イラストを魅せる。護る。究極のイラストSNS。

GALLERIA[ギャレリア]は創作活動を支援する豊富な機能を揃えた創作SNSです。

  • 1 / 1
    しおり
    1 / 1
    しおり
    黄色いリボン ラミアという悪魔がいる。上半身は人間の女、下半身は蛇の姿をした悪魔で、彼女たちはディオニュソスやナルキッソスたちと月の下で遊んで暮らしていた。
     ディオニュソスはゼウスから産まれたようなものだったが、そんなことになったのも元を正せばゼウスのせいだった。だから協力する気持ちにはならず、街で酒とラミアたちの面倒を見て過ごしていた。ラミアもゼウスのせいで悲しい思いをした悪魔で、ディオニュソスは余計に目をかけた。
     あるとき一体のラミアが街の外から来た。ディオニュソスがどこから来たかと尋ねると、ほかの悪魔と一緒にあちこちの街を移動して暮らしてきたと話した。そのうち一行とは別れたので、ラミアがいる街と聞いてここまで来たそうだ。
     ディオニュソスは彼女を歓迎しようと、自身で醸造した葡萄酒を振る舞った。
     彼女は一舐めして、しぶくて飲みにくいと言った。ディオニュソスはラミアたちの歯に衣着せぬ物言いが好きで、気分を害するでもなく、また飲みやすい酒を用意しておくと言った。
    「新しく作るの? そういうのって寝かせたのがおいしいんじゃない?」
    「酒をもっと知ってから仰ることですね」
     ラミアはこれが気に食わず、残った酒をひといきに飲んだ。

     月が満ちる頃に振る舞われる酒はやけに進んだ。
     ディオニュソスが管理しているこの街の古い酒なのか、彼の新しい酒なのかはどうでもよくなった。何にせよ、どうにもおかしな気分になる。
     自分が変わっていきそうな感覚に抗うラミアもいたが、苦しそうだった。それよりも、月と酒に身をゆだねた方がいい。高く笑って杯を空ける者、恍惚とする者、彼女たちの間を縫って、あのラミアは街の外へ出て行った。彼女が出ていくのに気が付いたラミアは誰もおらず、ディオニュソスが空になった銀色の杯を拾い上げたときには、その姿はどこにもなかった。
     ラミアはどこまでも進んでいった。蛇の腹が地面に跡を残した。
     やがて月が欠け、酔った気分もどこかに行ってしまった。どこをどう歩いたのか、見覚えのない景色の中にいる。自分が這った跡を振り返る。この跡はどのくらい長く残るだろうか。そのうち風が吹いて、他の悪魔が踏み荒らして、消えてしまうに違いない。人間が作った硬くて黒い路には跡さえ残っていない。
    (引き返す理由も特にないわね)
     ディオニュソスがいるあの街に辿り着いてからしばらく経った頃、数体の天使が下りてきて何事か喚いたので皆で引き裂いた。その時に自分は他のラミアより強いと気が付いた。街にいたラミアの中にも強い者はいた。天使の翼を叩き折り、いたぶってから殺した。そのラミアは確かに湧き出でたばかりのラミアにはない能力を持っていたが、自分のものとは違った。
     とっさに皆と同じことしかできないふりをしたが、ディオニュソスに気付かれた。
     物陰で、まるで踊るかのように片手を高く引かれた。距離を詰められると葡萄酒の匂いがした。
    「そなたの技について、私はとても興味を持ちました。どうぞここで全て披露してください。さっきは遠慮をなさったようですから」
     驚いたラミアが尾でディオニュソスのすねを強く打ってもびくともしなかった。反抗したことが恐ろしくなって硬直していると、そっと手が下ろされた。
    「無理にとは言いません。私の無遠慮な振る舞いをお詫びいたしましょう。私に幸運が訪れればいつか機会も……私に背後から攻撃してくださっても構いません。そのくらいなくては、この街は退屈です」
     ディオニュソスは背を向けて去って行った。
     自分がやっと見つけたと思った仲間がいる街も、ディオニュソスには退屈なのだ。葡萄を育てて葡萄酒を振る舞ってくれて、ラミアやナルキッソスたちを酔わせて楽しんでいると思っていた。
     これはディオニュソスの演劇の一場面なのだろうか。
