サメ太朗のピクニック見守り記（そのに）水族エンを出た二人は、手を繋いでガラスの大きな建物のある丘にぷらぷら歩いてく。なんか、あの建物も水槽みたい！ガラスのハコの向こうにお空と雲が見えて、なんだか雲の水槽って感じ。いい天気ダナー。

そろそろ昼飯にしませんか、ってスガナミがモネちゃんに聞く。そだねー、おなかすくよねー。ってか、今がそろそろもともとの待ち合わせ時間だからな？モネちゃんが待ち構えてくれてたことに感謝しろ？

モネちゃんが、どこか心当たりが？って聞いたら、スガナミが、これ、どうかな、って、ピクニックセットってのがあるところにモネちゃんを連れてく。なに、ヤダ、すてき！スガナミのくせに！レジャーシートまで貸してくれるなんて、至れり尽くせり！モネちゃんも、とっても素敵です！って頷いてて、そのリズムで僕の入ってる紙袋も揺れる。ねー！すてきだね！スガナミのくせに！

注文を終えたスガナミとモネちゃんが、早速借りたレジャーシートを持って公園のはらっぱに行く。残念ながらブランコもすべりだいもなかったけど、ちょこっと桜が残ってて、はらっぱは広々気持ちよくて、うん、とってもいいピクニック日和！二人は、どこにしよっか、なんて会話をしながら、半分木陰になるところにレジャーシートを敷いた。

モネちゃんが僕を紙袋から出してくれて、レジャーシートの上にのっけてくれた。ふいー、ヒレがのばせて気持ちいいよー。心の胸ビレでのびをしてたら、海からの風がモネちゃんの髪を揺らしついでに僕の背ビレも揺らしてった。スガナミのくせっ毛が風でてんでばらばらな向きになっちゃって、それをモネちゃんが笑ってなおしてあげてる。そんでスガナミはとってもきもちよさそう。なんだそれ！ばくはつしろ！

もー、お外の解放感でモネちゃんもスガナミおかまいリミッター解除してるし、スガナミもモネちゃんに思う存分あまえっこしてる。フカー！

スガナミの髪をなでながら、モネちゃんがスガナミに、ピクニックセットのことを知ってたのか、って聞いてる。ねー。スガナミがこんな素敵なの知ってたなんて、にわかには信じがたいもんね。ホホジロザメが東京湾に出現するレベルで信じがたい。でも、何かモネちゃんと一緒にお出かけするのによさそうなとこって探して、（結局、水族を見るわけだけど）いいところ見つけて、ピクニックできるな、って思ったスガナミは、ほんと成長したよなー。そんでモネちゃんにおべんと作って、なんて安易に言わないのもいいな、って思う。

モネちゃんだって、頼まれたらとってもはりきっちゃうだろうし、そんなモネちゃんもきっとかわいいけど、でも、スガナミはモネちゃんがお仕事とかいろんなことに一生懸命なの知ってて、それを大事にしたいって思ってるんだよなー。スガナミめ！モネちゃんもスガナミが一生懸命考えた事とか、思ってる事をしっかり受け止めて、そんで嬉しそうに笑ってる。もー、モネちゃんにこんなかわいい顔させちゃうんだもんなー、スガナミめ！

にしても、大きなレジャーシートですねぇ、ってモネちゃんが、スガナミに寝転んでみてください、ってお誘いしてる。スガナミがゴロン、ってしたら、ほんとにおっきいレジャーシートなもんだから、スガナミもうまいこと寝ころべちゃった。そんで、寝ころべましたね、って自分をニコニコ見下ろしてるモネちゃんをバッチリ見上げちゃったスガナミが、あまりの可愛さに両手で顔を覆ってる。やーい、ふいうちうけてやんの！そんな普段見ないアングルの青空の下のモネちゃん、かわいいに決まってんじゃん！油断大敵！ばくはつしろ！

スガナミに心の胸ビレを振ってツッコミをいれまくってたら、モネちゃんが僕をスガナミのおなかの上に乗せてくれた。わーい。スガナミのおなかの上、ひさしぶりー！昔、東京のスガナミんちにいたときは、たまにベッドの上でごろんってしたスガナミがおなかの上にのっけてくれたりしてたんだよねー。ジンベエくんなんかが、いいなーって言ってたけど、これはまぁ、やっぱり、ぬいのとっけんってやつだよねー、なんて。

はー、ひさしぶりのスガナミのおなか、おちつくー。モネちゃんのだっことはまた違ったやすらぎがあるよねー。なんか、おなかが前よりやわらかくなった気もするけど、どうかなー、気のせいかなー。気のせいだといいなー。もうスガナミもチューネンにこくいっこくとせまってるからなー、ゆだんたいてきだなー。

