イラストを魅せる。護る。究極のイラストSNS。

GALLERIA[ギャレリア]は創作活動を支援する豊富な機能を揃えた創作SNSです。

  • 1 / 1
    しおり
    1 / 1
    しおり
    理想郷ではないけれど 黒煙と砂埃が立ち、オイルの臭いが溢れ返るスクラップ工場内で、傷一つ無い二体のロボットが、機体の隅々まで傷んだ一体のロボットを引きずっている。
     やがて工場の一角で二体のロボットは歩みを止め、運んでいたそれを躊躇無く滑り落とす。がしゃんという重々しく騒がしい音で地面を叩いた。ロボットにはプログラムされた次の作業が待っている。くるりと体を向き直すと、さっさとその場を去っていく。
     機械的な足音が遠退いてからしばらくした後、その捨てられた物体は微動した。顔面を地面に叩きつけられた衝撃が弾みとなり、一体のロボット――狗凱は、段々と目を覚ます。
    「……いってえ……」
     殴られて意識を失った後に殴られて意識を取り戻した、そんな痛撃がいつまでも残る。それどころか、ずきずきと全身の骨の軋みが直接聞こえてくるようだ。熱いのか寒いのか、汗の粒が額から噴き出してくる。呼吸する度に喉の奥で血の味が広がる。
     辺りを見回そうと瞼を開いた狗凱は、自分の視界がおかしいことに気付く。視覚を意識すると、近頃ではすっかり見なくなった、壊れたテレビの中で騒ぐ砂嵐が起こり始めるのだ。鬱陶しい。それこそ昔のテレビの扱いのように、がんがんと側頭部を叩いてみる。痛い。痛みを感じながらも、そのおかげか、砂嵐は徐々に収まっていく。
     しかし、視界の半分が捉えたものは禍々しかった。小学生が図工の授業で様々な絵の具を混ぜたみたいな空。一部では濃緑で、一部では茶色で、一部では黒とも紫とも言えず、一部では錆びついた血の色だった。全てがぐるぐると混ざり合い、それは世界を汚染しながら煙になって覆っている。充満している臭いは古びたオイルと金属臭とは言え、あまりにも血生臭さを感じる。口元についた砂利にえずきそうになったのは、饐えた苦味が伝わったからだ。
     異様だと思いつつ、置かれた状況として考えつく場所ではあった。
    「ここは……工場か」
     呟きながら記憶を辿ると実感する。そうだ、ここはスクラップ工場だ。子供の頃から傍観者という立場に憂いていたという馬場によって、自分達はこの世界に招かれた。ロボットの体になり、理想郷を巡って戦い、負けた。あの戦いの場からここへと放り込まれたらしい。そして体の隅々が軋んで重い、オンボロの機体が中途半端に意識を取り戻して今に至る。これが自分の成れの果て。最早狗凱にとって、それだけのことだった。
     スクラップ工場では、動かないロボット達を動くロボット達が処理している。ここに放り込まれた理由を真っ先に挙げるとすれば、彼の遊び相手としては使い物にならなくなったということだ。使い物にならないも何も、あの野郎の遊び相手なんか二度とご免だ、と心の中で狗凱は悪態をつく。
     ここにいる、いや、この世界にいるロボットは、元は人間。自分達と同じ。その真実を思い返した狗凱は、共に戦った二人の級友を探そうとしたものの、見つけたところでどうしようもないと早々に諦めた。足掻いても無駄だ、敗北は覆らない。理想郷は馬場のものとなった。取り戻せなかった。それに、自分と同じようにここに放り込まれたとは限らないし、意識があるかどうかも分からない。
     ――けれど、唯一心残りがある。それは絶望とも言えるし、今や最期の希望とも言えるかもしれない。
     にこにこと笑う馬場に聞かされた。自分達と同じようにこの世界へと飛ばされ、最期まで人として顔を合わせられなかった、羊田。その末路。彼女が何をされ、どこへと放り込まれたか。
     もしかしたら、この広い工場内のどこかに――祈るように、願うように、縋るように、覚束無い視線をあちらこちらに向ける。同じ痛みを味わった級友のことは諦めたくせに、ただ一人の存在だけは。
     神は……どこかで嘲笑いながら、慈悲を与えてくれたのかもしれない。
     不意に狗凱の視線は一点へと当てられ、息を呑んだ。十メートルと少しほど離れた所に朽ちた物置小屋がある。そして、その側には積まれたロボット達が放置されている。が、ロボットの山から転がり落ちたのか、トタンの壁に添って一体のロボットは哀れに横たわっていた。まともでない視界でも分かる、やけにねじれやへこみが目立ち、部位の欠損もいくつかあった。まるで、馬場と戦った自分達のように、二度と使い物にならないであろうロボット。
     ――あれは、メリーだ。
     その形は、馬場が言っていた通りのロボットだ。工場内に転がる、無数のロボットと同じ見た目をしている。それなのに、どうしてか狗凱には分かった。当たり前のように羊田だと確信した。これが愛の徴だとか、絆の証だとか、そんな甘ったるい情ではないと分かっていながら、それでも狗凱は彼女の名を呼ぶ。
    「メリー」
     振り絞った声で呼びかけたが、応えは返ってこない。「おい」とも「なあ」とも呼びかけたが、応えは返ってこない。視線の先にいる彼女は、横たわったまま動かない。