     ラミアは仲間に溶け込むふりをし続けた。あるラミアたちはディオニュソスのことを「葡萄親父」と呼び、ディオニュソスはそう呼ばれてもにこやかだった。どこか恐ろしかった。だからといって、仲間に会えて嬉しかったし、偶然月に誘い出されるまでは、あの街を出ようとは思わなかった。

     ふと、臭いがした。
     気が付くと、ラミアは大きな鉄の箱に囲まれて立っていた。片隅に悪魔が倒れている。
     ラミアは好奇心から近付いた。臭いからして存在が消滅するだけの怪我を負っているのは間違いない。天使は少し前に殺したが、悪魔が消えるところはあの街に来てから見ていなかった。初めて来る場所にいる悪魔、ひょっとすると初めて見る悪魔かもしれない。それを一方的に観察できそうだ。
    「みじめ……」
     ラミアは近付いてはっとした。人間の男の上半身に、蛇の下半身を持つ悪魔だったからだ。この悪魔はラミアに似ているがラミアではない。何という悪魔だろうか。
     悪魔の腹は大きく横に裂けていて、もう少しでちぎれてしまいそうだった。盾を持ったままの腕も肘近くは斬り飛ばされてどこにあるのかわからない。腕が繋がっていただけ幸運だった。少し向こうには腹と同じように横に断ち切られた盾の一部が落ちている。
    (何よこの斬撃、盾ごと斬るなんて) 
    今や悪魔の視線は定まらず、言葉を発することもない。傷の端からマガツヒが漏れかかっているように見えた。この悪魔を斬った何者かはまだ近くにいるかしら、そう思うと背後が頼りなく感じた。
    (ディア)
     ディオニュソスもラミアが傷を回復させられることには気付かなかっただろう。ディアは強力な技ではないが、この技のおかげで、ラミアは一人でもあの街まで這ってくることができた。横たわった悪魔の喉がひくりと動いた。
    「一度じゃだめね。意識はあるの? 助けるんだから動けるようになっても私のこと攻撃しないでよ」
     何度かディアを重ねる。魔力を消耗し、疲れを覚える。悪魔の視線がラミアを捉えた。大人しく体を任せることにしたようだ。腕の傷はとっくに治った。盾を持っていた側の背で、僅かに繋がっていただけの胴体も、今や繋がろうとしている。肉体と言うべき部分が治るにつれ、盾も元に戻っていった。人間が作ったものを使っているのではなく、この悪魔の存在の一部としての盾なのだ。
     悪魔が体を起こした。すっかり繋がった腹に手をやると、傷を負わされたときのことを思い出すのか顔をしかめた。今はもう傷痕の一つも残っていない。痛みはないはずだ。
    「わりいな」
     離れたところに落ちていた槍を拾うと周囲を見回しながらラミアのところへ戻ってくる。
    「オレだけか。他にいなかったか」
    「あなただけよ」
    「そうか」
     仲間がいたらしかった。ラミアがここに来るまでに息絶えたのだろう。悪魔はナーガと名乗った。
    「死ぬと思ったら咄嗟に命乞いしてたんだよな、オレ。腹裂けてんのに必死で金渡して、もっと出せって言われて、またかき集めて出して。あいつらが後ろ向いてから先は覚えてねえ」
    「趣味の良い悪魔ね。あなたを殺してからマッカを拾っても良いのにそんなことさせて。あなたがプライドが高そうだからそうしたんだと思わない?」
    「ケッ。ところでオマエの姿、オマエはなんて悪魔だ? オレは初めナーガの天女ってのは蛇の尾を生やしてるんだと思ったぜ」
    「私はラミア。こんなに似た姿の悪魔がいるなんて驚いたわ」
     ラミアはナーガのことをまじまじと見た。長い黒髪を結い上げた姿で、青白い肌のほっそりとした上半身が同じ色の腹をした尾に繋がっている。尾の背は明るい紫色のまだら模様になっていた。槍と盾を持ち、丸い盾には蛇が絡まった剣が打ち出されている。ラミアはこのような武器を持たない。
    「んなに見んな、金取るぞ」
    「さっき私のことは随分見たじゃない」
    「あー、ありゃあよ、気が付いたらオマエが屈み込んでオレを見てたんだよ。つまり……オレが見たんじゃねえ。オマエが隠してなかったんだ」
    「あらそう」
     ラミアが髪を肩の後ろに流そうとするとナーガは目を逸らした。
    「命の恩人に敬意を表してくれているのかしら」
    「体を見せるのが趣味なのか」
    「あら、見ては駄目よ」
