竜崎とミサ・友達「何十何百何千……いえどれほどの人間が殺されていったんでしょうね」
「キラの裁きは裁きじゃなくて殺人だって話?」
「少し違います……が、そうかもしれません」
「え~?竜崎さん何言ってるかよく分かんないよ」
「キラと第二のキラは悪人を人、つまり一個体ではなく数字それもあくまでこの社会に不要なものと判断して整理しているに過ぎないということです」
キラはあくまで装置に過ぎないのでしょうね。
すらすらと台本を読むような科白は不思議と耳に残った。あらかじめ決めた言葉をそのまま喋ってるみたいな人。少しライトと似てる。本当のことを言わないところとか、本心がどこにあるのか分からないところとか。
友達だった竜崎さん。ライトの友達はミサの友達でもあるから。でも嘘だった。お互いを欺くために友情ごっこをしてただけ。
じゃあミサとこの人は友達?
どっちでも変わらない。いつか死ぬ人だ。そしてミサはキラの味方。ライトの恋人。それだけが絶対に変わらない。
竜崎さんは死ぬ。キラに殺されて。明日かもしれないし一年後かもしれない。今この瞬間かも。確かなのはLの正義はキラに敗れること。ミサはLが嫌いだけど、可哀想なこの人のことならほんの少し好きになれると思った。
「竜崎さんのうそつき」
自分でも分かるくらい子供じみた声だった。
「ええ私はうそつきです。ですがそれをミサさんに言われるとは」
「ミサの方がうそつきだって言いたいの?」
笑ってみせれば空気が揺れる。途方に暮れた子供みたい。
ああ、この人、気持ちを言葉にするのが下手なんだ。
少し困らせちゃったかな。そう思って気づく。ミサ、竜崎さんに同情してるんだ。自覚したら途端にたまらなかった。泣き出したくて喚きたくて、でも同じくらい大声で笑っちゃいたいくらいおかしかった。
ライトも竜崎さんも忘れてるのかな。あのね、ミサ友達は裏切らないの。絶対、絶対だよ。それとも信じてなかった?ミサは友情より恋選ぶもんね。
だってライトに愛されないと生きていけない。
ライトのいない世界でなんて、生きていけない。
竜崎さんがミサのライトへの愛は世界一だって言ってくれたの、嬉しかったよ。だから。
「竜崎さんのバーカ……」
「ミサさんに言われたくないです非常に心外です」
貴方が死ぬまではどうかミサと友達でいてね。