キミが好きだよ〜守って 守ってあげるから〜どうぞ入って。
ちょっと、散らかってるケド……
(散らかってるってレベルじゃねえーーーーーー!!!!)
ゴミはちゃんと捨ててるから安心してネ。
確かそのあたりに座布団があった気が……
(床が見えねえっス)
適当に座ってね?
ヒッヒッヒ……
あ、えっと……お邪魔しますっス……
あ、これ、お菓子作ったんスけど、良かったら……
うわあありがとう!美味しそうだねえ。
テーブルはその盛り上がってる部分だから適当に……
お、お構いなく……。
☆
あー美味しかった!
キミが作るお菓子は大好きだヨ。
ど、どうもっス。
さて、お腹もいっぱいになったし……
よいしょ、よいしょ。
何をやってるんスか?
ぱんぱかぱーん!
ほら、ベッドが発掘されたヨ!
ベッドって発掘されるものだったんスね。
で、……するよね?
……え?
しない?
何を??
セックス。
Σ (;3Д3)
え、ごめんネ。
その気無かった?
いや!正直に言うと、ご自宅にお招き頂いた時からちょっと期待してたっス!
うわあ。キミのそーゆー素直なトコロが大好きだヨ。
でも、いきなり言われると驚くと言うか……
そ、それにオレたち、まだつき合い始めたばかりですし……
……まずはお友達から始めるノ?
いやっ!恋人から始めてもらって全然構わねえんスけど、なんか、こう……
ヒッヒッヒ
む、ムードがねえっス……
ムードなんて時間の無駄でしょ。ムード作ったってヤることは同じなんだし。
確かにそうっスけど、なんか、なんかこう……
キミはロマンチストなんだねえ。
そうじゃなくて……なんつーか……
なんつーか?
スッキリっつーか……そのためだけにあなたを抱きたいんじゃないと言うか……
スッキリする以外になんの理由があるの?
えっ
キミは、スッキリしたいから僕としたいんでしょ?
……僕も同じ。
えっ……
やだなあ、そんな、傷ついたみたいな顔をしないでヨ。ヒッヒッヒ。
……オレは……そんなつもりじゃ……
……ごめんね。
僕はこーゆー人なの。
……。
僕は、キミが思ってるような清らかで立派な透明人間じゃないんだヨ。
僕はね、キミ以外にもたくさんのヒトと……
……言わなくていいっス。
……。
あなたが過去に誰と何をしたなんて興味無いし、無理に言わなくてもいいっス。
無理してるように見える?
オレには、そう見える。
……そう。
オレが好きなのは、今のあなただから。
……。
熱い魂が感じられる演奏も、歌も。
いい加減に見えるけど人一倍努力家なところも。
……。
笑うとキレイなところも、ちょっと自分勝手でマイペースで子供っぽいところも。
全部全部……大好きです。
褒められてるんだがけなされてるんだかわからないナ。
オレは、今のあなたが好きなんです。
……アリガト。
あなたの過去に何があったかは、オレにはわからないけれど……
……。
これからは、オレと一緒に未来に進んでくれたら嬉しいです。
……。
……。
……ぷっ。
……!?
……フフフ、まるでプロポーズみたい。
ウフフフ……
プ、プロポーズって!それはまだ気が早いっスよ!
それに……笑うことないじゃないっスか……
フフフ……ごめんネ。
だけど……
……?
なんだかすごく嬉しいよ。
ありがとうネ。ワンちゃん。
犬じゃねえっス。
ああ間違えた、なんだっけ?
狼っス。
……まあ、なんでもいいや、こっち向いて。
……ん。
キスしていい?
……はい。
……。
……愛してます。
ありがとう。本当に嬉しいヨ。
一緒に歩いて行きましょう。
……どこまでも。
長い道のりだね……ヒッヒッヒ。
オレがついてるから大丈夫です。
体力には自信あるっスよ!
……ありがとう。
大好きです。
本当に、ありがとう……
☆
ぎしりと寝具が音を立てる。
壁に映る二つの影が一つになり、もつれるようにベッドに倒れ込む。そして。
優しいぬくもりが、互いを包んだ。