イラストを魅せる。護る。究極のイラストSNS。

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    UR My Sweetie いつものように授業も終えて、自分の籠城である準備室へと足を運ぶ悪魔教師がいた。
     彼の名前はバラム・シチロウ。ケトランクという高位階ハイランクの彼は、悪魔学校バビルスで教師をしている。
     持ち前の長い白銀の髪は頭頂部をお団子にまとめられていて、残りの髪はそのまま無造作に伸ばしている。
     普段は逞しい二の腕が露出しているノースリーブの、かと言って素肌は透けない濃い色合いのタイトな衣服を着用している彼だったが、今日はその上から着慣れない白衣を羽織っていた。
    「……ふう」
     彼は訪問客用のソファに深く腰かけながら自分で淹れた魔茶を口にすると、深くため息を吐く。背を丸めながら、窓から見える夕焼けの景色に視線を移してぼんやりと眺めていた。
     いつも朗らかで好奇心旺盛で、それなりに他の悪魔たちや生徒とも仲良く交流できるバラム・シチロウが、ある悪魔のことで頭を抱えているのだ。
    「……どうしよう」
     バラムが頭を抱えている悪魔、それはナベリウス・カルエゴである。
     バラムと同じくケトランクにして、生徒からは陰湿教師と恐れられる悪魔学校バビルスの番犬である。
     彼はバラムが学生時代からの幼馴染兼親友であり、いつも隣にいることが当たり前の、唯一無二の存在であった。
    「……うーん。僕は一体どうしたら……」
     バラムは再び頭を抱えてみせたものの、ここで悩んでいても変わらないと思考を切り替えて、次の授業の準備を始めた。

     ◇ ◇ ◇

     バラムとカルエゴは長年の旧知の中であり、腐れ縁だ。
     そんな彼から、「愛してる」と前触れもなく告知されたのだ。告白としても取れるかもしれないが、今の自分には受け入れ難いというか、信じ難い。だが正直に白状すると、嬉しかった。ブザーも発動しておらず、それが彼の本心だともわかったことも肯定的に捉えられたうちの一つだ。
     ただ、片膝をつきバラムの手を取り愛の言葉を伝えてくることが、少しだけ気恥ずかしくなって「ふふっ、カルエゴくんってそんな冗談も言えるんだね! びっくりしたけど、新たな発見が見られて僕、嬉しいな〜」と受け流してしまった。

