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朔羽ゆき
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小説挿絵『桃紅柳緑』
『桃紅柳緑──アイツが俺を嫌いな理由と、俺がアイツのことが気になる理由──』著・当麻咲来さん
https://estar.jp/novels/24931169
P257~ 『番外編2・月は東に日は西に』
挿絵描かせて頂きました。
https://estar.jp/novels/24931169/viewer?page=257
*****
もっと、欲しい。
全部手に入れたい………。
でも、一番欲しいのは、アキの心だから。
一瞬俺の瞳を捉えるアキの瞳は、
夜露に濡れたように、やわらかな光を放つ。
彼の瞳の中には、どこか不安そうな自分が映っている。
だけど、こんなに幸せそうな顔をした男を、
俺は見たこと無い……。
すべてを包み込むような温かい夜の帳に満たされて、
とくん、とくんと、甘い鼓動が熱を上げていく。
ふとアキがふわりと唇をほころばせ、
温かい笑みをこぼす。
****
小説お借りしています。
#オリジナル
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#BL
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#高校生
#小説挿絵
#小説
朔羽ゆき
2
小説表紙『放課後は大人時間』
小説『放課後は大人時間』
著・晴れ時々猫さん
https://estar.jp/novels/25727974
小説表紙描かせて頂きました。
*****
「ほとんど氷ねぇんだけど……。てか、そういやコーヒー飲めるか?」
柄沢さんに尋ねられ、ちょっとムっとした。
「飲めますよ」
言い方が、好き嫌いの話じゃなく、子ども扱いするような言い方に聞こえたから。
**
コーヒーを持ったまま僕は自転車のスタンドを蹴り上げ、サドルに跨った。
もう映画を見に行く! 僕は気分を害した!
そんな僕に、二人は顔いっぱいの笑顔で、「気を付けて帰れよ!」って手を振ってくれる。
……そうなんだよ……、腹立つんだけど、やっぱりいい人達なんだよ。
それでもぷいっと顔を背かせてペダルを踏みこむと、背後から「柄沢が怒らせた~!」って二人で大笑いする声が聞こえて、「今度は最初からカフェオレ奢ってやるから!」と極めつけの一言を頂いた。
「絶対いらない! バーーーーカ!!!!」
叫んで、全力で自転車をこいだ。
嫌いだ! 柄沢さんなんか、大っ嫌いだ!
****
小説お借りしています。
#オリジナル
#創作
#オリキャラ
#BL
#表紙
#小説表紙
#高校生
朔羽ゆき
2
小説表紙『猫人紳士な魔法使い〜BLゲームの世界にトリップしたようです〜』
小説『猫人紳士な魔法使い〜BLゲームの世界にトリップしたようです〜』著・アヤさん
https://www.alphapolis.co.jp/novel/127149028/981382227
小説表紙描かせて頂きました。
(小説コピーできなかったので・・説明文から文章頂いています(^-^;
****
異色のBLゲームが発売された。主人公は魔法学園の生徒に召喚される使い魔。ステータス、魔法、特殊スキルが重要視されて、バトルに勝利することで恋愛イベントがおこる。あまりの難易度の高さにプレイする人が減り、発売して数ヶ月で生産終了となった。ゲームを手にした猫人族の青年がいて……。
#獣人
#オリジナル
#創作
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#BL
#小説
#小説表紙
#表紙
#ファンタジー
朔羽ゆき
小説挿絵『桃紅柳緑』
小説
『桃紅柳緑──アイツが俺を嫌いな理由と、俺がアイツのことが気になる理由─』著・当麻咲来さん
https://estar.jp/novels/24931169
P231~【第十四章 (14)】
挿絵描かせて頂きました。
https://estar.jp/novels/24931169/viewer?page=231
***
「アキ……好きだ……」
俺をおかしくさせる、闇を映した漆黒の瞳をまっすぐに見つめる。
もう何度目かすらも忘れた告白を繰り返す。アキは一瞬困ったように視線を揺らした。
「……慶は、ほんま阿呆やな……」
そう言いながら、ゆっくりと艶やかな睫毛を揺らしてまばたきをし、睫毛の縁にたまった涙を、ポロリとこぼす。
そっとその頬の涙に唇を寄せる。苦くてしょっぱいその味は、アキが今まで一杯、流してきた涙の味だ。
「阿呆でもいいよ……」
俺がそっと覗き込んだアキの瞳は、すごく優しい色合いだった。
「阿呆でも、好きな人の涙ぐらい拭えるし……」
もう一度、今度は涙で潤む目元にくちづける。
「阿呆でも、アキが好きだし。阿呆でも、アキのこと護ってやりたいし……」
囁きながら、その男子にしては紅い艶めいた唇に視線を落す。一瞬ためらってアキの瞳を見つめる。ふっと艶やかに、でもどこか優しげに笑って……アキが瞳を伏せる。
「まあ、阿呆でも……」
アキが瞳を伏せたまま、呆れたように囁く言葉が、艶めいた唇の中で小さく吐息としてもれた。
「俺も……」
小さく唇に柔らかい笑みが浮かぶ。
「……慶が……」
言葉にならず、唇が形だけで言葉を紡ぐ。我慢の効かない俺は次の瞬間、触れ合った唇でそれを感じる。微かに動く唇は……。
「……好きや……」
って囁く形を……していると、
……俺は、そう思った。
****
(小説お借りしています。
#オリジナル
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#小説
#小説挿絵
#創作
#高校生
朔羽ゆき
2
小説表紙『雨やどり』
小説『雨やどり』著・kotaさん
https://estar.jp/novels/25092045
小説表紙描かせて頂きました。
****
恭介の顔を見るまではただただ雨が怖いだけだったのに、顔を見たら、安堵と寂しさが決壊した。
わんわんと子供の声を震わせて涙を流す朔太郎の手を、今より随分と小さな恭介の手がぎゅっと包み込んでくる。
「朔……、おじさんの代わりにはなれないかもしれないけど、雨が止むまで、俺がずっと一緒にいるから」
――あぁ、なんで俺は、こんな大切な思い出を忘れていたんだろう……。
8歳の朔太郎の中の18歳の意識が、安堵や寂しさから離れた別の場所で愛おしそうに目を細める。
この日以来、雨の日には恭介がうちに泊まるか、恭介の家に朔太郎が泊まるのが、二人の中の暗黙の約束ごとのようになった。
そして、眠る前には、いつも恭介がおまじないを唱えてくれた。
――雨が止むまで、俺がずっと一緒にいるから、と……。
そんな夜を繰り返すうちに、いつしか朔太郎は雨の夜が怖くなくなっていた。むしろ恭介と一緒に過ごせる雨の日を、心のどこかで楽しみにしていた気さえする。
****
小説お借りしています。
#BL
#表紙
#オリジナル
#創作
#オリキャラ
#高校生
朔羽ゆき
2
小説表紙『My Honey』
小説『My Honey』著・晴れ時々猫さん
ANNADOLシリーズ⑤
小説表紙描かせて頂きました。
https://estar.jp/novels/25712905
*****
「綺麗だと思うよ……、アイドル顔のあんた」
講師の声が……全然頭に入ってこない。
藤堂の真剣な瞳から、目も逸らせない。
「けど、俺には綺麗すぎるな。そうやって怒ったり焦ったりしてる方が、俺はずっと好きだぜ」
こんな事を言う人間は……菊池以来だ。こんなに早く僕を見抜いた人間は、かつて居ただろうか。
……うそだろ?
