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    鮫愛づる姫君:その八(前編) 桜花の枝からさざめき散る淡雪が、白光の帳を長い黒髪へと降ろす。細(さざ)らかな錦糸を伝う春の波音は少女の睫毛を薄藤へ染め、夜半の泉は白百合の掌へ開かれる。
     ホオリは椅子に座したまま、瞳を浅く開いて前を見つめた。金粉の舞う陽の香へ匂い立つ白木の廊が、群青に傾いだ銀星の彼方まで続いている。廊の周りには星影に澄む縹の清水が満ちており、所々に萌葱の蓮が蕾と佇むばかりで、動く物の影は何も無い。ただ、氷晶の鐘を真珠貝の槌で凛と打つような、清(すず)らかな月白の音が、天の果てから夜のほとりにせせらいでいるのみだった。
     ここは一体どこだろうか。桜花に織られた記憶の欠片でも、常冬に凪ぐ白亜の部屋でもない。ましてや数多の石英が純白の鱗に煌めく、龍の夢降ろしの間とも違う。ただ、夕星(ゆうづつ)に通う天の階(きざはし)が、唐突に眼前へ開かれたような。それでいながら、産まれ落ちた時から瞳の泉に在り続けていた玻璃の楼閣に、ようやく指先が触れたような。奇妙な既視感が泉の水面に雫を落とし、睫毛を伏せた少女の影に波紋を描く。
     とりあえずは、目の前の廊を歩むほか無さそうだ。そう結論付け、ホオリが椅子から立ち上がった時だった。雪造りの白い踝へ金春(こんぱる)の羽衣がはためいたような感覚に、少女は目を丸くする。
     体が、軽い。身のどこにも痛みが罅走ることはなく、熱に侵された気怠さが喉を暗赤色に燻すこともない。昨日まであれほど猛り狂う病魔の蹂躙に耐えていたというのに、まるで朝焼けに煌めく白露に、魂の水底まで濯がれたような心持ちだった。
    少女は一歩、足を踏み出す。ほのかな桜色に染まった六花の爪先が廊に触れれば、白木の道が金の波紋を描き、東雲に息吹く截金紋様を最果てまで描き出す。このまま身を動かせば、この金春の軽やかさは天の果てへ飛び去ってしまうのではないか。ほんの束の間、そのような恐れが泉の水面を揺らしたが、それも歩を進めるうちに清水の底へと消えていった。代わりにホオリの胸を満たしたのは、翠雨を誘う薫風に、淡紅の蕾が瑞々しく開くような喜びだった。
    軽やかに道を歩む少女の足は、やがて截金紋様に桜花の花弁を零す舞へと変わる。爪先がくるりと円を描けば、純白の衣が白木の廊にふわりと広がり、薄絹の裳裾が銀星を透く雪融け水を宙に撒く。春暁の指先に煌めく雫は、蓮華の蕾に光を落とし、縹の水鏡に数多の波紋を描いた。さざめく水面に呼応するように開いていく蓮華の蕾に、少女は花笑む琴の音を零す。
    いつのまにか截金紋様の刻まれた白木の廊は、鮮らかな紅白の敷き瓦へ変わっていた。行き交う青海原の眷属が、ホオリの姿を見ると暖かな笑みを浮かべて礼を述べる。浅緋の衣を着た采女が駆けてきて、今年産まれた赤子に祈りの言葉をかけてほしいと願われて快諾すると、赤子に袖を握られる。そのまま祈りの言葉をかけると、とても嬉しげに赤子が笑うので、ホオリもつられて頰を緩めた。海幸宮で潮満と隣り合って座り、浅緑に芳しい白扇曙射仰を服しながら近況を語りあった。ヒシコと共に銀鱗の節会の舞台で舞い、瑠璃の御旗の下で笑い合った。寄り添って佇む父母に、そっと頭を撫でられた。姉と抱擁を交わした。風に楽の調べが息吹くことはないけれど、世界は円(まどか)な美しさに満ちていた。
    道を歩み続けた少女は、やがて小さな丘の上に見慣れた姿を見つけた。群青の背に靡く、白銀の長髪。常闇を裂く刃の切っ先めいた巨大な背鰭は、今はただ夜明けの風に撫でられている。自らに足早に駆け寄るホオリを、ヤヒロは緩やかに振り返った。乳白色の花々が藤色の微睡みに揺蕩う中、少女を見つめる金の瞳は穏やかに微笑んでいる。異形は唇を微かに開くと、朧月に散る桜花の花弁に囁くように、優しくホオリの名を紡いだ。
    ホオリはヤヒロへ手を伸ばす。そうして、指先が群青の頬へ触れる前に気が付く。