     昨日の出来事ではあるが、普段は暇さえあれば探求心を優先して行動しているにもかかわらず、今日は彼の言動が脳裏をよぎる。
     改めて考えても、彼の言葉が嬉しかった。その言葉を口にされて初めて、自分の気持ちにも気づいたからだ。
     だが、カルエゴの突然の言動に驚いたのも事実であり、もしかすると彼が催眠や洗脳といった類の魔術にもかかっているかもしれないと考えたので、慎重にならざるを得なかった。
     もちろん、彼がそう易々と洗脳魔術や魅了の類にかかるとは思っていない。
     しかし、魔界では上には上にいるのだ、彼らよりもさらに高位階の悪魔だちが。
     何よりも、僕たちは旧知の仲で腐れ縁。
     彼とはどんなに距離感が近くでも、彼から熱い視線を送られたり、情熱的な言葉を投げかけられたりといった愛着や執着を向けられたことはないため、自分の思い上がりかもしれないと思考がぐるぐると巡って脳が沸騰しそうだ。
    「俺はお前にいつも熱烈な視線を送っていただろうが」
    「え?」
    「お前、さっきからブツブツと独り言を。思考が筒抜けだぞ」
     そう言われながら、目の前の綺麗な顔をした悪魔が椅子に座った状態で、長い足を組んで笑って見せる。いつものように、他の悪魔たちには絶対に見せない、優しい笑顔で。
    「うーん、ごめん。気をつける」
    「別に謝るな。いつものことだろう」
     思考の海に沈んでいると、よくこういった状況に陥ってしまうので気をつけていたのに。反省しながらも一人頭を抱えていると、「そういう、存外わかりやすいところも好きだ」といつになく甘い声色で告げられてしまい、バラムは思わず飲んでいた魔茶で咽せてしまう。
    「で、俺の告白の返事はどうなった?」
     そう言いながら、口角を上げて整った顔が距離を縮めてくる。あれはやはり告白だったんだなと考えていると、だんだんと、そして着実に彼がジリジリと詰め寄って来た。
    「えっとですね、ちょっと考える時間が欲しいな、なんて」
    「考える時間が必要か?」
    「うーん? それって……」
     カルエゴの言葉の意味を考える暇もなく、顎に手を添えられて顔を上に向けられる。
     触れられた場所が熱く感じて、体温が少しだけ上昇したことが自分でもわかる。
    「これから俺がお前に何をするのか、わからないわけでなないだろう?」
     テーブルの上に外された自分のマスクを見て、目の前の彼から外されたと気づく。
     (まあ、ここまで許しているし)
     二人は準備室で魔茶を飲んでいたのだが、マスクを外されて素顔の状態でこの顎クイ、からのカルエゴくんの顔面の近さ。
     うん、わかる。
     ソファに座っている状態のバラムに、体を割って入れて乗り掛かるような体勢で至近距離まで詰められている状態だ。
    「この状態を不快に思わないなら、つまりそういうことではないのか」
     頬をそっと撫でられた後、再び顎に手を添えられる。
    「ふふ、確かに。それもそうだね」
     僕たち、付き合おうか。そう言いかけたがグッと呑み込んだ。この言葉は口にはできなかった。目の前にいる美形の悪魔が、唇を重ねてきたからだ。
    「お前を手放すつもりはないから、そのつもりで」
     それだけ言って、再びバラムの唇にキスを落とした後、彼は颯爽と準備室を後にした。
    「耳が赤かったな、カルエゴくん。もしかして、これも念入りにシュミレーションしていたりするのかな。まさかね」
     颯爽と去っていったのは、きっと照れ隠しだろう。彼は冷静さは失わないが、感情がよく表に出るし、顔にも出る。取り繕うの上手だけれど、僕の前ではそんなこと必要もないし。
     (そういえば、僕の返事を聞いてもらえなかった。どうしたものかなあ)
     先ほどの彼の仕草と自分の返事を思い出して、バラムはこれからどう彼に接すればいいのか再び思い悩むのであった。

    ◇ ◇ ◇

    バラムが告白の返事をしてから、カルエゴはこれまでにないくらいバラムに対して献身的に、積極的に振る舞うようになった。
     いや、これでは語弊があるので訂正しよう。
     彼とはこれまでもかなり友好的な関係であった。学生時代から唯一無二の親友で、腐れ縁。若りし頃はバビルスの双丘のような存在でもあった。
     だが、そんな彼となんやかんやあってから……言うまでもなく劇的に対応が、もの凄くあからさまに変化したのである。
     もちろん、教師としての業務は完璧にこなし、問題児クラスの彼らも難なく束ね、全ての授業を終わらせる手腕は変わらず健在だ。
     だが、それらを終えると真っ先にバラムの準備室を訪れるようになったのだ。
    「シチロウ」
     準備室の扉を優しく叩く音が聞こえる。
     ノックを軽く三回。これは彼だ。彼が来た合図である。
    「開いてるから勝手に入ってきてー」
     にぎと一緒に戯れていただけなのだが、なんとなく引け目を感じて彼をゆりかごの中に隠す。
    「今日はどうしたの、カルエゴくん」
    「好いている相手の顔を見に来て何が悪い。まあ、お前はそうは思ってはいないだろうが」
     そして、入るや優しい口付けをバラムの額に落として、ご満悦な顔になる。
     彼の中では、僕との関係は恋人という位置らしい。僕はそう返事をしてはいないのだが、嬉しくないわけがないので、こんなことならさっさと返事をしてしまえばよかった。
    「嫌ならいつでも言ってくれ、そうでないと俺は調子に乗ってしまう……というより、自分の都合のいいように考えてしまいそうでな」
    「ふふ、全然嫌ではないよ。嫌だったらはっきり言うって、僕のことならお見通しなんじゃない?」
    「……っ、そ、そうではなくでだな」
     どもるカルエゴの意図が理解できずに返事をしかねていると、彼の方から切り出してくれた。
    「いつか、お前の方から口付けてほしいものだ。だが、お前の気持ちを優先したい。だから今は待つ」
     そういうと、再び額に唇を乗せて、持っていた紙袋を取り出して、テーブルの上に広げて見せる。
     紙袋の中には、バラムが食べやすいように改良されたサンドイッチやドリンクが入っていた。
    「これだったら、マスクを外してもここでなら食べられるだろう?」
     持参したカトラリーを綺麗にテーブルへ並べると、一番外側に置かれたナイフとフォークをバラムに渡す。
     しかし、受け取ろうとした時、カルエゴの気が変わったようですぐにカトラリーは引っ込められた。
    「カルエゴくん?」
    「ここは恋人の俺が切り分けてやろう」
    (‼︎ 意外だなあ、カルエゴくんがこんなに恋人に献身的だなんて)
     そんなことを思った時、気づいてしまった。気づきたくなかった。
     (……これはつまり、僕はカルエゴくんの未来の恋人との練習台ってことだろうか? そっかあ。うん、それなら納得)
    「ほら。切り分けたぞ。これでお前も食べられるだろう?」
    「あ、うん。ありがとう。食べやすそうだね」
     やっぱり僕じゃ、彼とは良き友人ではあってもパートナーにはなれないもんね。彼はきっとそのうち綺麗な、良家の悪魔女性と結婚するんだろうな。
     そんなことを考えていて、口の中に無理やり放り込んだバンズの味もわからなくて。
    「美味しいよ、カルエゴくん」
     こんな時、彼のために嘘をつける性格で本当によかったとバラムは思った。
     嬉しくて舞い上がっていて、肝心なことに気がついていなかったのだ。彼は、ナベリウス家の悪魔なのだと。

