2「Just Undead」 今日は始業式なので長いホームルームが終われば下校の時間だ。
友達もおらず、部活にも入っていない俺はそのまま帰路に就く。
……
…………
誰かついてきてるな……
振り向いてみる。
セリーナだ。
帰り道が同じなのか。
ついてくる相手がセリーナと確認すると、俺はそのまま前を向き直し、帰り道を歩く。
そして、この高校に通うために引っ越してきたアパートに到着する。
家には最低限のものしか置いてない。スマートフォンぐらいしか友達がいない俺にはお似合いの部屋だ。
さて……今日も携帯ゲームだ。音ゲーするか……
と思った矢先、不意に呼び鈴が鳴る。誰だ。
家にやって来たのは……
「あ……あの……今月からここに越してきたセリーナです……」
セリーナ!?
俺の帰り道についてきていたと思ったら、俺と同じアパートだったのか……
そして、セリーナは自分の首を持ち上げ身体から切り離し、両手で首を持った状態になる。
セリーナがデュラハンゆえにできる芸当だ。
……待てよ? あの時は勢いでセリーナを俺の隣に呼び込んだが、確かデュラハンは……
「ちょっと確認させてくれ、もしかして俺って……」
まあ俺みたいな奴は生きてても死んでても何も変わらないんだろうけどな、近いうちに死ぬことを知らせてくれるだけでも有情だろう。
「いや……大丈夫ですよ、第一そもそも――さんが生きるか死ぬか、私にはわかりませんし」
あれ?
「私はただのアンデッドです、ただ首が身体から離れて、ただ死なないだけ……それだけの存在ですよ」
それだけでも結構重大な気がするが。
「ですが……知ってますよ、伝承ではデュラハンが死を予言し執行すると……だから今日の――さん以外の皆さんのあの反応も想定内でしたよ」
そうだ。確か子供の頃やってたゲームでもデュラハンと会ったら終わりみたいなのがあった。
「まあまあ……とりあえず上がれよ、外に立たせたままなのも悪いし」
そうして、俺はセリーナを部屋に上げることにする。