     狗凱は深く溜め息を吐き、ぐっと腕に力を込めて体を起こそうとするが、半分も持ち上げ続けられない。もう一度溜め息を吐く。鈍痛に苛まれながら這いずるしかなかった。
     ざりざりと赤い石の破片が散らばる砂地を進む。過るのは、やはり羊田の胸元で垂れていた、あのネックレスだった。壊してと託された。殺してと託された。叶えたところで、結局この世界に辿り着いてしまうのなら、何とも無様な結末だ。確かに言った、自分はヒーローではないと。だから、この救われないエンディングが正解なのかもしれないけれど。
     ――羊田の死は、自分だけに委ねられていた。委ねられていたはずなのに、こんな冒涜は他に無い。
     馬場への怒りすら力に変えて這いずり、そのうちに羊田の姿は鮮明になる。鮮明どころか、おかしなことに、近付けば近付くほどに、その横たわった身は機械から人へと戻っていく。機械として歪んでいた部位は、人として見ると残酷な傷害であることが察せられた。
     ゆっくりと、ゆっくりと、今にも干乾びそうな芋虫のように這いずる。有刺鉄線の棘や瓦礫の破片が肌に食い込み、亀裂が走っても構わない。あと五メートル、あと四メートル、あと三メートル、あと二メートル、あと一メートル――
     そうして羊田の隣に辿り着くも、息切れを整えるのにしばらく時間を使った。残っている力で近くに転がるガラクタに手をつき、そこに勢いをつけて何とか上体を起こす。と、向きを変えてトタンの壁にもたれかかることが出来た。その瞬間、ばきっと嫌な音がした。わざわざ確認するまでもない、限界だった片腕がもげて地面に落ちただけだ。何か液体がどろりと流れる。痛みや驚きで叫ぶよりも、余計に荒くなった息を落ち着かせようという冷静さが勝った。つくづくオンボロの機体であると思い知らされる。
     休憩もままならないうちに視界の砂嵐が再び始まってしまう。一発強く側頭部を殴った後、求め続ける存在へと視線を向けた。
     ――羊田だ。羊田がいる。全身が煤塗れでも、それは確かに羊田だった。僅かな呼吸もしていない。衣服は破れ、裂傷と痣だらけの肌が見える。関節の曲がり方で分かるのは、骨折は一か所や二か所では済まないということ。絶え果ててから随分と時が経った証明になる、すっかり乾き切った血痕。半開きになった黒い瞳には生命的な光が完全に失せている。
     あまりにも変わり果てた亡骸に、狗凱は涙も流さなかった。ただ、羊田を見つけられた安堵と満悦でいっぱいだった。
    「お前、いたのかよ……。俺達な、ここに来てたんだぞ。何で俺のこと呼ばねえんだ、バカヤロー」
     あの時、ここでロボットの一体ずつを真剣に探していたら、羊田を見つけられていたのだろうか? 見つけられたとして、自分に何が出来たのだろうか? 怒り狂って、前が見えなくなって、喚いて、楽しそうに笑う馬場に下手に殴りかかって……同じことをしていただろう。当たり前の光景が浮かんで狗凱は自嘲しつつ、羊田の肩を掴もうとする。しかし、今更恐怖を抱いているわけでもないのに、手が震えて上手く届かない。制御が利かない。こんな些細な動作で苦労するなんて。
    「起きろ、メリー」
     何度か手を彷徨わせた後、肩を掴むことが出来た。だが、細い体は脱力し切っており、虚しく揺さぶられるだけだった。
     ふと思いついたものは、自分達の体に当てはまっていたパーツ。ここで鳥川という男から渡され、記された型番に確かな意味を持っていたパーツ。
    「あー、クソ。エンジンは……イッツGが持ってたっけか」
     悔しいが、どうしようもない。仮に自分が持っていたところで、あの使い切ったエンジンがまともに動くとは思えない。この大きく深く抉られた胸部に、命の動力源を当てはめたところで、鼓動が再開するとは思えない。惨たらしい死に姿だ。けれど、半開きになった瞼をもたつきながらも閉じてやると、表情だけなら安らぎを得たような雰囲気も漂う。
     そこで、狗凱は空笑いを漏らした。いつものように後から気付く。
    「そうか、ようやく眠れたのか。そうだよな。お前、ずっと寝られなかったもんな。神様のせいで、俺がジコチューなせいで……だから、良いのか」
     納得し、がたつく手で羊田の乱れた髪を撫でる。潤いも無い、ぱさぱさとした触感。いきなり触れたら「どうしたの?」と不思議そうに首を傾げるだろうに、その言葉の一つも聞かせてくれない。つむじを押しても驚かない。頬をつねっても怒らない。つまらない。寂しい。
     辺りを見回す狗凱の視界では、相変わらずロボット達がロボット達を淡々と処理している。センスが無い、気に食わない、冷たい世界だと思っていた。けれど、改めてここに座り込んで眺めていると、心が弾み始める。かつての男の子と女の子の影が過る。
    「なーんかさぁ、ちょっと懐かしくね? ゴミとガラクタだらけだろ、ここ。カメラ持ってきたら映画撮り放題だよな。ガキの頃の俺達なんか大喜びするぜ。ほら、あの鉄骨とか最高じゃん。あれ怪獣が踏み潰して、ぶっ壊すんだよ。そしたらカッコイイヒーローがやって来て……あ、ロボットも敵な。ロボットの軍団をさ、どんどん殴って殴って倒すんだ。こっちの鉄くずと部品繋げたら武器になりそうだし。名前何が良いかなぁ……おい、メリーもアイデア出せって。本当はあるんだろ?」