    続く

    以下、7月頒布予定の新刊に掲載しております。
    ここまで読んでいただきまして、誠にありがとうございました。
    みそ子 Link Message Mute
    2024/06/22 22:00:00

    UR My Sweetie

    カルエゴ先生とバラム先生のほのぼの自由解釈本を一部公開します。表紙のバラム先生はエゴ先生視点になります。
    頒布は7月以降の予定です。 #二次創作 #ナベリウス・カルエゴ #バラム・シチロウ

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    • 平凡な日常のようでバビデビif人間界2用に書き下ろした、なべひらSSです。 #二次創作 #ナベリウス・カルエゴ #オペラ #カルオペ #なべひら #魔入間みそ子
    • 僕と君の物語Xでの大人の絵本企画の総集編です。本編は18禁のため、その箇所は省いて展示します。
      絵本や寓話をモチーフとした、年齢差など捏造も含みます。
      #二次創作小説 #魔入間 #二次創作 #ナベリウス・カルエゴ #BL #バラム・シチロウ
      みそ子
    • 星空の下の物語カルシチ短編集。if人間界、女装、年齢差あり。 #二次創作小説 #二次創作 #魔入間 #ナベリウス・カルエゴ #BL #バラム・シチロウみそ子
    • ダブルシュガー #二次創作小説 #二次創作 #魔入間 #オペラ #カルオペ #ナベリウス・カルエゴ #なべひらみそ子
    • ハッピーエンドロール #魔入間 #オペラ #二次創作 #二次創作小説 #カルオペ #ナベリウス・カルエゴ #なべひらみそ子
    • 真心と愛情真心を君に、愛情を先輩に
       
