してしまった駅員とは、つまり一松のことだ。
    なんでも、線路の雪かき作業を終え、除雪車から降りようとしたときに
    うっかり足を滑らせて転倒してしまった拍子に捻ったらしい。
    …相変わらず変なところでドンくさい。
    駅員が1人しかいない中、足を負傷したままで業務をこなすのは厳しいだろうということで
    兄弟なんだしやりやすいだろ?という上司の計らいもあって
    僕が手助けするために1週間、一松と働くことになったのだ。

    足の具合は心配ではあるけど、少しだけ一松と一緒に働くことが楽しみだったりする。
    僕らは同じ鉄道会社に入社したけれど、研修を終えてからは一松と十四松と顔を合わせる機会がほとんどなかったから。

    改札を抜けると、駅舎の中に設けられたベンチに一松が腰掛けていた。
    傍らには松葉杖が無造作に立て掛けられている。
    十四松は車両の確認をしてくる、と先程別れた。
    一松は僕の姿を確認すると、少し表情を和らげてくれた。

    「チョロ松兄さん。」
    「久しぶり、一松。足の具合どう?立てる?」
    「大げさに見えるけど、大したことないよ。」

    久々に会った一松は少しも変わっていない。
    …と思う。
    あ、でも北国で生活しているせいか、心なしか肌が白くなった気がするな。

    十四松を待って3人で駅員の宿舎へ向かった。
    十四松が一松を背負い、僕は何故か自分のスーツケースに加え、一松と十四松の荷物も一緒に持っている。
    十四松はこの路線の日曜日の終電と月曜日の始発を担当しているらしく、毎週日曜日は一松の部屋に泊まっているそうだ。
    ここは終着駅であり、始発駅でもあるのだ。
    その割には車庫が非常に小さいのは、まぁ時刻表の本数の少なさを見ればお察しだ。

    宿舎は駅のすぐ傍で、3分もかからなかった。

    「チョロ松兄さん、兄さんの部屋なんだけど…、」
    「うん?」
    「急な話だったから手配が間に合わなくて…
     ここにいる間、おれと同じ部屋になるけど、いい?」
    「あー…まぁ、うん。いいよ。なんか今更だし。」
    「なんかごめん…。」
    「いや、いいって。」

    少し戸惑いはしたが、思えば就職前はプライベートなどあったもんじゃない6人一部屋な生活だったのだ。
    赤の他人ならともかく、一緒に寝泊りするのが一松ならそんなに大きな問題ではないだろう。
    それに一松の言う通り、僕がここに来るのは急な話だったし、足を負傷した一松に業務の傍ら部屋の準備なんて不可能に近い。

    「今日はぼくも一松兄さんの部屋に泊まるから、3人一緒っすねー!」
    「あ、そうか。…布団2つしかない。」
    「まぁ、2枚敷いて3人で寝たらいいんじゃないの?
     6人並んで寝てた頃と変わらないでしょ。」
    「チョロ松兄さんと十四松がそれでいいなら、いいけど…。」
    「あ!ぼく知ってる!
     下にバスタオル敷くと布団がズレないんだって!」
    「へー…試してみよ。」

    一松の部屋はおよそ2DKと存外広くて驚いた。
    田舎はこのくらいの広さが普通だし、
    それにここは雪が多いからサンルームがあるのが当たり前だから
    と説明されて、納得出来たような出来ないような心持ちだが
    これなら2人で過ごしても手狭にはならなさそうだ。
    キッチンも水周りも意外と綺麗にされていた。
    一松もやれば出来る子なんだよなぁ。と少しばかり感傷に浸ってみたりした。

    その日は2枚の布団で一松と十四松と3人寄り添うようにして眠った。
    両側から感じる一松と十四松の体温が、なんだか心地よかった。

    ーーー

    月曜日。

    「チョロ松兄さん、起きて。」

    朝6時、一松の声に起こされた。
    十四松は既に起き上がっていて、洗面所でバシャバシャと顔を洗っている。

    「おはよう…。」
    「ん、おはよ。」

    小さなテーブルを見れば、バターが乗ったトーストに、トマトとレタス、ブロッコリーの簡易なサラダ、あとはゆで卵。

    「結構ちゃんとした朝ごはんだね…。」
    「まあ、今日は十四松もいるし、それにチョロ松兄さんが来たから…。」
    「おはようございまーッスルマッスル!
     洗面所空いたよチョロ松兄さん!」
    「あ、うん。ありがとう十四松。」
    「一松兄さん!ジャム使っていい?オレンジジャム!」
    「いーよ。…あ、もうなくなりそう。」
    「また買い足ししとかないとね!
     あ、ぼく見つけたら買っておこうか?」
    「ほな、お願いしますわ〜。」
    「えっへへ〜任せなはれ〜!」

    久々にのんびりと朝ごはんを食べた。
    思えば駅員になってからというもの、時間に追われて毎日の食事も適当にコンビニ弁当をかき込むだけだった気がする。
    こんな風に団欒しながら食べるご飯はいつ振りだろう。
    一松と十四松の謎の掛け合いを見るのも久々だ。

    それから適当に片付けて着替えて準備して、3人一緒に駅舎へ向かう。
    駅舎に着くと、十四松が除雪車で線路の雪かきをしている間に一松が簡単に駅周りを案内してくれた。
    案内といっても駅の周囲は見渡す限りの白銀だし、今は何も植えられていない田んぼや畑の向こうに
    ポツポツと年季の入った家屋が見えるだけだ。

    「…買い物とかどうしてるの。」
    「食べ物系とか日用品は農協のおじさんが毎週火曜と金曜に販売車で来てくれる。
     服とかはまぁ…基本通販だけど、ぶっちゃけ3年くらい買ってない。」
    「なるほど…移動販売車ね。」

    話によれば、ここから一番近いコンビニへ行くのに車で30分掛かるそうだ。
    何だそれ、全然コンビニエンスじゃねーよ。
    近所のスーパーも電車で3駅先が最寄りとか、それ最早近所じゃねーし。
    想像以上の不便さに驚いている僕を見て、一松がヒヒッと笑みを零す。
    笑み、なんて可愛らしいモンじゃなかったが。

    「でもまぁ、そんなに困ってないよ。
     割となんとかなる。」
    「ふーん…そういうモン?」
    「そういうモン。」
    「なんて言ったらいいか…不便だからこそ、見えてくるものもあるよ。」
    「へぇ。…例えば?」
    「それはチョロ松兄さんが自分で見つけてみれば。」


    十四松が運転する始発の電車は8時ちょうど発。
    乗客は学校へ向かうのだろう学生数人と、3つ先の駅前スーパーへ行くらしいお年寄り数人。
    両手の指で事足りてしまう人数だった。
    車両もたったの2両編成だ。

    「出発、進行〜!」

    「いってらっしゃい。」
    「十四松、気をつけて。」

    「あいあい!いってきまーッスル!!」

    ワンマン線の田舎のローカル電車。
    車掌はおらず、ドアの開閉は乗客が自分で行うシステムだ。
    (もちろん、走行中は開かないようにロックがかかっている。)
    どこかの路線のお古らしい使い込まれた古い車体を揺らし、元気よく発進していった十四松を手を振って見送ると
    僕と一松は駅長室に戻った。
    足の具合はそれなりに回復しているのか、松葉杖はほとんど使っていない。

    次の電車は2時間後だ。
    ちら、と一松を見れば呑気にお茶を入れて啜っていた。
    よく見れば机の上にはミカンも転がっている。

    「…お前、いつもこんな感じなの?」
    「うん。」
    「……へぇ。」

    なんというか、駅員ってもっと慌ただしいものだと思っていたんだけど。
    都内の駅に比べるとあまりに静かであまりにのんびりしているものだから、なんだか拍子抜けだ。
    完全に寛いでいる一松を見て、つい笑ってしまった。
    可愛いな、なんて…いや思ってないよ?!
    歳の変わらない男の兄弟だよ有り得ない。

    まぁともかく、

    一松と一緒に働き始めた初日は、ひたすら平和でゆったりした空気が漂っていた。

    ーーー

    火曜日。

    今日の朝ごはんは白米に海藻の味噌汁、それに焼きジャケと漬け物。
    昨日とは打って変わって和テイストだ。
    漬け物は貰い物らしい。

    駅員の制服に着替え、コートを着込み、マフラーも装備して
    一松の足を気遣いつつ、ゆっくりとした歩調で駅舎へ向かった。

    この駅舎には、改札横にちょっとした憩いのスペースが設けられている。
    2畳ほどの広さで四角く区切られたそこは、コの字型に木でできたベンチでグルリと囲まれ
    中央には同じ木でできたテーブルが固定されている。
    ベンチには誰が用意したのか、くたびれてペチャンコになった座布団が敷かれていた。
    (聞けば、一松が配属された時には既にあったそうだ。)
    スペースの奥には昔懐かしのガスストーブが点灯していて、
    ストーブの上にはヤカンが置かれシュンシュンと湯気を吹き出している。

    そんな駅舎の憩いの場は、この近辺のお年寄り達が集う場所でもあるらしい。
    ベンチに腰掛け、世間話に花を咲かせるご老人の皆さんの楽しげな声が聞こえてくる。
    次の電車が来るまでおよそ1時間。
    電車を待ちながらこうして世間話をするのが、この町の人々の常なのだとか。

    過疎化の進む小さな町。
    町の人は全員顔見知りだそうで、今朝は物珍しさからか町の人に囲まれてちょっと大変だった。

    「一松くん、足の具合はどうだい?」
    「え、あ、僕は一松の兄で…」

    「あれま?!トメさん、一松くんが2人おるでよ?」
    「ほんとだねぇ〜いやぁ本当にそっくりだわ。」
    「アンタが一松くんが話してたお兄さんかい?」
    「兄さんが来てくれたなら一松くんも安心だねぇ〜。」

    「え、は…いや…その、」

    数人のお年寄りの皆さんに囲まれて困惑している僕を、一松は横目で面白そうに眺めていた。
    必死に笑いを堪えてたっぽいけど、心底愉快そうに「クヒヒッ」て笑ってたの聞こえてたからな。
    お前覚えてろよ。
    けどまぁ、嫌な気はしない。
    お年寄り方から聞く話の節々で、一松はこの町の人達に可愛がられているんだろうな、というのが伝わってきたから。

    「この町は年寄りばっかりでなぁ、
     若い子が少ないから年寄りはみ〜んな一松くんのこと
     孫みたいに可愛がってるんだわ。」
    「そうなんですか。」

    そんな孫のように可愛がられている一松は、いつの間にかお年寄り方に混ざって
    憩いの場のベンチに腰掛けて何故かおにぎりを食べていた。
    …何お前、実はジジババキラーだったのか?
    一松の膝の上には、どこから来たのか橙の毛色をした猫が乗っている。

    おい、お前駅員だぞ。

    というツッコみは必死に飲み込んだ。
    ほら、よく言うでしょ。
    田舎の常識は都会の非常識。
    多分、この駅ではあれはいつもの風景なのだろう。
    それに、この和やかな空気を壊してしまうのは少し気が引けた。

    数少ない電車がホームに入ってくると、お年寄り方はゾロゾロと電車へ向かっていった。
    同時に僕も改札へと向かい、切符を切る。
    (この駅には自動改札機なんてものはない。駅員が手動で切符を切るのだ。)
    そのうちの1人が「毎日ご苦労さん、これでもお食べ。」と手渡してくれたのはホカホカの肉まんだった。
    …一体どこから取り出したんだろうと思ったが、あまり考えないでおこう。

    一松は発車する列車に向かって、先ほど貰った肉まんを頬張りながら手を振って見送っている。

    「いっへはっひゃーい(いってらっしゃーい)」
    「コラ一松!口に入れたまま喋るなよ!」

    いや、口に肉まんを入れたまま喋るどうこう以前に、一応今は勤務中だ。
    呑気に肉まんを頬張りながら列車を見送る駅員など、横柄な態度にもほどがある。
    …が、ここではそれが許されてしまうのだろう。
    僕らのやり取りを見て、お年寄り方は大層楽しげに大笑いしながら電車に乗り込み、颯爽と去っていったのだった。

    はふはふと肉まんを頬張る一松にどう表現したらいいのか解らない感情がこみ上げてきたけど
    気のせいだと必死に言い聞かせた。
    可愛いなんて…思ってないよ。

    ーーー

    水曜日。

    「チョロ松兄さん、これもらった。」

    始発を見送った少し後、一松から話しかけられて振り向けば
    その手には大きくて立派なサツマイモが2本。
    町のお年寄り方の1人から貰ったらしい。
    そういえば朝食に出てくる漬け物や魚もお年寄りにもらったんだったか。
    お前ほんと可愛がられてるな。

    「もらったって…どうするんだよ、それ。」
    「え?焼いて食べよう?」
    「は?!」

    いうや否や、一松はどこからか取り出したアルミホイルでサツマイモを包み、ガスストーブの上へ乗せた。
    昨日の肉まんといい、日々こうして町の人達から色々もらっているのは、ほんの数日で何度も目にした。
    もう公私混同過ぎるだろ、とつっこむ気も起きない。
    元々配属されていた慌ただしい都市部の駅とは全く違う、ゆったりとした空気にも3日も経てば慣れてくる。

    ここは人々も、空気も、何もかもが穏やかだ。
    たった1週間なのが惜しいと思うくらいには、僕はこの雪深い田舎町での生活に馴染みつつあった。

    次の列車が来るまであと2時間。
    ガスストーブの上にはアルミホイルに包まれたサツマイモとミカン。

    …ん?ミカン?!

    「え、待って何でミカン乗ってんの?!
     てか、どっから出てきたこのミカンは?!」
    「焼きミカン…。割とイケる。
     あとミカンは八百屋のじいちゃんにもらった。」
    「ウソだろマジで?
     つーかもらい過ぎだろ!」
    「マジマジ、大マジ。」

    一松と2人、サツマイモを見守りながら憩いの場で湯呑みのお茶を啜った。
    焼きミカンは一松の言う通り、甘みが増していて割とイケた。新発見。
    今日は少し寒い。
    大きめの膝掛けに2人一緒に包まって身を寄せ合いながら
    僕も一松も降り続く雪をぼんやり見上げていた。

    北国の、過疎化が進んだ陸地の末端の末端の町。
    終電は20時30分だし、近くにスーパーもコンビニもない。
    何もない不便な町。
    けれど不思議と流れる時間は穏やかで
    こうして一松と肩を並べて過ごす時間が…陳腐な言葉だけど、かけがえのないものに思えた。
    ずっとこの時間が続いたらいいのにな、なんて思えるくらいには僕は田舎向きだったようだ。

    その後集まってきた町の人たちに「仲のえぇ兄弟だねぇ」と
    ニコニコされたのは非常に恥ずかしい限りだ。

    ホクホクに焼きあがったサツマイモは、駅舎に遊びに来た町の人たちと一緒に食べた。

    僕と一緒に食べるんじゃなかったのかよ。
    と、一瞬だけ思ったのは内緒だ。

    ーーー

    木曜日。

    その日は珍しく他の土地からの乗客が降りてきた。
    この駅を利用するのは地元の人がほとんどで、ほんの数日しかいない僕でさえ顔ぶれが大体頭に入っているくらいだ。
    その人は雪の降るこの土地でやけに薄着で、荷物は小さめのボストンバッグ一つ。
    20代前半くらいの女性客だった。
    垢抜けた、いかにも都会人です。といった装いはどう考えてもこの町にはそぐわない。
    古びた駅舎に佇むその姿がまるで下手くそな合成写真のように、やけに浮いて見えた。
    切符を切ると彼女はゆっくりと外を見渡し、そして遠慮がちに僕に尋ねた。

    「あの…涯の峠へ行きたいのですが。」
    「はてのとうげ…?えーと…すみません、僕はここに来て日が浅いもので…。
     他の駅員を呼びますね。

     ……一松!」

    憩いの場で猫を撫でていた一松に声を掛ける。
    一松は顔を上げて、僕の後ろにいる女性客を見ると
    しばらくじっと女性を眺め、そして微かに表情を曇らせた。
    猫の背を撫でる手は止めずに、一松はおずおずと口を開く。

    「え…っと…今は雪が降ってる、から…
     その軽装で涯の峠に行くのは、危険だと、思います…。」
    「…なら、行き方だけでも、教えて下さいませんか?」
    「…………。」
    「あの…駅員さん?」
    「一松?」

    「寒い、でしょう…?少し、ここで温まっていきませんか…?」
    「え?」
    「チョロ松兄さん、お茶入れてあげて。」
    「え?あ、うん。」

    言われるがまま、ガスストーブの上に乗ったヤカンを手に取り、来客用の湯呑みにお茶を入れた。
    女性は戸惑いながらも憩いの場のベンチに腰掛けたようだ。
    お茶を手渡すと、今度は一松が
    「駅長室の机にある、一番上の引き出しに地図が入ってるから取ってきて。」
    というから素直に取りに行った。

