「卒業おめでとう、高耶」
「お前もな。卒業おつかれさん、譲」
「なんだよそれ!でも、また高校一緒だから、高校の卒業の時も一緒に祝おうよ」
「もちろんそのつもりだ」
「絶対だからね!俺が留年なんてさせないよ?」
「お前はオレの親か!」
そんな会話をして笑っていたあの頃を思い出す。
あの頃はまだ己の人生を、存在を知らずにいた。
戻ったら、やり直せるのかな?今でも時々ふと思うんだ。全部知っていたら、俺は高耶を連れてあの人達なんかと合わせないで、普通の人生を生きていきたかったんだ。
でも高耶。
あのひとに逢わなければいけなかった。それは必ず出遭う運命だった。そして必ず幸せにならなければいけなかった。
全く、離れられないくせに記憶を封じるなんて回りくどいことをしてさ。
ああ、でももうそんなこと、もういいんだ。
こうして傍にいられるし、高耶は幸せになったんだし。
ただ、桜の季節は思い出すだけ。
高耶と高校を卒業したかったなって。
ほら、俺の中では高耶が笑ってるんだ。それできっとこう言うんだ。
「譲のおかげで卒業できた」
ってね。
終わらない時の中、桜が舞う。
今日も綺麗に、咲き乱れ、散る。
終
かわいい話を書こうと思ったら全く違うものになってしまいました…;
折角咲いてきた桜が今日の雨風で散ってしまう!なんて考えてたらモヤモヤしてしまいまして。なので、文は突発的に書いているのでその日の気分が多いです。ごめんなさい。