    ああ、これは夢だ。
    紛れもなく、己の夢なのだ。



    淡紅の花弁が白檀の香に零れゆくように、中紅花(なかくれない)の袖に綴られた金の蓮華が現に煌めく。
    ホオリは自室の扉に、そっと手をかけた。鈴の音が金の波紋を宙に描き、開かれた室内を少女の瞳に映し出す。朝露に澄む薄藤の天から白む光を帯びながらも、黄朽葉色の巻物が整然と居並ぶ書棚や、白木に螺鈿の桜花が施された琴は、常と変わらぬ穏やかさをもってそこに在る。乳白色の微睡みめいたその穏やかさはだが、常ならば包み込むことがない者まで、今日はその波を寄せているようだった。ホオリは窓辺に座した影の名を呼びかけ、思わず目を丸くする。

    (まあ)

    早朝の陽射しに白銀の髪を照らされた異形は、金の両眼を閉ざしていた。銀の睫毛が微動だにしない様は、明け初めし夜に影を落とす、群青の彫像めいている。だがその輪郭に兆すのは、朧月の残光に霞む灰簾石(かいれんせき)ではない。凪いだ泉に雪融け水を濯ぐ、さざらかな金春の清流が、微かな吐息に暁を解くように流れている。どうやら、眠っているようだった。ホオリは瞳を瞬かせながら、ヤヒロの顔を見つめる。

    (こんなところで眠ってしまうなんて、珍しい。疲れているのかしら)

    宮を出る刻限まで、まだ時はある。それまでは、微睡みの調べを絶たずにいよう。少女は瑠璃の貝殻めいた瞼に、穏やかな微笑みを注ぐ。そうしてヤヒロが目覚めるまで、ホオリは彼の傍らで待つことにした。未だ楽の音は遠い。薄紫の大気に織られた六花が、夢幻と現世の狭間をたゆたうように、少女と異形の間に白銀の錦糸を紡ぐ。
    ほのかな縹色を帯びた糸は、少女の小指へたおやかに結びつく。白い指に煌めく八重の結び目は、夜半の泉に朧月の追憶を奏でる。水面に微笑の凪を湛えた、穏やかな金の瞳。散りゆく桜花を澄んだせせらぎへと掬い上げる、低く優しい群青の囁き。伸ばした手に微かに触れた、月光の滝の一筋がごとき、柔らかな銀の髪。薄藤を帯びた乳白色の花々と共に、遠く途切れた朝露の幻に、ホオリはそっと手のひらを閉ざす。

    (あれは、叶えてはならない願いだわ。胸に秘めておかなければ。……だけれど)

    八重の結び目が解ける。夢幻の錦糸が銀粉を撒いて宙へと消えていく中、ホオリは静かに睫毛を伏せた。

    (とても……とても、美しかった。叶えられないとしても、叶えてはいけないとしても。例え幻であったとしても、瞳に映すことができた。……それに)

    眠る横顔へ眼差しを向ける。昇りゆく陽に鮮らかさを増す群青の鱗は、泉に映る朧月を水縹へ澄む玉石へと紡ぎ直す。ホオリは薄藤の泡沫へ霞むことのない輝きを、今一度胸に抱くように微笑んだ。