    「なら早くしまえ」
     ラミアは消滅しかけた悪魔を見つけただけでなく、その姿が自分と似ていたこと、ディアを使って傷を癒せたことに気持ちが昂って、先程までの投げやりな感情を忘れてしまった。疲労感すら心地良く、自分が命を救ってやったこのナーガともっと話がしたかった。
     ナーガはふと思いついたように右腕に槍を挟むと、空いた左手で体にかけた布を探る。
    「よし割れてねえ。オマエこれ使えよ。サクラアメ。オレに魔力使ったろうが」
    「サクラアメ?」
     見るとナーガの手のひらにチャクラドロップが乗っていた。
    「知らねえか。珍しいもんなこれ。魔力が回復するんだとよ。オレ、結構やばかっただろ、これで足りっかな。緑のちっせえ悪魔を追い回してこれ取って来たバカがいてよお」
    「この辺りではこれをサクラアメと呼ぶの?」
     ラミアはチャクラドロップを摘み上げながら尋ねる。
    「おいおい、アイツ適当教えたのか。魔力は? 回復しねえの? オレ持ってたけど槍ばっか振り回してっから魔力いらねえし、珍しいって言われたから使ったことねえんだよ」
     ナーガは慌てて早口になった。
    「魔力は回復するわ。名前はチャクラドロップだけど」
    「チャクラドロ……あーヤベ。サクラアメっての忘れろ。それだわ」
     どうやらこのナーガにチャクラドロップを手渡した悪魔は正しい名前で説明したらしかった。ラミアが身をかがめて笑うと、ナーガは決まりが悪そうに左手を腰の辺りで拭いた。
    「もらっておくわ」
    「足りるか?」
    「足りないわね」
    「……そうかよ、どうすっかな。オマエ、チャクラドロップ持ってる悪魔知らねえ? オレそいつ殺して取ってくるわ」
    「そんなの待ってたら退屈よ。これでいいわ」
     ラミアは盾の脇をすり抜けるといとも容易くナーガの尾に結ばれた黄色いリボンをほどいた。鈴だけを外してナーガの胸に押し付ける。
    「ハァ? いやオマエそれがないのはナーガとしてヤベえよ」
    「じゃあこれ、あなたが拾った命より大事?」
     ラミアはリボンを左の手首に巻くと右手と口で上手に蝶結びにした。
    「なかなか素敵な色」
     ナーガは何か言いたかったが諦めた。ラミアはナーガより数段強い。相手が弱ければ恩くらいいくらでも仇で返しただろうが、今の動きを見ただけで勝ち目がないことは明らかだった。不意を突くことに成功しても、一撃で絶命させられなければ回復して反撃してくる。
     ラミアは何度か手首を返してリボンの形を眺めた。それから手首を髪や尾の上にかざし、色の組み合わせを楽しむ。その姿だけならば全く隙だらけに見えた。彼女は振り返って笑った。
     ナーガは鈴をこれからどうするか考えることにした。
     ぼんやりしているナーガにラミアはぽつりと声をかけた。
    「ナーガ、私は他のラミアと違う技が使えるの。ラミアは本来回復のための技を覚えないわ」
    「ナニソレすげえじゃん! オレもそういうのがあったらオマエに勝てるくらい強かったかもな! 待てよ、うわ、オマエ以外のラミアが来てたらオレ死んでたじゃねえか」
    「うらやましい?」
    「相手がどれだけオレらナーガの戦いを研究して挑んできてもオレだけは違うなんて有利すぎてサイコーじゃね? 残念でしたー、って言ってやりてえ」
    「あなたは調子に乗って死にそうね」
    「強いからって好き放題言いやがって」
    「事実よ。さあ、私はそろそろあの街に帰るわ。月の光がめぐれば新しいナーガも湧き出でることでしょう。あなたも寂しくないわ。今度は死なないことね」
     ラミアは街に帰ってもいいと思うようになっていた。ナーガは一人では退屈だとラミアを倉庫街の度胸試しに誘ったが、すげなく断られてしまった。周囲を案内すると申し出たところ、ここに来るまでどこもひっそりとして、ほとんどの悪魔は消滅しているようだったと言われ、これも取りやめた。また悪魔で賑やかになったら来てほしいと伝えると、ラミアは気が向いたら来るかもしれないとだけ言った。

     ラミアの無事を街の仲間たちは喜んだ。ディオニュソスに挨拶に行くと、ひと房の葡萄をくれた。葡萄酒のためのものとは別に栽培した甘い葡萄だそうだ。