    地図を受け取った一松はそれを広げて少しの躊躇いを見せながらも、たどたどしく話し出した。

    「ここが、今いる駅。…涯の峠は、ここから歩くと1時間以上、かかります。
     峠って名前が付いてるけど…足場も悪いし…それに今は雪だし…
     しっかりとした防寒と登山の準備をして入らないと、危険です。
     それに…ここに入山するには、自治体の許可と
     ガイドを1人以上つける決まりが…。」
    「え?!そ、そんなの…聞いたことないです!」
    「えーと、じゃあ…今から、ガイドさん呼びましょうか…?」

    女性客は何故か悔しそうに唇を噛んでいる。
    そんなに涯の峠とやらに行きたかったのだろうか?
    一松がお茶と一緒にミカンを差し出したが、女性はそれを一瞥しただけだった。
    どこか空気が重苦しい上に、一松は口を噤んでしまった。

    どうしたものか、と考えあぐねていると、駅舎にやたらと明るい声が聞こえてきた。

    「はいよーガイドが来ましたよー」
    「え、トメさん?」
    「あーアンタは…チョロ松くんの方だね!」
    「あーはい、正解ですけど、え?」

    一松は町のお年寄りの代表的存在、トメさんの姿を確認すると、後は任せたと言わんばかりに憩いの場から離れてしまった。
    代わりにトメさんが女性の横に座り、何やら話始めている。

    …わけがわからない。

    駅長室に篭ってしまった一松の様子を窺いながらも、僕は駅のホームに立ち尽くす他なかった。

    女性客がトメさんとしばらく話した後、涙を流しながら再び電車に乗って
    引き返して行ったのはわかった。
    それを見送った一松が少しホッとした表情をしていたのも。
    一体どんな会話が繰り広げられていたのか、僕の知るところではないけれど。

    「一松。」
    「……何。」
    「あの女の人さ…何しにここに来たんだろうね?」
    「…さあね。」

    「ねぇ、待ってよ一松。」
    「………。」
    「本当は、何か分かってたんじゃないの…?」

    その日の夜、あの女性客に対する一松の態度が何故かどうしても気になって、
    僕は思い切って聞いてみた。
    後から調べてみたけど、涯の峠へ行くのに、自治体の許可やガイドなんて決まりは無かったのだ。
    つまり、一松はあの女性客涯の峠へ1人で向かわせないために嘘を吐いたということになる。
    …何故、そんなことを?
    素知らぬ振りをするべきだったのかもしれない。
    でも、それをしてはいけない気がした。
    一瞬だけ僕の目を見た一松の瞳が大きく揺らいだ。

    「ごめん…。」
    「一松…?」
    「聞かないで。
     …お願い、チョロ松兄さん。」
    「……。」

    それ以上一松は何も言ってくれなかった。
    そんな顔で言われては、これ以上の追及なんて、いくら遠慮の要らない弟であっても出来やしない。
    一松の絞り出すような声は今にも泣き出しそうな危うさを孕んでいて、
    布団の中で震える一松に僕はただただ寄り添うしかできなかった。

    ーーー

    金曜日。

    いつも通り除雪して、始発を見送って、憩いの場でガスストーブにあたり
    膝掛けを共有しながら湯飲みでお茶を啜る。

    このゆったりとした非日常な日常も今日と明日で終わりだ。
    そう考えると、昨日やってきた女性客によってもたらされた小さな事件で
    一松との間に僅かなしこりができてしまった事が悔やまれてならない。
    やっぱり見て見ぬ振りをするべきだった?
    いや、多分それは最悪手だ。根拠はないけど。

    帰るまでに、どうにかしたい。
    膝上の猫を撫でながら雪空を見上げる一松を見て、そう思った。
    一松の右足はもうすっかり良くなっている。
    僕は足が治るまでの手助けとしてここに来たのだから、
    完治すればこれ以上この駅にいる理由はなくなってしまうのだ。
    昨晩「聞かないで」とまるで怯えた子供のようだった一松の姿が頭から離れない。

    なあ、一松。
    お前は何を抱えているんだ?
    この穏やかな町で、一体何があったんだ?
    …何か心に傷を抱えているのなら、それを知りたいと思うし、少しでも痛みを和らげてあげたいと思う。
    けど、一松自身に拒絶されてしまってはそれも難しい。

    昨日みたいに、どうしたものかと湯呑みを片手に唸っていると、背後から突然声を掛けられた。
    思わず肩が飛び上がる。

    「あれ、そんなに驚いたかね?」
    「あ、いえ…すみません。
     少し考え事をしていたものですから…。」

    声を掛けてきたのは町のお年寄り方の1人だった。
    使い古したショッピングカートを引いているから、3つ先の駅前スーパーへ向かうのだろう。

    「昨日ここに来たっていうお嬢さんのことかい?
     無事に帰ってくれたか分からんが、引き返してくれてよかったよねぇ。」
    「え…?それってどういう…。」

    目を見開く僕を見て、お年寄りは
    「あちゃ~お兄さんの方だったか、まずったねぇ。」
    なんて、ちっとも焦った様子は見せずに僅かに微笑んだ。
    僕が「話を聞かせてほしい。」と言えば、町のお年寄りはすんなりと話してくれた。

    それから、

    お年寄りから話を聞いた僕は、お礼を述べると迷わず一松の元へと走った。


    「一松!」
    「え…どうしたのチョロ松兄さん。」
    「ごめん…昨日の女の人のことと、
     あと…2年前の話…聞いちゃって…。」
    「…!」

    一松の身体が強ばったのが分かった。
    ついさっき、町のお年寄りから聞いた話が脳裏に蘇る。

    ー 昨日この駅へ降り立って涯の峠へ向かおうとしたお嬢さんはね、自殺志願者だったんだよ。
    それに気付いた一松くんはこっそりうちらに連絡を入れてくれたんだ。
    そんで、話を聞いてやって考え直してもらってね。
    もちろん、来る人全員が引き返してくれるわけじゃぁない。
    強引に飛び出して行ってしまった人も過去にはいる。

    涯の峠はね、たまにそうやって全てを終わらせようとする人が訪れるんだ。
    その人達は、電車を降りると大体駅員さんに…一松くんに尋ねるんだよ。
    「涯の峠へはどうやって行けばいいですか」
    ってね。

    …2年前だったかねぇ。
    一松くんが涯の峠への道を聞かれたのは、その時が初めてだったんだよ。
    当時の一松くんは何も知らずに丁寧に峠までの行き方を教えてあげた。
    その人は何度も頭を下げて一松くんにお礼を行って峠へ向かったんだけど…
    その3日後に、遺体で発見されてね。
    一緒に遺書も見つかったから、自殺だって断定されたんだけど、
    一松くんは酷くショックを受けた様子だったよ。
    自殺の手助けをしてしまった、
    って自分を責めたんだろうねぇ…可哀想に。


    ………

    一松がそんな思いをしていたなんて、僕は知らなかった。
    不本意で見知らぬ誰かの自殺の手助けをしてしまい、それを責めて心に傷を負っていたなんて、知らなかった。

    「なんで…話してくれなかったんだよ…。」
    「………。」
    「一松が、そんな辛い思いしてたなんて…知らなかった…。」
    「だって…、」
    「僕の単なるエゴだけどさ、少しくらい頼ってほしかった…。」
    「チョロ松、兄さん…。」
    「なぁ、一松。僕ってそんなに頼りない兄かな?」

    「…ぼくのこと、軽蔑しない、の…?」
    「え?」

    「自殺の、手伝いしちゃったんだよ…。
     ぼくが道を教えたせいで、人が1人死んじゃったんだ。」
    「一松、」
    「ぼくのせいで…人が死んだんだよ…。」
    「一松、お前は何も悪くないよ。」

    一松は何かに怯えるように、そして同時に縋るような目で僕を見ていた。
    …ああ、ずっと独りで罪悪感に苛まれてきたんだな。
    昨日のあの女性客に対しても、何かを感じ取って、コミュ障のくせして咄嗟に引き止めたのだろう。
    再び罪を重ねないように、必死になって。

    「お前は悪くない、悪くないよ。」
    「…チョロ松兄さん、」
    「一松はいい子。
     はなまるぴっぴのいい子だから、ね?」

    寒さのせいなのか、泣いてるせいなのか、或いはその両方か
    肩を震わせる一松を、僕の体温を分け与えるようにぎゅっと抱き締めた。
    話を聞いて、昨日の出来事に合点がいった。
    僕だけ蚊帳の外なんて、酷いじゃないか。
    軽蔑なんてするわけがない。
    だからもう少し頼ってほしかった。
    隣同士だし歳も変わらないけど、僕は一松の兄なんだよ?
    …それに、
    それに、兄弟以上に一松の事は。
    …いや、これ以上はやめておこう。

    震える一松の肩は、なんだか酷く小さくか弱いものに感じた。

    ーーー

    土曜日。

    登りの最終列車を見送って、その1時間後に下りの最終列車を受け入れて
    車両の最終点検を済ませれば、もうここでの業務はほぼ終わったに等しい。
    明日の朝には始発の列車に乗って、僕は元いた職場へ戻らなければならない。

    「なんだか1週間あっという間だったなぁ。」
    「そう?…どうだった、田舎の駅での1週間は。」
    「なかなか楽しかったよ。
     このままずっとここにいたいくらいには。」
    「そう。」
    「週初めに一松が言ってた、「不便だからこそ見えるもの」もなんとなく分かった気がするし。」
    「そりゃよかった。」

    町の人達から肉まんやお芋を貰って。
    ガスストーブにあたりながら、一松と2人でお茶を飲んで。
    ちらつく雪を2人で見上げて。
    古びたワンマンの車両を見送って。
    町の人達から色んな話を聞いて。

    ここは、本当に本当にびっくりするくらいゆっくり時間が流れている。
    一松と2人で過ごす日々があまりにも穏やかだったものだから、正直帰りたくないな、なんて思ってしまった。

    「点検、終わったよ。」
    「うん、じゃあ帰ろうか。」
    「うん…あ、ねぇチョロ松兄さん。」
    「何?」
    「晩ご飯何がいい?
     今日は最後の晩餐だし、兄さんの好きなのでいいよ。」
    「ほんとに?じゃあお言葉に甘えようかなー。」
    「つっても、町のおばちゃん達がチョロ松兄さんへの餞別に、ってくれたお惣菜がたくさんあるんだけどね。」
    「え、何それそうだったの?!
     うわお礼言ってないよ教えろよ!
     なら今日はそれ食べよう!」
    「ん。でもメインで何か作るよ。」

    自販機で少しお酒を買って、そんな事を話しながら歩けばあっという間に宿舎にたどり着く。
    町の人達からもらったというお惣菜に、一松が作ってくれた肉野菜炒めを食べて、缶チューハイを開けて、
    僕らはいつもより遅い時間にようやく布団に潜り込んだ。
    こうして一松と並んで眠るのも、今日で最後だ。

    「…チョロ松兄さん。」
    「…うん?」
    「その…そっち、行ってもいい?」
    「へ?…あ、うん。いいよ。」

    くぐもった声で唐突にそんな事を言い出した一松がもぞもぞとこちらの布団に移動してきた。
    肩が触れ合って、そこからじわりと一松の体温を感じる。

    「どうしたの、一松。」
    「え…っと、」
    「うん?」
    「その…ありがと。
     …1週間、おれの手伝いしてくれて。」
    「まあ、それは…僕も結構楽しめたし。」
    「あと…おれのこと、いい子って…言ってくれて、あ、ありがと…。」
    「え…。」

    僕の肩口に顔を埋めてしまった一松の表情は見えない。

    「怖かったんだ…自殺の手助けをしたって知られたら
     みんなに軽蔑されるんじゃないか、って…。
     みんなに嫌われちゃうんじゃないかって…。」
    「一松…。」
    「ぼく、いい子なんかじゃないよ。
     あの時だって、あの人を助けたかったんじゃない…。
     自分が助かりたかっただけなんだ。
    もうあの時みたいな思いをするのが嫌で、ただ保身に走っただけで…。」
    「…それでもさ、」
    「え、」
    「結果的に、助けたことになったじゃない。」
    「でも、」
    「でもじゃない。
     一松はいい子だよ。はなまるぴっぴのいい子。
     …僕の言うこと信じられない?」
    「……その言い方は、ズルイ…。」

    ごろりと寝返りを打って一松の方を向くと、布団の中で一松を抱き締めた。
    なんだかこのまま一緒に溶け合ってしまえそうだ。
    嗚呼、やっぱり僕は一松に兄弟以上の感情を抱いているのかな。
    なんか今なら素直に認められる気がする。
    こうして腕の中に収まった一松を見下ろしてみると、こういう時は存外幼い表情をしているのが分かる。
    北国の小さな駅で穏やかな日々を過ごしながらも、人の命と向き合い葛藤してきたのであろう1つ下の弟が、途端に愛おしく感じた。
    誰にも話せず、胸の内に後悔と自責の念を抱え独りで耐えてきたのだろう。
    根幹にある真面目さ故に、悔いて悩んで人知れず涙を流してきたのかと思うと、どうにも今まで感じた事のない庇護欲がせり上がってくる。

    やっぱり、帰りたくないなぁ。

    最後の夜、僕は一松を腕の中に抱いたまま気付けば眠りに落ちていた。

    ーーー

    日曜日の朝。

    この駅とも今日でしばしの別れだ。
    今日僕は駅員の制服ではなく、私服に身を包んでいる。
    手にはスーツケース。そして町の人達からもらったお饅頭やら漬け物やらの餞別。

    午前8時ちょうど。
    始発列車が出発する時刻。

    「それじゃ、一松…元気で。」
    「うん…チョロ松兄さんもね。」
    「あ、今日は十四松が泊まる日だっけ。
     十四松にもよろしくね。」

    「うん。…チョロ松兄さん。」
    「ん?
     …………?!」

    ドアが閉まる直前、誰からも見えない死角から一松が身体を乗り出し
    僕と一松の唇が一瞬だけ重なった。
    突然のことに反応出来ず、呆然とする僕に構わず
    次の瞬間にはドアが閉まり列車は動き出す。
    一松はそんな僕に笑みを向け、普段と同じように見送った。

    「1週間ありがと。

     …いい子って言ってくれて、嬉しかった。」

    やがて一松も、駅のホームも見えなくなって
    僕は触れ合った唇を名残惜しむかのように指の腹でそっとなぞるだけで精一杯だった。




    その1ヶ月後、
    今度はホームの雪かき中に足を滑らせ、変な受身を取ったせいで左腕を骨折してしまった一松を見兼ねて
    チョロ松が再び北国の田舎駅へ行くことになり、
    更には「一松1人じゃ心配だから」とチョロ松もそのままその駅の正規担当となるのだった。

    ーーー

    陸地の最果て。
    末端の末端のとある田舎の駅。
    1年の大半を雪に覆われたその町の、木造で風情溢れるその駅に降り立つと、同じ顔をした駅員が出迎えてくれる。
    「こんな辺鄙な所によく来たね。
    寒いでしょう?少し温まって行きなよ。」
    と緑のマフラーの駅員が温かいお茶を差し出せば
    「そこ…座ったら…?」
    と橙の毛色の猫を引き連れた紫マフラーの駅員がミカンやサツマイモを手渡してくれる。
    改札横のスペースには古びたベンチと昔懐かしのガスストーブ。
    お昼頃に赴けば、ストーブにあたりながら大きめの膝掛けを共有し、仲良く並んで雪空を見上げる駅員さん達の姿が見れるのだとか…。

    fin.
    焼きナス
  • 三男と四男と猫の嫁入り #BL松 #チョロ一 #チョロ松 #一松 ##チョロ松と一松の話

    チョロ松兄さんと僕が同性という枠を、そして一卵性の兄弟という枠すらも飛び越えて
    所謂「恋人同士」という関係になったのは、少し前のことだ。
    一体どんな経緯でこんな異常とも言える関係に落ち着いたのかは、また別の機会に語るとして。
    兎も角、それ以来僕らはお付き合いを続けている。
    ただ、お付き合いと言っても別段いつもの日常に何ら変わったことはなかった。
    親にも兄弟にも未だ打ち明けられていないのだ。
    (ひょっとして兄弟は、特におそ松兄さんあたりは勘づいているかもしれないが。)
    家に誰もいない隙を見て寄り添ってみたり、少しだけ唇を重ねてみたり、
    偶に2人で出掛けて、デート気分を味わってみたり…。
    それだけだ。
    特に何が変わったわけでもない。
    もちろん、チョロ松兄さんとそれ以上の事をしたくないわけじゃない。
    でも、常識人を自称するチョロ松兄さんにとって、実の弟と恋人関係にあるなんて事実
    周囲には隠しておきたいだろうし元より末弟に負けず劣らずドライで体裁を気にする人だ。
    チョロ松兄さんは今以上の関係になる事は望んでいないのかもしれない。
    少しの寂しさはあるものの、それでも僕が望めば兄さんはちゃんと手を握り返してくれるし、
    兄さんの細長い指は僕なんかを撫でることも少しも厭わない。
    これ以上の高望みはしてはいけない。
    身の丈に合った、今の状態がきっと僕らにとって丁度いいのだろう。
    そう考えて日々を過ごしていた。

