パッションフルーツ 3退社した里中からコンビニ事業を任された東海林は年が明けてからも残業続きだった。
レジ前の惣菜はアジフライだけでなくコロッケやチキンカツなど揚げ物中心でまとめて、奥のフライヤーで揚げたてを提供している。だが冷めた揚げ物が欲しいというお客様もいるのでいくつかストックも用意していた。
そして食品ロスを無くすために賞味期限が切れたものは破棄せずアルバイトや社員に無償で提供していた。
時々、東海林も味をチェックするためにもらいに寄ることもあった。
コンビニには珍しいアンケートBOXなども設置して、投稿者に抽選で割引券を進呈するなどの工夫もおこなっていた。
そんなコンビニ事業も最初は赤字が続いてたものの12月度は初めて純利益が出た。それを聞いて東海林も俄然やる気が出てきた。やはり仕事で結果を出すことが1番のモチベーションになる。
そして、プライベートでも新しいパートナーができて順風満帆な日々だった。
「匡子さ、今度うちのコンビニ見にきてよ。それで感想聞かせてくれない?」
冷蔵庫を開けて冷えたソーダを開けるとプシューと音をたてて気泡が踊る。それを一気に流し込むと乾いた喉が痺れつつも潤った。
「どうしようかしら?私の目は厳しいわよ」
匡子はシーツにくるまりながら東海林を見つめる。
2人は今日もホテルで一緒に過ごしていた、匡子が明日子供の行事がある為宿泊はできず少し物足りない情事だった。それでも2人は大人の時間を有効に使い濃厚でとろけるような重なりをして、心も満たされている。
「さすがだな、匡子みたいな目の肥えた女がうちにもいたらいいんだけど」
東海林は潤った口を手で拭きながらソーダのキャップを閉めた。そして匡子の隣に腰掛けると左手で肩を抱き自身のほうへと引き寄せた。
「…あたしね、東海林くんが褒めてくれることが1番嬉しかったのよ。入社した頃はどいつもこいつも女だからって見下してばかりだったのに、東海林くんだけは私のこと認めてくれた。それが嬉しかったの」
匡子は遠い過去を見つめる瞳で東海林への思いを綴った。
そしてその言葉に琴線が大きく揺れた東海林は匡子にキスをする。角度を変えながら熱く甘いくちづけは2人の想いに再び火をつける。
「あと、もう一回だけ…しようぜ」
「もう、欲張りなんだから」
そしてまた東海林と匡子はベッドの上で汗の止まらないダンスを踊る。