悪魔島さんと眷属なにゃんこ立さん俺は魔界を統べる王…堂島遼太郎。
一時伴侶もいたのだが、数百年もの間、孤独と共に生き続けた。
だが俺にも一匹だけ、苦楽を共にしてくれている眷属がいる。
それがこの小さな黒猫だ。
俺の眷属となり、下界に降りれない俺の代わりに、
様々ところへ偵察に行ってもらっている。
今宵も下界のとある人物の様子を偵察するため、派遣していたが、
任務を終えて戻ってきた。
「さぁ、報告をしてもらおうか。」
俺の左手の薬指に填まっている赤い指輪を黒猫の口元に近づける。
それを察知したように黒猫は指輪に口づけるように顔を寄せる。
すると黒猫はまばゆい光に包まれ、人化するのだ。
「ふぅ…。久々にこの姿に戻れたなぁ…。」
黒いふさふさな毛をした耳を頭に生やし、
黒い短パンのみ装着し、黒い長いしっぽを生やした猫のような人間。
こいつは先ほどのまでの黒猫で…俺の唯一の眷属。『足立透』だ。
足立と俺は、この赤い指輪を通して眷属の契約をしている。
普段足立は魔力をあまり持っていないため、猫の姿となっているのだが、
俺が許可するとき…指輪に口づけを許可したときのみ魔力が解放され、
人化することができる。
「堂島さんの見立て通り、あいつ、色々隠し持っていましたよ。盗んだ魔具。」
「そうか。すぐ派遣して回収を頼もう。」
「そ・れ・よ・り!ご褒美、欲しいなぁ?」
「まぁ、そう焦るなよ。
…そうだな、今日は『ハロウィン』って日なんだよな、下界は。」
「あぁ…そういえばそんな日だった気がしますね。」
「それにちなんで、だ。『trick or treat』って言ってみろ。」
「はぁ?」
足立はよくわからない、といった表情で俺を不思議そうに見やる。
「ほら、褒美が欲しいんだろう。言ってみろ。」
「うーん…じゃとりあえず。『trick or treat』、堂島さん。」
その言葉をトリガーに、俺は足立の黒い耳に近づき、こう呟いた。
「菓子はねぇんだ。その代わり、甘い時間をたっぷり与えてやるよ。
…そしてお前も、甘くて美味なお前自身を俺に差し出せ。」
「…!はい♡仰せのままに…!」
そう言って、足立は長い尻尾を俺の身体に巻き付け、
身体を密着させると、角を舐め上げ、誘惑し始めたのだった。