    チョロ松兄さんから「明日2人で出掛けよう」と誘われたのはその日の夕食後の事だった。
    他の兄弟の目を盗んでこっそりと伝えられた「デート」のお誘い。

    「出掛けるって…何処に?」
    「ちょっと遠出してみよう。
     行ってみたい場所があるんだ。
     明日は早起きしろよ?」
    「ん、わかった。」

    珍しい。
    今まで一緒に出掛けると言っても僕の猫の餌やりに付き合って近所の路地裏に行ったり、
    ちょっとした食事処だったり、公園だったり、その程度だったのに。
    2人で出掛けるなんて、いつ以来だろう。
    嬉しさのあまり気を抜くと頬が緩んでしまいそうになるのを必死に堪えて、
    僕はその日心を踊らせながら眠りについた。

    ーーー

    次の日、まだ夢の中を漂う兄弟を起こさないように特注サイズの布団を抜け出し、チョロ松兄さんと共に家を出た。
    今日はいつものつっかけサンダルではなくちゃんとしたスニーカーだ。
    まぁ、パーカーはいつも通りだけども。
    チョロ松兄さんだっていつもの緑色のパーカーだし、構わないだろう。

    まだ日の昇りきらない静まり返った町を歩き、電車を乗り継いでやって来たのは海だった。

    少し向こうには島と言うには小さ過ぎるくらいに小さな島がポツンと浮かんでいる。
    そして、海岸から島へと一筋の道が浮かび上がるかのように伸びていた。
    どうやら此処は地元ではそこそこ有名な場所で、干潮時にだけこうして小さな島へと続く道が現れるそうだ。

    「手を繋いで島まで渡ったカップルは幸せになれるんだって。」
    「え…。」

    チョロ松兄さんの言葉に、僕はきょとんと目を丸くする。
    普段からリアリスト寄りの思考を持つ兄さんが、わざわざこんな縁結びスポットに僕を連れてくるなんて意外だった。
    そんな僕の考えが解ったのだろう、チョロ松兄さんはフイ、と顔を逸らした。
    少しだけ頬が紅く染まっている。

    「べ…別にいいだろ。
     偶には、その…こ、恋人、らしい事してみたって…。」
    「…………。」
    「せめて何か言って一松!
     いや、別に強制じゃないから!嫌なら渡らなくていいから!」
    「え…あ、い、行く!」

    ひたすら呆然とチョロ松兄さんを見ていたら、本格的に顔を赤くした兄さんが
    「嫌なら渡らなくていい」なんて言い出したから慌てて「行く」と応えた。
    少々声が上擦ってしまったのはきっと気のせいだ。
    それに、僕の返答にチョロ松兄さんが少し安心したように笑ってくれたから、少々の失態はもうどうでもよくなった。

    どうしよう、嬉しい。

    何て言ったらいいのか分からないけど、チョロ松兄さんとこうして恋人らしい事出来るのが、とても嬉しい。

    「…じゃ、行こうか。」
    「ん。」

    平日の朝という事もあって、周りに他の人はいない。
    兄さんの手をいつもより強めに握り締めれば、同じ強さで握り返された。
    繋いだ手はいつもより熱くて、2人して変に緊張してるのが笑える。
    波間に浮かぶ道を2人でゆっくりと渡った。
    小さな島に辿り着くまで、僕もチョロ松兄さんも無言で、砂浜を歩くサクサクとした足音と波音だけが辺りに響いていた。
    干潮時だけ現れる波間の道。
    なんだかバージンロードみたいだなんて、柄にもない事を思って慌ててかぶりを振った。
    手を繋いで島まで渡ったカップルは幸せになれる。
    …僕らにとっての幸せって何だろう。
    この秘密の関係を続けていくこと?
    それとも…。

    ついつい僕の頭は余計な事を考え始めそうになったけど、
    少し先を歩いていたチョロ松兄さんが立ち止まった事で、それは叶わなかった。
    僕もチョロ松兄さんに合わせて立ち止まる。

    「渡り切っちゃったね。」
    「幸せカップル誕生?」
    「さあ、どうだろ?
     …どう思う?」
    「ヒヒッ…さあね。」

    こんな子供騙しのおまじないであっても、普通の恋人同士なら
    ここで「これで幸せだね」と笑い合い絆を深める事が出来るのだろう。
    けど、誰がどう見ても普通じゃない僕らは、更に言うと兄弟の中でもとりわけ素直になれないツートップの僕らは、
    残念ながら純粋におまじないを信じるには捻くれ過ぎていた。
    こうして恋人同士らしい事をしてみても、僕もチョロ松兄さんも未来を信じられずにいる。
    それでも傍を離れる事が出来ないし、チョロ松兄さんがいなくなったら生きていけないなんて
    割と本気で思っているのだから、僕は本当に救えない。

    「折角だから、島を一回りしてみようか。」
    「…うん。」

    繋いだ手はそのままに、また歩き出した。
    島と呼べるのかどうかも分からない程小さな島だ。
    周囲をぐるりと一周するのに、5分も掛からなかった。
    大した物もなかったし、あっという間に元いた場所に戻ってきた。

    …と、そう思ったのだけど。

    「え…潮が満ちてる。」
    「嘘だろ?有り得ないだろこんな短時間で!!」

    一周して戻ってくると、僕達が渡ってきた波間の道が海の底に沈んでいた。
    もう満潮の時間になったのか?
    いや、先程までしっかりと道があったのだ。
    仮に満潮になったのだとしても、チョロ松兄さんが突っ込んでいる通りこんな短時間で突然道がなくなるなんて有り得ない。
    呆然とする僕らに追い討ちをかけるように、陽が射しているというのに今度は雨が降り出した。
    今日の天気は全国的に晴れて傘は要らないでしょう、とテレビのお天気キャスターが言っていたはずだけど。

    「とりあえず雨を凌げる場所を探そうか。」
    「そうだね…。」

    そうは言っても5分足らずで一周出来てしまう小さな島だ。
    雨をしのげるような場所なんてあるとは思えない。
    小さな島にチョロ松兄さんと2人きり。
    まるで僕らだけ世界から切り離されたような錯覚に陥りそうになる。
    また変な思考に沈みそうになったけど、チョロ松兄さんの素っ頓狂な声に現実に引き戻された。

    「あれ?こんな所に鳥居なんてあったっけ?
     渡ってきた時には気付かなかったなぁ。」
    「え…。」
    「ねえ、ちょっと行ってみようよ、一松。」
    「え、チョロ松兄さん…本気?」
    「しばらく潮は引かないだろうし、雨も降ってるし、此処にいても仕方ないだろ?」
    「そうだけど…。」

    チョロ松兄さんの言う通り、此処にいても雨に濡れるだけだ。
    でも、
    その目の前にある鳥居、この島に渡ってきた時は無かったはずだ。
    絶対無かった。
    誓って言える、絶対無かったよこんなの。
    「気付かなかった」なんて言ってるけどチョロ松兄さんだって気付いているはず。
    …なのに、何でかな?
    チョロ松兄さんときたら少年のように目を輝かせている。
    ちょっと待って、何で今このタイミングで昔のやんちゃだった頃の顔が表に出てきちゃったの兄さん?
    それ冒険してみたくてたまらない顔だね?
    普段の兄さんなら他の誰かが行こうとするのを止める役のはずなんだけど
    今はちょっとした例外処理が発生中らしい。
    そして目を輝かせて何だかウズウズしているチョロ松兄さんの事を可愛い、なんて思ってしまった僕には
    多分拒否権なんて無いのだろう。

    「…危険だと思ったら、すぐに引き返してよ?」
    「分かってるよ。
     大丈夫、一松の事は僕が守るから。」
    「え……う、うん。」

    急にさらりと言わないでほしい。
    自覚があるのかないのか、チョロ松兄さんは偶にこういう事を言うから困る。
    そんなわけで、僕らは目の前に立つ鳥居をくぐり抜けた。

    ーーー

    鳥居を抜けた先は、石畳が続いていた。
    随分と奥まで続くそれは、明らかに小さな島では尺が足りない長さで、
    どういうワケか僕らが何処か別世界に迷い込んでしまった事は決定事項なのだろう。
    多分だけど、あの鳥居が入り口だったのではないだろうか。
    一体何処に迷い込んだのか、無事に元の世界へ戻る事は出来るのか。
    色々思ったけど、僕が真っ先に考えたのは、
    チョロ松兄さんと2人で異世界に迷い込んだのなら、ずっと帰れないままでもいいかもしれない。
    というものだった。
    だって、そうだろう。
    僕らの暮らす世界とは何処か別の世界線。
    きっと僕とチョロ松兄さんを知ってる人なんて存在しない。
    元の世界に居ても、どうせ今の関係以上の事が望めないのなら、いっその事2人きりで遠い場所へ行くのも、
    はたまた閉じ込められてやがて地獄に堕ちるのもいいかもしれない。
    このまま此処から出られなくても、チョロ松兄さんと一緒ならそれでいいかな、なんて思ってしまう。
    つまりはこれって何だろう。
    意図せずともチョロ松兄さんと駆け落ちみたいな事をしたことになるのだろうか。
    石畳を歩きながら、そんな事を考えた。
    チョロ松兄さんも黙ったままだから、僕の歪んだ思考回路もグルグルとクズな思考を続けている。

    やがて沈黙を破ったのは、チョロ松兄さんの方だった。

    「一松、何か聞こえない?」
    「…聞こえるって、何が?」
    「ほら、鈴の音とか…それに、何か近づいてくるような…。」

    言われて耳をすませると、確かに小さく鈴の音がした。
    それはどんどんこちらに近づいている。
    近づいてくるにつれて、鈴の音だけでなく雅楽のような音も聞こえてきた。
    じっと音のする方へと目を凝らしていると、やがてこちらにゆっくりと近づいてくる影が見えた。

    響き渡る雅楽の音、
    色鮮やかな紅い番傘、
    先頭を歩く白い狩衣を来た者、巫女、そして白無垢と紋付袴、
    その後ろに続く和装の行列。
    これって…

    「花嫁行列…?」

    こんな所で誰かが結婚式を挙げているのか?
    それだけでも十分な驚きだったのだが、次に僕らが気付いた事実は
    そんな事どうでもよくなるくらい衝撃だった。

    「待って…この花嫁行列、人じゃない…。」
    「え、ま、まさか…。」
    「あれ…猫?」
    「猫?!」

    行列がすぐ近くまで迫ってきた。
    二本足で悠々と歩く花嫁行列の御一行様は、見れば見る程確かに猫だった。
    茶トラにキジトラ、ブチ、ミケ…実に様々な種々の猫達が花嫁行列を彩っている。
    え、何で猫?
    猫ってこんな厳かな挙式するの?
    呆然と立ち竦む僕とチョロ松兄さんを見向きもせず、猫の花嫁行列は僕らを素通りして石畳を更に奥へと進んでいく。
    紋付袴の新郎はハチワレ猫で、白無垢の新婦は白猫だった。
    新婦の白猫が、通り過ぎさまに一瞬僕らを見て、微かに笑った気がした。

    やがて行列が通り過ぎ、その姿が見えなくなった頃、

    「はあぁぁぁ?!
     何で猫?!
     百歩譲って…、いや、一万歩くらい譲って狐なら分かるよ?分かんないけど!
     今ちょうど天気雨だし、狐の嫁入りならまだ納得出来るよワケ分かんないけども!!
     でも猫って何?!何で猫?!?」
    「さあ…?」

    我に返ったチョロ松兄さんが一気に捲し立てた。
    言いたいことは分かるけど、猫と仲が良いと自負している僕も流石にそこは分からない。
    確かに今みたいな天気雨の事を「狐の嫁入り」と言ったりするから
    狐ならまだ理解しようと思えば出来たかもしれないが
    「猫の嫁入り」は聞いたことがない。

    「あの猫達…何処に向かったんだろうね。」
    「この先に行ったみたいだし、追いかけてみる?」
    「うん。」

    もうこの際考えるのは止めよう。
    異空間だか別世界だか知らないが、猫の花嫁行列が通り過ぎたってことは此処はひょっとして猫の王国なんじゃないの?
    そしたら天国万々歳だ。
    そんな頭の悪そうな事を考えながら行列が進んで行った石畳を辿ると、
    やがて古びた社にたどり着いた。
    どうやらここで行き止まりのようだ。
    とりあえず、ようやく屋根のある所に来れたので社の軒先で雨宿りをさせてもらうことにした。
    天気雨に打たれて、僕もチョロ松兄さんもズブ濡れだったから最早雨宿りの意味は無いようにも思えたけど。
    こっそりと社の中を覗けば、中は案外広く奥に台座らしきものが見えた。

    「一松、中で少し休ませてもらおうよ。」
    「勝手に入って化け物に襲われたりしないかな。」
    「おい!怖い事言うなって!」
    「冗談だよ、行こう。」

    見たところ誰もいないし、と中へ入らせてもらった。
    社の中は存外温かい。
    水を吸って重たくなってしまったパーカーを脱ごうかどうか悩んでいると、
    不意にチョロ松兄さんが背中に体重をかけてきた。
    背中越しにチョロ松兄さんの低めの体温を感じる。

    「ごめん、一松。」
    「…何が。」
    「偶には、恋人らしい事をしてみたかった。
     本当に、ただそれだけだったんだ。」
    「うん。」
    「こんな事になるなんて思ってなかったんだけどさ…、」
    「わかってるよ。」
    「ううん、そうじゃなくて。」
    「?」
    「鳥居をくぐるのはマズイって、何となく分かってたんだ。」
    「え、」
    「でも…何処かに迷い込んだら、
     このまま一松のことを連れ去ることが出来るんじゃないかって、そう思って…。」
    「チョロ松兄さん」
    「もしかしたら、誰にも邪魔されない処へ一松を独り占めできるんじゃないかって…。」
    「………。」
    「今の状態に、不満があるわけじゃないんだ。
     皆の目を盗んでお前と寄り添ってみたり、たまに出掛けたり…。
     でも何でかな、もっと一松と色んな事したいって思うのに、
     なんか、その…ちょっと怖くて。お前に拒絶されるのが。」

    背中越しに伝えられた、チョロ松兄さんの告白。
    まさか兄さんがそんな事を考えてくれていたなんて。
    僕みたいなクズを独占しようとしてくれて、もっと色んな事したいと思ってくれていたなんて
    分かっていたけどチョロ松兄さんも大概クズだ。
    そして、それを心底喜んでいる僕は矢張り救えないクズだった。
    付き合いを始めてからも特に代わり映えのなかった日々をほんの少し憂いていたのは、
    チョロ松兄さんも同じだったのかと思うと胸の奥が疼いて擽ったくて仕方なかった。
    とりあえず、兄さんが申し訳なく思うのはお門違いだし拒絶なんて絶対しない。
    それだけでも何とか伝えたいけれど。

    「ほんとごめん、
     こんな事に巻き込んで。」
    「…別にいいよ。
     むしろ、このままチョロ松兄さんと一生2人きりっていうのも、悪くないし。
     いっその事連れ去ってくれて、全然よかったのに。」
    「一松…。」
    「それに…チョロ松兄さんのこと、
     拒絶するなんて、絶対しない、から…。」
    「………ふふ。」

    ちゃんと伝わったのだろうか。
    わからないけど、それでも珍しく素直に胸中の言葉を吐き出す事が出来た僕は、
    振り向いてチョロ松兄さんの背中を抱き締めた。
    華奢というわけではないけれど、細い身体だ。
    チョロ松兄さんから漏れた溜息のような笑い声は何だったのか。
    自嘲のような、安堵のような、そんな色を含んでいたと思う。
    このまま無理やりこちらを向かせて兄さんの唇を奪ってやろうか。

    そんな事を考えていると、社の襖が開いた。
    驚いてそちらに目を向ければ、そこにいたのは先程の猫の花嫁行列で先陣を切っていた2匹の巫女姿の猫で。

    にゃ~ぉ

    一方は大中小の3つの杯を、一方はお神酒を手に一声鳴いて僕らに近付いてきた。
    巫女姿の猫の後に、白無垢姿の白猫と紋付袴のハチワレ猫が続く。
    白猫が僕の傍に、そしてハチワレ猫がチョロ松兄さんの傍に行儀よく座ると、僕らに向かってまた巫女姿の猫が鳴いた。

    「え、え?」
    「えーと…座れってこと?」

    よく分からないが、何となく巫女姿の猫…もうメンドイから巫女猫って呼ぼう、巫女猫の意図を汲んで
    チョロ松兄さんと向かい合うようにして正座しておいた。
    奇妙な猫に囲まれて、僕とチョロ松兄さんは何故か膝を突き合わせている形だ。
    すると今度は白猫が自身にさしていた小さな簪を僕の髪に引っ掛けた。
    ハチワレ猫もチョロ松兄さんのパーカーのポケットに何故か白扇子を突っ込んでいる。

    「え…待って、何?何なの?!」
    「…???」

    チョロ松兄さんが狼狽えている。
    そして僕もあまりのわけの分からなさに硬直状態だ。
    そんな僕らはお構い無しといった様子で、今度は杯を持った巫女猫が一番小さな杯をチョロ松兄さんに押し付ける。
    頭上にクエスチョンマークを大量に浮かべながらも、雰囲気に飲まれたのかチョロ松兄さんは杯を受け取った。
    すかさずお神酒を持った巫女猫が杯にそれを注ぐ。
    小さな杯に3回、次は中くらいの杯に3回お神酒が注がれ、
    一番大きな杯がチョロ松兄さんに手渡されたところでようやく僕らはハッとなった。

    あれ…これ、もしかして「三三九度」ってヤツでは?