「水曜、暇?」
「え……?」
突然の誘いに僕の思考回路が瞬時に追いつくわけもなく、藤堂が乱暴に言い直す。
「2日後、暇かって聞いてんの」
「ぁ……、いや」
いや、と咄嗟に答えたが、"しまった"とこれまた咄嗟に後悔した。ここは「予定がある」と言わなきゃならないところだろう。
どんなお誘いが繰り出されるのだろうと身構えてみたが、藤堂からのお誘いはこれまた意味不明なものだった。
「もし暇なら美術部のアトリエに来いよ」
****
(*小説お借りしています。
#オリジナル
#創作
#オリキャラ
#BL
#小説
#小説表紙
#表紙
#アイドル
朔羽ゆき
小説『勇者だった俺は今世こそ平凡な人生を歩む!』
小説『勇者だった俺は今世こそ平凡な人生を歩む!』著・りおさん
https://estar.jp/novels/23984425
P830~ 『兄の虚実』(7)
挿絵描かせて頂きました。
https://estar.jp/novels/23984425/viewer?page=830
****
――弟が学園に来ても、もっと冷静に対処できると甘く見積もっていた。
(とんだ誤算ですよ)
だが予測していてしかるべきだった。
昔から――この弟にはさんざん振り回されていたのだから。
入寮からこっち、島に着いて早々に騒ぎを起こし、反省房入りし、ちょっと目を離した隙に死にかけたり、新聞沙汰になったり、急所を締められたりと落ち着く暇もなく次から次へと冷や冷やさせられ通しで心の休まる暇もない。
まだ入学から二か月弱にも関わらず、騒動に巻き込まれ過ぎである。
おまけに裏風紀にまで勝手に所属する始末だ。あんな苛酷で人使いの荒いブラック組織になぜ自ら望んで関わろうとするのか理解不能である。せめて一言相談があっても良さそうなものなのに、事後承諾だったのも腹立たしい。
平凡に、目立たず騒がず大人しく生きたいなどと、どの口が言うのだ。まるで真逆ではないか。
そんなきかん坊な弟にお灸を据えるのは、兄として当然の権利である。
「……さて、お仕置きの時間だよ、翔」
無抵抗の弟に圧し掛かる自分は、きっと清廉さからはほど遠く、いっそ悪辣にすら見えるだろう。
『天地開闢の祖にして全知全能を司るリリスリアージュ=サイレンシス=カシアス=ル=エンジューンよ。我の祈りに応えたまへ』
何千回…いや、数え切れぬほど諳んじてきた起句を唱えた渉は、ゆっくりと弟に顔を近づけた。
世界を違えた今も尚、神はその申し子を穢す罪咎に身を投じた己にさえ寛大に応じ、己はその御業の残滓に縋って恩恵を享受する。
『この者に、女神の忠実な僕(しもべ)たるハーヴェス=トール=ライリーヒンの名において癒しと再生の息吹を与えん」
もし――、神が真実正しき存在ならば、自分は天の雷に貫かれていてもおかしくはないだろうに…。
***
(*挿絵箇所より、1p前部分からお借りしています。
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#兄弟
#高校生
朔羽ゆき
小説『桃紅柳緑』
小説『桃紅柳緑──アイツが俺を嫌いな理由と、俺がアイツのことが気になる理由──』著・当麻咲来さん
https://estar.jp/novels/24931169
P221~ 第十四章(4)
挿絵描かせて頂きました。
https://estar.jp/novels/24931169/viewer?page=221
****
声だけは必死に堪えたまま、代わりに嗚咽する呼吸が乱れていく。こんな風にアキが泣いたのは、去年の夏以来かもしれない。
でも今日のアキはもっと辛そうで。なんで彼ばっかりこんな苦しくてつらい思いをするんだろうって、どうしようもなく怒りが湧いてくる。
何よりアキが可哀想で、苦しくて息が止まりそうになる。
「ごめん……」
アキを抱きしめて何度も謝る。いつからアキはこんな事で悩んできたんだろう。俺が好き勝手に、毎日楽しく友達と遊んでいる間も、ずっとその記憶が彼を苦しめていたのに違いなくて。そして、今回の事だって、俺がもう少しアキの事を気にしていたら、きっと彼の変化に気づけたはずなのに……。
「本当に、ごめん………」
その度に、アキは小さく肩に顔を押し付けたまま、首を左右に振る。
「もう、こんな苦しい思いさせないから。俺がお前を守るから。……ずっと、傍にいるから……」
自分に決意するように、何度もそう囁いて、その艶やかな髪を撫ぜる。
俺なんて馬鹿でいい加減で、なんにもできない奴だけど、アキのためだったらアキにこんな想いをさせないためだったら、何でもやれるってそんな風に思う。
だからいつもみたいに意地悪な言い方で、俺に冷たくしてくれていいから、いつもみたいに、どこか冷めてても綺麗な笑顔を、また俺に見せて欲しいって、ちっとも温まってこない冷たい背中を撫ぜて、アキの嗚咽が止まるまで、ずっと、抱きしめていた……。
***
(*小説お借りしています。
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#オリキャラ
#BL
#小説挿絵
#高校生
#男子高校生
朔羽ゆき
小説挿絵『桃紅柳緑』
小説『桃紅柳緑──アイツが俺を嫌いな理由と、俺がアイツのことが気になる理由──』著・当麻咲来さん
://estar.jp/novels/24931169
P214~ 第十三章【12】
挿絵描かせて頂きました。
https://estar.jp/novels/24931169/viewer?page=214
***
その匂いに眉をしかめ、思いがけず眩しい光に目がなれるまで、一瞬の間があって、それから、ゆっくりと視界が晴れてくる。
そこに居たのは……。
最初は大きな蝶が蜘蛛の巣に囚われているみたいに見えた。
力なく足掻く蝶の、なまめかしい紅い羽根が、ゆらゆら揺れている。
次の瞬間、状況を判断する前に声にならない悲鳴を上げながら、俺は本能的に部屋へ駆け込んでいた。
目に飛び込んできたのは、紅い古風な着物を着たアキだ。
ゆらりゆらり、と揺れているように見えたのは、肘のあたりから、釣り上げられるように捉えられた腕の下で揺れる振り袖だ。男がその肘を捉えている。
俺は目の前の光景を理解するより先に、こちら側にアキを引っ張っていた。アキの両肘を掴んで押し倒すようにのしかかっていた男を引き剥がす。
瞬間、ぬらりと光る屹立したものが、目の端に見えた気がしたけど、それは全力で脳内から消し去った。そうでないと、このままこの男を殺してしまいそうだ……。
「何を………」
突然の乱入者に行為を止められて、状況が理解出来てないのであろう男の視線を見ないようにして、俺は半ば呆然としたまま、本能で男の喉元に竹刀の先を突きつける。
「そういうお前こそ、何してんだよ、自分の息子に!」
***
*小説お借りしています。
#オリジナル
#創作
#オリキャラ
#小説挿絵
#BL
#男子高校生
朔羽ゆき
小説挿絵『勇者だった俺は今世こそ平凡な人生を歩む!』
小説『勇者だった俺は今世こそ平凡な人生を歩む!』著・りおさん
https://estar.jp/novels/23984425
P823~【勇者は捕獲】(28)
挿絵描かせて頂きました。
https://estar.jp/novels/23984425/viewer?page=823
*****
――完全に油断していたし、そもそも疑ってもいなかった。
コーヒーを飲み切った俺は、脱力感と急速な眠気に襲われた。
(なんだ…これ…?)
