『イキガミとドナー』ぱろついこの間、省庁に連れられ、引き合わされたのは、古参だというイキガミ…堂島遼太郎さんだった。
奥さんを亡くした次の日から、イキガミとして覚醒したのだという。
以来、娘さん一人育てながらイキガミとして生活をしているという。
本来イキガミにつくドナーは一人。
…のはずだった。
堂島さんのドナーは奥さんだったそうなのだが、奥さんが殺され、パートナーとして解消されてしまったのだ。
本来、ドナーは一人なので、堂島さんは一線から外されることになったのだが、
なんと、この度適合者が見つかってしまった。
…そう。
その適合者が僕。
足立透…なのだ。
「すまん、足立。ちぃと体液、くれ。」
「あ、はい。」
最初は男同士のキスなんてできるか!と抵抗していたのだが、
あるとき不意の事故でキスをしてしまって以降、堂島さんの回復は基本キスにしている。
堂島さんのキスは優しい。
いつも謝りながら、ゆっくり唇を味わった後、遠慮がちに唇を開く様に舌を滑り込ませて、
息も含めて絡め取っていく。
まるで、ひとつになるのが決まっていたかのように。
吐息も、熱も、ピッタリ同じのような感覚。
脳内が痺れ、自分なのか、堂島さんなのか、わからないくらい気持ちがいいものなのだ。
最近は、キスだけで下半身も疼く様になってしまった。
「はぁっ、ふん…どう、じま、さん…。」
くぐもった声で、堂島さんを求める声を発する。
自分の声なのかと疑いたくなるような甘ったるい声だ。
堂島さんもまた、少し息を荒げながらも、僕のこの声を聴いたところでいつも口づけを終わらせる。
「ありがとう。もう大丈夫だ。」
そのあとは、いつも僕へのご褒美と称して、ぎゅっときつく抱き締めてもらうようにしている。
堂島さんの汗と煙草の匂いをしっかりと肺に取り込む。
…そう。
僕は堂島さんに恋をしている。
彼の不器用な優しさに触れたから。
何より。
僕はこの人に命を救われて以来、ずっと想っていたひとだったのだから。
いつかあなたの全てを護って死んでもいいと思えるくらい
あなたのことを愛しています
だから遠慮なく僕を護るために戦って
そのたびに、あなたの全てを僕が回復させる(まもる)から