      「平尾先輩」
       啓護は平尾を呼び止める。ここは啓護の部屋だ。二人は多忙な時間をすり合わせて束の間の逢瀬を堪能していた。お互い仕事優先であり、なかなか会えなかったのだ。
       この逢瀬でも会うやいなや、挨拶なんていらないとばかりに顔を引き寄せられ荒々しく唇を喰み合い、服を脱ぐことさえ惜しらしく、お互い吐息を溢し口づけを交わしながら、服も剥ぎ取ってベッドへ向かう。
      「はぁ、啓護くん。もう、待てない」
       激しく啄むような口づけを交わしながらそう話す、珍しく余裕のない先輩に、啓護は思わず喉がゴクリと鳴らす。息を切らして上目遣いをこちらに向けてきて、待てないとは。可愛らしいところもあるものだな。そう感心しているうちに、啓護のシャツは平尾に脱がされ剥ぎ取られた。
       思わす身震いをした啓護だったが、自分ではなく平尾がこういうコトに積極的なのは珍しい。
      「待ってください」
      「は?」
      「あー、えっとですね。今、スキンを切らしているのでやりたくてもできないんですよ」
       そういうや、平尾は明らかに不機嫌になりそんな態度も隠さない。避妊具はセックスに置いて必需品だ。これは俺を守る役目、というよりも平尾先輩を守る役目が大きい。万が一を考えての最優先事項なのだ。
      「……わかりました。仕方ありません。今夜は我慢します」
       子供のようにわかりやすく不貞腐れる平尾を見て、啓護は愛おしさが込み上げる。仕事の時は無愛想で完璧主義で完全無欠の秘書が、自分の前ではあどけない仕草を見せるのだ。
       疑問に思って前に一度尋ねたことがある。なぜ、俺の前では幼くなるんでしょうねぇと嫌味も含めて。しかし、返ってきた答えは意外な、否、想定外のものだった。
      「君のこと、信頼していますから。それに、私は真心を君にあげたいんです」
       今思い出しても鮮明に思い出されて目頭が熱くなる。嬉しくなった俺はそのあと、平尾先輩に対して自分が持てる精一杯の言葉を返したものだ。
      「啓護くん?」
      「あ、はい。すみません。考え事をしていました」
      「またですか。相変わらずですね、啓吾くんは。私、もう帰りますね」
       そう言って平尾は玄関や寝室の脱ぎ散らかした自分の衣服をかき集めて、それを着用しようとしている。
      「待って、待ってください、先輩」
       呼び止めると平尾はため息をついてこちらに顔を向ける。
      「だって、今夜はもうしないんでしょう。ここにいる意味がない」
      「別に、体を繋げるだけがセックスではないですよ。というか、セックスしなくったって、あんたと一緒にいたい。それだけじゃだめですか?」
       平尾の手を握りしめて真剣に話す啓護をよそに、平尾はいたずらっ子な顔を見せて舌をちろりと出すと、「私、欲張りなので両方欲しいです。君とセックスしたいし、一緒にいたい。他愛もない会話で笑い合いたい。ただ手を握って夜の眠りにつきたい」
      「ははっ。じゃあ、それ全部やりましょうよ。」
      「でも、さっき避妊具は切らしているって」
      「セックスは、挿入だけがセックスではないので」
       不敵な笑みを浮かべて平尾に話す啓護だったが、平尾はイマイチ理解していないようで小首を傾げて見せる。その仕草が啓護にクリーンヒットしたらしく、そのまま平尾に思いっきり抱きつくと「しきり直しです。挿入はしなくても、あなたをきっと満足させてみせますよ。先輩」
       啓護の言葉を聞いた平尾はイマイチ意味がわからないでいたが、ふふっと笑うと着衣が乱れたまま啓護の首に腕を回すのであった。
      「楽しみにしていますよ、私の可愛い啓護くん」
        #魔入間 #オペラ #二次創作 #二次創作小説 #カルオペ #ナベリウス・カルエゴ
      真心を君に、愛情を先輩に
       