紙製のカップが手から滑り落ち、軽い音をたてて床の上を転がる。
しかし、落としたカップを拾おうにも、もう俺の身体はソファーから立ち上がることが出来なくなっていた。
まさかと思いつつ向かいの席の兄を見ると、無機的なレンズ越しにこちらを観察する冷静な双眸と目が合い、――その眼差しを見て確信する。
この体の変調は、兄の仕業であると。
「てめ…クソあに…き…」
ブラコンが聞いて呆れる。
コーヒーになんか盛りやがったな…!?
「無茶な真似をしたらお仕置きだよって言ったよね」
正しいのは自分だと言いたげな口調だった。当然の顛末だと揺らぎなくこちらを見下ろす瞳がそう語っていた。
頭を振り、額に手をあてがってこめかみを指で押さえても眠気は失せず、意識よりも先に身体の方が負けてソファーの上を滑りおちようとする。
それを片腕で必死で支え、かすんできた目で平然と端座する兄を睨んだ。
「やりすぎ、だろーが…っ」
いくらなんでも本気で薬を盛るとか、うちの兄貴はマジ頭おかしい。
「おとー…とに…なに…してん……だ…」
――最後まで言い切れたかどうかわからない。
すでに焦点が定まらないほどに視界が歪んでいた。
****
小説お借りしています。
#オリジナル
#創作
#オリキャラ
#BL
#創作
#小説
#小説挿絵
#転生
#勇者
朔羽ゆき
小説挿絵『幸せのありか』
小説『幸せのありか』著・kotaさん
https://estar.jp/novels/25545440
P120~
挿絵描かせて頂きました。
https://estar.jp/novels/25545440/viewer?page=120
****
「ほら。10時までだから。早く行かないと乗れなくなっちゃいますよ!」
伸ばされた左手の薬指に、永遠の証がキラリと光る。
誰にも祝福されなくてもいい。
彼さえ隣で笑ってくれていたら、それでいいと思っていた。
けれど今日、皆に祝福されて幸せな笑顔を浮かべる樹と氷雨を見ていたら、やっぱり羨ましくなった。
愛する人と共に生きていくことを、俺たちも大切な人達に認めてもらいたいと思った。もう二度と、こいつを一人にはしたくないと思った。
観覧車は……、遠くから見るのがいいんです――。
むかし、何かを堪えるような寂しげな目で、海を隔てたこの場所から、遠くの観覧車を眺めていた青年がいた。
いつかこの男の手を引いて、あの光の王国まで連れて行きたいと願っていた。
かつての孤独な青年は、もうどこにもいない。
今も。これからも――。
この10年。
変わることのなかった景色が、水面の向こうで優しく煌めいている。
「観覧車は……、遠くから見るより、やっぱり乗りたいですよね!」
満ち足りた笑顔に手を引かれて――。
あの場所へと歩き始めた。
****
(*小説お借りしています。
#オリジナル
#創作
#オリキャラ
#BL
#小説
#小説挿絵
朔羽ゆき
小説挿絵『桃紅柳緑』
『桃紅柳緑──アイツが俺を嫌いな理由と、俺がアイツのことが気になる理由──』著・当麻咲来さん
#no_transition
" target="_blank">https://estar.jp/novels/24931169
#no_transition
P211~ 第十三章(9)
https://estar.jp/novels/24931169/viewer?page=211
挿絵描かせて頂きました。
*********
「……慶?」
後ろから声を掛けられて、足を止める。
「……なんかあったのか?」
声を掛けてきたのは、部活もないくせに、学校の道場で自主練習している剣道バカの土方だ。
「……なんか、珍しくマジな顔してんな」
そう言われて、思わず絶句する。
「どっかに殴りこみ行くみてぇな顔してやがる……」
そう言うと、彼は小さくふっと笑う。
「……さあ、知らないよ」
出た言葉はそれだけだけど。土方が何故か竹刀バックを下ろして、バックの先についた青い色のお守りを外し始める。そして外し終わると、それを掌に収めてから、何も言わずに、俺に竹刀バッグを突き出した。
「……なんだよ?」
「……わかんねぇけど、殴り込み行くならソレ持っていけ」
************
*小説お借りしています。
#高校生
#オリジナル
#創作
#オリキャラ
#BL
#小説
#小説挿絵
朔羽ゆき
小説挿絵『ろくでなしの君と』
『ろくでなしの君と』著・ショコリータさん
https://estar.jp/novels/25198376
【P191~ 最終話(26)】
https://estar.jp/novels/25198376/viewer?page=191
挿絵描かせて頂きました。
*******
「喜多川が寝るまで起きてる……!」
「俺、三時くらいまで起きてっけど」
「さっ、三時……」
夜は十時過ぎにはベッドに入っているなんて言えない空気に、ゴクリと息を呑む。
「が……頑張って起きてるようにするから───だから、これからは俺が一緒に寝てもいい?」
喜多川がもう、寂しい夜を過ごさなくて済むように。
知らない誰かで寂しさを紛らわさずに済むように。
涙声で訴えた透のネクタイを、喜多川がグイ、と引き寄せた。前のめりになった透に反して、喜多川が少し頭を浮かせる。
「お前うぜぇから、どーせ俺が何言おうが聞かねぇだろ」
「……もっと他の言い方してよ」
「うるせぇ、馬鹿眼鏡」
言葉とは裏腹に、喜多川の唇が透のそれを甘く塞いだ。
相変わらず酷い言い草だけれど、喜多川だけの『馬鹿眼鏡』ならそれも悪くないと思ってしまうから、やっぱり自分は大馬鹿者だ。でも幸せならそれでいい。
口も態度も悪い、我が儘で傲慢なとんだろくでなし。けれど本当は、ぶっきらぼうで不器用なだけの優しい男。
そんな最高に愛おしい存在を、透は力いっぱい抱き締めた。
****
小説お借りしています。
#オリジナル
#創作
#オリキャラ
#BL
#オメガバース
#小説挿絵
#小説
朔羽ゆき
2