    (こうしてヤヒロは、わたくしの傍らにいてくれている。姉上も、みつ兄様も、ヒシコも。ムツハナも、シラフネも、父上や母上も、カサイ殿もまた、わたくしに心を傾けてくれている)

    翡翠の腕輪が、淡紅の花弁に煌めく。

    (何物にも代え難い、尊きことだわ。今はその心に、応えねば)

    少女は黒い瞳に力を込める。そうして、窓の外へと顔を向けた時だった。不意に、夜風が頬を軽く撫でるように、着物の袖に何かが触れる。驚いて視線を落とすと、袖の下に三日月の尾鰭が僅かに揺れているのが見えた。次いでくつりと喉を鳴らすような笑い声に顔を上げると、こちらを見つめる金の瞳に気が付く。

    「起きていたの」

    ヤヒロは目を細めた。弦に舞い落ちた淡紅の花弁を爪弾くように、琵琶の音が愉しげに響く。

    「お前が俺を見ている時の気配が、興味深かったからな。珍しい書を見つけた時と、似たような気配だった」

    淡紅の花弁は、ほのかな朱に染まる。ホオリは少しヤヒロから視線を逸らすと、口元を袖で隠した。

    「もう、意地悪」

    拗ねたように呟く。そうして少女は、髪に編まれた真珠に金板の音を映すように、軽やかに笑った。 
    和迩家創祀記を託されたあの日から、月日は流れた。四季の繊手に漣立つ水盆は、三度の円を巡って紅梅に香る。黒漆の縁に彩光を帯びる金の牡丹唐草は、少女の影に軌跡の水泡を昇らせる。
    ムツハナとシラフネは、玻璃の身に白藍の灯を射すように、幼体から成体へと成長した。潮満は塩椎に代わり、冨亀家当主の座を継いだ。ヒシコは変わらず山幸の宮へ潮満からの文を届ける務めを果たす傍ら、近況を楽しげに語り聞かせてくれている。
    ホデリは以前よりも物静かな印象が増した。日嗣の御子としての務めが本格的に始まったことや、時折瑞書倉で何かを調べている様が、瞳にそう映っているのかもしれない。だが、金粉を撒く小鈴の煌めきはそのままに、満天の星に澄む快活さは花緑青の香を増して、青海原の全てを照らし出していた。
    そしてホオリは、齢十一を迎えていた。病魔は癒えることなくホオリの身に触手を蠢かせているが、近頃では三日三晩魘された後も、すぐさま寝台から身を起こせるようになっていた。だからこそ。ホオリは今、銀鱗の節会で纏う衣を身につけて、鏡の前に座している。
    望月の青い明(さや)けさを、鮮緑の華紋に歌う真珠色の上衣。金の蓮華が綴られた、中紅花(なかくれない)の袖。波濤を曙へ染め上げる天輪の真紅と、桂の葉から滴り落ちる翠玉の常盤緑が、万彩の階(きざはし)を織りなす裳。常とはまるで異なる姿の己の姿は、少女の心に奇妙な細波を描き出す。

    「珍しいな。お前がそうも己の姿を見つめるとは」

    群青の声に、紅の引かれた眦が緩む。桐箱を手にした背後のヤヒロに、ホオリは柔らかく言葉を返した。

    「考えていたの。装いを変えただけで、まるで己とは全く違う者になったかのようで」

    夜半の泉に蓮華の虚像が揺らめく。ほのかな憧憬に眇められた眼差しは、両手を添えた膝へと落ちる。

    「けれど、違うわね。装いを変えただけで、己と異なる者にはならない」

    純白の魔封じの長布が巻かれた指先に、力が籠る。ホオリは決然と顔を上げると、虚像の花弁へ緋色の鏑矢を射るように、鏡を見つめ返した。

    「わたくしは、わたくしであるまま、この衣に見合う者でなければならないわ」

    金の瞳が緩やかに瞬く。張りつめた弓弦に指先を添える声色が、琵琶の弦に言葉を紡ぐ。

    「それは、人間の美に纏わる心情か」

    群青の影から舞い落ちた金粉は、番(つがえ)られた矢に真白の六花を散らす。桜花を焚べる緋色の焔を、白縹に濯ぐ銀雪の響きに意表を突かれ、少女は背後の異形へ問い返した。