     返事はくれないと分かっていながら、問いかけてしまう。当然ながら反応は無い。けれど羊田が起きていたら、きっと自分と同じアイデアも、自分と違うアイデアも、たくさん出してくれるだろう。そして自分達のアイデアが同じでなければ、自分が拗ねることも狗凱は分かっている。
     話しかけ続けても羊田は眠ったままだった。狗凱の内心に、どんどん寂しさが募っていく。
    「俺を独りにすんなよ」
     ぽつりと、こぼす。あの頃みたいに取り残された気分だ。羊田と河川敷で出会った小学四年生。ガラクタを積み上げ、街を築き、ヒーローごっこに明け暮れた。平和で静かな世界になったら、二人だけでヒーロー映画を作ろうと約束した。けれど思春期だったか何だったか、いつしか避けられてしまい、二人で過ごした時間は大人の前に終わってしまった。そして、あの日の再会。全ては神の遊戯と采配だった。それでも自分にとって羊田との出会いがどれだけの宝物か――そのことを、まだ直接言えていなかった。言わなくても伝わっていると、思い込んでいた。素直に言っていれば、彼女はもっと笑って側にいてくれたのだろうか。
     ふと狗凱が空を見上げると、薄く広がった雲がオレンジ色に照らされていた。温かくて切ない、淡く揺れるような太陽。
    「俺さぁ、夕日が特別だった気がするんだ。お前と河川敷で見てた夕日はさ、遊び足りねえってのにもう帰る合図だし、寂しかったから……そういう特別じゃなくてな。でも、あれは、なんか、何だっけ、もっと高い所で……」
     考えようとすると、頭の中が霞んでいく。自分には意味のある場所があったはずだ。なのに、思い出せない。消えていく。消えていく悲しさがありながも、それを止めることは出来ないと悟る。もう意味は無いだろう。
     曖昧な思考でも狗凱は一つの違和感を覚えた。
    「つーか、おかしいなァ……。さっきまで気色わりぃ色してたのに。ここは……どこだ?」
     多色の絵の具をぐちゃぐちゃに混ぜたような空は晴れ、辺りは夕暮れに染まる。気付けば目の前には鮮やかな光景が広がっていた。背の高い草むらに囲まれ、流れる川面が見える。ドラム缶やパイプ、ビールケースがあり、工具が置かれ、作りかけの武器が散らばっていた。風に吹かれて慣れたニスやペンキの匂いもする。重機の騒音も、ロボットの足音も止んだ。河川敷の上の道を通る自転車がベルを鳴らしたり、はしゃぐ子供達の声と、散歩中なのか犬の鳴き声は聞こえるけれど、気にしない。
     ここは、かつて二人だけで築き上げたガラクタの街の中だ。
     ――遠くの方でカラスが鳴き始める。ああ駄目だ、夕方だから帰らないと。家では母親が夕飯を作り始めた頃合いで、帰りが遅くなると怒られてしまう。確か今夜はハンバーグだと言っていた。ランドセルはどこだ。持ち出した工具を仕舞おう。明日は日曜日、朝っぱらから河川敷で羊田と遊べるのが嬉しい。何時に集合しようか。何から手をつけようか。基地の改造をしようか。ヒーローの設定を考えようか。必殺技のお披露目会でもしようか。街をぶっ壊して、それからまた作り直そうか。やりたいことだらけで迷ってしまう。けれど自分の側には必ず羊田がいる、二人で決める――
    (……いや、違う。もう帰らなくても良いか。メリーも……)
     あちらへと帰る必要は無くなった。時は止まった。いくらでも遊べる。二人きりで永遠に、このガラクタの街で過ごせるのだから。
     幻覚でも良かった。幻想でも良かった。ただ二人でここにいる、それで良かった。
    「すまねえ、メリー。やっぱ俺、お前がいなきゃ楽しくないんだよ。付き合ってくれ、頼むから。あの世でもさ。映画。お前が嫌だっつっても、これから一生二人で映画撮り続けるって、言ったじゃねえか。もう俺を置いてくなよ。約束。俺達は約束したんだ。ここ、静かだろ、平和だろ、懐かしいだろ。だから映画撮るんだ。俺はお前との約束、破らなかった。お前も守れ。俺がジコチューなのは誰よりも知ってるよな。ま、俺と出会ったのが運の尽きってやつさ。大体なぁ、お前だってホントは、俺がいないと……」
     羊田が応えないのをいいことに、ありったけの我欲を吐き出す。もしも一緒に夕日を眺めていたら、「うん」と返してくれるに決まっていると、未だに信じ切っている。
     散々独り言を吐いた後、狗凱は息切れすら出来ないほどに静まった。まだ気が済んだわけではないのに、自分の意思とは裏腹に、体が酷く重くなって不自由になる。燃料切れ、という表現ほど即するものはない。
    「俺も、ちょっと寝るわ。起きたら映画作ろうぜ」
     指先を動かすことさえもたつく。ただ、不思議と痛みは無くなっていた。これは疲労でも倦怠でもない、壊れるという感覚だと気付く。それでも残った片腕を、片手を、狗凱は最期の動力で羊田の方へと懸命に伸ばす。力無く開かれた小さな手の平に向かって。
     今、その穏やかな彼女の寝顔に相応しい言葉を、告げておきたい。
    「おやすみ、メリー」
     ようやく重ね合わせた手は冷たく、硬い。金属同士の擦れ合う音がした。その瞬間狗凱の視界は闇と化し、機械としての生命活動が完全に停止する。