小説表紙『月光の朱き花は彼岸の下で口付けを
小説『月光の朱き花は彼岸の下で口付けを』著・蜜柑大福さん
https://estar.jp/novels/25632474
小説表紙描かせて頂きました。
******
手を伸ばして指に力を入れて握りしめてもかすりもしない。
そのまま風にさらわれるように花が何処かに飛んでいってしまった。
それがとても寂しくて悲しくて、小さく繋がれた手をぎゅっと握りしめた。
その約束は空に浮かぶ花のように、海に沈む泡のように……消えていった。
――――
「黄泉の国って知ってるか?夜中の午前0時に鏡の前に立つと死んだ人間が手招きして引きずり込むんだとよ」
「…なんだそれ、都市伝説か?」
「怖くないのかよー」
つまらなさそうに唇を尖らせている水季に微笑む。
水季は怖がりで信じやすいくせに怖い話が好きでよく俺に聞かせてくれる。
俺は実際に見て体験した事以外は信じない性格だから作り話として楽しませてもらっている。
水季の事をバカにしているわけではない、むしろ幽霊がいるなら会いたい。
俺を育ててくれた老夫婦と、両親に……会いたい。
いつもそう願っていても会った事がないからもう諦めている。
**
いつもは感じないものを感じる、とても嫌な予感がする…またアイツが暴れているのか。
再びため息を吐き、今日の仕事は終わったから屋敷の中にひまりと一緒に帰る。
ひまりはなにか変だと気付いたようだが、原因が分からずそわそわと周りを見渡して落ち着かない。
このにおいは酷く嫌悪する嫌いなもので、眉を寄せた。
「人間のにおいがする」
*****
小説お借りしています。
#オリジナル
#創作
#オリキャラ
#ファンタジー
#BL
#異世界
朔羽ゆき
小説挿絵『桃紅柳緑──アイツが俺を嫌いな理由と、俺がアイツのことが・・・』
『 桃紅柳緑──アイツが俺を嫌いな理由と、俺がアイツのことが気になる理由──』著・当麻咲来さん
https://estar.jp/novels/24931169
P199~ 第十二章(12)挿絵描かせて頂きました。
https://estar.jp/novels/24931169/viewer?page=199
***********
男はくつくつと嗤いながら、俺にナイフを走らせる。とっさに避けて、相手の小手を狙って、ナイフを取り落とさせようとする。だけど、ゆりかちゃんを庇っているし、部室が狭くて動きにくい。どうしようかと一瞬迷っていると、次の瞬間、ドアの開く派手な音がした。
「………!」
土方が無言で走り込んで来て、一瞬で状況を確認したんだろう、その勢いのまま突っ込み、僅かなためらいもなく持っていた長物で、呆然としていた相手の横っ面を払う。
って……コイツこえぇ、木刀持ってきてるし。今の、全力で行ったよな?
新しい敵の登場に、刹那、判断の遅れた男は、横面を叩かれた勢いで吹っ飛ぶように横倒しに倒れる。
「………あ、やっちまった………」
*****
小説お借りしています。
#オリジナル
#創作
#オリキャラ
#BL
#小説
#小説挿絵
朔羽ゆき
小説挿絵『桃紅柳緑~』
小説『桃紅柳緑──アイツが俺を嫌いな理由と、俺がアイツのことが気になる理由──』著・当麻咲来さん
https://estar.jp/novels/24931169
P198~
第十二章 11 挿絵描かせて頂きました。
https://estar.jp/novels/24931169/viewer?page=198
******
半ば呆けた頭で、もういいよ、って認めてた。俺はアキに欲情してるらしい。それもアキに惚れてるから、欲情してるんだ。
そんなどこか敗北感たっぷりな気分で、でも今まで、他の誰かをネタに一人エッチの妄想にしたときよりも、ものすごく気持ちよくて、感じてしまって。声が漏れそうになるのを必死に抑えている。
今俺のベッドのすぐ上に、アキがいて(二段ベッドだからだけど)。それなのに自分はこんな想像をしてて……。絶対俺、ヤバイだろうって思うのに。
想像の中のアキが、俺を受け入れて、甘くてエロい声を上げて。目の淵を赤くして、『慶……もっと、もっと……』って俺を上目づかいに見上げたところを想像した瞬間。
「っ…アキ………」
一瞬声が漏れてしまう。
「……っく………はぁ……ぁぁ……」
荒い息を何度も何度もつきながら達してしまって。すでに汚れていた下着を替えて……アキを想像しながら一人エッチしただけで、今までしたことないくらい、気持ち良すぎて、頭が真っ白になる。
実際の相手が、アキだったら、どんだけ気持ちよくなるんだろ、って考えている自分がいた。
でも次の瞬間、激情が去った後の脳裏は、妙に冷静になっている。
「………あほらし………」
うっわ、俺、何してたんだろう。アキの口調を真似して自己嫌悪に陥る。
*****
小説お借りしています。
#BL
#小説
#小説挿絵
#オリジナル
#創作
#オリキャラ
朔羽ゆき
小説挿絵『勇者だった俺は今世こそ平凡な人生を歩む!』
小説『勇者だった俺は今世こそ平凡な人生を歩む!』著・りおさん
https://estar.jp/novels/23984425
P312~【クラスメイトは不良】7P
挿絵描かせて頂きました。
https://estar.jp/novels/23984425/viewer?page=312
*****
窓枠に足をかけ、乗り上げる。
山側といえどもすぐ近くに飛び移れそうな木の枝があるわけじゃない。窓から見下ろす地面は、昔住んでいたコーポの二階よりもずいぶん遠くに感じた。
「おい飛び降りる気か!? さすがにヤバいだろーが!」
ふっと自然な笑みが浮かんだ。こいつ、案外、悪いヤツじゃねーかもな。
俺が窓から飛び降りるのを防ごうと駆け寄ってくる赤髪を、ぎりぎりまで引き付ける。
そして、俺はその手が届く直前に、跳んだ。
――後ろへ。
天井すれすれまでジャンプした俺は、落下途中でくるりと宙返りし、赤髪が先ほどまで陣取っていた位置付近に着地する。