はー、それにしても、スガナミのおなかの上でごろごろシャークしながら背中ぽんぽんしてもらって、そんでスガナミはモネちゃんに頭撫でてもらってて、こりゃー、いい時間だなー。って思ってたら、なんか寝息が聞こえてきた。あー、スガナミ寝ちゃったよー。おネムだったのかー。またどうせ、夜更かししてたんだろなー。だのに、モネちゃんに会うのに待ちきれなくて、約束の2時間前に東京駅に着くんだもんな。そんで、こんな気持ちいい青空の下で、モネちゃんに頭ナデナデされて、すてきなサメぬいをおなかにのせてねっころがってたら、そりゃ寝ちゃうってもんだよー。

そんでまた、寝ちゃったスガナミを見つめるモネちゃんのまなざしのやさしいこと、やさしいこと！もー、モネちゃんもばくはつちちゃうんじゃないかな、だいじょうぶかな。モネちゃん、これ、ただの寝てるスガナミだからね？！

しばらくしたら、ピピー！ってピクニックセットができましたよーってご案内のベルが鳴るけど、モネちゃんがさっ！と切る。アオザメかな？ってぐらいめちゃくちゃ素早い。スガナミを起こさないぞ！って言う決意に満ちた感じ。

僕の背中をぽんぽんってなでて、先生をよろしくね、って僕にスガナミを任せていく。まっかせて！スガナミのおなかは僕がまもるよ！

心の胸ビレを振ってモネちゃんをお見送りしてたら、スガナミがムニャってなりながら、寝返りをうった。あがー。僕はスガナミのおなかからすべりおりちゃって、そんでもスガナミは僕を抱っこしてるからレジャーシートとスガナミの腕のあいだ。もうちょっと寝かせておいてやるかー。フカー。

レジャーシートにおっこちたから、スガナミの寝顔がよく見える。なんか、ちょっと見ない間に、オトナっぽくなったなー。いや、昔からもういい大人なんだけど、なんていうか、こう、カンロク？がついた？みたいな。モネちゃんが、いつも、先生はひとりで地域のお医者さんを頑張ってるって言ってるけど、それで、なんか変わったのかなー。すごいなー、ニンゲン、いつまでも成長だなー。

スガナミの寝顔をフカフカみてたら、モネちゃんが紙袋を持って戻ってきた。寝返りを打ったスガナミをみて、くすって笑う。ねー、スガナミ、ねがえっちゃったよー。あ、別にうらぎったってわけじゃなくてね？物理的にね？てか、スガナミがモネちゃんを裏切るなんてこと、絶対にないから！それはサメに誓う。あと、カシオミニをかけてもいい。

もうちょっと寝かせてあげようね、ってモネちゃんが笑いながら、僕の吻をつつく。モネちゃん、やっさしー！ねー、こんな青空の下のスガナミの寝顔、キチョウだもんね！

モネちゃんは、小さく鼻歌を歌いながら、さっき買ったシュモクザメの模様の布をひろげて、そんでもってきたピクニックセットをひろげだす。おいしそーなホットサンドイッチに、熱々のから揚げとかおかず！うわー！ごちそう！

さて、とモネちゃんがスガナミを起こそう、って意を決した顔をする。うんうん。届いたご飯はおいしいうちに食べたいもんね！

モネちゃんがそっとスガナミの肩に手を置いて、声をかけようとしたとこで、スガナミがムニャって寝言を言う。
「ながうらさん…ももねさん…」
っておぉい！どんな夢見てるんだ？！モネちゃんとデートしてて、そんで夢の中でもモネちゃんに会ってるってか語りかけるって、どんなけモネちゃんのこと考えてるんだよぅ。マジでスガナミの中にはお医者さんとモネちゃんとサメしかないんだな。

いつも、『ながうらさん』って呼ばれてるモネちゃんが、真っ赤になって硬直してる。ねー、『ももねさん』なんて、普段呼んでないアンド呼べてないのにねー！てか、ここで『モネちゃん』とかじゃないのがまたスガナミだよね。多分、みんなと同じ呼び方はヤだ、とかなんとかミョーなドクセンヨクをハッキして、そんでもモネちゃんをナガウラさんから別の呼び方にしたいもんだから、『ももねさん』って思ってるんだ、きっと。

ってか、そう呼びたいならさっさとそう呼べばいいのに、まだ、ナガウラさんなんだもんなー、ホント。なーんて、スガナミがモタモタしてる間に、すっかり僕はモネちゃんのこと、モネちゃんって呼んでるけどね！

そんでもってそのモネちゃんは、ふいうちのスガナミの寝言にまだほっぺ赤くしてコーチョクしてる。
おーい、モネちゃーん！これ、ただの寝てるスガナミだから！ももねさんってまだ寝言でしか呼べないスガナミだから！しっかりしてー！

もー、ほんと二人とも世話が焼ける！