     空に向かって立ち込む黒煙と、目に痛いほどの金属臭が漂うスクラップ工場。そこでは重機が走り、作業用ロボット達が命令通りに働く。その工場内の片隅で、寄り添い合って眠る損傷だらけの二体のロボット。煤と埃に塗れていく。息が詰まりそうな熱風に吹かれ、包まれている。いつか共に溶鉱炉へと投げ込まれる日が訪れるまで、そこにあるだけとなった。
     ここは理想郷ではないけれど、幼い頃に夢見た、二人の楽園なのかもしれない。



         完
     黒煙と砂埃が立ち、オイルの臭いが溢れ返るスクラップ工場内で、傷一つ無い二体のロボットが、機体の隅々まで傷んだ一体のロボットを引きずっている。
     やがて工場の一角で二体のロボットは歩みを止め、運んでいたそれを躊躇無く滑り落とす。がしゃんという重々しく騒がしい音で地面を叩いた。ロボットにはプログラムされた次の作業が待っている。くるりと体を向き直すと、さっさとその場を去っていく。
     機械的な足音が遠退いてからしばらくした後、その捨てられた物体は微動した。顔面を地面に叩きつけられた衝撃が弾みとなり、一体のロボット――狗凱は、段々と目を覚ます。
    「……いってえ……」
     殴られて意識を失った後に殴られて意識を取り戻した、そんな痛撃がいつまでも残る。それどころか、ずきずきと全身の骨の軋みが直接聞こえてくるようだ。熱いのか寒いのか、汗の粒が額から噴き出してくる。呼吸する度に喉の奥で血の味が広がる。
     辺りを見回そうと瞼を開いた狗凱は、自分の視界がおかしいことに気付く。視覚を意識すると、近頃ではすっかり見なくなった、壊れたテレビの中で騒ぐ砂嵐が起こり始めるのだ。鬱陶しい。それこそ昔のテレビの扱いのように、がんがんと側頭部を叩いてみる。痛い。痛みを感じながらも、そのおかげか、砂嵐は徐々に収まっていく。
     しかし、視界の半分が捉えたものは禍々しかった。小学生が図工の授業で様々な絵の具を混ぜたみたいな空。一部では濃緑で、一部では茶色で、一部では黒とも紫とも言えず、一部では錆びついた血の色だった。全てがぐるぐると混ざり合い、それは世界を汚染しながら煙になって覆っている。充満している臭いは古びたオイルと金属臭とは言え、あまりにも血生臭さを感じる。口元についた砂利にえずきそうになったのは、饐えた苦味が伝わったからだ。
     異様だと思いつつ、置かれた状況として考えつく場所ではあった。
    「ここは……工場か」
     呟きながら記憶を辿ると実感する。そうだ、ここはスクラップ工場だ。子供の頃から傍観者という立場に憂いていたという馬場によって、自分達はこの世界に招かれた。ロボットの体になり、理想郷を巡って戦い、負けた。あの戦いの場からここへと放り込まれたらしい。そして体の隅々が軋んで重い、オンボロの機体が中途半端に意識を取り戻して今に至る。これが自分の成れの果て。最早狗凱にとって、それだけのことだった。
     スクラップ工場では、動かないロボット達を動くロボット達が処理している。ここに放り込まれた理由を真っ先に挙げるとすれば、彼の遊び相手としては使い物にならなくなったということだ。使い物にならないも何も、あの野郎の遊び相手なんか二度とご免だ、と心の中で狗凱は悪態をつく。
     ここにいる、いや、この世界にいるロボットは、元は人間。自分達と同じ。その真実を思い返した狗凱は、共に戦った二人の級友を探そうとしたものの、見つけたところでどうしようもないと早々に諦めた。足掻いても無駄だ、敗北は覆らない。理想郷は馬場のものとなった。取り戻せなかった。それに、自分と同じようにここに放り込まれたとは限らないし、意識があるかどうかも分からない。
     ――けれど、唯一心残りがある。それは絶望とも言えるし、今や最期の希望とも言えるかもしれない。
     にこにこと笑う馬場に聞かされた。自分達と同じようにこの世界へと飛ばされ、最期まで人として顔を合わせられなかった、羊田。その末路。彼女が何をされ、どこへと放り込まれたか。