      「平尾先輩」
       啓護は平尾を呼び止める。ここは啓護の部屋だ。二人は多忙な時間をすり合わせて束の間の逢瀬を堪能していた。お互い仕事優先であり、なかなか会えなかったのだ。
       この逢瀬でも会うやいなや、挨拶なんていらないとばかりに顔を引き寄せられ荒々しく唇を喰み合い、服を脱ぐことさえ惜しらしく、お互い吐息を溢し口づけを交わしながら、服も剥ぎ取ってベッドへ向かう。
      「はぁ、啓護くん。もう、待てない」
       激しく啄むような口づけを交わしながらそう話す、珍しく余裕のない先輩に、啓護は思わず喉がゴクリと鳴らす。息を切らして上目遣いをこちらに向けてきて、待てないとは。可愛らしいところもあるものだな。そう感心しているうちに、啓護のシャツは平尾に脱がされ剥ぎ取られた。
       思わす身震いをした啓護だったが、自分ではなく平尾がこういうコトに積極的なのは珍しい。
      「待ってください」
      「は?」
      「あー、えっとですね。今、スキンを切らしているのでやりたくてもできないんですよ」
       そういうや、平尾は明らかに不機嫌になりそんな態度も隠さない。避妊具はセックスに置いて必需品だ。これは俺を守る役目、というよりも平尾先輩を守る役目が大きい。万が一を考えての最優先事項なのだ。
      「……わかりました。仕方ありません。今夜は我慢します」
       子供のようにわかりやすく不貞腐れる平尾を見て、啓護は愛おしさが込み上げる。仕事の時は無愛想で完璧主義で完全無欠の秘書が、自分の前ではあどけない仕草を見せるのだ。
       疑問に思って前に一度尋ねたことがある。なぜ、俺の前では幼くなるんでしょうねぇと嫌味も含めて。しかし、返ってきた答えは意外な、否、想定外のものだった。
      「君のこと、信頼していますから。それに、私は真心を君にあげたいんです」
       今思い出しても鮮明に思い出されて目頭が熱くなる。嬉しくなった俺はそのあと、平尾先輩に対して自分が持てる精一杯の言葉を返したものだ。
      「啓護くん?」
      「あ、はい。すみません。考え事をしていました」
      「またですか。相変わらずですね、啓吾くんは。私、もう帰りますね」
       そう言って平尾は玄関や寝室の脱ぎ散らかした自分の衣服をかき集めて、それを着用しようとしている。
      「待って、待ってください、先輩」
       呼び止めると平尾はため息をついてこちらに顔を向ける。
      「だって、今夜はもうしないんでしょう。ここにいる意味がない」
      「別に、体を繋げるだけがセックスではないですよ。というか、セックスしなくったって、あんたと一緒にいたい。それだけじゃだめですか?」
       平尾の手を握りしめて真剣に話す啓護をよそに、平尾はいたずらっ子な顔を見せて舌をちろりと出すと、「私、欲張りなので両方欲しいです。君とセックスしたいし、一緒にいたい。他愛もない会話で笑い合いたい。ただ手を握って夜の眠りにつきたい」
      「ははっ。じゃあ、それ全部やりましょうよ。」
      「でも、さっき避妊具は切らしているって」
      「セックスは、挿入だけがセックスではないので」
       不敵な笑みを浮かべて平尾に話す啓護だったが、平尾はイマイチ理解していないようで小首を傾げて見せる。その仕草が啓護にクリーンヒットしたらしく、そのまま平尾に思いっきり抱きつくと「しきり直しです。挿入はしなくても、あなたをきっと満足させてみせますよ。先輩」
       啓護の言葉を聞いた平尾はイマイチ意味がわからないでいたが、ふふっと笑うと着衣が乱れたまま啓護の首に腕を回すのであった。
      「楽しみにしていますよ、私の可愛い啓護くん」
        #魔入間 #オペラ #二次創作 #二次創作小説 #カルオペ #ナベリウス・カルエゴ
      みそ子
    • スモーキング・アンド・ラブここはとあるマンションの一室。
       煙草をふかしている主が再度息を吐くと、出された煙が部屋の中に充満する。
       この場所は鍋島啓護のマンションの一室でるため、煙草を吸っているのは他ならぬ啓護である。
       今日は平尾は訪れてるため、遠慮してキッチンの換気扇の下で吸っているのだが、黒革のソファに座っている平尾は嫌そうな顔をしている。
       それでも啓護は気にした様子もなく、くつろいで煙草をふかしていた。
       匂いに敏感で煙草の匂いもそれの類なのだそうで、苦手という平尾のためにタバコの臭いが充満しないよう配慮したつもりだが、換気扇でも緩和することはできなかったらしい。
       そんな啓護に平尾はため息をつくと、黙って手を差し出す。「これ、よかったら」と短く伝えると、手に持っていた袋を啓護へと差し出した。
       袋を広げて確認してみると、中に入っていたのは大量のコーヒー豆と瓶に入っているミルクだ。
       それをみて啓護は苦笑する。あの後、結局のこうした方がお互いのためだということで、このマンションの合鍵を渡していたのだが、上手く活用したようだ。
      「せっかくコーヒー豆を頂いたので、淹れてあげましょうか?」
       という問いに、平尾は首を振った。そして、そのかわりにといって渡されたものがあと一つ。どうぞと言って渡されたが、中身に見当がつかない。
      「甘いものは苦手でしたよね。なので、こちらも持ってきました」
       渡された物はチョコレートだった。