……久しぶりにやったけど上手くいってよかった。
こちらを振り返り唖然としている赤髪の顔が愉快で、俺は軽く笑った。
「じゃーな。あんまタバコ吸いすぎんなよ。肺がんになるぞ」
そしていらん一言を残して、――210号室のドアにダッシュした。
「なっ…なんで…! なんでそれ知って…!? おい! てめーーーー!! 待ちやがれ!!」
待てと言われて待つバカはいない。
当然、俺はさっさと逃げ出した。
*****
小説お借りしています。
#オリジナル
#創作
#オリキャラ
#小説
#BL
#小説挿絵
#ファンタジー
朔羽ゆき
小説挿絵『ただΩというだけで。』
小説『ただΩというだけで。』著・彩月志帆さん
https://estar.jp/novels/25284114
P354~【番ーつがいー】
挿絵描かせて頂きました。
*****
「ユキ。」
自分を呼ぶ声に、懐かしいと感じる前に胸が震えた。
津田が顔を上げると、そこに立っていたのは、ずっと会いたいと思い続けていたその人だった。
「佐伯…… ?」
すぐ目の前に、愛しい人がいる。佐伯駿介は大きな半月形の目を細めて津田を見上げていた。
胸が締めつけられるような想いで、津田は震える手を伸ばした。頭一つ分小さい佐伯の身体が、腕の中にすっぽり収まる。慣れた抱き心地。背中の低い位置に回される腕の感触。津田は全身から力が抜けるような安堵を覚えた。
(あぁ、よかった。
なんか、悪い夢を見てた気がする…… )
夢の内容は覚えていない。重荷を背負って夜中の海を泳ぐような、つらく悲しい夢。その印象だけが、脳裏にこびりついている。
佐伯のサラサラした前髪に鼻を埋めると、懐かしい日なたの匂いがした。
チリ、と、小さな違和感が頭をかすめる。
それが津田の胸に、小さな波紋を起こした。
腕の中の佐伯は、不思議そうな顔で見上げている。その頬を手の甲で撫でると、彼は子どものように肩をすくめて笑った。
愛らしい笑顔。愛しさと懐かしさで胸がいっぱいになる。
(どうして、懐かしいと思うんだろう…… ずっと一緒にいたのに…… )
佐伯が腕の中にいる。ただそれだけで、涙が出るほど嬉しい。それなのに、ざわざわとした違和感に、ひどく落ち着かない。何かがおかしい。でも、何がおかしいのか分からない。
津田はつかみどころのない不安を覚え、佐伯の顔を覗きこんだ。
**
「話を…… 」
津田が切り出すと、先を促すように佐伯が見上げてくる。そのつぶらな瞳が、たまらなく懐かしい。
「話したいことが、たくさんあるよ…… 」
話したいことと、謝りたいこと。
たくさんの感謝と、懺悔と、謝罪。
いつかまた会えたら、一番に謝ろうと思っていたことーー
****
小説文お借りしています。
#オリジナル
#創作
#オリキャラ
#小説
#BL
#小説挿絵
#オメガバース
#創作
朔羽ゆき
小説挿絵『幸せのありか』
小説『幸せのありか』著・kotaさん
https://estar.jp/novels/25545440
P87~
挿絵描かせて頂きました。
*****
すぐには言葉が出てこなかった。
思いっきり怒鳴り散らしたい。
溜まりに溜まった鬱憤をぶつけたい。
なのに、言葉がなに一つ出てこない。
思いっきり怒鳴り散らしたい。
みっともなく咽び泣きたい。
高らかに笑いたい。
なのに――……。
「――好きだ…………」
震える声でようやく絞り出せたのは、そのたった一言だった。
*****
小説文お借りしています。
#オリジナル
#創作
#オリキャラ
#BL
#小説
#小説挿絵
朔羽ゆき
挿絵『ANNADOL短編集』
小説『ANNADOL短編集』著・晴れ時々猫さん
https://estar.jp/novels/23627519/viewer?page=114
P114~【さくらキス】
挿絵(ファンアート)描かせて頂きました。
本編『彼氏』はこちらから
https://estar.jp/novels/23989351
*****
手を繋いで歩くことは出来ないけど、初デートはすごく楽しかった。たくさん会話して、たくさん笑いあって、たくさん写真を撮ってもらって、そしてたくさん一緒に写真を撮った。
「ねぇ、藤堂」
「ん?」
「僕さ、毎年四月ってあんまり休み取れないんだ」
「そうなんだ」
ふ~ん、と何気なく聞いている藤堂だけど、喋る僕をファインダーから覗きこみ、シャッターのタイミングをうかがっている。
「だからさ、来年も同じようにお花見できるとは限らないんだ」
「……うん。そうか……」
少しばかり残念そうに頷く藤堂の声に苦笑し、でも僕は、今日が最高に楽しい初デートだってことを、どうしても伝えたいって思った。
「けど、だからこそ、今日は本当に最高の一日だよ」
カメラを構えている藤堂を振り返りこの気持ちを伝えると、カシャカシャっと連続でシャッターが下りた。そしてえらくまじめな瞳をした藤堂が僕を見つめたままそっとカメラを下ろすと、ぐいっと僕の腕をひっぱった。
次の瞬間、春風がざぁっと僕らの間を吹き抜け、満開の桜並木たちを揺らしてゆく。
はらはらと花びらが舞い散ったのを一瞬見たけど、僕はきゅっと瞳を閉じた。
だって、キスされると思ったから。
****
小説お借りしています。
#オリジナル
#創作
#オリキャラ
#BL
#小説
#小説挿絵
#桜
朔羽ゆき
2
小説表紙『森のアルファさん』
小説『森のアルファさん』著・ショコリータさん
https://estar.jp/novels/25195832
小説表紙描かせて頂きました。
*****
熊谷の困ったときの癖を見て麒麟が眉を寄せたのと同時に、熊谷は一度天井を仰ぎ見てから重い口を開いた。
「……強いて言うなら、『贖罪』……だな」
「え……?」
思いがけない返答に、麒麟は熊谷の顔を見詰める。
「命があるモンを作ることで、俺の心のどっかに、許されたいって気持ちがあるんだろうな」
……『贖罪』? それは、何に対して?