     もしかしたら、この広い工場内のどこかに――祈るように、願うように、縋るように、覚束無い視線をあちらこちらに向ける。同じ痛みを味わった級友のことは諦めたくせに、ただ一人の存在だけは。
     神は……どこかで嘲笑いながら、慈悲を与えてくれたのかもしれない。
     不意に狗凱の視線は一点へと当てられ、息を呑んだ。十メートルと少しほど離れた所に朽ちた物置小屋がある。そして、その側には積まれたロボット達が放置されている。が、ロボットの山から転がり落ちたのか、トタンの壁に添って一体のロボットは哀れに横たわっていた。まともでない視界でも分かる、やけにねじれやへこみが目立ち、部位の欠損もいくつかあった。まるで、馬場と戦った自分達のように、二度と使い物にならないであろうロボット。
     ――あれは、メリーだ。
     その形は、馬場が言っていた通りのロボットだ。工場内に転がる、無数のロボットと同じ見た目をしている。それなのに、どうしてか狗凱には分かった。当たり前のように羊田だと確信した。これが愛の徴だとか、絆の証だとか、そんな甘ったるい情ではないと分かっていながら、それでも狗凱は彼女の名を呼ぶ。
    「メリー」
     振り絞った声で呼びかけたが、応えは返ってこない。「おい」とも「なあ」とも呼びかけたが、応えは返ってこない。視線の先にいる彼女は、横たわったまま動かない。
     狗凱は深く溜め息を吐き、ぐっと腕に力を込めて体を起こそうとするが、半分も持ち上げ続けられない。もう一度溜め息を吐く。鈍痛に苛まれながら這いずるしかなかった。
     ざりざりと赤い石の破片が散らばる砂地を進む。過るのは、やはり羊田の胸元で垂れていた、あのネックレスだった。壊してと託された。殺してと託された。叶えたところで、結局この世界に辿り着いてしまうのなら、何とも無様な結末だ。確かに言った、自分はヒーローではないと。だから、この救われないエンディングが正解なのかもしれないけれど。
     ――羊田の死は、自分だけに委ねられていた。委ねられていたはずなのに、こんな冒涜は他に無い。
     馬場への怒りすら力に変えて這いずり、そのうちに羊田の姿は鮮明になる。鮮明どころか、おかしなことに、近付けば近付くほどに、その横たわった身は機械から人へと戻っていく。機械として歪んでいた部位は、人として見ると残酷な傷害であることが察せられた。
     ゆっくりと、ゆっくりと、今にも干乾びそうな芋虫のように這いずる。有刺鉄線の棘や瓦礫の破片が肌に食い込み、亀裂が走っても構わない。あと五メートル、あと四メートル、あと三メートル、あと二メートル、あと一メートル――
     そうして羊田の隣に辿り着くも、息切れを整えるのにしばらく時間を使った。残っている力で近くに転がるガラクタに手をつき、そこに勢いをつけて何とか上体を起こす。と、向きを変えてトタンの壁にもたれかかることが出来た。その瞬間、ばきっと嫌な音がした。わざわざ確認するまでもない、限界だった片腕がもげて地面に落ちただけだ。何か液体がどろりと流れる。痛みや驚きで叫ぶよりも、余計に荒くなった息を落ち着かせようという冷静さが勝った。つくづくオンボロの機体であると思い知らされる。
     休憩もままならないうちに視界の砂嵐が再び始まってしまう。一発強く側頭部を殴った後、求め続ける存在へと視線を向けた。
     ――羊田だ。羊田がいる。全身が煤塗れでも、それは確かに羊田だった。僅かな呼吸もしていない。衣服は破れ、裂傷と痣だらけの肌が見える。関節の曲がり方で分かるのは、骨折は一か所や二か所では済まないということ。絶え果ててから随分と時が経った証明になる、すっかり乾き切った血痕。半開きになった黒い瞳には生命的な光が完全に失せている。
     あまりにも変わり果てた亡骸に、狗凱は涙も流さなかった。ただ、羊田を見つけられた安堵と満悦でいっぱいだった。