       煙草を嗜む啓護にとって甘味の嗜好品などというものはあまり縁がないものだった。
       しかし、先輩が自分のために選んだと言っていたので、たまにはこういうものもいいだろうと思って受け取った。
       平尾先輩曰く、こちらはビターチョコなのだそうだ。一口だけ口に含めてみると、確かにあまり甘くないタイプの類ではあるが、やはり自分には甘くないコーヒーやカフェオレの方が性にあっているのだなと再確認させられるだけだった。
       それでも、せっかくもらったものを無下にするわけにもいかず、何より悪い気もするので一応全て飲んでみることにする。
       それにしても、わざわざ自分の好みを覚えていてくれて、それに合わせてくれたというのは嬉しいものだ。
       そう思いながら、コーヒーを飲む。
       うん、やっぱり自分はこちらの方のほうが口に合っている。
       そして一通り飲み終えたところで、ようやく本題に入ることにした。まず最初に言っておかなければならないことがある。それは今回の件についてだ。そもそもこれは自分ひとりの問題であり、他人を巻き込むべき問題ではない。だから、この件に関しては礼を言うつもりはなかった。
       むしろ巻き込んでしまったことを謝ろうと思っていたくらいなのだから。だが、いざ口に出そうとするとなかなか言葉が出てこなかった。そんな自分が情けなく思えてきて、ますます焦りだけが募っていく。
       そんな時、ふいに声をかけられた。
      「――ありがとうございました」
       いきなりお礼を言われて戸惑ってしまう。一体なんのことだろうか? 確かに色々と世話になってしまったことは事実だし、こうして助けてもらったこともそうだ。だが、それだけなら別に礼をいう必要はないはずだ。それに今のお礼の意味もよくわからない。
      「……何の話ですか?」
       だから素直に疑問をぶつけることにした。それに対して、平尾は笑顔を浮かべるだけで何も答えようとしない。それが余計に不安を感じさせる。そして平尾の手がゆっくりと伸びてきたと思うと、頬に触れられる。少しひんやりとした感触が伝わってくる。そこから伝わる温もりはとても
      「私はあなたに助けられたのです」
       先輩が再び口を開く。そこで初めて気づくことができた。さっきの言葉は自分に言われたものではなく、平尾に向けられたものだったということに。つまりあれは自分の心の声が聞こえてしまったということなのか。
      「だから私からも言わせてください。本当にありがとうございます」
      「それとすみませんでした」
       啓護は思わず目を丸くしてしまう。何故先輩が謝罪する必要があるのか理解できなかったからだ。むしろ迷惑をかけてしまったのはこちらだというのに。
       しかし、その疑問はすぐに解けることになった。
      「本当はもっと早くにこうしなければならなかったんです……でも、どうしても怖くて出来なかった」
       その一言で全てを察することができた。
       おそらく先輩自身の過去のことを指しているのだと。
       そういえば以前、こんなことがあった。あの時は確か屋上でのことだ。あのときも同じように手を伸ばしてくれていた。その時、自分はどうして先輩に触れられることをあんなにも恐れてしまっていたのだろう。それはただ単に恥ずかしかったからというだけではなかったような気がする。もしそうなら、今も怖いだなんて思うはずがない。
       それは多分、この人があまりにも優しく触れてくれるせいだったんだろう。まるで壊れ物を扱うかのように丁寧に扱ってくれているのがわかる。だからこそ、なおさら自分の汚さが際立ってくるようで辛く感じてしまうのだ。
       そんなことを考えながら、目の前にある顔を見つめ返す。そこにはいつもと同じ優しい笑みがあった。その表情を見て安心したのか、自然と体が動いていく。
       そのまま平尾の抱きつくようにして身を預けると、平尾もまた察したようですぐに頭を撫でてくれた。その心地よさに身を委ねるように目を閉じる。
       (ああ、ようやく理解できた。俺は……これが欲しかったのだ)
       俺は先輩に抱きしめてもらいたかったのだ。
       ずっと寂しくて仕方がなかったのだ。
       それを自覚した途端、涙が流れ出してきた。
       一度溢れ出た感情は止まることはない。
       次から次に押し寄せてくる波に流されないように必死に耐えようとするけれど、とても耐えられそうにはない。
       今はただ泣きじゃくるしかなかった。そんな自分を包み込むように先輩は強く抱きしめていくれる。その優しさに甘えるように啓護は声を上げて泣いた。
       そしてどれくらい時間が経った頃だろうか。ようやく落ち着きを取り戻した啓護は顔を上 げた。まだ目は赤く腫れぼったくなっているだろうし、鼻水も垂れてしまっている。そして酷いことになっているであろうその顔面をじっと見つめられてしまい、どうにも落ち着かない気分になってしまう。
       しかし、平尾は特に気にした様子もなく微笑んでいる。
       それがなんだか悔しくなって、仕返ししてやろうとおもい、至近距離まで近づいて耳元で囁いてみる。
      「あんたも泣いたっていいんですよ」
       驚いた顔を見せてくれると思ったのだが、逆に嬉しそうな笑みを浮かべられてしまう始末。どうにも敵わないなと思いながらも、啓護は満足げな笑みを返した。