    流石は六つ子というべきか、僕とチョロ松兄さんがそれに気付いたのは同時だったらしい。
    僕らは一体何をやらされているのか気付いてしまった。
    向かい合って正座するチョロ松兄さんと目が合った。
    兄さんの顔は真っ赤で、でもどこかこのまま事が進むことを期待している目をしていて、
    多分、僕も全く同じ目をしているのだろう。
    大きな杯でも3回お神酒を飲み干せば、どこからともなく聞こえてきた神楽に合わせて巫女猫が舞い始めた。

    これではまるで、
    まるで、僕とチョロ松兄さんが神前式をしているみたいだ。

    その後も、榊を手渡されて玉串奉奠の真似事をさせられ
    斎主らしき猫が祝詞らしきものを読み上げて(ほとんど「にゃー」だったけど)
    猫と一緒にままごとのような挙式は滞りなく進んでいく。
    ままごとだと分かっていても、この結婚式は僕の気持ちをひどく高揚させた。
    チョロ松兄さんと兄弟である限り、決して叶うことのないものが今ここで実現している。
    たとえ真似事であっても、身に余る幸福だと、本気でそう思ったから。

    「…一松。」
    「チョロ松、兄さん…。」

    熱に浮かされたような顔で、頬を染めて瞳を微かに潤ませて僕を見るチョロ松兄さんが、あまりに優しく呼ぶものだから、
    いろんな感情が綯交ぜになって、どうにも涙が止まらなかったのは、きっと仕方の無い事だったのだ。

    ーーー

    気付けば小さな島の入口に戻って来ていた。
    目の前には朝来た海岸へ続く波間の道が浮かび上がっている。
    あんなに雨に打たれてズブ濡れだったはずなのに、服も髪もちっとも濡れてはいなくて
    一体どの位あの異質な空間にいたのか、日はどっぷりと暮れていて辺りは真っ暗だった。

    どうやってあの社を後にしたのかはよく覚えていない。
    ひょっとして僕の見た白昼夢だったんじゃないかと思える程、現実離れした出来事だったのだけど
    僕の髪には白無垢の猫が引っ掛けた小さな簪が確かに残っていて、
    チョロ松兄さんのポケットにも白扇子が残されていて、
    猫の花嫁行列を見てその後何故か僕とチョロ松兄さんが流されるまま婚姻の儀を交わしたのは現実に起こった事なのだろう。

    「…一松。」
    「うん。」
    「本当は、あの場で言えたらよかったんだけど、」
    「うん、」
    「僕ら…世間一般には到底許されないし、胸張って外を歩けない関係だけどさ。」
    「うん。」
    「でも、僕は一松の事を手放す気はないんだ。」
    「…僕も、チョロ松兄さんから離れてやる気なんて、さらさら無いよ。」
    「うん、だからさ、一松。

     あの場所で契った通り、ずっと一緒にいてね。」
    「うん。」
    「絶対逃がさないから。」
    「ん。こっちだってそのつもり。」
    「…好きだよ。」
    「うん……僕も、好きだよ。」

    世界から切り離されたような小さな島で、誓い合うように口付けを交わした。

    「…帰ろうか。」
    「…そうだね。」

    波間に浮かぶ道をまた手を繋いで渡った。
    振り向いてみても、もうそこには鳥居なんて存在していなかった。
    あれは何だったのだろう。

    「ここのジンクスも、ただの噂じゃないのかもね。」
    「え?」
    「猫の花嫁行列を見て、なんとなく思ったんだ。
     …一松と神前式をしてるって気付いた時は
     僕の邪な願望が現実になったのかと思ったけど…
     あの猫達はさ、多分だけど僕らの他にも今までああやって
     悩める恋人達を巻き込んできたんじゃないかなーって。」
    「なるほどね…。」

    関係に思い悩む恋人達を巻き込んで、ままごとの結婚式をさせる猫達、か。
    冷静に考えてみるとなかなか笑える話ではあるのだけど、
    猫達のお蔭で少しだけ僕の心も救われた気がしているのも確かで。
    猫達はああやって、小難しく考えるのが馬鹿馬鹿しくなるくらいに肩の力を抜けさせて、
    突然三三九度をさせて、そして最後には笑わせてきたのかな、なんて思うと妙に納得出来てしまった。
    「手を繋いで渡ったカップルは幸せになれる」だなんておまじないも今なら信じられる気がする。
    隣を歩く兄さんも、その表情は朝よりも幾分晴れやかで穏やかに見えた。

    すっかり暗くなった海岸沿いの道を歩き、終電間際の電車に滑り込み
    ようやく最寄りの駅まで帰ってきたのは日付が変わって数十分が過ぎた頃だった。
    駅の改札口を抜け、駅前の大通りに出たところで聞き覚えのある声が響いた。

    「あぁーーーっ!こんな所にいたぁ!!」
    「あれ、トッティ?」
    「え、何どうしたの?こんな夜遅くに。」
    「ハアァ?!
     こっちの台詞なんだけど!
     どんだけ2人のこと探したと思ってんの?!」

    「「……???」」

    駅前の大通りでバッタリ出会った末弟は何故か分からないが怒り狂っている。
    僕とチョロ松兄さんが顔を見合わせて揃って首を傾げている間に、
    トド松はスマホを素早く操作して誰かに連絡を取っている様子だった。
    とりあえず家路につきながらトド松から話を聞いてみれば、僕とチョロ松兄さんが朝から姿が見えないし
    連絡がつかないしで他の兄弟は心配して探し回っていたらしい。
    いや、成人男性だよ?1日くらい家空けてそんなに心配する?
    …と思ったら、他の兄弟達の間で僕とチョロ松兄さんが駆け落ちしたんじゃないかとか、
    もしかしたら心中したんじゃないかという疑惑が持ち上がっていたらしい。
    なんだそれ。
    いや、確かに途中駆け落ちっぽい感じにはなったけども。
    そもそも僕もチョロ松兄さんもそんな気1ミリたりとも持ち合わせていないのだから
    プリプリという効果音が付きそうな感じにあざとく憤りながら捲し立てる末弟の話に
    僕とチョロ松兄さんはキョトンと顔を見合わせるしかなかった。
    程なくしてトド松から連絡を受けたのだろう長男次男五男も駆けつけてきた。
    何を馬鹿なことを、と鼻で笑ってやろうかと思ったけど
    額に汗を滲ませて息を切らしている長兄2人と、今にも泣き出しそうな顔をしている末2人を見たら
    さすがにクズな僕でもそれは憚られた。
    僕とチョロ松兄さんが駆け落ちしたと本気で思って、
    そして必死に探してくれていただろう事が分かって、何とも言えない気持ちになる。
    割と真剣に駆け落ちまたは心中疑惑が持ち上がっていたということは、
    僕とチョロ松兄さんの関係が少なくとも兄弟には勘づかれていたという事だ。
    マジかよ、いつから気付かれていたんだろう。

    「あーーもーー何だよーーーー!!
     出掛けるなら一言くれよ!
     割とマジで探しちゃったじゃねーかぁ~!!」
    「フッ…まったくイタズラな子猫ちゃん達だぜ…。
     まぁ、何事もなくて良かった。」
    「にーさん達おかえりー!!」
    「あーあ、もぉ~!僕の労力返してよね!
     今日女の子と遊ぶ約束キャンセルしたんだから!」

    「ねぇ…本気で僕と一松が駆け落ちしたと思ったの?」
    「いや、だってさ…。」

    チョロ松兄さんの問いに珍しくおそ松兄さんが口ごもる。
    クソ松も十四松もトド松も気まずそうに視線を宙に彷徨わせていた。
    あれ…そんなにみんなに迷惑掛けてたかな。
    隣を歩くチョロ松兄さんも小首を傾げている。

    「だってさぁ…お前ら偶に2人でくっ付いてると思ったら、
     チョロ松にしろ一松にしろ、すげー思い詰めた顔してるんだもん。」
    「え…。」
    「なんとなく、お前らの関係は理解してたつもりなんだけどさ。
     何も言ってこないし、そのうち打ち明けてくれるかな~
     なんて待ってみたりしたんだけどさ
     チョロ松も一松も何も相談してくんねーし、
     そのクセ揃って眉間のシワ増やしてくし…。」
    「そうだった…?」
    「そーだよ!
     んで、思い詰めすぎて今日ついに出て行っちまったのかって思った。」
    「チョロ松も一松も、何かと考え過ぎる傾向があるからな。」
    「ちょっと焦った!!」
    「ほんと人騒がせだよね!」

    眉間に皺が寄るまで、しかも他の兄弟に心配をかける程に思い詰めていたのだろうか。
    少し申し訳なく思うと同時に、僕とチョロ松兄さんのこんな歪な関係が明らかになっても
    何一つ態度を変えない兄弟が有難かった。
    今日何度目になるのか、またチョロ松兄さんと顔を見合わせる。
    そしてチョロ松兄さんは兄弟を見渡して、

    「プッ…ふふ…あっはははは!」

    心底可笑しそうに笑い出した。
    何もかも吹っ切れたような晴れやかな笑い顔に、僕も思わず釣られて吹き出した。

    「ちょっ、そこまで笑う?!
     お兄ちゃん結構マジメに心配したのに!」
    「ご、ごめっ、ふは、ははは!」

    やたらと明るく笑い出したチョロ松兄さんに、おそ松兄さんは呆れたように笑って
    クソ松は少しホッとしたような顔をして
    十四松は兄さんに釣られて笑いだし
    トド松は「何笑ってんの?!」と文句を言いながらも肩の力は抜け切っていた。
    ふと、幸せだな、と思った。
    誰にも、血を分けた兄弟達にさえ言えずに、怯えながら息を潜めるようにして寄り添うよりも
    こうして兄弟に認めてもらって大きく深呼吸出来たこの瞬間が
    幸せだな、と感じた。
    あのおまじないは、本当に効果があるのかも…いや、猫達のお蔭?

    「まぁでも取り越し苦労でよかったわ。」
    「なんか、ごめん?」
    「…サーセンした。」
    「フッ…気にするなブラザー!」
    「黙れクソ松。」
    「何で?!」
    「どーでもいいけどさ、
     一松兄さん、クソ童貞ライジングシコ松兄さんのどこがいいわけ?
     シコ松兄さんも脱糞未遂闇ゼロノーマル猫松兄さんのどこが気に入ってるわけ?」
    「よし、そこに直れトッティ。」
    「よし、歯ぁ食いしばれトッティ。」
    「ナニナニ?やきう?!」
    「違うからね十四松兄さ…ぎゃあああ痛い痛いっ!!」

    「なあ、ところでさ、お前ら何処行ってたんだ?」

    仲良く末弟虐めに勤しみ始めた僕らに、おそ松兄さんが尋ねた。
    胸中に絡み付いていたしがらみを一つ残らず取り払い、
    何もかも吹っ切れたような実に晴れやかな表情のチョロ松兄さんから次に発せられた言葉に、
    長兄2人と末2人は目を点にし、僕は耳まで顔を赤くする羽目になった。

    おい、吹っ切れ過ぎだろ三男。
    もう普通に好き…!

    「ちょっと一松と結婚式挙げてきた。」

    Fin.

    ────────

    【後書き(読む必要ありません)】

    この度は「年中ジューンブライド企画」なる素敵な企画に参加させていただきました。
    企画物の作品を投稿するのは初めてなもので本気でgkbrしてます。
    …こ、これちゃんと企画に沿ってるかな(マジで不安)
    「三男と四男の言葉遊び」と同じ世界線をイメージしています。

    ところで、年中2人が出かけた「手を繋いで渡ったカップルは幸せになれる」という海ですが
    モデルにした場所はありますがもちろん場所もジンクスも架空のものです。
    あと、お猫様の花嫁行列とかも猫の嫁入りももちろん架空のものです。
    本当はイッチに白無垢着て欲しかったけど、チョロちゃんにも白無垢着てほしいし
    どうしようかと思った挙句お猫様に着せるという謎の結末に落ち着きました。
    あまりジューンブライドになってなくてマジでごめんなさい。
    一応、作品テーマが「結婚」「花嫁」なのでギリセーフかな、と信じては…います(小声)

    最後に、この素敵な企画を立てて下さった主催様には
    厚く御礼申し上げます。


    2016/6/3
    #BL松 #チョロ一 #チョロ松 #一松 ##チョロ松と一松の話

    チョロ松兄さんと僕が同性という枠を、そして一卵性の兄弟という枠すらも飛び越えて
    所謂「恋人同士」という関係になったのは、少し前のことだ。
    一体どんな経緯でこんな異常とも言える関係に落ち着いたのかは、また別の機会に語るとして。
    兎も角、それ以来僕らはお付き合いを続けている。
    ただ、お付き合いと言っても別段いつもの日常に何ら変わったことはなかった。
    親にも兄弟にも未だ打ち明けられていないのだ。
    (ひょっとして兄弟は、特におそ松兄さんあたりは勘づいているかもしれないが。)
    家に誰もいない隙を見て寄り添ってみたり、少しだけ唇を重ねてみたり、
    偶に2人で出掛けて、デート気分を味わってみたり…。
    それだけだ。
    特に何が変わったわけでもない。
    もちろん、チョロ松兄さんとそれ以上の事をしたくないわけじゃない。
    でも、常識人を自称するチョロ松兄さんにとって、実の弟と恋人関係にあるなんて事実
    周囲には隠しておきたいだろうし元より末弟に負けず劣らずドライで体裁を気にする人だ。
    チョロ松兄さんは今以上の関係になる事は望んでいないのかもしれない。
    少しの寂しさはあるものの、それでも僕が望めば兄さんはちゃんと手を握り返してくれるし、
    兄さんの細長い指は僕なんかを撫でることも少しも厭わない。
    これ以上の高望みはしてはいけない。
    身の丈に合った、今の状態がきっと僕らにとって丁度いいのだろう。
    そう考えて日々を過ごしていた。

    チョロ松兄さんから「明日2人で出掛けよう」と誘われたのはその日の夕食後の事だった。
    他の兄弟の目を盗んでこっそりと伝えられた「デート」のお誘い。

    「出掛けるって…何処に?」
    「ちょっと遠出してみよう。
     行ってみたい場所があるんだ。
     明日は早起きしろよ?」
    「ん、わかった。」

    珍しい。
    今まで一緒に出掛けると言っても僕の猫の餌やりに付き合って近所の路地裏に行ったり、
    ちょっとした食事処だったり、公園だったり、その程度だったのに。
    2人で出掛けるなんて、いつ以来だろう。
    嬉しさのあまり気を抜くと頬が緩んでしまいそうになるのを必死に堪えて、
    僕はその日心を踊らせながら眠りについた。

    ーーー

    次の日、まだ夢の中を漂う兄弟を起こさないように特注サイズの布団を抜け出し、チョロ松兄さんと共に家を出た。
    今日はいつものつっかけサンダルではなくちゃんとしたスニーカーだ。
    まぁ、パーカーはいつも通りだけども。
    チョロ松兄さんだっていつもの緑色のパーカーだし、構わないだろう。

    まだ日の昇りきらない静まり返った町を歩き、電車を乗り継いでやって来たのは海だった。

    少し向こうには島と言うには小さ過ぎるくらいに小さな島がポツンと浮かんでいる。
    そして、海岸から島へと一筋の道が浮かび上がるかのように伸びていた。
    どうやら此処は地元ではそこそこ有名な場所で、干潮時にだけこうして小さな島へと続く道が現れるそうだ。

    「手を繋いで島まで渡ったカップルは幸せになれるんだって。」
    「え…。」

    チョロ松兄さんの言葉に、僕はきょとんと目を丸くする。
    普段からリアリスト寄りの思考を持つ兄さんが、わざわざこんな縁結びスポットに僕を連れてくるなんて意外だった。
    そんな僕の考えが解ったのだろう、チョロ松兄さんはフイ、と顔を逸らした。
    少しだけ頬が紅く染まっている。

    「べ…別にいいだろ。
     偶には、その…こ、恋人、らしい事してみたって…。」
    「…………。」
    「せめて何か言って一松!
     いや、別に強制じゃないから!嫌なら渡らなくていいから!」
    「え…あ、い、行く!」

