一条れなマジックショー※R-18Gではないですが人によってはグロテスクと感じる描写があるかもしれません。
問題がない方のみお読みください。
ここはとある大学の学園祭。
この大学は、東海地方のご当地アイドルとして有名なイーストオーシャンズの3人が通っていることで有名な大学だ。
キャンパスの中央に設営されているステージでは、この学園祭のために結成されたバンドがこの学園祭のために作った曲を演奏している。
その裏で、出番を待つ3人の姿があった。
「れなちゃん……やっぱアレをやるの?」
「当たり前でしょ! っていうか私元々はマジシャン上がりなのよ?」
「……実際タネのないマジックのようなものだけどね」
「こら! そういうこと言わない!」
イーストオーシャンズの3人の前の出番のバンドの演奏が終わると、MCはイーストオーシャンズを呼ぶ。
「さああのアイドルグループの2つ目の顔を御覧に入れましょう! イーストオーシャンズでーす!」
炭酸ガスが噴射され、その奥から現れるのは首輪のようなものを付けた水着姿の一条れなと、赤い燕尾服の西谷涼、緑色の燕尾服の月見里美歌が現れる。
観客はアイドルの登場に歓喜している。
一条れなの胸の大きさは公称でOカップというとてつもない大きさ、その身体見たさに来た観客もいる。
一条れなは西谷涼の服のポケットから出ているハンカチに何かすると、そのハンカチは鳩に変わり、鳩が飛んでいく。
同じように、月見里美歌の服のポケットから出ているハンカチも鳩に変え、飛ばした。
ここまでは”タネのある”マジック。ここからが一条れなの”マジック”の真骨頂だ。
ステージ中央の椅子に一条れなが座り、月見里美歌がナイフを取り出す。
観客がざわめき始める。
一条れなは月見里美歌を呼び、手の動きだけで首輪の切れ目にナイフを入れるよう指示した。
その指示通り、月見里美歌は一条れなに近づき首輪の切れ目の間にナイフを入れた。
そして、一条れなは西谷涼に自分の首を外すように手の動きで指示した。
西谷涼が一条れなの首を持ち上げると、首は身体から離れ、身体は首なしの状態になった。
悲鳴を上げる観客もいたが、多くの観客は拍手を送る。
首なしの身体は首を失っても、手を動かし続けている。これが首を失っても身体が生きていることを示す証左だった。
また、西谷涼が持つ生首も、首を外されたにも関わらず微笑んでいた。
首なしの身体が西谷涼に観客に生首を見せつけるように指示する。
表情を少し変えながら微笑み続ける生首に、悲鳴を上げる観客もいる。
観客はまだざわめいている。
「あれって絶対トリックあるよな……そうだよな!?」
「でも水着姿だぞ……実は一条れなはデュラハンだったんじゃ……」
「そんなわけないだろ……そうだろ!?」
首なしの身体が西谷涼を手招きで呼び、首が元々あった場所を指し首を元に戻すよう指示した。
西谷涼が首を元の位置に戻すと、一条れなは首輪を外した。
一条れなは首を持ち上げようとする。首が外れない。
この大掛かりな”マジック”、否”イリュージョン”に、観客は精一杯の拍手を送った。
だが、観客たちは、一切知る由がなかった。
この大掛かりな”イリュージョン”が、実は一条れなの”能力”によってなされた”タネのないマジック”であるということに……