    「もしこの葡萄をおいしいと思ったら、そなたの技を見せていただけませんか。先日は怖がらせてしまったでしょう。私はそなたの戦力を暴こうというのではありません。どうか私にひと時の享楽を」
     ラミアはその葡萄をそのまま仲間たちのところへ持って行って、自分は一粒も口にせずに仲間にあげてしまった。葡萄は取り合いになった。見たところ食べた仲間にもおかしな様子は見られない。考えすぎたかもしれない。ラミアは葡萄のことが惜しくなる前に一人で壊れたビルに入って行った。
     窓際にもたれかかり、手首のリボンを撫でる。意識は葡萄からナーガへと移っていく。あのナーガはどうしているだろうか。リボンの内側にはチャクラドロップが包み込まれ、ごろりとした感触がある。結局魔力が必要な場面もなかったので、ここまで持って帰って来た。
    (もしも、もしも誰かが天使の攻撃に傷付くことがあったら、きっと私、ためらうことなくみんなの前でディアを使えるわ)
     もう一度リボンに指を這わせようとしたその時、リボンはなかった。初めからそこになかったかのように消えてしまった。
     チャクラドロップが手首を滑り落ちて床で跳ね、転がっていく。
     ラミアはしばらく床に落ちたチャクラドロップを眺めていた。それからゆっくりと体を起こし、それを拾う。
    「あなた、弱いのよ」
     ラミアはチャクラドロップを使った。
    鴗 滝 Link Message Mute
    2022/06/05 0:48:49

    黄色いリボン

    パーティーの悪魔とは別れることができる。別れたあと、彼らはどのように生きていくのか。特別なスキルを隠して仲間たちと共に生きていたラミアは、満月に誘われて街を出た。遠く倉庫街まで来たラミアは、そこで死に瀕した悪魔を見つける。その悪魔はラミアと同じように上半身は人間、下半身は蛇の姿をしていた。
    (過去作。2022年2月12日に公開)
    #真・女神転生5 #ラミア #ナーガ #ディオニュソス #二次創作

    more...
    Love ステキと思ったらハートを送ろう!ログイン不要です。ログインするとハートをカスタマイズできます。
    200 reply
    転載
    NG
    クレジット非表示
    NG
    商用利用
    NG
    改変
    NG
    ライセンス改変
    NG
    保存閲覧
    NG
    URLの共有
    OK
    模写・トレース
    NG
    • 魂にまぎれた卵アイトワラスたちは人間界にやってきた。卵を持ち帰って魔界でオムレツを作りたいだけなのに、群れた天使たちはわずらわしいし、体の大きな悪魔は通路いっぱいに体を広げていて、おまけに恐ろしい青い悪魔まで人間界に来ているかもしれない。命を賭けて卵を求めた邪龍たちのものがたり。
      #真・女神転生5 #アイトワラス #ラクシャーサ #エンジェル #ジャックフロスト #オバリヨン #ツチグモ #アンドラス #マナナンガル #二次創作
      鴗 滝
    • 二十七少年は神造魔人と合一してナホビノにならなければならなかった。砂に埋もれた東京、絶えた人影、無数の悪魔。急激な変化に彼の精神は徐々に不調をきたし、ある記録への執着は程度を増していく。彼と合一した神造魔人アオガミは彼を救おうとした。大戦のための兵器として開発された造りものの魔人は苦闘する。
      ※至高天までの内容を含みます。
      #真・女神転生5 #ナホビノ #アオガミ #二次創作
      鴗 滝
    • 完全な贈り物岩山のセタンタが騎士に憧れたとき、妖精王オベロンは喜ばなかった。セタンタはどのような騎士になりたいのかすら答えられない。それでも騎士になりたいならば、彼は苦難の道を歩き、王のすべての問いに答えを出さなければならない。林へ、岩山と同じ悪魔たちがいる街へ、そして竜が空を飛ぶ広い世界へ、彼は槍を握りしめて歩いていく。
      ※万古の神殿手前までの内容を含みます。
      ※「真夏の夜の夢」をオベロンとティターニアの過去のできごととして扱います。