    ひたすら呆然とチョロ松兄さんを見ていたら、本格的に顔を赤くした兄さんが
    「嫌なら渡らなくていい」なんて言い出したから慌てて「行く」と応えた。
    少々声が上擦ってしまったのはきっと気のせいだ。
    それに、僕の返答にチョロ松兄さんが少し安心したように笑ってくれたから、少々の失態はもうどうでもよくなった。

    どうしよう、嬉しい。

    何て言ったらいいのか分からないけど、チョロ松兄さんとこうして恋人らしい事出来るのが、とても嬉しい。

    「…じゃ、行こうか。」
    「ん。」

    平日の朝という事もあって、周りに他の人はいない。
    兄さんの手をいつもより強めに握り締めれば、同じ強さで握り返された。
    繋いだ手はいつもより熱くて、2人して変に緊張してるのが笑える。
    波間に浮かぶ道を2人でゆっくりと渡った。
    小さな島に辿り着くまで、僕もチョロ松兄さんも無言で、砂浜を歩くサクサクとした足音と波音だけが辺りに響いていた。
    干潮時だけ現れる波間の道。
    なんだかバージンロードみたいだなんて、柄にもない事を思って慌ててかぶりを振った。
    手を繋いで島まで渡ったカップルは幸せになれる。
    …僕らにとっての幸せって何だろう。
    この秘密の関係を続けていくこと?
    それとも…。

    ついつい僕の頭は余計な事を考え始めそうになったけど、
    少し先を歩いていたチョロ松兄さんが立ち止まった事で、それは叶わなかった。
    僕もチョロ松兄さんに合わせて立ち止まる。

    「渡り切っちゃったね。」
    「幸せカップル誕生?」
    「さあ、どうだろ?
     …どう思う?」
    「ヒヒッ…さあね。」

    こんな子供騙しのおまじないであっても、普通の恋人同士なら
    ここで「これで幸せだね」と笑い合い絆を深める事が出来るのだろう。
    けど、誰がどう見ても普通じゃない僕らは、更に言うと兄弟の中でもとりわけ素直になれないツートップの僕らは、
    残念ながら純粋におまじないを信じるには捻くれ過ぎていた。
    こうして恋人同士らしい事をしてみても、僕もチョロ松兄さんも未来を信じられずにいる。
    それでも傍を離れる事が出来ないし、チョロ松兄さんがいなくなったら生きていけないなんて
    割と本気で思っているのだから、僕は本当に救えない。

    「折角だから、島を一回りしてみようか。」
    「…うん。」

    繋いだ手はそのままに、また歩き出した。
    島と呼べるのかどうかも分からない程小さな島だ。
    周囲をぐるりと一周するのに、5分も掛からなかった。
    大した物もなかったし、あっという間に元いた場所に戻ってきた。

    …と、そう思ったのだけど。

    「え…潮が満ちてる。」
    「嘘だろ?有り得ないだろこんな短時間で!!」

    一周して戻ってくると、僕達が渡ってきた波間の道が海の底に沈んでいた。
    もう満潮の時間になったのか?
    いや、先程までしっかりと道があったのだ。
    仮に満潮になったのだとしても、チョロ松兄さんが突っ込んでいる通りこんな短時間で突然道がなくなるなんて有り得ない。
    呆然とする僕らに追い討ちをかけるように、陽が射しているというのに今度は雨が降り出した。
    今日の天気は全国的に晴れて傘は要らないでしょう、とテレビのお天気キャスターが言っていたはずだけど。

    「とりあえず雨を凌げる場所を探そうか。」
    「そうだね…。」

    そうは言っても5分足らずで一周出来てしまう小さな島だ。
    雨をしのげるような場所なんてあるとは思えない。
    小さな島にチョロ松兄さんと2人きり。
    まるで僕らだけ世界から切り離されたような錯覚に陥りそうになる。
    また変な思考に沈みそうになったけど、チョロ松兄さんの素っ頓狂な声に現実に引き戻された。

    「あれ?こんな所に鳥居なんてあったっけ?
     渡ってきた時には気付かなかったなぁ。」
    「え…。」
    「ねえ、ちょっと行ってみようよ、一松。」
    「え、チョロ松兄さん…本気?」
    「しばらく潮は引かないだろうし、雨も降ってるし、此処にいても仕方ないだろ?」
    「そうだけど…。」

    チョロ松兄さんの言う通り、此処にいても雨に濡れるだけだ。
    でも、
    その目の前にある鳥居、この島に渡ってきた時は無かったはずだ。
    絶対無かった。
    誓って言える、絶対無かったよこんなの。
    「気付かなかった」なんて言ってるけどチョロ松兄さんだって気付いているはず。
    …なのに、何でかな?
    チョロ松兄さんときたら少年のように目を輝かせている。
    ちょっと待って、何で今このタイミングで昔のやんちゃだった頃の顔が表に出てきちゃったの兄さん?
    それ冒険してみたくてたまらない顔だね?
    普段の兄さんなら他の誰かが行こうとするのを止める役のはずなんだけど
    今はちょっとした例外処理が発生中らしい。
    そして目を輝かせて何だかウズウズしているチョロ松兄さんの事を可愛い、なんて思ってしまった僕には
    多分拒否権なんて無いのだろう。

    「…危険だと思ったら、すぐに引き返してよ?」
    「分かってるよ。
     大丈夫、一松の事は僕が守るから。」
    「え……う、うん。」

    急にさらりと言わないでほしい。
    自覚があるのかないのか、チョロ松兄さんは偶にこういう事を言うから困る。
    そんなわけで、僕らは目の前に立つ鳥居をくぐり抜けた。

    ーーー

    鳥居を抜けた先は、石畳が続いていた。
    随分と奥まで続くそれは、明らかに小さな島では尺が足りない長さで、
    どういうワケか僕らが何処か別世界に迷い込んでしまった事は決定事項なのだろう。
    多分だけど、あの鳥居が入り口だったのではないだろうか。
    一体何処に迷い込んだのか、無事に元の世界へ戻る事は出来るのか。
    色々思ったけど、僕が真っ先に考えたのは、
    チョロ松兄さんと2人で異世界に迷い込んだのなら、ずっと帰れないままでもいいかもしれない。
    というものだった。
    だって、そうだろう。
    僕らの暮らす世界とは何処か別の世界線。
    きっと僕とチョロ松兄さんを知ってる人なんて存在しない。
    元の世界に居ても、どうせ今の関係以上の事が望めないのなら、いっその事2人きりで遠い場所へ行くのも、
    はたまた閉じ込められてやがて地獄に堕ちるのもいいかもしれない。
    このまま此処から出られなくても、チョロ松兄さんと一緒ならそれでいいかな、なんて思ってしまう。
    つまりはこれって何だろう。
    意図せずともチョロ松兄さんと駆け落ちみたいな事をしたことになるのだろうか。
    石畳を歩きながら、そんな事を考えた。
    チョロ松兄さんも黙ったままだから、僕の歪んだ思考回路もグルグルとクズな思考を続けている。

    やがて沈黙を破ったのは、チョロ松兄さんの方だった。

    「一松、何か聞こえない?」
    「…聞こえるって、何が?」
    「ほら、鈴の音とか…それに、何か近づいてくるような…。」

    言われて耳をすませると、確かに小さく鈴の音がした。
    それはどんどんこちらに近づいている。
    近づいてくるにつれて、鈴の音だけでなく雅楽のような音も聞こえてきた。
    じっと音のする方へと目を凝らしていると、やがてこちらにゆっくりと近づいてくる影が見えた。

    響き渡る雅楽の音、
    色鮮やかな紅い番傘、
    先頭を歩く白い狩衣を来た者、巫女、そして白無垢と紋付袴、
    その後ろに続く和装の行列。
    これって…

    「花嫁行列…?」

    こんな所で誰かが結婚式を挙げているのか?
    それだけでも十分な驚きだったのだが、次に僕らが気付いた事実は
    そんな事どうでもよくなるくらい衝撃だった。

    「待って…この花嫁行列、人じゃない…。」
    「え、ま、まさか…。」
    「あれ…猫?」
    「猫?!」

    行列がすぐ近くまで迫ってきた。
    二本足で悠々と歩く花嫁行列の御一行様は、見れば見る程確かに猫だった。
    茶トラにキジトラ、ブチ、ミケ…実に様々な種々の猫達が花嫁行列を彩っている。
    え、何で猫?
    猫ってこんな厳かな挙式するの?
    呆然と立ち竦む僕とチョロ松兄さんを見向きもせず、猫の花嫁行列は僕らを素通りして石畳を更に奥へと進んでいく。
    紋付袴の新郎はハチワレ猫で、白無垢の新婦は白猫だった。
    新婦の白猫が、通り過ぎさまに一瞬僕らを見て、微かに笑った気がした。

    やがて行列が通り過ぎ、その姿が見えなくなった頃、

    「はあぁぁぁ?!
     何で猫?!
     百歩譲って…、いや、一万歩くらい譲って狐なら分かるよ?分かんないけど!
     今ちょうど天気雨だし、狐の嫁入りならまだ納得出来るよワケ分かんないけども!!
     でも猫って何?!何で猫?!?」
    「さあ…?」

    我に返ったチョロ松兄さんが一気に捲し立てた。
    言いたいことは分かるけど、猫と仲が良いと自負している僕も流石にそこは分からない。
    確かに今みたいな天気雨の事を「狐の嫁入り」と言ったりするから
    狐ならまだ理解しようと思えば出来たかもしれないが
    「猫の嫁入り」は聞いたことがない。

    「あの猫達…何処に向かったんだろうね。」
    「この先に行ったみたいだし、追いかけてみる?」
    「うん。」

    もうこの際考えるのは止めよう。
    異空間だか別世界だか知らないが、猫の花嫁行列が通り過ぎたってことは此処はひょっとして猫の王国なんじゃないの?
    そしたら天国万々歳だ。
    そんな頭の悪そうな事を考えながら行列が進んで行った石畳を辿ると、
    やがて古びた社にたどり着いた。
    どうやらここで行き止まりのようだ。
    とりあえず、ようやく屋根のある所に来れたので社の軒先で雨宿りをさせてもらうことにした。
    天気雨に打たれて、僕もチョロ松兄さんもズブ濡れだったから最早雨宿りの意味は無いようにも思えたけど。
    こっそりと社の中を覗けば、中は案外広く奥に台座らしきものが見えた。

    「一松、中で少し休ませてもらおうよ。」
    「勝手に入って化け物に襲われたりしないかな。」
    「おい!怖い事言うなって!」
    「冗談だよ、行こう。」

    見たところ誰もいないし、と中へ入らせてもらった。
    社の中は存外温かい。
    水を吸って重たくなってしまったパーカーを脱ごうかどうか悩んでいると、
    不意にチョロ松兄さんが背中に体重をかけてきた。
    背中越しにチョロ松兄さんの低めの体温を感じる。

    「ごめん、一松。」
    「…何が。」
    「偶には、恋人らしい事をしてみたかった。
     本当に、ただそれだけだったんだ。」
    「うん。」
    「こんな事になるなんて思ってなかったんだけどさ…、」
    「わかってるよ。」
    「ううん、そうじゃなくて。」
    「?」
    「鳥居をくぐるのはマズイって、何となく分かってたんだ。」
    「え、」
    「でも…何処かに迷い込んだら、
     このまま一松のことを連れ去ることが出来るんじゃないかって、そう思って…。」
    「チョロ松兄さん」
    「もしかしたら、誰にも邪魔されない処へ一松を独り占めできるんじゃないかって…。」
    「………。」
    「今の状態に、不満があるわけじゃないんだ。
     皆の目を盗んでお前と寄り添ってみたり、たまに出掛けたり…。
     でも何でかな、もっと一松と色んな事したいって思うのに、
     なんか、その…ちょっと怖くて。お前に拒絶されるのが。」

    背中越しに伝えられた、チョロ松兄さんの告白。
    まさか兄さんがそんな事を考えてくれていたなんて。
    僕みたいなクズを独占しようとしてくれて、もっと色んな事したいと思ってくれていたなんて
    分かっていたけどチョロ松兄さんも大概クズだ。
    そして、それを心底喜んでいる僕は矢張り救えないクズだった。
    付き合いを始めてからも特に代わり映えのなかった日々をほんの少し憂いていたのは、
    チョロ松兄さんも同じだったのかと思うと胸の奥が疼いて擽ったくて仕方なかった。
    とりあえず、兄さんが申し訳なく思うのはお門違いだし拒絶なんて絶対しない。
    それだけでも何とか伝えたいけれど。

    「ほんとごめん、
     こんな事に巻き込んで。」
    「…別にいいよ。
     むしろ、このままチョロ松兄さんと一生2人きりっていうのも、悪くないし。
     いっその事連れ去ってくれて、全然よかったのに。」
    「一松…。」
    「それに…チョロ松兄さんのこと、
     拒絶するなんて、絶対しない、から…。」
    「………ふふ。」

    ちゃんと伝わったのだろうか。
    わからないけど、それでも珍しく素直に胸中の言葉を吐き出す事が出来た僕は、
    振り向いてチョロ松兄さんの背中を抱き締めた。
    華奢というわけではないけれど、細い身体だ。
    チョロ松兄さんから漏れた溜息のような笑い声は何だったのか。
    自嘲のような、安堵のような、そんな色を含んでいたと思う。
    このまま無理やりこちらを向かせて兄さんの唇を奪ってやろうか。

    そんな事を考えていると、社の襖が開いた。
    驚いてそちらに目を向ければ、そこにいたのは先程の猫の花嫁行列で先陣を切っていた2匹の巫女姿の猫で。

    にゃ~ぉ

    一方は大中小の3つの杯を、一方はお神酒を手に一声鳴いて僕らに近付いてきた。
    巫女姿の猫の後に、白無垢姿の白猫と紋付袴のハチワレ猫が続く。
    白猫が僕の傍に、そしてハチワレ猫がチョロ松兄さんの傍に行儀よく座ると、僕らに向かってまた巫女姿の猫が鳴いた。

    「え、え?」
    「えーと…座れってこと?」

    よく分からないが、何となく巫女姿の猫…もうメンドイから巫女猫って呼ぼう、巫女猫の意図を汲んで
    チョロ松兄さんと向かい合うようにして正座しておいた。
    奇妙な猫に囲まれて、僕とチョロ松兄さんは何故か膝を突き合わせている形だ。
    すると今度は白猫が自身にさしていた小さな簪を僕の髪に引っ掛けた。
    ハチワレ猫もチョロ松兄さんのパーカーのポケットに何故か白扇子を突っ込んでいる。

    「え…待って、何?何なの?!」
    「…???」

    チョロ松兄さんが狼狽えている。
    そして僕もあまりのわけの分からなさに硬直状態だ。
    そんな僕らはお構い無しといった様子で、今度は杯を持った巫女猫が一番小さな杯をチョロ松兄さんに押し付ける。
    頭上にクエスチョンマークを大量に浮かべながらも、雰囲気に飲まれたのかチョロ松兄さんは杯を受け取った。
    すかさずお神酒を持った巫女猫が杯にそれを注ぐ。
    小さな杯に3回、次は中くらいの杯に3回お神酒が注がれ、
    一番大きな杯がチョロ松兄さんに手渡されたところでようやく僕らはハッとなった。

    あれ…これ、もしかして「三三九度」ってヤツでは?

