診断メーカーネタからの堂足祭り◯起きたばっかり/足立透
「んっ…」
もぞもぞと布団から顔を出すと、隣には堂島さんの顔ドアップがあった。
「うおっ!」
軽く悲鳴じみた声を発声したが、堂島さんは爆睡中。
「じっとしてろぉ…あらちぃ…」
寝言でも僕は怒られているのか…と苦笑いしつつも、
もう少しこの時間を堪能することにした。
◯あくび/堂島遼太郎
週末。
足立と久々のセックスをして盛り上がり、二人とも泥のように眠ってしまった。
朝方起きたので足立を綺麗にし、寝床も最低限整えて再び眠りについたのだが、
二度寝から目覚めてもまだ足立は夢の中。
「ふぁぁぁ…」
眠い目を擦り、足立の頭を撫でながらあまり普段でない欠伸をする。
こんな優しい時間をこいつと過ごせる日がやってくるとはな…。
自然と顔に笑みを浮かべながら、足立が起きるまで腕枕をしながら横になることにした。
◯カフェ店員/堂島遼太郎
(カフェのマスター×会社員な堂足)
毎日昼下がりになると、ネクタイの曲がった会社員がやってくる。
そして珈琲を注文してまったりしていく。
…彼の名は足立透。俺の…想い人だ。
今日も珈琲を淹れて足立の待つ席に出してやる。
するとぽつりとこう言ってきた。
「こんな珈琲を毎日いつでも飲めたらなぁ…。」
そんなことを呟くものだから、思わずこう返答してしまった。
「お前が望むならいつでも淹れてやるよ。…好きだよ、足立さん。」
◯絆創膏/堂足
(交換日記堂足より。)
足:おかえり遼太郎さん…って、おでこのその絆創膏、どうしたんですか?
堂:ただいま透。いやな、今日とっつかまえたひったくりに殴られてな…生きのいいやつだったな笑
足:そう、だったんですね…。(絆創膏のうえからキスをひとつ)
どうかこのキスひとつで堂島さんの傷が早くよくなりますように。。
◯ピアノ/刑事コンビ
ふとパトロールをしていると、ピアノの音が聞こえてきた。
「んん、この曲、千里が前に弾いてたな…」
「あぁ、ドビュッシーのアラベスクですねー。
左右の手のリズムが全然違うから難しいってパートもあるんですよねーあれ。」
「お前よく知ってるな…ピアノ弾けるのか?」
「僕は頭脳派ですからねー!勿論弾けますよ。」
「そうか…。今度うちに来たときにでも弾いてくれないか。」
…奥さんを懐かしむ堂島さんの表情はひどく優しい顔をしていた。
…僕にもそんな顔を向けてくれないかな。
そんな淡い感情をもて余す今日この頃だった。
◯ドヤ顔/堂島遼太郎
(酔っぱらってる堂島さん)
「ふははは!いいだろう…この世界一かわいいやつ、俺のなんだぞ?羨ましいだろう?!」
いきなり僕を抱き抱えて悠くんの前で何を言い出すかと思いきや、交際宣言をぶっこむ堂島さん!
「ちょ、堂島さん?!!って、んんんっ…!!」
あげくキスをされる始末。
頼むから、このガキの前でこれ以上幸せいっぱいでさも当然な顔をしないでくれ…。
恥ずか死ぬから!!!
ぼ く が !!
◯にゃあ。/堂島&足立
「あの猫、お父さんみたい!」
テレビを指差しながら菜々子ちゃんはそう言った。
確かに少しムスっとした感じと貫禄のある感じは堂島さんに似ている。
「お父さん!猫さんの真似っこしてみて!」
「なっ、なにぃ??」
急な菜々子ちゃんのお題に困る堂島さん。
にやにや堂島さんを見ていると、僕にもとばっちりがやってきた。
「せっかくだし、足立さんも猫さんやってみて!ちゃんと仕草もね!」
「え、えぇ~っ?!」
「ほら、せーので『にゃー』ってやってみて!ほら、せーの!」
「「にゃ、にゃあ~~…。」」
〇手を伸ばして/堂島&足立
足:堂島さん、「手を伸ばして」って言われたら、どうします?
堂:なんだ、急に…。うーん、こうか? (両手を広げるようなポーズ)
足:それは「広げて」でしょ、堂島さん…。(でも堂島さんらしいかな。)
堂:なんだよ…じゃあお前はどうするんだ?