聞き返したかったけれど、過去の話になると熊谷は何故かいつも、何かを思い出すようにもの悲しい顔になる。まるで、ここには居ない誰かを探すようにジッと宙を見詰める熊谷に、麒麟はどうしてもそれ以上踏み込むことが出来なかった。……踏み込んではいけない気がした。
*
麒麟がここに来るまで、熊谷は独りの時間と癒えない傷を持て余していたんだろうかと思うと、「独りじゃないよ」と抱き締めたくなる。
けれど、麒麟が熊谷と過ごした時間なんて、まだまだ本当にちっぽけだ。
「熊谷さんがこれまで作ったガラス細工の数は、熊谷さんが香芝さんを想っていた数。……だとしたら、俺はちょっと、香芝さんが羨ましい」
思わず口をついて出た本音に、麒麟はハッとして口を押えた。
「……ゴメン、不謹慎だった……」
文字通り溢れかえるほどの想いを今も尚受け続けている香芝が素直に羨ましくて、こんな話の後でも思わず嫉妬を覚えてしまう自分の狭量さが嫌になる。けれど、熊谷は少し黙り込んだ後、髪を撫でていた手を滑り落として麒麟の肩をそっと抱き寄せた。
「気にするな。お前の言葉には、時々俺もハッとさせられる。……お前は、俺なんかよりずっと大人だよ」
****
小説お借りしています。
#オリジナル
#創作
#オリキャラ
#BL
#オメガバース
#小説表紙
#表紙
#小説
朔羽ゆき
小説挿絵『ただΩというだけで。』
小説『ただΩというだけで。』著・彩月志帆さん
https://estar.jp/novels/25284114
P351~
【番(つがい) 19】挿絵描かせて頂きました。
https://estar.jp/novels/25284114/viewer?page=351
******
どうして笑ってくれるんだろう、こんな状況で。
酷い痛みに、全身を震わせながら……
津田の優しさに胸が痛み、乾はただ、謝ることしかできなかった。
「みんな、こうなんだろ?」
苦しい息の下からそう問われ、言葉を失う。
津田の首に押し当てたのは、綿のシャツだ。その白い生地が、みるみる赤く染まっていく。
血が止まらない。
***
対応を迷った乾が再び顔を覗き込むと、津田の虹彩が上辺を虚ろに揺れている。
声をかけようと息を吸い込んだ時、独り言のように眠気を訴えた彼に、背筋が凍りついた。
長い睫毛が、ゆっくりと眼球に幕を下ろしていく。
「津田さん…… っ!!」
小さな謝罪の言葉を残して意識を失った津田は、どんなに呼んでもそのまま、目を覚まさなかった。
――――――――――
ホッとしたせいか、発情の熱が冷めるのと比例してクリアになるはずの意識が、朧になってゆく。
「なんか、眠いな…… 」
津田は気づいていなかった。
うなじに押し当てられたシャツが既に、真っ赤に染まっていることに。
そして、失血している自分と同じくらい、乾の顔が蒼白だということに。
「ごめん俺、ちょっと寝る、かも…… 」
掠れた声でそう呟き、津田は重いまぶたを閉じた。
疲労した身体と意識が、暗く温い沼に沈んでいく。
*******
(*小説お借りしています。
が、本来の小説の形ではなく、それぞれの視点を、抜き出させて頂いています。
ぜひ、本編をご覧頂けたら嬉しいです。
#オリジナル
#創作
#BL
#オリキャラ
#小説挿絵
#オメガバース
朔羽ゆき
小説挿絵『勇者だった俺は今世こそ平凡な人生を歩む!』
小説『勇者だった俺は今世こそ平凡な人生を歩む!』著・りおさん
https://estar.jp/novels/23984425
◆【櫻の宵】*スター特典作品より、挿絵描かせて頂きました。
(この【櫻の宵】からもう一点描かせて頂く予定です)
https://estar.jp/extra_novels/25021378
*********
桜の花びらに囲まれて、その少年は彼女を見上げる。
まるで一服の絵画のごとき光景に、彼女は目を瞠(みは)った。
きれいな子だった。
男の子だと一目でわかったけれど、清浄な空気が彼を包み込んでいるような、
この世のものではないような、
まるで桜が見せた幻と錯覚してしまいそうな儚さと危うさが同居する、そんな美しさがその少年にはあった。
その光景は一瞬で彼女の目に焼き付き、体の奥深くに眠る何かを揺り動かした。
「だれも……呼ばないで…くださ…」
途切れがちな声は掠れ、荒い息づかいに掻き消えそうに弱かった。
***
(*小説お借りしています。
#オリジナル
#創作
#オリキャラ
#小説
#挿絵
#小説挿絵
#年下
朔羽ゆき
2
小説表紙『微熱』
小説『微熱』著・葉月めいこさん
https://estar.jp/novels/25023138
小説表紙描かせて頂きました。
*******
「俺、もしもの時は先生の傍がいい」
「……縁起でもないこと言うんじゃないよ」
図太そうな見かけに寄らず、身体がひどく弱い穂村は絶対安静ではないが、本当は学校なんかに来ている場合じゃない。それでも一日半分だけ、勉強を名目に学校へ登校してくる。
特別教室はいつも一人で、ほかの生徒と交わることがない。迂闊な行動で穂村の体調が崩れてしまうからだ。でも具合が悪くなって保健室に来る穂村はなんだか満足げな顔をする。
「もしもなんてこと私が見逃すと思うか」
「ううん、思わない。でもさ、先生の顔を見たら俺すげぇ元気になんの」
ひどく嬉しそうな顔で笑う穂村を見ていると心が軽くなる気がする。いつの間にかその笑顔から目が離せなくなって、彼を見ていると不思議と安堵してしまう。
「気持ちが元気でも、身体が追いつかないことはあるんだよ。それで熱を出してたら意味ないじゃないか」
「それでも先生がいてくれるだけで俺は幸せなんだよ」
ニコニコと無防備で言葉のままに幸せそうな顔で笑われると、強く言えなくなる。いままでこんな風に笑っていた人間は、自分の傍にいただろうか。
「おかしな奴」
*******
(*小説お借りしています。
#オリジナル
#創作
#オリキャラ
#BL
#小説
#小説表紙
#表紙
朔羽ゆき
2
小説表紙『想思華』
小説『想思華』著・天月天兎さん
https://estar.jp/novels/9681694
表紙募集よりお声掛けさせて頂きました。
******
「ーーー本当に変わった人間だな…雪鈴よ」
思いがけず名前を呼ばれ、心臓が高鳴る。こんなにもはっきりと、面と向かって名前を呼ばれたのは、思えばこれが初めてかもしれない。
「お前は初めから我を恐れなかったな?」
確かに…そうだったかもしれない。恐怖よりも先ず、興味が先に立った。目の前に現れた美しい鬼に目を奪われて、逃げる事すらも忘れた。
「恐れないばかりか、理由はどうであれ、自ら我と行く事を望んだ」
「故に興味が沸いた。どうすれば今までの人間の様に我を恐怖するか。お前が殺さないでくれと泣いて懇願する姿が見たくなったのだ」
雪鈴の長い髪を弄ぶその手は、言葉とは裏腹にとても優しいものだった。