    流石は六つ子というべきか、僕とチョロ松兄さんがそれに気付いたのは同時だったらしい。
    僕らは一体何をやらされているのか気付いてしまった。
    向かい合って正座するチョロ松兄さんと目が合った。
    兄さんの顔は真っ赤で、でもどこかこのまま事が進むことを期待している目をしていて、
    多分、僕も全く同じ目をしているのだろう。
    大きな杯でも3回お神酒を飲み干せば、どこからともなく聞こえてきた神楽に合わせて巫女猫が舞い始めた。

    これではまるで、
    まるで、僕とチョロ松兄さんが神前式をしているみたいだ。

    その後も、榊を手渡されて玉串奉奠の真似事をさせられ
    斎主らしき猫が祝詞らしきものを読み上げて(ほとんど「にゃー」だったけど)
    猫と一緒にままごとのような挙式は滞りなく進んでいく。
    ままごとだと分かっていても、この結婚式は僕の気持ちをひどく高揚させた。
    チョロ松兄さんと兄弟である限り、決して叶うことのないものが今ここで実現している。
    たとえ真似事であっても、身に余る幸福だと、本気でそう思ったから。

    「…一松。」
    「チョロ松、兄さん…。」

    熱に浮かされたような顔で、頬を染めて瞳を微かに潤ませて僕を見るチョロ松兄さんが、あまりに優しく呼ぶものだから、
    いろんな感情が綯交ぜになって、どうにも涙が止まらなかったのは、きっと仕方の無い事だったのだ。

    ーーー

    気付けば小さな島の入口に戻って来ていた。
    目の前には朝来た海岸へ続く波間の道が浮かび上がっている。
    あんなに雨に打たれてズブ濡れだったはずなのに、服も髪もちっとも濡れてはいなくて
    一体どの位あの異質な空間にいたのか、日はどっぷりと暮れていて辺りは真っ暗だった。

    どうやってあの社を後にしたのかはよく覚えていない。
    ひょっとして僕の見た白昼夢だったんじゃないかと思える程、現実離れした出来事だったのだけど
    僕の髪には白無垢の猫が引っ掛けた小さな簪が確かに残っていて、
    チョロ松兄さんのポケットにも白扇子が残されていて、
    猫の花嫁行列を見てその後何故か僕とチョロ松兄さんが流されるまま婚姻の儀を交わしたのは現実に起こった事なのだろう。

    「…一松。」
    「うん。」
    「本当は、あの場で言えたらよかったんだけど、」
    「うん、」
    「僕ら…世間一般には到底許されないし、胸張って外を歩けない関係だけどさ。」
    「うん。」
    「でも、僕は一松の事を手放す気はないんだ。」
    「…僕も、チョロ松兄さんから離れてやる気なんて、さらさら無いよ。」
    「うん、だからさ、一松。

     あの場所で契った通り、ずっと一緒にいてね。」
    「うん。」
    「絶対逃がさないから。」
    「ん。こっちだってそのつもり。」
    「…好きだよ。」
    「うん……僕も、好きだよ。」

    世界から切り離されたような小さな島で、誓い合うように口付けを交わした。

    「…帰ろうか。」
    「…そうだね。」

    波間に浮かぶ道をまた手を繋いで渡った。
    振り向いてみても、もうそこには鳥居なんて存在していなかった。
    あれは何だったのだろう。

    「ここのジンクスも、ただの噂じゃないのかもね。」
    「え?」
    「猫の花嫁行列を見て、なんとなく思ったんだ。
     …一松と神前式をしてるって気付いた時は
     僕の邪な願望が現実になったのかと思ったけど…
     あの猫達はさ、多分だけど僕らの他にも今までああやって
     悩める恋人達を巻き込んできたんじゃないかなーって。」
    「なるほどね…。」

    関係に思い悩む恋人達を巻き込んで、ままごとの結婚式をさせる猫達、か。
    冷静に考えてみるとなかなか笑える話ではあるのだけど、
    猫達のお蔭で少しだけ僕の心も救われた気がしているのも確かで。
    猫達はああやって、小難しく考えるのが馬鹿馬鹿しくなるくらいに肩の力を抜けさせて、
    突然三三九度をさせて、そして最後には笑わせてきたのかな、なんて思うと妙に納得出来てしまった。
    「手を繋いで渡ったカップルは幸せになれる」だなんておまじないも今なら信じられる気がする。
    隣を歩く兄さんも、その表情は朝よりも幾分晴れやかで穏やかに見えた。

    すっかり暗くなった海岸沿いの道を歩き、終電間際の電車に滑り込み
    ようやく最寄りの駅まで帰ってきたのは日付が変わって数十分が過ぎた頃だった。
    駅の改札口を抜け、駅前の大通りに出たところで聞き覚えのある声が響いた。

    「あぁーーーっ!こんな所にいたぁ!!」
    「あれ、トッティ?」
    「え、何どうしたの?こんな夜遅くに。」
    「ハアァ?!
     こっちの台詞なんだけど!
     どんだけ2人のこと探したと思ってんの?!」

    「「……???」」

    駅前の大通りでバッタリ出会った末弟は何故か分からないが怒り狂っている。
    僕とチョロ松兄さんが顔を見合わせて揃って首を傾げている間に、
    トド松はスマホを素早く操作して誰かに連絡を取っている様子だった。
    とりあえず家路につきながらトド松から話を聞いてみれば、僕とチョロ松兄さんが朝から姿が見えないし
    連絡がつかないしで他の兄弟は心配して探し回っていたらしい。
    いや、成人男性だよ?1日くらい家空けてそんなに心配する?
    …と思ったら、他の兄弟達の間で僕とチョロ松兄さんが駆け落ちしたんじゃないかとか、
    もしかしたら心中したんじゃないかという疑惑が持ち上がっていたらしい。
    なんだそれ。
    いや、確かに途中駆け落ちっぽい感じにはなったけども。
    そもそも僕もチョロ松兄さんもそんな気1ミリたりとも持ち合わせていないのだから
    プリプリという効果音が付きそうな感じにあざとく憤りながら捲し立てる末弟の話に
    僕とチョロ松兄さんはキョトンと顔を見合わせるしかなかった。
    程なくしてトド松から連絡を受けたのだろう長男次男五男も駆けつけてきた。
    何を馬鹿なことを、と鼻で笑ってやろうかと思ったけど
    額に汗を滲ませて息を切らしている長兄2人と、今にも泣き出しそうな顔をしている末2人を見たら
    さすがにクズな僕でもそれは憚られた。
    僕とチョロ松兄さんが駆け落ちしたと本気で思って、
    そして必死に探してくれていただろう事が分かって、何とも言えない気持ちになる。
    割と真剣に駆け落ちまたは心中疑惑が持ち上がっていたということは、
    僕とチョロ松兄さんの関係が少なくとも兄弟には勘づかれていたという事だ。
    マジかよ、いつから気付かれていたんだろう。

    「あーーもーー何だよーーーー!!
     出掛けるなら一言くれよ!
     割とマジで探しちゃったじゃねーかぁ~!!」
    「フッ…まったくイタズラな子猫ちゃん達だぜ…。
     まぁ、何事もなくて良かった。」
    「にーさん達おかえりー!!」
    「あーあ、もぉ~!僕の労力返してよね!
     今日女の子と遊ぶ約束キャンセルしたんだから!」

    「ねぇ…本気で僕と一松が駆け落ちしたと思ったの?」
    「いや、だってさ…。」

    チョロ松兄さんの問いに珍しくおそ松兄さんが口ごもる。
    クソ松も十四松もトド松も気まずそうに視線を宙に彷徨わせていた。
    あれ…そんなにみんなに迷惑掛けてたかな。
    隣を歩くチョロ松兄さんも小首を傾げている。

    「だってさぁ…お前ら偶に2人でくっ付いてると思ったら、
     チョロ松にしろ一松にしろ、すげー思い詰めた顔してるんだもん。」
    「え…。」
    「なんとなく、お前らの関係は理解してたつもりなんだけどさ。
     何も言ってこないし、そのうち打ち明けてくれるかな~
     なんて待ってみたりしたんだけどさ
     チョロ松も一松も何も相談してくんねーし、
     そのクセ揃って眉間のシワ増やしてくし…。」
    「そうだった…?」
    「そーだよ!
     んで、思い詰めすぎて今日ついに出て行っちまったのかって思った。」
    「チョロ松も一松も、何かと考え過ぎる傾向があるからな。」
    「ちょっと焦った!!」
    「ほんと人騒がせだよね!」

    眉間に皺が寄るまで、しかも他の兄弟に心配をかける程に思い詰めていたのだろうか。
    少し申し訳なく思うと同時に、僕とチョロ松兄さんのこんな歪な関係が明らかになっても
    何一つ態度を変えない兄弟が有難かった。
    今日何度目になるのか、またチョロ松兄さんと顔を見合わせる。
    そしてチョロ松兄さんは兄弟を見渡して、

    「プッ…ふふ…あっはははは!」

    心底可笑しそうに笑い出した。
    何もかも吹っ切れたような晴れやかな笑い顔に、僕も思わず釣られて吹き出した。

    「ちょっ、そこまで笑う?!
     お兄ちゃん結構マジメに心配したのに!」
    「ご、ごめっ、ふは、ははは!」

    やたらと明るく笑い出したチョロ松兄さんに、おそ松兄さんは呆れたように笑って
    クソ松は少しホッとしたような顔をして
    十四松は兄さんに釣られて笑いだし
    トド松は「何笑ってんの?!」と文句を言いながらも肩の力は抜け切っていた。
    ふと、幸せだな、と思った。
    誰にも、血を分けた兄弟達にさえ言えずに、怯えながら息を潜めるようにして寄り添うよりも
    こうして兄弟に認めてもらって大きく深呼吸出来たこの瞬間が
    幸せだな、と感じた。
    あのおまじないは、本当に効果があるのかも…いや、猫達のお蔭?

    「まぁでも取り越し苦労でよかったわ。」
    「なんか、ごめん?」
    「…サーセンした。」
    「フッ…気にするなブラザー!」
    「黙れクソ松。」
    「何で?!」
    「どーでもいいけどさ、
     一松兄さん、クソ童貞ライジングシコ松兄さんのどこがいいわけ?
     シコ松兄さんも脱糞未遂闇ゼロノーマル猫松兄さんのどこが気に入ってるわけ?」
    「よし、そこに直れトッティ。」
    「よし、歯ぁ食いしばれトッティ。」
    「ナニナニ?やきう?!」
    「違うからね十四松兄さ…ぎゃあああ痛い痛いっ!!」

    「なあ、ところでさ、お前ら何処行ってたんだ?」

    仲良く末弟虐めに勤しみ始めた僕らに、おそ松兄さんが尋ねた。
    胸中に絡み付いていたしがらみを一つ残らず取り払い、
    何もかも吹っ切れたような実に晴れやかな表情のチョロ松兄さんから次に発せられた言葉に、
    長兄2人と末2人は目を点にし、僕は耳まで顔を赤くする羽目になった。

    おい、吹っ切れ過ぎだろ三男。
    もう普通に好き…!

    「ちょっと一松と結婚式挙げてきた。」

    Fin.

    ────────

    【後書き(読む必要ありません)】

    この度は「年中ジューンブライド企画」なる素敵な企画に参加させていただきました。
    企画物の作品を投稿するのは初めてなもので本気でgkbrしてます。
    …こ、これちゃんと企画に沿ってるかな(マジで不安)
    「三男と四男の言葉遊び」と同じ世界線をイメージしています。

    ところで、年中2人が出かけた「手を繋いで渡ったカップルは幸せになれる」という海ですが
    モデルにした場所はありますがもちろん場所もジンクスも架空のものです。
    あと、お猫様の花嫁行列とかも猫の嫁入りももちろん架空のものです。
    本当はイッチに白無垢着て欲しかったけど、チョロちゃんにも白無垢着てほしいし
    どうしようかと思った挙句お猫様に着せるという謎の結末に落ち着きました。
    あまりジューンブライドになってなくてマジでごめんなさい。
    一応、作品テーマが「結婚」「花嫁」なのでギリセーフかな、と信じては…います(小声)

    最後に、この素敵な企画を立てて下さった主催様には
    厚く御礼申し上げます。


    2016/6/3
    焼きナス
  • 三男と四男がLINEしてる #おそ松さん #年中松 #チョロ松 #一松 ##チョロ松と一松の話

    ご注意
    ・年中松のLINE風味
    ・年中松がgdgd駄弁ってるだけ
    ・wとか大量発生してる
    ・ちょっと下品な部分も有
    ・LINEアカウント乗っ取りネタ
    ・次男がかわいそう
    ・キャラ崩壊

    なんでも許せる方はどうぞ読んでやってください。





    一松:チョロ松兄さん

    一松:ちょっと聞いて

    チョロ松:何?

    一松:クソ松のLINEアカウントが乗っ取られたっぽいんだけどwwwww

    チョロ松:は?!!

    チョロ松:何それマジで?

    一松:現在同時進行でハッカーさんと会話中なうwww

    一松:【スクリーンショット】
    ーーーーーーーーーーーーーー
    カラ松:何してますか?忙しいですか?手伝ってもらってもいいですか?

    一松:は?

    カラ松:近くのコンビニエンスストアでweb moneyのプリペイドカード買うのを手伝ってもらえますか?

    一松:いや、何?

    カラ松:よろしければ、すぐ買っていただきたいです。

    一松:だからなんなの

    カラ松:10000点のカードを10枚買っていただきたいです。
    ーーーーーーーーーーーーーー

    一松:ちなみにクソ松は居間で鏡見てて携帯いっこも触ってない

    チョロ松:ファーーーーwwwww

    チョロ松:完全に詐欺じゃねーかwwwwwなに乗っ取られてんだよwwwwバカかよあいつwwwwパスワードちゃんと設定しとけよwww

    一松:バカでしょw

    チョロ松:知ってたw

    チョロ松:てか、カラ松のアカウント乗っ取るとか、ハッカー乙としか言いようがないwwww

    チョロ松:そんなお願い聞いてくれる人が友だち登録されてるワケがないwwww

    一松:それなwww

    一松:ねえどうしようwwこれどうしようwwwww

    チョロ松:どうしようって、スルーしろよw

    一松:いや、なんかしつこいんだよ

    一松:それにほら、一応兄弟のアカウント乗っ取ったわけですし?俺のこと騙そうとしてるわけですし?

    一松:ちょっとお仕置きが必要かなって

    チョロ松:>お仕置き<

    一松:徹底的に応戦する構え

    チョロ松:お前さては暇なだけだろ

    一松:まあぶっちゃけそうなんだけど

    チョロ松:そうなのかよ

    一松:いやでもね?ほんとハッカーさん頑張っててさ…クソ松よりうぜぇ

    チョロ松:ちょwwwww

    一松:ってことで適当にあしらいたいんだけど、どうせなら精神的ダメージ与えられないかなって

    チョロ松:おまwwちなみに今ハッカーとはどうなってんの?

    一松:【スクリーンショット】
    ーーーーーーーーーーーーーー
    カラ松:近くにコンビニがありますか?

    カラ松:コンビニでプリペイドカード買ってください

    カラ松:コンビニが近くにありますか

    カラ松:コンビニで買えます

    一松:ちょっと待って

    カラ松:コンビニで買ってください
    ーーーーーーーーーーーーーー

    一松:必死過ぎwwコンビニへの異常な執着なんなの?

    チョロ松:これはひどいwwwwコンビニwww

    チョロ松:買ってくる振りだけしてあげたらちょっとは大人しくなるんじゃないの

    一松:そうする

    一松:ちょっと待ってて

    チョロ松:了解www

    チョロ松:僕のとこにもなりすましカラ松から何か来ないかなwww

    チョロ松:あ、一応後でパスワードもう少し複雑なのに設定し直そう…

    一松:ただいまー

    チョロ松:おかえりー

    一松:カラ松(偽)は本物以上に日本語が通じない模様

    一松:俺とのやりとり終わったらそっち行くかもよ

    一松:【スクリーンショット】
    ーーーーーーーーーーーーーー
    一松:今から買ってくるから

    カラ松:お願いします

    一松:ちなみにどこのコンビニがいいの?○ーソン?ファ○マ?セ○ンイレブン?あとは…サン○スとか?

    一松:あ、でも全部近くにはないね

    カラ松:どこでもいいです

    カラ松:早く

    一松:ちゃんと指定してよ

    一松:プリペイドカードとか買ったことないから分からないんだけど

    一松:どのコンビニ?指定しろ

    カラ松:10000点を10枚

    一松:指定しろって

    カラ松:早くしてください
    ーーーーーーーーーーーーーー

    一松:クソ松との会話の方がまだマシだわwwww

    チョロ松:これさぁ、多分だけど日本語圏じゃない人だろ

    一松:あーやっぱりそう思う?そんな気がしてた

    一松:まだ通知くるwwwしつけぇな構ってちゃんかよwwwうちの長男かよwwww

    チョロ松:おまwwwwやめろよ想像したじゃねーかwwwww

    チョロ松:クズ長男がアカウント乗っ取ってなりすましからの詐欺を働いて最終逮捕されてワイドショーを賑わすところまで想像した

    一松:想像力豊か過ぎwwwwしかも逮捕されてんのかよwwww

    チョロ松:さらばクズ長男wwww

    一松:おそ松兄さんカワイソスwwwあ、画像送れだって

    一松:【スクリーンショット】
    ーーーーーーーーーーーーーー
    一松:コンビニ着いた

    カラ松:はい

    一松:今10枚は買えそうにないから、とりあえず3枚でいい?

    カラ松:それでいいです

    一松:買ってきた

    一松:で、どうするの

    カラ松:写真とって画像を載せてください

    一松:わかったちょっと待って
    ーーーーーーーーーーーーーー

    一松:もちろん買ってないしコンビニすら行ってないけどな

    チョロ松:僕がクズ長男逮捕の想像してる間に進展してる

    一松:まだそれ引っ張るのww

    チョロ松:てか、偽物って分かってるのに名前がカラ松なせいで草不可避

    一松:それな

    一松:本物はまだ鏡を見てる

    チョロ松:いい加減気づけよあいつw

    一松:まあでも、これで準備は整った

    チョロ松:お、おいまさか…

    一松:今からハッカーを誘惑してくる

    チョロ松:>誘惑<

    一松:フヒヒww行ってくるwww

    チョロ松:行ってらーw





    一松:【スクリーンショット】
    ーーーーーーーーーーーーーー
    一松:画像あげてほしい?