    「人間の美?」
    「ああ」

    ホオリは僅かに面差しを傾げた。流れる黒髪が鮮緑の華紋を伝い、純白の長布が巻かれた指先へ揺れる。

    「そうね、そうともいえるかもしれないわ。美しさというものは確かに、そこに在るだけできらきらしく、見る者を照らす言葉でもあるから」

    満天の星を鏡の彼方へ微笑む少女に、夜闇を纏う金の瞳は細められる。

    「そうか」

    ヤヒロは鏡台の傍らへ桐箱を置くと、鏡越しにホオリを見つめた。焔を鎮めた銀雪の音が異形の瞳に月光を戴き、星河の果てへと言葉を綴る。

    「姫。俺は人間の美について解することはないが。かの概念が何を伴っているのか、推測することはできる」

    白木に刻まれた火炎宝珠の金印が煌めく。少女の鏡像に滑り落ち、虚を漂う蓮華の花弁が、奏される琵琶の弦から群青に息吹く。

    「かつては、己が体に肉を蓄えている人間こそが美とされた。だが今は、痩身であることこそが美とされている」

    夜風を纒う低い声は、弦の調べに紺碧の花々を編む。古を伝う蒼月の花弁は、闇に尾を引く海蛍のように、青い燐光を散らしながら銀の水面を滔々と流れゆく。

    「青海原が平定されるまでは、全ての種族に充分に行き渡るだけの食物が無かった。ゆえにこそ、体に肉を蓄えていることは豊かであることの証だった。今日はそうした事象も解消され、痩身であっても生き延びることが出来る。それこそが豊かであることの証だと」

    凪を湛えた金の瞳に、幻魚の影が揺らめく。

    「つまりは時の流れに応じて、人間の繁栄の証もその姿を変えているということだ」

    異形の手から紡ぎ出された花影が、少女の鏡像に舞い落ちる。細波立つ銀の鏡面が、額に刻まれた菊に雫を散らす。

    「ゆえに俺は。人間の抱く美という概念は、己が種の繁栄への崇拝であると推測している。そして人間が美という概念を崇め奉り、祈るのは。己が種の、未来へ抱く願いがあるためだと」

    琵琶の弦に奏される問いが、水面に金の墨を溶かすように波紋を広げる。

    「お前は。己が民の願いに応えられるか、不安なのか」

    紺碧の花弁は、桜花の唇へと触れる。水底の砂を掬う問いに、少女は小さく息を飲んだ。だがこちらの言葉を待つ眼差しに、少女は一拍の躊躇いを挟んだ後、ぽつりと声を零す。

    「ええ。正直に言ってしまえば……少し、不安で」

    ホオリは目を伏せた。菊の雫が滴る睫毛の影で、真紅の彼岸花が揺れる。

    「近ごろは、身の調子も良くなったけれど。病が癒えたわけではないから。わたくしの今の見た目は、別人のようだけれど、わたくしの魂は……わたくしのままだから」

    竜宮王家は青海原の象徴であり、礎だ。ゆえにこそ、一年の厄災を祓い、青海原の繁栄を願う銀鱗の節会には煌びやかな装いをし、民の前へ姿を現す習わしとなっている。自分たちの営みが健やかで幸福なものであるよう願う、民の願いに応えるために。リュウグウノツカイに座した姉姫の姿が、瞼の裏に眩く映る。

