レインクリスマスに紐パンツホワイトクリスマスは来ずに今夜はレインクリスマスとなったシンヨコ。ロナルドは濡れた窓越しにライトアップされた夜景を見つめていた。
ドラルクたちがやって来るまでは、仕事に明け暮れて終わるはずだったソレはいつの間にかドラルクの手腕により賑やかなパーティーを勝手に開催し邪魔された。時にショットたちと共にプレゼントテロに闇鍋をするようになり、結局最後には家で待ってるドラルクとジョンと共に過ごす家族と過ごすような暖かく擽ったいソレになってきた。
「ロナルドくん、ご飯できたよ」
香ばしく食欲唆る香りと共にひょっこりと出てきたドラ公とジョンに呼ばれたロナルドはもう外の風景など見ていなかった。
「今日は何だよ」
「ローストチキンさ、もちろんケーキもあるよ」
「ヌンヌー」
事務所の看板を裏返し、今日は営業終了をしてロナルドは願った。
「このまま誰も邪魔するんじゃねぇぞ」
もうあの頃には戻るつもりはないことをロナルド自身、身をもってあのお節介で世話焼き上手なすぐ死ぬ吸血鬼に教えられてしまった。
「メリークリスマス、若造」
「メリークリスマス、クソ砂」
目の前のご馳走よりその吸血鬼の血色の悪い唇を喰らい尽くしてやろうか?とイライラするクリスマスの夜、雨音のジングルベルが鳴り止む事無いが暖かく迎えるソレを素直に受け取れずに黙々とご馳走に手を出しジョンと一緒に美味しいなーとローストチキンの照りってりの皮と肉にかぶりついているとドラルクが耳元で囁いてきた。
「ロナルドくん、ロナルドくん」
「なんだよ」
「私、今日はえっちなやつ着てるんだけど見たい?」
ゴキュ、と食べていたものが変な詰まり方をした。付き合って初めてのクリスマスに何も無いとは思ってなかったロナルドだが流石に動揺した。
「ゴッホ、ゲホ!?」
ドラルクは噎せる姿をパシャリパシャリと写真に収め高笑いをしながらゆっくりと悠長な動きでスルリとスラックスを少しずらして見せた。
俗に言う紐パンだった、しかも真っ赤な紐にパールが装飾されててリボンが付いてるすごくエッチな仕様。
「いやぁ、面白そうだから浮かれポンチに買ってみたんだけどどう?」
ニヤニヤと笑い反応を楽しもうとしてるのが分かるが俺は食い入る様に黙って見つめた。
「ロナルドくーん?瀕死には早いぞ?ざーこ♡雑魚♡」
ガシッ、折れそうな腰を鷲掴みスラックスを元の位置に戻した。いや、ダメだろこれは。
「オッサンの紐パンなんて嬉しいと思うと思うなよ!?ありがとうございます!!!」
そのまま速攻でワンパン殺してロナルドはまたご馳走にかぶりついた。
「情緒不安定がヤバスナァ!」
「ヌー!」
その後、ご飯を食べ終えジョンが満腹眠をしてる間にロナルドはドラルクに真顔で「エッチなサンタコスプレイさせてください」と土下座し今に至る。
「…あの、ロナルドくん。これはいつ、どこで買ったの??」
「付き合って、すぐに、ネットで」
「oh...」
上は鎖骨が丸見えのニッチなミニスカワンピースでガーターと網タイツの絶対領域に高めのヒール、そしてドラルク持参装備の真っ赤な紐パンツというエッチなお姉さんクリスマスバージョンが完成された。
「かわいい、ドラ公めちゃくちゃ可愛い」
真っ赤な顔をしてモジモジするロナルドにドラルクは普通にドン引きした。
「想像してた反応と違う、怖いからやめろ」
「え、ごめんね?俺も着た方が良かった??」
こんなこともあろうかと用意してるぜ?ともう1着のサンタコスを出してきたのを慌てて止めた。
「ロナル子やめろ、面白そうだけどやめろ」
流石に萎えるだろうと着たのに予想以上にグイグイ来る姿は面白いが段々と身の危険を感じてきた、ロナルドのロナルドが進化しようとしてます、Bボタン連打だ馬鹿野郎!と先程拒否したばかりだ。
「お前ノリノリだったじゃん!?」
「君のロナちんがデカ過ぎるからね!?」
「エッチなおねえさん風サンタコスが似合いすぎるのが悪ぃ!!」
「ブエッ!押し倒しながら泣くな!5歳児!」
「だ、だって、そんな下着、いつ買ったんだよぉ」
「君と付き合った最初の日だが!?」
「お、俺のため?」
「そ、そうだッ、あ、そこはだめ♡」
「ドラ公♡ドラ公好き♡」
雨の音で掻き消されるような甘い声に包まれなが聖なる夜は大層盛り上がった。
ヌン完。