アイあるご飯 ドラルクが夜食を作り終えた時、いつもなら喜び勇んで来るはずのロナルドとジョンはTVに釘付けになっていた。
それに少々イラッとしながら何を見ているのか気になったドラルクもTVに注目してみる。
どうやらよくある丼特集という事で、画面には揚げ立てジューシーなカツや唐揚げがたっぷり乗った丼等の映像が流れている。
それをロナルドとジョンは涎を垂らしながら見ていた。
「すげぇ」
「ヌイシヌウ」
「食いてー」
「ヌンヌン」
そんな会話をしているロナルドとジョンにドラルクの機嫌が急降下する。
無言でリモコンを手に取りTVを消すとスマホを持って事務所へ向かおうとする。
それに慌ててロナルドとジョンは取り縋った。
「待て違う決してお前のメシに不満がある訳じゃなくって…!」
「ヌヌンヌヌイー!」
「こう映像とか画像で見るとメッチャ美味しそうに見えて条件反射で腹が減るだけなんだよ!」
「ヌチヌン、ヌヌヌヌヌヌノヌヌンヌイヌヌンヌ!」
ロナルドとジョンはドラルクに謝り倒し、誉め倒した。
その必死な形相にドラルクは仕方なしに許してやる。
とはいえ、大事ないっぴきが自分の料理以外を欲した事にムカつきが抑えられないドラルクは次の日、リベンジする事にした。===
パトロールに行くというロナルドを一人で行かせ(付いてきて欲しそうにしていたのを無視し)、散歩に行くというジョンを笑顔で送り出し(こちらも付いてきて欲しそうだったが泣く泣くスルーし)、気合いを入れて調理に取り掛かる。
「やっぱまだ怒ってるんだよなー、あれは」
「ヌン…」
「この特選牛乳で許してくれっかなぁ…」
「ヌンヌヌイイッヌイヌワイクアヌヌヌヌミルヌ」
「よし、お互い頑張ろうなジョン!」
「ヌー!」
それぞれの帰り道、偶然一緒になったロナルドとジョンはドラルクの機嫌を取る為に話し合っていた。
ロナルドは物で、ジョンは可愛く甘える事で機嫌を持ち直して貰おうと共同戦線を誓う。
「おかえり、ジョン。ロナルドくん」
そんないっぴきが自宅に帰り着くとそこには笑顔のドラルクが待っていた。
予想だにしていなかった光景にロナルドとジョンが戸惑っていると、ドラルクは気にせず手を洗って食卓に着くよう促す。
それに大人しく従い席に着いたロナルドとジョンの前に食事が置かれた。
ラーメン丼に唐揚げとローストビーフが山と盛られている様にロナルドとジョンは目を白黒させる。
「愛情たっぷり込めたドラドラちゃん特製丼だ。どうだ嬉しかろう」
「ハイ」
「ヌリヌン」
「食後のデザートにはロナルドくんにはチョコソースたっぷりのバナナとミントアイスのアイスドッグが、ジョンにはハチミツソースが掛かったミニアップルパイとバニラアイスのアイスドッグをそれぞれ用意してあるから」
滔々と本日のメニューを語るドラルクは凄みのある笑顔でロナルドとジョンを見やった。
「残さず全部食べるよね?」
「当然です!!」
「ヌヌヌンヌ!!」
後にいっぴきが語るには『愛は(胃的に)(体重的に)重い』とのコトだった。
完