百瀬「は!?異能課に入るって!?無理だって!」
こく、と朱乃が頷く様を碧人がぽかんとした顔で見つめた。
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「最近、力が使えるようになった・・・の」
朱乃は、おずおずと切り出した。
「大学も、やめる」
「いやいや!急展開過ぎるでしょ!?」
「大丈夫。一兄もこっちにいた方が安心するからっ・・・て」
むーと、顔をしかめる碧人の様子を窺いながら朱乃は、
『一兄には頭上がらない・・・・けど、鋭いからな』 と思った。
「一兄におっけーとってんなら何も言えねーじゃんーーー」
「まぁ。大丈夫・・・だよ。無理だなんて言わないで」
「んーーーそれもそうだな!何かあったらすぐ言えよ」
にかっと笑う碧人を見て朱乃は若干の罪悪感を覚える。
単純に”異能”を活かせる場所を求めている訳ではない。
本当に、一緒くたにして”異能者”だからって捕まえていいものか。
私には、わからない。
だから、これから見に行くのだ。
”私”というものを。
”異能”というものを。
「朱乃!したら、いつから出勤なんだ?」
「1か月後から・・・かな?」
でも、決して兄と一兄だけは裏切らない。
これだけは・・・確か。
「じゃ、買い出し行こうぜ!」
「何を買う・・・の?」
「色々、必要だろー?」
「・・・そうね。」
明るい展望が開けますように。
これだけは、願わずにはいられない。