    「この衣に見合わないまま、儀に出れば。きっとわたくしは、みなの心の安寧を脅かす。それは、あってはならないことだから」

    膝の上に揃えられた両手が握り締められる。口の端を結んだホオリに、ヤヒロは目を細めた。真紅の霧に滲む万彩の階へ、再び琵琶の弦は奏される。

    「そうだな、お前はお前だ。魂は己ただ一つのものであればこそ、その意味を確かに持つ。ゆえにこそだ。お前が抱く望みもまた、お前の魂を形作るものに他ならない」

    ホオリは瞳を瞬かせた。

    「わたくしの、望み?」
    「そうだ。お前の望みだ」

    ヤヒロは淀みなく言葉を続けた。霧深い夜を駆ける清流の響きが、揺蕩う紺碧の花弁に灯を燈す。紺碧の灯火はやがて銀の水面を巡る群青の星と化して、水影の彼岸花を照らし出す。

    「想いは考えの、考えは行いの礎となり、その者の在り方を決めるもの。そして望みは想いの水底に流れ、魂はその者の行いにより表れる。すなわち、魂は望みの果てに存在する」

    叢雲を断つ剣の眼差しで、異形は少女へ問いかけた。

    「姫。今のお前は、その衣に袖を通して何を望む」

    ホオリは視線を膝の上に落とした。中紅花の袖が、僅かに衣擦れの音を立てる。金の蓮華は泉に揺籃を描き出し、煌めく翡翠の衣にざわめく民の姿が反響する。天輪の似姿に照らされ、歩む道へ暁星を兆すその響きは、萌黄の葉が東雲へと出づる、伸びやかな喜びに満ちていた。
    ヤヒロの告げた通り、魂はただ一つのものであればこそ意味を成す、かけがえのないものだ。そしてあの歓声の一つ一つに込められた願いもまた、今生にかけがえのない、唯一の意味を為している。
    真紅の霧が晴れていく中、ホオリは自らの鏡像へ顔を上げる。そうして揺るぎのない眼差しで、綴る一節一節を桜花に綴る。

    「民の幸福を。安らぎを。遍く眠りに、白波の寄せる良き夢を」

    綴られた言葉は琴の弦を奏で、少女の眼差しに曙光の階を拓いていく。ヤヒロは握りしめられていた両の手が解かれたのを目にすると、緩やかに瞬きをした。剣は黒檀の鞘に納められ、凪いだ水面に淡紅の花弁がそよぐ。

    「ならばすでに、その衣はお前の身に馴染んでいる筈だ。あとは」

    ヤヒロはホオリの瞳を見据えた。

    「微笑んでみせろ。例え今日、お前が民の前に立ち、怯えの眼差しを向けられたのだとしても。お前の祈りそのものは、青海原の眷属から否定されるべきものではない」

    ホオリは浅く目を見開いた。瑠璃の腕輪に彩光が弾ける。玉石を伝う仄かな温もりが、寄せては返す白波のように、胸中を星々の輝きで満たす。ホオリは柔らかく微笑んだ。

    「うん。ありがとう、ヤヒロ」

    ヤヒロは瞬きだけをホオリへ返す。それ以上連ねる言葉は何も無かったが、それだけで充分だった。
    やがて室内に、鈴の音が響き渡る。この部屋に閉ざすのではなく、外への階を築く始まりの音だ。迎えに現れた采女たちは、皆一様に鮮らかな浅葱や縹色の衣を纏っており、青海原を揺蕩う波の調べが、真白の室内へ寄せたようだった。
    桐箱を手にしたヤヒロは、仮面を被るように人間の微笑を模倣する。群青ではない、穏やかな薄藍の声音が喉から紡ぎ出される。

    「では、我が君」

    ホオリは柔らかく目を細めた。桜花は銀鱗に咲き誇り、歩む道へと淡紅の香を紡ぎ出す。

    「ええ、ヤヒロ。参りましょう」
    ほるん Link Message Mute
    2022/09/01 22:00:43

    鮫愛づる姫君:その八(前編)

    #オリジナル #創作 #少女 #人外

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