Intro:Flaky
仕事が終わり、ダンス練習に向かう道。
この瞬間がめちゃくちゃに好き。
好きでたまらない。
大好きな人達に会いに行ける。
大好きな人達とは会社でも会えるんだけど、ダンスの教室だとお互いの好きなお話だけをしていられるからそれが嬉しくて大好き。
「……」
行き道でいつも前を通るコンビニ。
いつも気にしたことなんてないのに、今日は妙に気になってしまった。
「……コンビニか」
コンビニって色々誘惑多いからダイエット中に行くのは控えなきゃダメだしな。
って思って、出来るだけ行かないようにしてたんだっけ。
そんな時、ダンス教室の合間にした罰ゲームで買い出し役を任され、あのコンビニに行かなきゃいけなくなってしまった僕。
買い出しなら行ったってセーフ、買わないし!!なんにも買うな!!と自分に言い聞かせながらコンビニに入る。
「いらしゃま~」
久しぶりに入ったコンビニ。
やる気の無さそうな店員さん。
ちょっとかわいい。
えっと、コーラでしょ、水でしょ、と、かごにみんなそれぞらが「買ってきて」とお願いしてきた飲み物を入れ、あのかわいい店員さんのいるレジに持っていく。
「おねがいします」
「いらしゃま……お」
店員さんは顔を上げ、僕の着ているシャツを指差した。
「?どうかしましたか?」
まさか裏表逆!?だったら恥ずかし!!と思い自分の服を見てみると、店員さんが首を横に振り
「ちが、それ…バンド、シャツ…?」
と呟いた。
「?バ、バンド……」
彼の言う通り、僕が今着ている、ダンスの練習着に選んだシャツは、家族が大好きで僕自身も好きなバンドのグッズで出たシャツだった。
「!こ、このバンド好きなんですか!?」
このバンド少し前に有名になったけど、失踪する形で無くなって解散ライブもなくてめちゃくちゃ悲しくて身近にお兄ちゃん以外ファンも居ないしでこの悲しさを分かりあえる人がいなくて…。
するとお兄さんは頷き「大ファンなんです」と答えてくれた。
「あ、あと30分待ってくれる!?無理!?」
「無理…ダンス練習があって…」
「それ終わるのいつ!?や、約束しよ!?」
「わかった!!なら…い、1時間後なら!!」
「分かった!あの、駅の向かいの教室だよね!迎えに行くわ!」
そう約束してから、僕達二人は近所の公園でバンドについて語り合った。
「ギタリスト二人がなんか双子みたいで!」
「ベーシストかっこいいよね!」
「ドラムの子が頼りがいあって!」
「キーボードの人かわいい!!」
「でも、ボーカルはね…」
話すの楽しかった。
連絡先も交換したし、今度一緒に聖地巡りしようって約束した!
お兄ちゃんにもあとであの人の事言お!なんて思いながら住んでる場所に帰る。
……。
携帯にいれていたあのバンドの曲。
それを、久しぶりに聞いてみた。
僕が大好きな曲。
高い演奏力に、少し鼻にかかったハスキーなボーカル。
高校生を中心に集められた女の子達で、みんな音楽をやるために生まれたとずっと言い続けてた。
…その中でも、勘が良く、人を見るのがうまいせいか、バンドの運営を全て決めさせられ任されていたボーカリスト。
中学生で、リーダーとして、プロデュースを一任させられていたボーカリスト。
「……辛かったかな、あの子」
今の僕より年下で、ずっと、何もかもを背負わされて。
「ただ歌うのが好きなのに」と言って、ライブの度に「終わりたくない」と泣くような幼い女の子だった。
「…」
その子は今何をしてるのかな。
歌うのが好きで、好きで、仕方なくて。
死ぬ瞬間まで歌いたいと言っていたボーカリスト。
僕も、死ぬ瞬間まで踊っていたいな。
気付いたら踊っていた。
彼女の声に乗せて。
『I don't want to lose you.
検索して出た単語並べ
貴方の事引き止める為
I don't want to lose you.
I don't want to lose you.
腕の中で どうか
I don't want to lose you.
別に悪くはない結末を
ハッピーエンドだと思う為
I don't want to lose you.
I don't want to lose you.
胸の中で どうか』