「高耶さんの誕生日、1ヵ月後ですね。はい、これはその前祝いの薔薇です」
直江は1本の薔薇を高耶に差し出した。
「……その日にくれりゃいいだろう?まだ1ヶ月もあるし」
しかも何も包装されていない薔薇。直江にしては珍しい。
「あなたの誕生日をあと1ヵ月後だと思いながら歩いていたら丁度花屋があって、その中の1本がとても綺麗だったので、つい買ってしまったのです。包装したけれど包装がどれも似合わなくてそのままいただいてきました。ほら、何も飾らなくても綺麗なあなたと同じ」
直江はいつまで経っても赤面するような事をさらりと言うので、もう反抗することも諦めた高耶は苦笑いしながら薔薇を受け取る。
「で、薔薇1本じゃ済まないよな?こんなホテルにまで呼び出して」
「察しがいいですね」
「バカか。普通分かる」
直江が高耶のネクタイを締めて上着を羽織ると胸のポケットに合わせるように枝を切り、薔薇をさした。
「やっぱり似合いますよ」
「うーん、直江の方が似合いそうだけどな」
キザったらしい事は高耶は好きじゃない。けれど高耶の為に選んだ薔薇はよく似合っていた。
「さぁ、ディナーへまいりましょうか」
直江にエスコートされながら、高耶は今夜の事を考え出して少し体が熱くなるのを感じていた。
そして、胸の薔薇の香りが強くなった気がした。
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別作業していたら23日にUP間に合わなかった;
と、いう事で今年も7月が、高耶さんの誕生日がやってくるのですね。
前の絵が暗いので明るいものに切り替えました。
明るいというか、誕生日に向けて幸せそうなものを書きたいなと。
そう!幸せがいい!!