    「お前、いたのかよ……。俺達な、ここに来てたんだぞ。何で俺のこと呼ばねえんだ、バカヤロー」
     あの時、ここでロボットの一体ずつを真剣に探していたら、羊田を見つけられていたのだろうか? 見つけられたとして、自分に何が出来たのだろうか? 怒り狂って、前が見えなくなって、喚いて、楽しそうに笑う馬場に下手に殴りかかって……同じことをしていただろう。当たり前の光景が浮かんで狗凱は自嘲しつつ、羊田の肩を掴もうとする。しかし、今更恐怖を抱いているわけでもないのに、手が震えて上手く届かない。制御が利かない。こんな些細な動作で苦労するなんて。
    「起きろ、メリー」
     何度か手を彷徨わせた後、肩を掴むことが出来た。だが、細い体は脱力し切っており、虚しく揺さぶられるだけだった。
     ふと思いついたものは、自分達の体に当てはまっていたパーツ。ここで鳥川という男から渡され、記された型番に確かな意味を持っていたパーツ。
    「あー、クソ。エンジンは……イッツGが持ってたっけか」
     悔しいが、どうしようもない。仮に自分が持っていたところで、あの使い切ったエンジンがまともに動くとは思えない。この大きく深く抉られた胸部に、命の動力源を当てはめたところで、鼓動が再開するとは思えない。惨たらしい死に姿だ。けれど、半開きになった瞼をもたつきながらも閉じてやると、表情だけなら安らぎを得たような雰囲気も漂う。
     そこで、狗凱は空笑いを漏らした。いつものように後から気付く。
    「そうか、ようやく眠れたのか。そうだよな。お前、ずっと寝られなかったもんな。神様のせいで、俺がジコチューなせいで……だから、良いのか」
     納得し、がたつく手で羊田の乱れた髪を撫でる。潤いも無い、ぱさぱさとした触感。いきなり触れたら「どうしたの?」と不思議そうに首を傾げるだろうに、その言葉の一つも聞かせてくれない。つむじを押しても驚かない。頬をつねっても怒らない。つまらない。寂しい。
     辺りを見回す狗凱の視界では、相変わらずロボット達がロボット達を淡々と処理している。センスが無い、気に食わない、冷たい世界だと思っていた。けれど、改めてここに座り込んで眺めていると、心が弾み始める。かつての男の子と女の子の影が過る。
    「なーんかさぁ、ちょっと懐かしくね? ゴミとガラクタだらけだろ、ここ。カメラ持ってきたら映画撮り放題だよな。ガキの頃の俺達なんか大喜びするぜ。ほら、あの鉄骨とか最高じゃん。あれ怪獣が踏み潰して、ぶっ壊すんだよ。そしたらカッコイイヒーローがやって来て……あ、ロボットも敵な。ロボットの軍団をさ、どんどん殴って殴って倒すんだ。こっちの鉄くずと部品繋げたら武器になりそうだし。名前何が良いかなぁ……おい、メリーもアイデア出せって。本当はあるんだろ?」
     返事はくれないと分かっていながら、問いかけてしまう。当然ながら反応は無い。けれど羊田が起きていたら、きっと自分と同じアイデアも、自分と違うアイデアも、たくさん出してくれるだろう。そして自分達のアイデアが同じでなければ、自分が拗ねることも狗凱は分かっている。
     話しかけ続けても羊田は眠ったままだった。狗凱の内心に、どんどん寂しさが募っていく。
    「俺を独りにすんなよ」
     ぽつりと、こぼす。あの頃みたいに取り残された気分だ。羊田と河川敷で出会った小学四年生。ガラクタを積み上げ、街を築き、ヒーローごっこに明け暮れた。平和で静かな世界になったら、二人だけでヒーロー映画を作ろうと約束した。けれど思春期だったか何だったか、いつしか避けられてしまい、二人で過ごした時間は大人の前に終わってしまった。そして、あの日の再会。全ては神の遊戯と采配だった。それでも自分にとって羊田との出会いがどれだけの宝物か――そのことを、まだ直接言えていなかった。言わなくても伝わっていると、思い込んでいた。素直に言っていれば、彼女はもっと笑って側にいてくれたのだろうか。