足:僕なら…こうですね(堂島さんの頬へと手を伸ばして撫でる)
堂:なんだ…そういうことか。なら、俺はこうだな。(頭なでなで)
足:もう…いつもと変わらないじゃないですか…。
堂:変わらないのがいいんだよ。「普通」が一番だ。
足:……「普通」が一番、ね。つまらないよなぁ、それじゃ。(ぽつり)
〇ここは安心だね/堂島遼太郎
(狐立さんと神主島さん)
まだ足立と気持ちが通って間もない頃。
あいつは度々悪夢にうなされているようだった。
言葉にならない叫びを発声し、苦しそうな表情で冷汗を流して眠るさまは
俺も苦しくなった。
「お前の悪夢は…先代の事件のせいなんだろうな…。」
少しでも和らげる方法は…そう思った俺は、
足立をしっかり抱き抱え、俺の心臓辺りに耳を近づけさせた。
子供は親の心臓の音が一番安心するという。
俺の鼓動で気持ちが落ち着けば…そう思い実践してみたのだが、
どうやら効果適面だったようだ。
「どう、じま、さん…」
ぽつりと寝言を呟きながら、俺の寝着の裾を遠慮がちに握り、
むにゃむにゃと寝言を言いながら眠るようになったのだった。
お前の安らげる、安心できる場所を、これからもっと作り出せるように…。
そう願って、俺も隣で眠るのだった。
〇贈る花束/刑事コンビ
「そういえばもうすぐ父の日ですね、堂島さん。
菜々子ちゃんからのプレゼント、楽しみなんじゃないですか?」
車で稲羽市内を巡回しているとき、ふと思ったので堂島さんに尋ねてみた。
「我が家の父の日は花を贈ることになっているんだ。」
「へぇ~珍しい。なんでです?
「…母の日ができないからな、うちは。だから代わりに父の日は花を贈る日にしているんだ。」
下向き加減にそう呟く堂島さん。
「じゃあ今年は僕も一緒に菜々子ちゃんとお花を贈りますよ!お父さん♪」
「あん?お前のその花は賄賂だろう、足立!」
「いてっ!まだ何も強請ってないじゃないですか~!」
花ひとつで強請っていいのなら。
あなたの心を、愛情を僕にもくださいな。
〇幼い頃/堂足
(怪盗堂足より。)
「そういやお前、初めてあったとき何歳だったんだ。」
「小学生くらいだったと思いますよ…?」
驚いた。あの時点ですでに俺の手管を見抜いていたというのか…。
「でもあのときから、あなたにしか愛情は向けてませんから、
安心してくださいね♪」
「そ、それは嬉しいが…あんなときから俺にキスをねだったりするんじゃない!
…妙に色っぽくて困っただろうが…。(ぽつり)」
「…?」
「…あのときから俺はお前に心を盗まれていたし、エロいなって思っていたって話だよ!」
「えっ?!そ、そうなの?!」
(くそ、思わず言っちまったじゃないか!)
〇女装/堂島遼太郎
たまたま堂島さんちでアルバムを見せてもらうことになり、じっくり眺めることになった。
まだあどけない表情で写っている堂島さんはかわいらしく、自然とにやけてしまう。
そんなとき、ぺらりと1枚の写真が落ちてきた。
…そして拾い上げたその写真には衝撃的なものが写っていたのだ。
「……!!!」
そこには忘年会らしき風景で、女教師風な堂島さんが写っていたのだ!
縁のない眼鏡とパツパツなシャツ、そしてコクーンスカートを履き、網タイツを履いている堂島さん。
酔っていたのか、恥ずかしげもなく仁王立ちして立っている写真だった。
…これは封印すべき写真だろう…心には刻んでおきたいシロモノだが。
そう思い、そっとアルバムに戻そうとすると、もう一枚落ちかけていた写真があり、
こわいもの見たさで拾い上げる。
…するとそれは
転寝している僕と一緒に自撮りで写ったであろう堂島さんとの2ショットの写真だった。
僕との写真も、大切な思い出として取ってくれている堂島さん。
…僕をどれだけ喜ばせたいのだろう。
そう思いながら静かにアルバムを閉じたのだった。
〇今日の話/堂足
今日このとき、あなたの隣に立っていられることがどれだけ幸せか。
僕は毎日その幸せを噛み締める。
…今日だけじゃない。
明日も明後日もそのまた次の日も。
先の話をもっとしていきたい、していこう、足立。
俺たちはもう一人じゃない。二人でひとつなのだから。
もっと先のことを夢見ながら走っていいんだ。
だって俺たちは…愛し合っているのだから。
あなたが僕とその先を望むなら。
いくらでも先を夢見て良いというのなら。
今日だけじゃない、その先の話もしましょう。
この命、尽きるまで。
〇ネクタイ/足立透
ガキ共のお蔭で真犯人として捕まったあと。
僕はスーツのまま留置所に入った。
ネクタイは首吊りの道具になりかねないとのことで回収されそうになったのだが、
透明の箱に入れて良いので、傍に置いておいてもらうことにした。
…なぜそうしたかって?
あのネクタイだけは傍に置いておきたかったんだ。
…おそらく唯一誰かと…。いや、堂島さんと繋がれるものだと思ったから。
…もう絶対あの人と過ごすことはできないと思うけど。
それでもあの日々は僕にとってかけがえのない日々で。
あのときの温かさを忘れたくなかったから。
…僕が最初で最後に愛した、
あの人…堂島遼太郎とつながっていた証であるこのネクタイを抱いて
かすかなシアワセを夢見て過ごしたかったから。
…そう、希望を感じていたかったんだ、このネクタイを通して。
いつかまた、あの人と過ごせる日々を夢見ることくらいは許されたかったから。
「堂島さん、いつかまた、僕と一緒に過ごしてくれますか。
そのときは同じ赤いネクタイを締めて、また怒ったり泣いたり…してくれますか。」
薄暗い天井を眺めながら、ネクタイの入った箱を握りしめ、僕は静かに涙を流したのだった。