       啓護は自宅のリビングで一人寛いでいる。ソファに深く腰掛けて天井を見ながら、ぼんやりと煙草の煙を吹き上げる。それでも、以前のような虚しさは込み上げてこない。それは間違いなく平尾のおかげである。愛しい人からの力は絶大だ。これからも、鍋島啓護は煙草を吸うたびに平尾から救われたことを思い出すだろう。 #魔入間 #二次創作 #二次創作小説 #カルオペ #オペラ #ナベリウス・カルエゴ
      ここはとあるマンションの一室。
       煙草をふかしている主が再度息を吐くと、出された煙が部屋の中に充満する。
       この場所は鍋島啓護のマンションの一室でるため、煙草を吸っているのは他ならぬ啓護である。
       今日は平尾は訪れてるため、遠慮してキッチンの換気扇の下で吸っているのだが、黒革のソファに座っている平尾は嫌そうな顔をしている。
       それでも啓護は気にした様子もなく、くつろいで煙草をふかしていた。
       匂いに敏感で煙草の匂いもそれの類なのだそうで、苦手という平尾のためにタバコの臭いが充満しないよう配慮したつもりだが、換気扇でも緩和することはできなかったらしい。
       そんな啓護に平尾はため息をつくと、黙って手を差し出す。「これ、よかったら」と短く伝えると、手に持っていた袋を啓護へと差し出した。
       袋を広げて確認してみると、中に入っていたのは大量のコーヒー豆と瓶に入っているミルクだ。
       それをみて啓護は苦笑する。あの後、結局のこうした方がお互いのためだということで、このマンションの合鍵を渡していたのだが、上手く活用したようだ。
      「せっかくコーヒー豆を頂いたので、淹れてあげましょうか?」
       という問いに、平尾は首を振った。そして、そのかわりにといって渡されたものがあと一つ。どうぞと言って渡されたが、中身に見当がつかない。
      「甘いものは苦手でしたよね。なので、こちらも持ってきました」
       渡された物はチョコレートだった。
       煙草を嗜む啓護にとって甘味の嗜好品などというものはあまり縁がないものだった。
       しかし、先輩が自分のために選んだと言っていたので、たまにはこういうものもいいだろうと思って受け取った。
       平尾先輩曰く、こちらはビターチョコなのだそうだ。一口だけ口に含めてみると、確かにあまり甘くないタイプの類ではあるが、やはり自分には甘くないコーヒーやカフェオレの方が性にあっているのだなと再確認させられるだけだった。
       それでも、せっかくもらったものを無下にするわけにもいかず、何より悪い気もするので一応全て飲んでみることにする。
       それにしても、わざわざ自分の好みを覚えていてくれて、それに合わせてくれたというのは嬉しいものだ。
       そう思いながら、コーヒーを飲む。
       うん、やっぱり自分はこちらの方のほうが口に合っている。
       そして一通り飲み終えたところで、ようやく本題に入ることにした。まず最初に言っておかなければならないことがある。それは今回の件についてだ。そもそもこれは自分ひとりの問題であり、他人を巻き込むべき問題ではない。だから、この件に関しては礼を言うつもりはなかった。
       むしろ巻き込んでしまったことを謝ろうと思っていたくらいなのだから。だが、いざ口に出そうとするとなかなか言葉が出てこなかった。そんな自分が情けなく思えてきて、ますます焦りだけが募っていく。
       そんな時、ふいに声をかけられた。
      「――ありがとうございました」
       いきなりお礼を言われて戸惑ってしまう。一体なんのことだろうか? 確かに色々と世話になってしまったことは事実だし、こうして助けてもらったこともそうだ。だが、それだけなら別に礼をいう必要はないはずだ。それに今のお礼の意味もよくわからない。
      「……何の話ですか?」
       だから素直に疑問をぶつけることにした。それに対して、平尾は笑顔を浮かべるだけで何も答えようとしない。それが余計に不安を感じさせる。そして平尾の手がゆっくりと伸びてきたと思うと、頬に触れられる。少しひんやりとした感触が伝わってくる。そこから伝わる温もりはとても