    カラ松:あげてください

    一松:だったらおねだりしてみろよ

    カラ松:写真

    一松:だーかーら、写真くださいって可愛らしくおねだりしたらあげてやるって

    一松:やらないなら載せねーぞ

    カラ松:え

    カラ松:写真あげてください
    ーーーーーーーーーーーーーー

    一松:【スクリーンショット】
    ーーーーーーーーーーーーーー
    一松:ざけんなもっとちゃんとお願いしろよ

    カラ松:どうやってですか

    一松:お願いします写真ください一松様って

    カラ松:お願いします写真ください一松様

    一松:誠意が感じられない。やり直し

    カラ松:お願いします僕に写真ください一松様!

    一松:ん〜?聞こえないな〜??

    カラ松:お願いします!僕に写真ください!一松様!!
    ーーーーーーーーーーーーーー

    一松:【スクリーンショット】
    ーーーーーーーーーーーーーー
    一松:へぇ〜そんなに欲しいんだ

    カラ松:欲しい

    一松:ああ?何偉そうな口聞いてやがる

    カラ松:欲しいです

    一松:この卑しい汚豚が!!

    カラ松:写真まだ

    一松:豚が勝手に発言してんじゃねぇ

    カラ松:ごめんなさい
    ーーーーーーーーーーーーーー

    一松:【スクリーンショット】
    ーーーーーーーーーーーーーー
    一松:写真恵んで欲しいんだろ?

    カラ松:この卑しい汚豚にお恵みください一松様!

    一松:よし、褒美だ受け取れ

    一松:【近所の可愛らしい子猫の写真】

    一松:【猫カフェの看板猫がくつろいでる写真】

    一松:感謝しろよ
    ーーーーーーーーーーーーーー

    一松:【スクリーンショット】
    ーーーーーーーーーーーーーー
    カラ松:カードの写真は

    一松:あ?

    カラ松:カードの写真ください

    一松:なにその口の聞き方

    カラ松:カードの写真をお恵みください一松様!

    一松:ほらよ

    一松:【なんだかとてもいかがわしいナニカの写真】
    ーーーーーーーーーーーーーー

    一松:【スクリーンショット】
    ーーーーーーーーーーーーーー
    一松:【明らかに発禁モノなナニカの写真】

    一松:【♂同士がナニやってるっぽいいかがわしい写真】

    …以下、アレな写真が続く




    一松:ほーら、まだ足りないのかな〜?

    カラ松:カードの…

    カラ松:もういいですごめんなさい許してください
    ーーーーーーーーーーーーーー

    一松:【スクリーンショット】
    ーーーーーーーーーーーーーー
    一松:これが欲しかったんでしょ?

    カラ松:ちがう

    一松:あ?

    カラ松:ごめんなさい

    カラ松:もういいです

    一松:遠慮するなよほらまだあるから

    一松:【なんかもう色々エグい写真】

    カラ松:ごめんなさい

    一松:【なんかもう色々ヤバい写真】

    ー カラ松 が退出しました ー
    ーーーーーーーーーーーーーー

    一松:撃退成功

    チョロ松:なwwにwwwwやってwwwwんwwwだwwwwww

    チョロ松:ファーーーーwwwwwwwwwww

    一松:突然の大草原ww

    チョロ松:いやお前、これ誘惑じゃねーよ調教だよw

    チョロ松:調教っていうか女王様プレイじゃねーかwwwいつかの一松様ご降臨じゃねーかwwwwww

    チョロ松:カラ松(偽)は何乗っかってんだよアホだろwwww

    一松:チョロ松兄さん笑い過ぎw

    チョロ松:ところでアレな写真どうしたの

    一松:ネットで適当に拾ってきた

    一松:猫は自分で撮ったやつだけど

    チョロ松:それにしてもハッカー相手に女王様プレイとかww

    チョロ松:あーやべー笑ったw腹痛いwww

    チョロ松:ハッカー哀れw

    一松:あんだけしつこかったクセして意外と耐性がなかった

    チョロ松:延々とあんな画像見せられたらそうなるわ!

    一松:とりあえず、スクショを六つ子のグループに投下してアカウント乗っ取られ報告をしておこうと思う

    一松:枚数多いからノートでも作ろうかな

    チョロ松:おまwww

    チョロ松:まぁ、乗っ取られてることは教えてあげた方がいいね

    チョロ松:て、あれ?

    一松:ん?

    チョロ松:ねえ、今カラ松何してる?

    一松:クソ松?居眠りしてるけど

    チョロ松:

    一松:え、まさか

    チョロ松:カラ松(偽)がwwwこっちにwwwきたんだけどwwwww

    一松:ちょwwwww


    お粗末!
    続きません!!
    #おそ松さん #年中松 #チョロ松 #一松 ##チョロ松と一松の話

    ご注意
    ・年中松のLINE風味
    ・年中松がgdgd駄弁ってるだけ
    ・wとか大量発生してる
    ・ちょっと下品な部分も有
    ・LINEアカウント乗っ取りネタ
    ・次男がかわいそう
    ・キャラ崩壊

    なんでも許せる方はどうぞ読んでやってください。





    一松:チョロ松兄さん

    一松:ちょっと聞いて

    チョロ松:何?

    一松:クソ松のLINEアカウントが乗っ取られたっぽいんだけどwwwww

    チョロ松:は?!!

    チョロ松:何それマジで?

    一松:現在同時進行でハッカーさんと会話中なうwww

    一松:【スクリーンショット】
    ーーーーーーーーーーーーーー
    カラ松:何してますか?忙しいですか?手伝ってもらってもいいですか?

    一松:は?

    カラ松:近くのコンビニエンスストアでweb moneyのプリペイドカード買うのを手伝ってもらえますか?

    一松:いや、何?

    カラ松:よろしければ、すぐ買っていただきたいです。

    一松:だからなんなの

    カラ松:10000点のカードを10枚買っていただきたいです。
    ーーーーーーーーーーーーーー

    一松:ちなみにクソ松は居間で鏡見てて携帯いっこも触ってない

    チョロ松:ファーーーーwwwww

    チョロ松:完全に詐欺じゃねーかwwwwwなに乗っ取られてんだよwwwwバカかよあいつwwwwパスワードちゃんと設定しとけよwww

    一松:バカでしょw

    チョロ松:知ってたw

    チョロ松:てか、カラ松のアカウント乗っ取るとか、ハッカー乙としか言いようがないwwww

    チョロ松:そんなお願い聞いてくれる人が友だち登録されてるワケがないwwww

    一松:それなwww

    一松:ねえどうしようwwこれどうしようwwwww

    チョロ松:どうしようって、スルーしろよw

    一松:いや、なんかしつこいんだよ

    一松:それにほら、一応兄弟のアカウント乗っ取ったわけですし?俺のこと騙そうとしてるわけですし?

    一松:ちょっとお仕置きが必要かなって

    チョロ松:>お仕置き<

    一松:徹底的に応戦する構え

    チョロ松:お前さては暇なだけだろ

    一松:まあぶっちゃけそうなんだけど

    チョロ松:そうなのかよ

    一松:いやでもね?ほんとハッカーさん頑張っててさ…クソ松よりうぜぇ

    チョロ松:ちょwwwww

    一松:ってことで適当にあしらいたいんだけど、どうせなら精神的ダメージ与えられないかなって

    チョロ松:おまwwちなみに今ハッカーとはどうなってんの?

    一松:【スクリーンショット】
    ーーーーーーーーーーーーーー
    カラ松:近くにコンビニがありますか?

    カラ松:コンビニでプリペイドカード買ってください

    カラ松:コンビニが近くにありますか

    カラ松:コンビニで買えます

    一松:ちょっと待って

    カラ松:コンビニで買ってください
    ーーーーーーーーーーーーーー

    一松:必死過ぎwwコンビニへの異常な執着なんなの?

    チョロ松:これはひどいwwwwコンビニwww

    チョロ松:買ってくる振りだけしてあげたらちょっとは大人しくなるんじゃないの

    一松:そうする

    一松:ちょっと待ってて

    チョロ松:了解www

    チョロ松:僕のとこにもなりすましカラ松から何か来ないかなwww

    チョロ松:あ、一応後でパスワードもう少し複雑なのに設定し直そう…

    一松:ただいまー

    チョロ松:おかえりー

    一松:カラ松(偽)は本物以上に日本語が通じない模様

    一松:俺とのやりとり終わったらそっち行くかもよ

    一松:【スクリーンショット】
    ーーーーーーーーーーーーーー
    一松:今から買ってくるから

    カラ松:お願いします

    一松:ちなみにどこのコンビニがいいの?○ーソン?ファ○マ?セ○ンイレブン?あとは…サン○スとか?

    一松:あ、でも全部近くにはないね

    カラ松:どこでもいいです

    カラ松:早く

    一松:ちゃんと指定してよ

    一松:プリペイドカードとか買ったことないから分からないんだけど

    一松:どのコンビニ?指定しろ

    カラ松:10000点を10枚

    一松:指定しろって

    カラ松:早くしてください
    ーーーーーーーーーーーーーー

    一松:クソ松との会話の方がまだマシだわwwww

    チョロ松:これさぁ、多分だけど日本語圏じゃない人だろ

    一松:あーやっぱりそう思う?そんな気がしてた

    一松:まだ通知くるwwwしつけぇな構ってちゃんかよwwwうちの長男かよwwww

    チョロ松:おまwwwwやめろよ想像したじゃねーかwwwww

    チョロ松:クズ長男がアカウント乗っ取ってなりすましからの詐欺を働いて最終逮捕されてワイドショーを賑わすところまで想像した

    一松:想像力豊か過ぎwwwwしかも逮捕されてんのかよwwww

    チョロ松:さらばクズ長男wwww

    一松:おそ松兄さんカワイソスwwwあ、画像送れだって

    一松:【スクリーンショット】
    ーーーーーーーーーーーーーー
    一松:コンビニ着いた

    カラ松:はい

    一松:今10枚は買えそうにないから、とりあえず3枚でいい?

    カラ松:それでいいです

    一松:買ってきた

    一松:で、どうするの

    カラ松:写真とって画像を載せてください

    一松:わかったちょっと待って
    ーーーーーーーーーーーーーー

    一松:もちろん買ってないしコンビニすら行ってないけどな

    チョロ松:僕がクズ長男逮捕の想像してる間に進展してる

    一松:まだそれ引っ張るのww

    チョロ松:てか、偽物って分かってるのに名前がカラ松なせいで草不可避

    一松:それな

    一松:本物はまだ鏡を見てる

    チョロ松:いい加減気づけよあいつw

    一松:まあでも、これで準備は整った

    チョロ松:お、おいまさか…

    一松:今からハッカーを誘惑してくる

    チョロ松:>誘惑<

    一松:フヒヒww行ってくるwww

    チョロ松:行ってらーw





    一松:【スクリーンショット】
    ーーーーーーーーーーーーーー
    一松:画像あげてほしい?

    カラ松:あげてください

    一松:だったらおねだりしてみろよ

    カラ松:写真

    一松:だーかーら、写真くださいって可愛らしくおねだりしたらあげてやるって

    一松:やらないなら載せねーぞ

    カラ松:え

    カラ松:写真あげてください
    ーーーーーーーーーーーーーー

    一松:【スクリーンショット】
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    一松:ざけんなもっとちゃんとお願いしろよ

    カラ松:どうやってですか

    一松:お願いします写真ください一松様って

    カラ松:お願いします写真ください一松様

    一松:誠意が感じられない。やり直し

    カラ松:お願いします僕に写真ください一松様!

    一松:ん〜?聞こえないな〜??

    カラ松:お願いします!僕に写真ください!一松様!!
    ーーーーーーーーーーーーーー

    一松:【スクリーンショット】
    ーーーーーーーーーーーーーー
    一松:へぇ〜そんなに欲しいんだ

    カラ松:欲しい

    一松:ああ?何偉そうな口聞いてやがる

    カラ松:欲しいです

    一松:この卑しい汚豚が!!

    カラ松:写真まだ

    一松:豚が勝手に発言してんじゃねぇ

    カラ松:ごめんなさい
    ーーーーーーーーーーーーーー

    一松:【スクリーンショット】
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    一松:写真恵んで欲しいんだろ?

    カラ松:この卑しい汚豚にお恵みください一松様!

    一松:よし、褒美だ受け取れ

    一松:【近所の可愛らしい子猫の写真】

    一松:【猫カフェの看板猫がくつろいでる写真】

    一松:感謝しろよ
    ーーーーーーーーーーーーーー

    一松:【スクリーンショット】
    ーーーーーーーーーーーーーー
    カラ松:カードの写真は

    一松:あ?

    カラ松:カードの写真ください

    一松:なにその口の聞き方

    カラ松:カードの写真をお恵みください一松様!

    一松:ほらよ

    一松:【なんだかとてもいかがわしいナニカの写真】
    ーーーーーーーーーーーーーー

    一松:【スクリーンショット】
    ーーーーーーーーーーーーーー
    一松:【明らかに発禁モノなナニカの写真】

    一松:【♂同士がナニやってるっぽいいかがわしい写真】

    …以下、アレな写真が続く




    一松:ほーら、まだ足りないのかな〜?

    カラ松:カードの…

    カラ松:もういいですごめんなさい許してください
    ーーーーーーーーーーーーーー

    一松:【スクリーンショット】
    ーーーーーーーーーーーーーー
    一松:これが欲しかったんでしょ?

    カラ松:ちがう

    一松:あ?

    カラ松:ごめんなさい

    カラ松:もういいです

    一松:遠慮するなよほらまだあるから

    一松:【なんかもう色々エグい写真】

    カラ松:ごめんなさい

    一松:【なんかもう色々ヤバい写真】

    ー カラ松 が退出しました ー
    ーーーーーーーーーーーーーー

    一松:撃退成功

    チョロ松:なwwにwwwwやってwwwwんwwwだwwwwww

    チョロ松:ファーーーーwwwwwwwwwww

    一松:突然の大草原ww

    チョロ松:いやお前、これ誘惑じゃねーよ調教だよw

    チョロ松:調教っていうか女王様プレイじゃねーかwwwいつかの一松様ご降臨じゃねーかwwwwww

    チョロ松:カラ松(偽)は何乗っかってんだよアホだろwwww

    一松:チョロ松兄さん笑い過ぎw

    チョロ松:ところでアレな写真どうしたの

    一松:ネットで適当に拾ってきた

    一松:猫は自分で撮ったやつだけど

    チョロ松:それにしてもハッカー相手に女王様プレイとかww

    チョロ松:あーやべー笑ったw腹痛いwww

    チョロ松:ハッカー哀れw

    一松:あんだけしつこかったクセして意外と耐性がなかった

    チョロ松:延々とあんな画像見せられたらそうなるわ!

    一松:とりあえず、スクショを六つ子のグループに投下してアカウント乗っ取られ報告をしておこうと思う

    一松:枚数多いからノートでも作ろうかな

    チョロ松:おまwww

    チョロ松:まぁ、乗っ取られてることは教えてあげた方がいいね

    チョロ松:て、あれ?

    一松:ん?

    チョロ松:ねえ、今カラ松何してる?