     ふと狗凱が空を見上げると、薄く広がった雲がオレンジ色に照らされていた。温かくて切ない、淡く揺れるような太陽。
    「俺さぁ、夕日が特別だった気がするんだ。お前と河川敷で見てた夕日はさ、遊び足りねえってのにもう帰る合図だし、寂しかったから……そういう特別じゃなくてな。でも、あれは、なんか、何だっけ、もっと高い所で……」
     考えようとすると、頭の中が霞んでいく。自分には意味のある場所があったはずだ。なのに、思い出せない。消えていく。消えていく悲しさがありながも、それを止めることは出来ないと悟る。もう意味は無いだろう。
     曖昧な思考でも狗凱は一つの違和感を覚えた。
    「つーか、おかしいなァ……。さっきまで気色わりぃ色してたのに。ここは……どこだ?」
     多色の絵の具をぐちゃぐちゃに混ぜたような空は晴れ、辺りは夕暮れに染まる。気付けば目の前には鮮やかな光景が広がっていた。背の高い草むらに囲まれ、流れる川面が見える。ドラム缶やパイプ、ビールケースがあり、工具が置かれ、作りかけの武器が散らばっていた。風に吹かれて慣れたニスやペンキの匂いもする。重機の騒音も、ロボットの足音も止んだ。河川敷の上の道を通る自転車がベルを鳴らしたり、はしゃぐ子供達の声と、散歩中なのか犬の鳴き声は聞こえるけれど、気にしない。
     ここは、かつて二人だけで築き上げたガラクタの街の中だ。
     ――遠くの方でカラスが鳴き始める。ああ駄目だ、夕方だから帰らないと。家では母親が夕飯を作り始めた頃合いで、帰りが遅くなると怒られてしまう。確か今夜はハンバーグだと言っていた。ランドセルはどこだ。持ち出した工具を仕舞おう。明日は日曜日、朝っぱらから河川敷で羊田と遊べるのが嬉しい。何時に集合しようか。何から手をつけようか。基地の改造をしようか。ヒーローの設定を考えようか。必殺技のお披露目会でもしようか。街をぶっ壊して、それからまた作り直そうか。やりたいことだらけで迷ってしまう。けれど自分の側には必ず羊田がいる、二人で決める――
    (……いや、違う。もう帰らなくても良いか。メリーも……)
     あちらへと帰る必要は無くなった。時は止まった。いくらでも遊べる。二人きりで永遠に、このガラクタの街で過ごせるのだから。
     幻覚でも良かった。幻想でも良かった。ただ二人でここにいる、それで良かった。
    「すまねえ、メリー。やっぱ俺、お前がいなきゃ楽しくないんだよ。付き合ってくれ、頼むから。あの世でもさ。映画。お前が嫌だっつっても、これから一生二人で映画撮り続けるって、言ったじゃねえか。もう俺を置いてくなよ。約束。俺達は約束したんだ。ここ、静かだろ、平和だろ、懐かしいだろ。だから映画撮るんだ。俺はお前との約束、破らなかった。お前も守れ。俺がジコチューなのは誰よりも知ってるよな。ま、俺と出会ったのが運の尽きってやつさ。大体なぁ、お前だってホントは、俺がいないと……」
     羊田が応えないのをいいことに、ありったけの我欲を吐き出す。もしも一緒に夕日を眺めていたら、「うん」と返してくれるに決まっていると、未だに信じ切っている。
     散々独り言を吐いた後、狗凱は息切れすら出来ないほどに静まった。まだ気が済んだわけではないのに、自分の意思とは裏腹に、体が酷く重くなって不自由になる。燃料切れ、という表現ほど即するものはない。
    「俺も、ちょっと寝るわ。起きたら映画作ろうぜ」
     指先を動かすことさえもたつく。ただ、不思議と痛みは無くなっていた。これは疲労でも倦怠でもない、壊れるという感覚だと気付く。それでも残った片腕を、片手を、狗凱は最期の動力で羊田の方へと懸命に伸ばす。力無く開かれた小さな手の平に向かって。
     今、その穏やかな彼女の寝顔に相応しい言葉を、告げておきたい。
    「おやすみ、メリー」
     ようやく重ね合わせた手は冷たく、硬い。金属同士の擦れ合う音がした。その瞬間狗凱の視界は闇と化し、機械としての生命活動が完全に停止する。