      「私はあなたに助けられたのです」
       先輩が再び口を開く。そこで初めて気づくことができた。さっきの言葉は自分に言われたものではなく、平尾に向けられたものだったということに。つまりあれは自分の心の声が聞こえてしまったということなのか。
      「だから私からも言わせてください。本当にありがとうございます」
      「それとすみませんでした」
       啓護は思わず目を丸くしてしまう。何故先輩が謝罪する必要があるのか理解できなかったからだ。むしろ迷惑をかけてしまったのはこちらだというのに。
       しかし、その疑問はすぐに解けることになった。
      「本当はもっと早くにこうしなければならなかったんです……でも、どうしても怖くて出来なかった」
       その一言で全てを察することができた。
       おそらく先輩自身の過去のことを指しているのだと。
       そういえば以前、こんなことがあった。あの時は確か屋上でのことだ。あのときも同じように手を伸ばしてくれていた。その時、自分はどうして先輩に触れられることをあんなにも恐れてしまっていたのだろう。それはただ単に恥ずかしかったからというだけではなかったような気がする。もしそうなら、今も怖いだなんて思うはずがない。
       それは多分、この人があまりにも優しく触れてくれるせいだったんだろう。まるで壊れ物を扱うかのように丁寧に扱ってくれているのがわかる。だからこそ、なおさら自分の汚さが際立ってくるようで辛く感じてしまうのだ。
       そんなことを考えながら、目の前にある顔を見つめ返す。そこにはいつもと同じ優しい笑みがあった。その表情を見て安心したのか、自然と体が動いていく。
       そのまま平尾の抱きつくようにして身を預けると、平尾もまた察したようですぐに頭を撫でてくれた。その心地よさに身を委ねるように目を閉じる。
       (ああ、ようやく理解できた。俺は……これが欲しかったのだ)
       俺は先輩に抱きしめてもらいたかったのだ。
       ずっと寂しくて仕方がなかったのだ。
       それを自覚した途端、涙が流れ出してきた。
       一度溢れ出た感情は止まることはない。
       次から次に押し寄せてくる波に流されないように必死に耐えようとするけれど、とても耐えられそうにはない。
       今はただ泣きじゃくるしかなかった。そんな自分を包み込むように先輩は強く抱きしめていくれる。その優しさに甘えるように啓護は声を上げて泣いた。
       そしてどれくらい時間が経った頃だろうか。ようやく落ち着きを取り戻した啓護は顔を上 げた。まだ目は赤く腫れぼったくなっているだろうし、鼻水も垂れてしまっている。そして酷いことになっているであろうその顔面をじっと見つめられてしまい、どうにも落ち着かない気分になってしまう。
       しかし、平尾は特に気にした様子もなく微笑んでいる。
       それがなんだか悔しくなって、仕返ししてやろうとおもい、至近距離まで近づいて耳元で囁いてみる。
      「あんたも泣いたっていいんですよ」
       驚いた顔を見せてくれると思ったのだが、逆に嬉しそうな笑みを浮かべられてしまう始末。どうにも敵わないなと思いながらも、啓護は満足げな笑みを返した。

       啓護は自宅のリビングで一人寛いでいる。ソファに深く腰掛けて天井を見ながら、ぼんやりと煙草の煙を吹き上げる。それでも、以前のような虚しさは込み上げてこない。それは間違いなく平尾のおかげである。愛しい人からの力は絶大だ。これからも、鍋島啓護は煙草を吸うたびに平尾から救われたことを思い出すだろう。 #魔入間 #二次創作 #二次創作小説 #カルオペ #オペラ #ナベリウス・カルエゴ
      みそ子
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    • アナスタシオスの憂鬱オペラさんは性別不詳です。 #二次創作 #二次創作小説 #魔入間 #オペラ #ナベリウス・カルエゴ #カルオペみそ子
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