    一松:クソ松?居眠りしてるけど

    チョロ松:

    一松:え、まさか

    チョロ松:カラ松(偽)がwwwこっちにwwwきたんだけどwwwww

    一松:ちょwwwww


    お粗末!
    続きません!!
    焼きナス
  • 三男と四男の言葉遊び #BL松 #チョロ一 #チョロ松 #一松 ##チョロ松と一松の話

    「『路地裏』」
    「…『にゃーちゃん』」

    「ーー猫」「正解。」

    「次ね、『電車』」
    「…『旅行』」

    「ーー駅」「うん、正解。」

    「じゃぁ次、『北国』」
    「『うどん』」

    「ーーきつね」「正解。なんなのさっきから怖いんだけど!」

    「チョロ松兄さんの答えが単純なんでしょ。次、『おやつ』」
    「……『戦争』」

    「ーー今川焼き」「うわマジかよちょっと捻ったつもりだったのに。」

    「残念だったね。『キャンプ』」
    「『屋台』」

    「ーーテント」「正解…。」

    ゲームでもしない?と誘ってきたのは一松の方だった。
    一体何のゲームかと思えば、謎の連想ゲームだ。
    まず一松がお題を出す。
    そして僕がそこから何かを2つ続けて連想する。
    僕は連想したもののうち、2つ目だけを一松に返す。
    そこから一松が、僕が1つ目に連想したものを当てる、というもの。
    例えば、一松が「赤」と言ったとしよう。
    僕はそこから、赤→おそ松兄さん→クズ、と連想する。
    え、例えがひどい?事実でしょ??
    まぁ、とにかく僕は一松に「クズ」だけを返す。
    で、一松は間に連想された「おそ松兄さん」を当てるのだ。
    今部屋にいるのは僕と一松の2人だけ。
    つまりは暇つぶしの遊びだった。

    「『真夏』」
    「『コンビニ』」

    「ーーアイス」「正解。」

    ごくたまに、一松はこうして僕をこのような言葉遊びに誘ってくる。
    今日はライブもないし、ハロワに行く予定もない。
    正直暇を持て余していたので、それに付き合った。
    一松も僕が本当に暇なのがわかっていたから声をかけたのだろう。

    「『カレー』」
    「『象』」

    「ーーインド」「正解。ねぇ僕ってそんなに分かりやすい?!」

    今のところ、一松は全問正解だ。
    なんだか思考回路を完全に読まれているような気がしてゾワリとする。
    そんな僕を見て、一松はヒヒッと笑った。え、僕ってそんな単純?
    そりゃぁ一松ほど頭は良くないけど、学生時代の成績で言えば一松の次くらいには良かったはずなんだけど。

    「『ハロワ』」
    「…『自立』」

    「ーー就職」「はい、正解。」

    一松がこんなゲームに誘うのは僕だけだろう。多分だけど。
    おそ松兄さんやトド松は面倒くさがりそうだし、カラ松はまず誘うことすらしないだろうし、十四松ではゲームにすらならないだろうし。
    一松との言葉遊びは少々頭を使うが中々に面白いので、僕は毎回付き合ってやっていた。
    そういえば、前にもこんなことしていた時にちょうどおそ松兄さんが帰ってきて、
    「お前ら何してんの?」と心底理解できない、という顔をされたことを思い出した。

    「さっきから簡単過ぎ…もうちょっと捻ってよ。『告白』」
    「そんなこと言われても……『不採用通知』」

    「ーー手紙……いや、自虐的になれとは言ってないけど。」
    「お前ほんと何なの?!僕の頭の中読んでるワケ?」

    あれ、待てよ…さっきから口にしてるこの言葉。
    本当に、僕が、僕自身が連想しているものなのか?
    いや、何を考えているんだ、僕が出している言葉のはずだ。
    視線を落とすと一松と目が合った。
    僕はこたつに足を突っ込んで、その中で膝を抱えるようにして座っていて
    一松は僕の斜め横に胸元までこたつに潜り込みながら寝転んでいる。
    目が合ってから約3秒、フイ、と視線を逸らされてしまった。
    玄関から「ただいまー」と複数の声が聞こえた。
    他の兄弟達が帰ってきたようだ。

    「じゃぁ最後ね、『ロボット』」
    「………『掃除』」

    「ーールンバ」「正解。ねぇ、一松…。」

    単純な連想ゲーム。ただの言葉遊び。
    答えを作ったのは僕のはずだ。
    でも、なんだかわからなくなってきた。

    「お前、僕の思考を操作でもした?」
    「まさか、チョロ松兄さんが自分で出した答えでしょ。」
    「口に出したのは一松だよ。」
    「思ったのはチョロ松兄さんだよ。」
    「お前がそうなるように誘導したんじゃなくて?」
    「誘導なんてしなくても分かってたから。兄さんだって「正解」って言ったでしょ。」

    わからなくなってきた。
    ああでも、この際どっちでもいい。
    どちらにしても正解であることに変わりはない。

    「じゃぁ、もういいや。2人が同時に思ってること…ってことで。」
    「何それ。」
    「全く回りくどいよね、ホント素直じゃない。」
    「……うるさいな、今更でしょ。」
    「僕らの答えってことで異論ない?」
    「…それでいいよ。」

    一松は掠れるような小さな声でそう返して、ゴロリと寝返りをうってこちらに背を向けてしまった。
    だがその耳元はしかし、わずかに赤みを帯びている。
    その様子に思わず口元が緩んだ。
    腕を伸ばして、ほんの少し熱を孕んだ指先で一松の髪をくしゃりと撫でた。

    本日のゲームはここまで。
    勝者?最初からそんなものいやしない。
    多分、どちらも敗者だ。

    end.

    ーーー

    オマケ

    「まーたあいつら意味不明な会話してるなー。お兄ちゃん仲間はずれは良くないと思いまーす!」
    「フッ…さながら2人だけの秘密の暗g「イッタイよね〜」えっ…」
    「なに?やきゅう?!」
    「ちがうよー十四松兄さん。でもホント、何なんだろうね〜。チョロ松兄さんと一松兄さんの会話って。僕もたまに全く理解できないもん。」
    「あ、なんか一松がすっげ照れてる!」
    「ほんとだー!チョロ松兄さん、一松兄さんの頭なでてるー!!」
    「えー何?ほんと何?さっきのやり取りのどこに照れる要素があったの?」

    暇なときにちょっとした言葉遊びをする年中松でした。
    チョロ松が間に連想した言葉の頭を辿ってみると、意味がわかるかもしれないし余計謎かもしれません。

    ー お粗末!
    #BL松 #チョロ一 #チョロ松 #一松 ##チョロ松と一松の話

    「『路地裏』」
    「…『にゃーちゃん』」

    「ーー猫」「正解。」

    「次ね、『電車』」
    「…『旅行』」

    「ーー駅」「うん、正解。」

    「じゃぁ次、『北国』」
    「『うどん』」

    「ーーきつね」「正解。なんなのさっきから怖いんだけど!」

    「チョロ松兄さんの答えが単純なんでしょ。次、『おやつ』」
    「……『戦争』」

    「ーー今川焼き」「うわマジかよちょっと捻ったつもりだったのに。」

    「残念だったね。『キャンプ』」
    「『屋台』」

    「ーーテント」「正解…。」

    ゲームでもしない?と誘ってきたのは一松の方だった。
    一体何のゲームかと思えば、謎の連想ゲームだ。
    まず一松がお題を出す。
    そして僕がそこから何かを2つ続けて連想する。
    僕は連想したもののうち、2つ目だけを一松に返す。
    そこから一松が、僕が1つ目に連想したものを当てる、というもの。
    例えば、一松が「赤」と言ったとしよう。
    僕はそこから、赤→おそ松兄さん→クズ、と連想する。
    え、例えがひどい?事実でしょ??
    まぁ、とにかく僕は一松に「クズ」だけを返す。
    で、一松は間に連想された「おそ松兄さん」を当てるのだ。
    今部屋にいるのは僕と一松の2人だけ。
    つまりは暇つぶしの遊びだった。

    「『真夏』」
    「『コンビニ』」

    「ーーアイス」「正解。」

    ごくたまに、一松はこうして僕をこのような言葉遊びに誘ってくる。
    今日はライブもないし、ハロワに行く予定もない。
    正直暇を持て余していたので、それに付き合った。
    一松も僕が本当に暇なのがわかっていたから声をかけたのだろう。

    「『カレー』」
    「『象』」

    「ーーインド」「正解。ねぇ僕ってそんなに分かりやすい?!」

    今のところ、一松は全問正解だ。
    なんだか思考回路を完全に読まれているような気がしてゾワリとする。
    そんな僕を見て、一松はヒヒッと笑った。え、僕ってそんな単純?
    そりゃぁ一松ほど頭は良くないけど、学生時代の成績で言えば一松の次くらいには良かったはずなんだけど。

    「『ハロワ』」
    「…『自立』」

    「ーー就職」「はい、正解。」

    一松がこんなゲームに誘うのは僕だけだろう。多分だけど。
    おそ松兄さんやトド松は面倒くさがりそうだし、カラ松はまず誘うことすらしないだろうし、十四松ではゲームにすらならないだろうし。
    一松との言葉遊びは少々頭を使うが中々に面白いので、僕は毎回付き合ってやっていた。
    そういえば、前にもこんなことしていた時にちょうどおそ松兄さんが帰ってきて、
    「お前ら何してんの?」と心底理解できない、という顔をされたことを思い出した。

    「さっきから簡単過ぎ…もうちょっと捻ってよ。『告白』」
    「そんなこと言われても……『不採用通知』」

    「ーー手紙……いや、自虐的になれとは言ってないけど。」
    「お前ほんと何なの?!僕の頭の中読んでるワケ?」

    あれ、待てよ…さっきから口にしてるこの言葉。
    本当に、僕が、僕自身が連想しているものなのか?
    いや、何を考えているんだ、僕が出している言葉のはずだ。
    視線を落とすと一松と目が合った。
    僕はこたつに足を突っ込んで、その中で膝を抱えるようにして座っていて
    一松は僕の斜め横に胸元までこたつに潜り込みながら寝転んでいる。
    目が合ってから約3秒、フイ、と視線を逸らされてしまった。
    玄関から「ただいまー」と複数の声が聞こえた。
    他の兄弟達が帰ってきたようだ。

    「じゃぁ最後ね、『ロボット』」
    「………『掃除』」

    「ーールンバ」「正解。ねぇ、一松…。」

    単純な連想ゲーム。ただの言葉遊び。
    答えを作ったのは僕のはずだ。
    でも、なんだかわからなくなってきた。

    「お前、僕の思考を操作でもした?」
    「まさか、チョロ松兄さんが自分で出した答えでしょ。」
    「口に出したのは一松だよ。」
    「思ったのはチョロ松兄さんだよ。」
    「お前がそうなるように誘導したんじゃなくて?」
    「誘導なんてしなくても分かってたから。兄さんだって「正解」って言ったでしょ。」

    わからなくなってきた。
    ああでも、この際どっちでもいい。
    どちらにしても正解であることに変わりはない。

    「じゃぁ、もういいや。2人が同時に思ってること…ってことで。」
    「何それ。」
    「全く回りくどいよね、ホント素直じゃない。」
    「……うるさいな、今更でしょ。」
    「僕らの答えってことで異論ない?」
    「…それでいいよ。」

    一松は掠れるような小さな声でそう返して、ゴロリと寝返りをうってこちらに背を向けてしまった。
    だがその耳元はしかし、わずかに赤みを帯びている。
    その様子に思わず口元が緩んだ。
    腕を伸ばして、ほんの少し熱を孕んだ指先で一松の髪をくしゃりと撫でた。

    本日のゲームはここまで。
    勝者?最初からそんなものいやしない。
    多分、どちらも敗者だ。

    end.

    ーーー

    オマケ

    「まーたあいつら意味不明な会話してるなー。お兄ちゃん仲間はずれは良くないと思いまーす!」
    「フッ…さながら2人だけの秘密の暗g「イッタイよね〜」えっ…」
    「なに?やきゅう?!」
    「ちがうよー十四松兄さん。でもホント、何なんだろうね〜。チョロ松兄さんと一松兄さんの会話って。僕もたまに全く理解できないもん。」
    「あ、なんか一松がすっげ照れてる!」
    「ほんとだー!チョロ松兄さん、一松兄さんの頭なでてるー!!」
    「えー何?ほんと何?さっきのやり取りのどこに照れる要素があったの?」

    暇なときにちょっとした言葉遊びをする年中松でした。
    チョロ松が間に連想した言葉の頭を辿ってみると、意味がわかるかもしれないし余計謎かもしれません。

    ー お粗末!
    焼きナス
  • 大天狗チョロたん闇 #おそ松さん #妖怪松 #チョロ松 ##おそ松さん
    半年ぶりくらいに描いた~

    健康って大事ですにゃ~
    日常生活で手一杯で趣味関係全放置でした(^_^;)

    途中描いてみようと思ったけど何も浮かばないし手も動かないし、このまま描けなくなっちゃうのかと焦りましたが、時間が解決してくれました。元気になってくると余裕もでできて色々やってみようとなるもんですね。

    ギャレリアの画面も投稿フォームも様変わりしてて驚いた~
    画像投稿しないでアップしてしまったあとの編集とかワケわからんくて消してやり直し(^_^;)

    #おそ松さん  #チョロ松  #妖怪 ##おそ松さん
    みくりぃあ
  • 4おそ松さん ##二次創作

    1期の時になんとなくで描いたもの。
    特に推し松は居ないけどクズ人間が好きなのでまぁみんな好きです。
    あ、やっぱトト子ちゃんが一番好き。


    #おそ松さん
    #カラ松
    #チョロ松
    #一松
    #十四松
    #トド松
    あきひか
  • 3ちょろれん。ちょろたんの練習。推しはカラ松にゃんだけど~たまにチョロワーになる。長男推しの時もある。一松推しの時も。

    チョロ松推しの人はチョロワーって言うって聞いたんですが、他の松推しの呼び名は(°∀°?)カラ松girlsくらい? #自分絵松 #チョロ松 #おそ松さん ##おそ松さん
    みくりぃあ
  • ライジングシコスキーメディバンでおそ松さん描いてる方の塗り真似っ子していいって許可もらったんでアレンジ入れて真似したら残念な別物になった(´nωn`)
    ふんわりまったりゆるふわ可愛い癒し系の塗りはボクには無理なようです(´nωn`)
    メディバンのもこもこ水彩を使ったグリザイユっぽいけどグラデーション使ってて模様が見えて楽しい塗りです(っ’ヮ’c)んわぁー #グリザイユ #俯瞰 #チョロ松 #おそ松さん ##おそ松さん
    みくりぃあ
  • 65人まで出来ました(トッティーごめん) #十四松 #一松 #チョロ松 #カラ松 #おそ松 #おそ松さん ##おそ松さんみかんまん
  • 15残暑お見舞い申し上げm(_ _)m水墨画風アプリ使って描いたののとりあえずまとめ( •̀ᴗ•́ )/☆
    ZenBrushⅡというアプリです(o>ω<o) #妖怪松 #トド松 #十四松 #一松 #チョロ松 #カラ松 #おそ松 #ZenBrush #おそ松さん ##おそ松さん
    みくりぃあ
  • 3美味しいものを食べましょう他二枚 #トド松 #チョロ松 #カラ松 #公式絵 #自分絵 #おそ松 #おそ松さん秋谷 翠
  • 13おそ松さんtwitterまとめtwitterにてあげてるおそ松さんたち。自分絵注意です。 #一松 #チョロ松 #カラ松 #公式絵 #おそ松 #自分絵 #おそ松さん秋谷 翠
  • おそチョロ おそ松さんごて。 #チョロ松 #おそ松 #おそチョロ #おそ松さん #腐向け修行@S
  • チョロ松 おそ松さんチョロ松可愛いww #チョロ松 #おそ松さん修行@S
  • 4松落書まとめ未だに疑ってます

    4/18おそ松追加 #チョロ松 #一松 #十四松 #おそ松さん
    やすだすや
  • 新聞記者:三男全松完成o(^▽^)o
    三男はジト目がいい( ・ㅂ・)و ̑̑
    2017年4月。 #グリザイユ #デジタル #チョロ松 #おそ松さん ##おそ松さん
    みくりぃあ
  • 4おそ松さんまとめめめ青春っぽい #チョロ松 #カラ松 #自分絵 #速度松 #兄松 #おそ松さん秋谷 翠
  • 14スチームパンク松加工済と元絵(磁気ボード)。
    写真加工アプリ使用。
    元絵は2色(赤と黒)の磁気ボードで描いたもの(明度と彩度アップ済なので厳密に言うとこっちも加工してるけど、撮る技術が低いので何もいじってないと真っ暗で残念になるので^^;)。
    描いたら写真撮って消してしまうので後から間違いに気づいても直せないので写真加工で誤魔化してます(T_T)
    2016年11月。 #トド松 #十四松 #一松 #チョロ松 #カラ松 #おそ松 #磁気ボード #おそ松さん ##おそ松さん
    みくりぃあ
  • 6お着物なさいばー松2017年3月17日。
    デジタルでアナログ風水彩絵を頑張った。普通に塗ると微妙だたので画用紙テクスチャとか水彩テクスチャとかを貼りまくった。アナログっぽくなってるかな(*´д`*)ドキドキ
    ちょっと頭身高めだけど公式寄りって言っていいのか… #トド松 #チョロ松 #水彩 #デジタル #おそ松さん ##おそ松さん
    みくりぃあ
  • 3フリるたちまとめフリルを沢山かきました #アリスおそ #十四松の彼女 #公式絵 #チョロ松 #おそ松 #おそ松さん #フリる秋谷 翠
  • 19松絵セリフ付きまとめセリフ付きの一コマまんが的なのとなんか色々。全松\('ω')/

    2016年9月・10月。 #一松 #チョロ松 #カラ松 #おそ松 #デジタル #おそ松さん #トド松 #十四松 ##おそ松さん
    みくりぃあ
  • 3自分絵松(ドンとマフィア松)ドンイッチとマフィア松な三男と五男。2016年12月。 #十四松 #一松 #チョロ松 #マフィア松 #自分絵 #おそ松さん #デジタル ##おそ松さんみくりぃあ
  • 3自分絵松(保留組)磁気ボードで絵を描くのも趣味。

    お題に挑戦した時のもの。
    2016年10月。
    和服のチョロ松、落ち込む十四松、俺様な推し松(カラ松)。
    十四松は頭身高めの公式寄り。
    俺様感がよくわからなくて架羅様のドヤ顔。 #おそ松さん #磁気ボード #十四松 #チョロ松 #カラ松 #保留組 #自分絵 ##おそ松さん
    みくりぃあ
  • スチームパンク松2016年11月。
    スチパン松に惚れた。 #磁気ボード #トド松 #十四松 #一松 #チョロ松 #カラ松 #おそ松 #おそ松さん ##おそ松さん
    みくりぃあ
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