「望む物を与え、偽りでも優しくしてやれば、お前は死を拒み、その時こそ嬉々として殺してやる筈だった」
「貴方の思惑通りですね」
雪鈴が言う。
その言葉を聞き、魄皇が初めて笑った。冷笑ではなく、切れ長の目を優しく緩め、ほんの少しだけ口角を上げて。その様子は、月夜に現れた神の如く神々しくて、雪鈴は魅了される。
「思惑通りになってもなお最後には死を望む……そんな人間は初めてだ」
髪を撫でる手が、そのままそっと頬に触れた。
「始めから…惹かれていたのかもしれぬ」
「…………っ」
魄皇の口から出た信じられぬ言葉に、我が耳を疑った。直ぐに意味は理解出来なくて…でも、心臓だけが痛いくらいに脈打つ。
この鬼(ひと)は、いったいどれだけ多くのものを与えてくれるのか。
「其方は我を〝花〟だと言ったが…〝花〟はむしろ其方の方がよく似合う」
その言葉の意味を、都合良く解釈しても良いのだろうか。
「我と共に生きるか?」
言葉が出ない。ただ、必死に頷いた。
****
(*小説文お借りしています。
#オリジナル
#創作
#オリキャラ
#BL
#小説
#ファンタジー
#和風ファンタジー
#人外
#鬼
朔羽ゆき
2
表紙絵『《ハルちゃんと平くんと僕》魅惑のミステリアスホールは二本のロマンス棒に狙われている
小説『《ハルちゃんと平くんと僕》魅惑のミステリアスホールは二本のロマンス棒に狙われている』著・晴れ時々猫さん
https://estar.jp/novels/25508745
表紙絵描き直しさせて頂きました。
***
アキのこと諦めるっていう条件付きなら、相手をしてやらんでもない」
そんな提案を出すキヨハルの瞳は、まるで星野を脅すような色をしていて、愛する人を守るためなら自己犠牲も厭わないという覚悟が伺えた。
こんな目をするのか、と星野はきゅっと一文字に口を閉じると、その視線を真っ直ぐ前に向けた。
直線上にあるプール。その脇にある古ぼけた倉庫を見つめながら、星野はやっぱり悔しくて眉を寄せた。
「断る。俺は、……俺も、穂積が好きだ。手に入れるまで諦めるつもりは無い」
ハッキリと宣戦布告した。だけど二人は「処刑だ!」「抹殺だ!」と騒ぐことはなく、臀部の当たりにボスっと軽い膝蹴りをぶつけてくるだけだった。
そんな二人の反応を怪訝に思い、ちらりと平の見上げると、面白くなさそうな顔をしている。キヨハルに視線を向けると、ニッとイケメンな笑顔を向けられた。
それはまるで試されていたような……。ここでもしもキヨハルの誘いに乗っていたら、もう少し恐ろしいことになっていたのではないかと思うほど。
星野は二人の意外すぎる一面に困惑したが、少しだけアキの気持ちが分かった気がした。どれだけ面倒臭がっていても縁を切れないのは、二人のこういう一面をちゃんと知っているからだ。なんだかんだと鬼畜で狂気的な態度を見せるくせに、アキによく似た優しさを持っている。
「お前ら……」実は優しかったんだな。
と喉元まで出掛かった時、プールサイドにある随分古ぼけた倉庫の前までやって来て、星野はぐいっと二人に姿勢を正された。
(*小説お借りしています。)
#オリジナル
#創作
#オリキャラ
#BL
#小説表紙
#表紙
#小説
朔羽ゆき
3
小説表紙『ただΩというだけで。』
小説『ただΩというだけで。』著・彩月志帆さん
https://estar.jp/novels/25284114
小説表紙描かせて頂きました。
既に読まれている方は、
違和感を感じるかもしれませんが、志帆さんともご相談させて頂き
今回に関しまして、『あえて』そういう風に描かせて頂いています
ご理解頂けると嬉しいです
*****
これからのことを佐伯にちゃんと報告しようと思って、今夜は遺影の前に座ったのだった。
「好きなやつができたんだ。」
*
好きという気持ちは二者択一ではなく、同時に存在してもいいのだろうか。
ずっとそのことを、ぼんやりと考えていたけれど。
「あいつのこと、怒んないでやって。」
ぽつりと口をついて出た自らの言葉に、津田は苦笑した。
よりによって、そこか。
口に出すべき言葉が見つからないまま、ちびちび飲んでいたカップ酒は、いつの間にかほとんど底をついていた。
佐伯のグラスの水面は、いつまでもさざ波のような波紋で揺れている。
「ユキが幸せになるなら、それでいいんだよ。」
そんな都合のいいセリフを夢想してみるけれど、実際には佐伯はそんなに穏やかな男ではなかったのだ。怒っているかもしれないな、そう思うと、津田の心は逆に軽くなった。
「俺が死んだら、殴っていいから。」
津田はからになったカップを置き、佐伯の写真に手を伸ばした。親指でそっと頬に触れると、ガラス板の氷のような冷たさが、指のはらを冷やす。
いつまでも愛しい、一生を共にと誓った人。
でも。
「ごめんな。」
津田は佐伯のグラスをあおり、そのさざ波を一気に飲み干した。
****
(小説文お借りしています。)
#オリジナル
#創作
#オリキャラ
#BL
#小説表紙
#表紙
#オメガバース
朔羽ゆき
2
表紙『出来損ないのアルファと用無しオメガ』
小説『出来損ないのアルファと用無しオメガ』著・晴れ時々猫さん
https://estar.jp/novels/25589530
表紙絵描かせて頂きました。
*****
数か月前に海外で起こった大規模地震がここ最近またニュースに取り上げられ、地殻変動がどうだとか、磁場がどうだとか、なんだか難しい話を専門家たちが眉間に皺を寄せながら話している。
まったく興味はないが、新聞の見出しにこう書かれていたから、思わず手に取った。
磁場の影響で、性別が変わる
何を言っているんだと思った。そんな馬鹿なことあるわけないと。
だけど、この世界には三つの性別が存在し、それは男女関係なく「アルファ」と「ベータ」と「オメガ」の三種類に分けられていた。
性別が確定されるのは思春期の頃で、個人差はあるが、大体成人するまでにはそれが確定されると言われている。
だが、今まで突然変異で確定後に性別が変わったという事例は世界各国で発見されており、その原因は学者によりそれぞれ言い分が違うようだった。つまりはまぁ、よくわかっていなかったわけだ。
それが今。先の大規模地震の磁場乱れにより、突然変異の人間が急増しているというのだ。
これは少し興味深い。どこまで本当かは分からないけど、遠くの国ではどうやら大混乱を招いているみたいだ。ただでさえ被災してそれどころじゃないっていうのに。
「はは……」
思わず渇いた笑いを漏らした俺だったが、背後で母が「は?」と疑問符満載の声を発するものだから、俺は新聞を見て笑うことすら「真面目な顔して」と咎められるのかと振り返った。
だけど、そうじゃなかった。
文字が小さくてまったく読めない診断書をこちらに見せた母は、愕然とした様子で言った。
「あんた……、アルファ……だって」
生まれてこの方、誰がどう見てもベータだった俺。だが大規模地震の磁場乱れは、遠く離れた俺にも性別の変化をもたらした。
俺が……、アルファだって……?
