とかされるねつ「司書さん、どうぞ」
目の前には、ご機嫌な笑みを浮かべて指先にチョコレートを摘まんだ助手の姿。
そして私は、その膝の上に乗せられていた。
「あの、その前におろしてくれませんか?」
「おや、なぜですか?」
目尻を下げそう言いながら首をかしげた彼は、私の腰の辺りを抱き寄せた。
「いや、だって、他の人が来たら……」
「鍵は閉めておりますので、ご安心ください」
まって、いつの間に?と問うより前に、唇に押し当てられるチョコレート。
「司書さん」
有無を言わせぬ視線。
私は逆らえず、ゆっくりと口を開いた。
「ん……」
舌の上で広がる、甘ったるくてどろりとしたそれに、舌も頭の芯も一緒に溶けてしまいそうだ。
それが顔に出ていたのだろうか、彼は満足そうに笑いながら、テーブルの上の箱からチョコレートを一つ摘み上げた。
「もう一ついかがですか?」
首を横に振れば、彼は唇に笑みを浮かべ、
「では、ワタクシが……」
と、それを自分の口の中へと放り込む。
「あぁ、これは……」
チラと向けられた視線は、溶けたチョコのように甘ったるく私を見つめていて……
「まるでアナタのようですね」
思わず息を飲む。
このチョコレートにお酒は入っていないはずなのに……酔ったときのようにフワフワとして鼓動が早くなってきた。
「いかがですか?」
指先が、また、チョコレートを一つ摘み上げた。
誘われるように、私は口を開く。
「さあ、ドウゾ」
チョコレートは舌の上で溶けてゆく。
「ワタクシも、いただきますね」
ゆっくりと
舌と転がされて
甘くどろどろにとけてゆく