君と生きる食卓 本編軸：ホットケーキ・エトセトラ よく振った小麦粉に砂糖を合わせ、卵と牛乳をよく混ぜる。何度も作れば慣れたもので、飛燕の手つきは前より的確に動くし溶かしたバターとフライパンで焼けてゆく生地をひっくり返しながら、初めて作ったものはひどい出来だったのに、エリカは笑って食べてくれたのを思い出す。ありゃあ炭だったのになあ、という飛燕の呟きは、少しだけ気恥ずかしく空気を揺らした。
本編軸：ホットケーキ・エトセトラそのニ 真っ黒になってしまった生地をフライパンに乗せたまま、オラァには向いてねえのかなあ炭になっちまった、と途方に暮れている飛燕に、美味しいよと言ったのは本当の気持ちだ。嘘つけよって子英には言われそうだけど、いっぱいつまった飛燕の真心が美味しいんだっていうのはほんとうにほんとうなんだもの。
現パロ：珍珠奶茶とも言うそうな 飛燕も一緒に飲もうよ、と微笑むエリカのおねだりには飛燕はいつだって叶わない。どうにも食欲が乗り切らないタピオカミルクティーのビジュアルに、飛燕の方は甘い甘い紅茶だけが無闇に減っていく。
けれどそれを続ければ飛燕、美味しくなかった？とエリカに言わせてしまうのは目に見えていて。意を決して吸って噛んだタピオカに、案外美味いなあともらすと彼女はそうだよね、と破顔した。
現パロ：アイス（クリーム）、ファンファーレ 気温に負けかけているコンビニで買ったバニラバーをかじりながら、飛燕は同じく気温に膝を折りかけているソフトクリームに難儀しているエリカを眺めていた。溶けたアイスを吸ってしっとりしかけているコーンに取り掛からせる前に、飛燕はエリカの口元を拭いてやり、飛燕が美味いかあと尋ねると、彼女はきらめく笑顔で、美味しいからお裾分けするね、とわざと残しいたらしい、溶けていない一角を飛燕に差し出した。
原作軸：○曜日はカレーの合図 火が通りやすいように野菜は大きく切りすぎない、生焼けだとお腹を痛めるかもしれないから肉にはしっかり火を通す。カレー一つ作るのにもなかなか神経を使うものだと飛燕は知った。カレーだけはエリカが作ると決まっていて、作るたびにもっと美味しくするにはどうすればいいのか頭を捻る少女には、ただ光だけがさしていて、どうかこの時が終わっても、彼女の笑顔に光がありますようになんて、そんな祈りは今更だろう。
原作軸：龍を作ったらお叱りが入った 何かを切るのは飛燕にしてみれば慣れたものだ。エリカの口に入るのだから、これは流石に手刀でやりはしないでナイフで林檎を加工していく。わざと皮付きのままで切った林檎の皮と身の間にナイフを滑り込ませ、耳に見えるように浮いた皮を切り取れば、すごいよ飛燕、うさぎになってると目を煌めかせる少女にもっとすごいものを作れると、うっかり口を滑らせてしまうのもまたしょうがないことだろう？
原作軸：ココアについてのエトセトラ ココアは良く練るといいらしい。よく練る、よく練る？と飛燕は疑問符が飛び回る言葉を呟きながら、青幇のシェフが教えてくれたように、一旦甘みなど一切ない粉を火にかけてから、牛乳を少し加えてダマにならないようにゆっくりと混ぜてゆく。粉が混ざり切ったら蜂蜜を、エリカの分には教えてもらった分量よりこっそり多く入れて、天体観測のための道具の元にいるエリカのところへ飛燕は二つ持ったマグの片方を、少女の頬へぬくもりごと押し当てた。
原作軸：きみのことが大好きなのだ ただただ甘やかすのと大事にするはまた違う話よと言われてぐうのねも出ないが、飛燕は大事にする、の感覚がまだうまく掴めない。エリカが子英と庭を整える手伝いをしているのをみながら手伝えることはねえかあと言い出しそうになる自分に顔を顰めると、飛燕、どうかしたの？と飛燕に駆け寄るエリカに顔が綻んでいることに気づいていないらしい死鳥鬼だった男に、玉玲はまったくもう、とつぶやいて大きな大きなため息を吐いた。
現パロ：しゅーてぃんぐすたーすたー バイクに取り付けられたサイドカーにしっかり子供用のヘルメットをつけてエリカが乗り込み、安全を確認すると飛燕はバイクのエンジンを吹かした。大きな音に少し肩を揺らした少女に大丈夫だあと飛燕は声をかけて頭を撫で、近所のコンビニへ向かう守るべき存在である御令嬢とのデートの経路が最短距離ではもったいないから、わざと違う曲がり角から綺麗な花が見れる道を経由して、飛燕はバイクをわざと急かさなかった。
原作軸：タルトタタン・ネバーダイド 少女がバランスを崩したことによって勢いよく鉄板から飛び出したタルトタタンを、玉玲と一緒に様子を見ていた葉は床すれすれの位置で、思わず引っ掴んだ皿でなんとかキャッチした。慌てた様子で大丈夫と叫ぶ少女に反応したらしい飛燕がキッチンに駆け込んできて、だめ！飛燕は来ないで！と放たれたエリカの声にタジタジになっている男に、こっそりあんたにプレゼントしたい乙女心を汲んでやれよと葉は思ったが、野暮は言わない事、と玉玲に言い含められているから助言は一つも言葉にならなかった。
現パロ軸：ヤミーヤミー！チョコレート！ 飛燕に！と渡されたチョコレートの箱を飛燕は見つめながら、食ったら無くなっちまうんだよなあと至極当然の結論に頭を悩ませていた。しかし護衛ごときによく懐いてくれる令嬢の心を無碍にすることも当然できず、じゃんどぅーや、そして塩にオリーブオイルで構成されたチョコを飛燕は思い切って一口食べた。
翌日、あれどこのチョコなんだあと令嬢に尋ねる護衛に、令嬢はやったと笑った。
![創作SNS GALLERIA[ギャレリア]](http://galleria.emotionflow.com/img/Title_10.gif "創作SNS GALLERIA[ギャレリア]")
創作SNS GALLERIA[ギャレリア]
夜船ヒトヨ
Link
Message
Mute