***
(小説お借りしています。)
#オリジナル
#創作
#オリキャラ
#BL
#小説
#小説表紙
#表紙
#オメガバース
朔羽ゆき
2
表紙『幸せのありか』
小説『幸せのありか』著・kotaさん
https://estar.jp/novels/25545440
小説表紙描かせて頂きました。
*****
叶わないと知ってたら、我が儘を言ってでも、あのとき家族みんなで観覧車に乗ったのに――。
口を噤んだ津曲から、そんな心の声が聞こえてくる。
遠くの光の輪に諦めの眼差しを向ける幼い頃の津曲が、すぐそこに見えるような気がした。
「何故でしょうね。あの頃と違って、今は遊園地(あっち)に行くお金だってあるのに。
自分でもよくわかりませんけど……、何故かいつもここに来てしまうんです」
何かを堪えるように薄く笑ったその横顔に、最近どこかで見た笑顔が重なる。
今はまだ、大丈夫だよ――。
少年課に補導され、アパートまで送り届けたときにそう言って車から降りた幸(さち)の笑顔だった。
***
小説お借りしています。
#オリジナル
#創作
#オリキャラ
#BL
#小説
#小説表紙
朔羽ゆき
挿絵『ANNADOLシリーズ/code』
■年賀状用に描かせて頂きました。
ANNADOLシリーズから『code』著・晴れ時々猫さん。
https://estar.jp/users/96540252
***
■code■
『ココア』
https://estar.jp/novels/23178218
(亮介君・小形君)
『二番目の恋人』
https://estar.jp/novels/25005644
(颯太くん・西君)
『MOMO』
https://estar.jp/novels/23240776
(内海玲くん)
#オリジナル
#創作
#オリキャラ
#BL
#小説
朔羽ゆき
2
表紙『その恋は密やかに。』
小説『その恋は密やかに。』著・晴れ時々猫さん
https://estar.jp/novels/25247784
小説表紙描かせて頂きました。
*******
弁明する俺に、名取は楽しそうに大口を開けて笑うと、少し寂しげに目を伏せた。
「早く席替えしたいなぁ…… no name の話はもう……聞き飽きたや」
冗談のつもりだろう。けどその声は寂しそうで、もっと聞いていたかったと言っているようにも聞こえた。
「……バカかよ。席替えしても耳元で言い続けてやる」
卒業まであと少し。
鬱陶しい宣言を言い放ったが、名取はどこか嬉しそうな笑みをこぼした。
「……迷惑だよ」
****
(小説お借りしています)
#オリジナル
#創作
#オリキャラ
#BL
#小説
#表紙
朔羽ゆき
小説挿絵『桃紅柳緑──アイツが俺を嫌いな理由と、俺がアイツのことが気になる理由──』
小説『桃紅柳緑──アイツが俺を嫌いな理由と、俺がアイツのことが気になる理由──』著・当麻咲来さん
https://estar.jp/novels/24931169
P184~『第十一章(8)』
挿絵描かせて頂きました。
*****
「土方くんちって、ゆりか、泊まれる?」
でもめげないゆりかちゃんは、にっこり笑って単刀直入に俺らに聞いたことと同じことを土方にも尋ねる。
「………は? なんで?」
珍しく、土方が目を丸くして聞き返す。
「えっと、親と喧嘩して、家出しちゃったの。帰りたくないし、しばらく住めるところ探してるの」
彼女がそう言うと、土方は瞳を細める。それから、真正面からゆりかちゃんの顔を見て、
「………何やった?」
そう、低い声で尋ねた。
「………え? な、なにもしてないよ?」
次の瞬間、何の躊躇もなく土方が手を伸ばして、彼女のカバンの上からのぞいていた財布を手に取る。
「………あっ」
全員が声を上げた次の瞬間、財布を開けてひっくり返す。チャラン。と微かな音を立てて落ちてきたのは、十数円だけで。
「ほらみろ、金もねぇのに家に帰らない。しかも、友達とかじゃねぇ、ろくに知りもしねぇような男子校の男に、泊めてって声かけるって、よっぽど切羽詰まってんだろ?」
それだけ言うと、土方は「コーヒー取ってくるわ」と言ってふらっと、席を立った。
(*小説お借りしています。
#オリジナル
#創作
#オリキャラ
#BL
#創作
#小説挿絵
#小説
朔羽ゆき
2
小説表紙『後輩~Secretkey~』
小説『後輩~Secret key~』(ANNADOLシリーズ⑥)
著・晴れ時々猫さん
https://estar.jp/novels/24225109
表紙絵描かせて頂きました。
*****
「ごめ、だって……。ちょろい……」
「ちょろいって言うな! チョロ……、ちょろいって思ってたのか、お前! おい!」
「あははははっ! 涼也は乙女チックなのが好き?」
「アホかぁぁっ!」
こういうやり取り。俺達らしいな。そう思わないか、神谷? 俺達ずっとこうやって一緒にいた。大切な時間を過ごした。後輩で、仕事仲間で、友達で、親友で……今恋人同士になってる。
またお前とこうやって会話を交わせることが、俺は嬉しい。大事にされるのも嬉しいけど、揶揄われるのも、強引にされるのも、俺は嫌いじゃない。全然嫌いじゃない。
(*小説お借りしています
#創作
#オリキャラ
#BL
#オリジナル
#小説
#表紙
#小説表紙
朔羽ゆき
『桃紅柳緑──アイツが俺を嫌いな理由と、俺がアイツのことが気になる理由──』
当麻朔来さんコラボ
『桃紅柳緑──アイツが俺を嫌いな理由と、俺がアイツのことが気になる理由──』
https://estar.jp/_novel_view?w=24931169
慶くんとアキ君お借りしました
(周りのミニキャラは過去に描かせて頂いた子たち、詰め合わせになってます)
#オリジナル
#創作
#オリキャラ
朔羽ゆき
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