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    風車と南風のゆくえ2@狙われる瀬野


    あれから3日経った、身の回りに変化はない。
    警察さんが警備を強化すると言っていたけれど、どう強化されたかはわからない。ただ一つ言えるのは、無事平穏に日々を過ごしているという事。
    三白眼のあの人には、あれ以来勿論会っていない。

    朝の出勤ラッシュの時間帯、電車がホームに滑り込む。長い列の中央から後ろ寄りに並んでた俺は、電車の扉が開くと流れに乗り車内に押し込められる。何時もは前方に並び、車内では扉から離れ左右どちらかに流れて満員具合をやり過ごすのに、仕事先とのメールに夢中になっていた俺は今日に限ってポジション取を失敗し、左右ドアの丁度中央付近、つまりは一番混雑するであろう場所に取り残された。両手で鞄を抱える、揺れる電車、不安定な体勢、日本男児の平均身長より少し低い俺は、背の高いサラリーマン達に揉みくちゃにされる。
    満員電車の中ではスマホも弄れやしなし、電車に揺られるおおよそ20分間は手持ち無沙汰だ。何とか見える車窓の上の部分から空を色を見つけた、さっぱりした青が何となくあの正義の人を連想させて、俺も頑張ろうという、なんとも擽ったい気持ちになる。

    (今日も何処かで警察やってんのかな、風見さん)

    やっと次の駅、電車は緩やかにブレーキをかけ始め、車内の人が左右に揺れる。足に力を入れて踏ん張る俺の体も例外なく揺れた時、ふと感じた背後の違和感。

    「ーーーッ!」

    「やっと気付いてくれたね、君…」

    熱い息が耳に当たる、その声に身の毛がよ立ち、後ろから太腿を撫で上げる人の手の感覚に身震いした。電車は停車し、人が一斉に出入りする。その隙に逃げようと身を乗り出したら、何と男は俺の股間を力一杯握ったのだ。恐怖でどっと脂汗が吹き出た、驚きと痛みで思わず呻き、前屈みになると、さっさと走り出した電車の中が騒つく。

    「ーーーひぐ…ぅッ!」

    「ーあぁ、大丈夫かい、君!すいません、彼体調が優れないみたいです、私達は次の駅でおります」

    男は大人しくしていなさいと耳打ちをし、あたかも俺を介抱しているかの如く扉の前へと移動した。隣に立つ女性と目が合い、彼女は心配そうにこちらを見ている。

    「大丈夫ですか?」

    「ぁ…あ、の、たす…」

    「大丈夫ですよ、私付き添いますから」

    必死に助けてと言葉を紡ぐも、あっさり男に遮られる。せっかく声をかけてくれた女性に、緊急事態を伝える事は叶わず窓に張り付き絶望した。男は背後から俺の体を器用に支え、紳士的に受け答えしている。その間もどうやって逃げようか、どうやって助けを求めたらいいのか、誰か気付いてくれと、纏まらない思考が頭の中を支配した。周りに気付かれない程度に、体を撫で回す男の手が気持ち悪い。負けてなるものかと挫けそうな心を鼓舞して拳に力を込め背筋を伸ばした。

    「ドアが開いたら逃げるつもりかい?急に動けば怪我をするよ。それとも君は痛いのが好きなのかな?」

    「ーーぅ、ん、ん」

    「可愛いな、想像してた以上だ…」

    ジャケットの下に手を突っ込まれ、横っ腹に手以外の硬い物が当たり体が無意識に強張る、恐怖に駆られて頭を横に数回振った。男の言葉を信じるなら、それは容易く人を傷つける事が出来る何かに違いない。男は俺の後頭部に鼻を押し付け、匂いを嗅ぐ様に深く深く息を吸い込んだ。そうこうしていると、電車は次の駅に停車した。男は献身的に介抱をしている風を装って俺を電車から引きずり下ろすと、そのまま歩けと言う。

    連れ込まれたのは饐えた匂いのする駅のトイレ。

    無理矢理 個室に連れ込まれ、男は後ろ手で鍵を閉める。そして俺は、貯水タンクに上半身を押さえつけられた。男はとうとうポケットから取り出したカッターナイフを、俺の顔の横にチラつかせ、そのままじっとしてなさいと命じてくる。慌てて顔を振りかぶったら、男は手元が狂ったと言って、頬に冷たい刃を当て肌の上を滑らせる。ピリっと裂ける感覚、じわじわと蝕む様な熱を覚えて、あぁ今切られたんだと、頭の中の冷静な部分が言う。

    この男は本気で俺をどうこうするつもりでいる。背後から覆い被さり、身体を弄っていた手を俺のベルトにかけ、外そうと躍起になる男は息も荒く、相当興奮している。大の男が、やられるだけじゃ駄目だと口の内側を噛んで堪える、きっと隙ができる、絶対に逃げるチャンスがある、諦めるな。
    そう思ってグッと目を瞑ると、浮かんだのは風見の顔だった。

    尻の谷間を昂ぶった男のアレが忙しなく行き来する、必死に擦り付け、荒い息を漏らし頸を舐められた。とうとうベルトは外され、男は躊躇なく俺のスラックスを下へと下ろすと、剥き出しになった下着の上から執拗に尻たぶを揉む、気味の悪い感覚に背筋が粟立つ。親指の付け根を噛んで、まだだ堪えろと自分に言い聞かせた。すると背後からのしかかっていた男が体勢を起こし、やっと体が軽くなる。

    今だと思った、逃げるなら今だと、身体を反転させ力の限り拳を振り上げた。

    「ーーっのヤロッ!!!」

    「ーなッ、大人しくしてろと言っただろうがぁぁぁあッ!!」

    「ーーーいッ!ぁ、ぁ、あ…ぐぅッ!」

    その瞬間、鬼の形相に豹変した男がカッターを横に薙いだ。何かがスパッと切れる音、男は便座の上で仰向けになった俺の額を掴み、後ろの貯水タンクに後頭部を打ち付ける勢いで押さえつける。頭をぶつけた所為で脳味噌が揺れ、目の中がチカチカと瞬いた。切られたのは俺のシャツの様で、ピリピリと焼ける様な熱を孕んだ感覚に目を見開く。裂かれたシャツから覗く肌、丁度鎖骨の下を横一直線に赤が染める。未だ頭部を押さえつける男の手の隙間から、胸元を流れる血を見た瞬間、恐怖でもう動けなかった。

    「…ぁ…ぁ…あ…」

    「さっきまでの威勢はどうした君、ちょっと手荒な方が好きかな君は?ねぇ?」

    「ひぃ…ぅ、ぅ、」

    (怖い、怖い、怖い、助けて…助けて風見さん)

    「…か、風見さ、ッ」

    「他の奴の名を呼ぶなーーー!!」

    頭を押さえていた手が持ち上がり視界が開けたと思ったら、その手は大きく振り上げられており、あっと息を飲んだ時には頬が張られていた。熱を持つ頬、逆上した男は俺の首元を掴んで乱暴に揺する。

    俺はずっと、馬鹿みたいに風見さんの名前を呼び続けた。

    〜To be continued〜
    nikka04 Link Message Mute
    2018/07/17 20:09:22

    風車と南風のゆくえ2@狙われる

    2 名探偵コナン風見裕也夢小説

    pixivからの再録です。

    ※夢主が痴漢に襲われてます、苦手な方はバックプリーズ。
    ※都心の電車事情がわからない、その辺ふわっと読んで下さい。

    #名探偵コナン #風見裕也 #男主人公 #夢小説

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