     空に向かって立ち込む黒煙と、目に痛いほどの金属臭が漂うスクラップ工場。そこでは重機が走り、作業用ロボット達が命令通りに働く。その工場内の片隅で、寄り添い合って眠る損傷だらけの二体のロボット。煤と埃に塗れていく。息が詰まりそうな熱風に吹かれ、包まれている。いつか共に溶鉱炉へと投げ込まれる日が訪れるまで、そこにあるだけとなった。
     ここは理想郷ではないけれど、幼い頃に夢見た、二人の楽園なのかもしれない。



         完

    「理想郷ではないけれど」タイトル無し表紙と挿絵猛者
    猛者 Link Message Mute
    2022/11/07 23:37:01

    理想郷ではないけれど

    #きてどち #らじの04 #カンメリ
    らじカンメリ1作目。セッション直後の興奮だけで書いたのでシナリオブックと噛み合わない部分が多々あります。特に工場内の描写が。でも最高でした、本当に最高でした。
    らじ前にメリーちゃん自殺説を前提としている為、カントクのメリーちゃんに対する想いがそれを匂わせている感じです。

    手塚治虫の「火の鳥 復活編」と18禁純愛肉塊ゲーに影響されまくっています。

    ご厚意により、ガチ絵描きに表紙と挿絵を描いて頂きました。本当にありがとうございます。

    ピクシブから再掲。

    more...
    作者が共有を許可していません Love ステキと思ったらハートを送ろう!ログイン不要です。ログインするとハートをカスタマイズできます。
    200 reply
    転載
    NG
    クレジット非表示
    NG
    商用利用
    NG
    改変
    NG
    ライセンス改変
    NG
    保存閲覧
    NG
    URLの共有
    NG
    模写・トレース
    NG
    • 2「理想郷ではないけれど」タイトル無し表紙と挿絵 #きてどち #らじの04 #カンメリ

      ガチ絵描きに描いて頂いた「理想郷ではないけれど」の表紙と挿絵。
      何度見ても胸がぎゅわぎゅわする美しい絵です。
      描いて下さって本当にありがとうございました。

      無断転載は絶対に許さんぞ。
      猛者
    • 美味しい時間 #きてどち #れじの04 #カンメリ
      メリーちゃんの作るホットケーキが食べたい一心で書いた話。
      カントクが面倒臭い男になってしまった。甘い物が苦手そうなのはJBから引っ張ってきた。

      ピクシブから再掲。
      猛者
    • 二人でなら生きていける #きてどち #れじの04 #カンメリ
      きてどちのセッションで初めて泣いてカンメリに堪らず書いた第1作目。事件後、カンメリが河川敷を眺めて物思いに耽る話です。
      JBがカントクとして、メリーちゃんを同じ立場に並べてくれて本当に良かった。

      シナリオブックが届く前に書いたことも一因ですが、やはり月日が経つと自分の中で自分と解釈違いを起こして何だかなあという描写もしています。ただ、らじの04後だとタイトルについては説得力があります。

      ピクシブから再掲。
      猛者
    • 太陽と月とスターヒーロー #きてどち #れじの04 #カンメリ

      学校でお泊り会を過ごす子供時代カンメリの話。
      メリーちゃんを月の女神として仕立て上げると対にするなら太陽神なのに、カントクはスターヒーローを名乗ってるから面白いなあみたいな。

      らじ前の締めに書いたれじカンメリでした。素敵な結末を迎える予感があったので、その通りになったので良かったです。

      ピクシブから再掲。
      猛者
    • れじの04小話ぷらいべったーまとめ #きてどち #れじの04 #カンメリ
      カンメリだったりカンメリじゃなかったりする内容が全部で5本。本文前には長ったらしい注釈や所感が記述。

      ピクシブから再掲。
      猛者
    • 愛憎の町で求めた理想郷 #きてどち #れじの04 #イツ猫 #カンメリ
      男性愛者の猫山がイッツGと笑い合える理想郷を望んだ話。猫山の行動原理は案外単純だからこそ複雑に追い詰められてしまったのではなかろうか。
      話の題材上、セクシュアリティ関係の差別表現を取り入れています。読んで辛くなったらすぐ閉じて下さい。書いた私も辛いです。

      猫山はメリーちゃんに同族嫌悪してミソジニーを拗らせて、メリーちゃんは猫山を哀れんでいたイメージ。この2人がどんな不毛なやり取りをしてきたのか、考え出したら止まらない。
      イッツGはシナリオの言動からして女性愛者だし、恋愛関係として猫山を受け入れるのは難しいにしても、学ぶ意思くらいは持つと思います。

      ピクシブから再掲。
      猛者
    • 偽りとの戯れ #きてどち #れじの04 #カンメリ
      鼠谷の死=探索者3人を帰郷させたのはメリーちゃん説。神がカントクの姿で降り立つ夢を見ては苦しめられていたら可愛い。
      メリーちゃんと鼠谷と馬場の関係性は未だに考察の余地がありすぎる。

      ピクシブから再掲。
      猛者
    • 夢と影 #きてどち #れじの04 #カンメリ
      カントクがやさぐれているだけの話。通夜ぶるまいでの「羊田?羊田?」と、カントクが夢を見た後にどんな心境になったのかが気になりすぎて書きました。
      イッツGと違ってカントクは月日をかけてメリーちゃんのことを無理矢理封じたイメージ。

      ピクシブから再掲。
      猛者
    • 呼んで、呼ぶな #きてどち #れじの04 #カンメリ
      自分のあだ名が好きじゃないと言ったカントクの真意を考察したくて書いた第2作目のカンメリ。
      メリーちゃんは「メリー」という幼きカントクにつけられた変哲も無いあだ名に救われたことでしょう。

      カンメリは同じ中学に入り、しかし神の采配と思春期によってすれ違いが始まったのではと今は思います。流石に小4だけの交流であんな大層な執着と依存を抱き合うのはヤバい気がします。

      ピクシブから再掲。
      猛者
    CONNECT この作品とコネクトしている作品