      #真・女神転生5 #オベロン #オニ #セタンタ #シルキー #リリム #フィン・マックール #ティターニア #二次創作
      鴗 滝
    • 嘘とオムレツアイトワラスはついにジャターユの卵を手に入れた。これは他のアイトワラスには知られてはならない。もしも気付かれたら、温め続けていた計画は台無しになってしまう。アイトワラスの視点から見た「究極のオムレツ」の物語。
      ※この小説は真・女神転生Ⅴのサブクエスト「究極のオムレツ」を取り扱っています。
      (過去作。2022年2月3日に公開)
      #真・女神転生5 #アイトワラス #モー・ショボー #アンドラス #二次創作
      鴗 滝
    • 高位の竜受けた依頼の管理が甘いナホビノのはなし。
      もしも手に入ったらイッポンダタラは心の底から喜ぶと思います。硬すぎて素材としては使えなくても、手放すことはないでしょう。
      #真・女神転生5 #イッポンダタラ #ナホビノ #二次創作
      鴗 滝
    • 嫉妬の腕飾りあるとき妖精王オベロンは一人の少年が女王ティターニアの切れた髪を手に入れるところを見た。隠れて美しい金の髪を愛おしむ少年から王は目が離すことができなかった。髪一本であっても体を触れ合わせる姿が許せずに、嫉妬に駆られた王はその髪を取り戻そうとする。
      ※この小説は妖精の集落までの内容を含みます。
      (過去作。2022年4月20日に公開)
      #真・女神転生5 #オベロン #ティターニア #ピクシー #二次創作
      鴗 滝
    • 今際にいたりて主天使斃れたる兵士を思う過去に投稿した小説「燃える天秤」に関連しています。魔王城にいたドミニオン隊のドミニオンを描きました。 #二次創作 #真・女神転生5 #ドミニオン鴗 滝
    • 遥かなる光なりそこないの悪魔スライムは、ひょんなことから自分のことばが他種族に通じると気がついた。はじめて話しかけた相手は怒らせてしまったし、仲間はこの驚くべき事実に関心がない。彼は「会話」に憧れて、ひとり行動を起こす。
      #真・女神転生5 #スライム #ガキ #マンドレイク #アガシオン #二次創作
      鴗 滝
    • 消えない契約ナホビノが堕天使アンドラスから引き受けた依頼は、妖獣バイコーンの角の収集だった。単純な依頼だ。ところがナホビノは知らなかった。悪魔と契約するのであれば、目的と期間を明確にしておく必要があることを。人の子が意識を握ったこの神は、己が屠った悪魔に何を思うだろうか。まだあまり強くなかった頃のナホビノの物語。
      ※この小説はサブクエスト「呪いの秘薬」「東洋の呪術」の内容を含みます。
      (過去作。2022年4月14日に公開)
      #真・女神転生5 #ナホビノ #アンドラス #バフォメット #イッポンダタラ #二次創作
      鴗 滝
    • 愚者の蝋燭祝え、太陽神の再生を。
      冬至を越えると日が長くなります。だから十二月二十五日は太陽神ミトラスの大祭でした。
      四世紀にキリスト教がローマ帝国の国教になったために、異教であるミトラスの祭はクリスマスに姿を変えてしまいました。彼はクリスマスに怒っても、天使を不快に思ってもいいのです。
      #真・女神転生5 #ミトラス #エンジェル #二次創作
      鴗 滝
    • 燃える天秤邪教の儀式によって世に現れた天使は果たして創造主の意に沿う存在だろうか。正規の天使と同じ規格であり続けようとするドミニオンは、ベテルの天使と自分が同じように機能するかを比較することが習慣となっていた。彼を呼び出した神、人の子の半身を持つナホビノは、ドミニオンの隣で徐々に人から神へと均衡が傾いていく。悪魔と過ごす時間が自我に作用することを恐れながら天使は生きた。
      ※この小説にはオリジナルのパーティーが含まれます。
      ※至高天手前までの内容を含みます。
      (過去作。2022年3月10日に公開)
      #真・女神転生5 #ナホビノ #ドミニオン #アモン #ジークフリート #二次創作
      鴗 滝
    • 英雄の難事「私は街に暮らす妖精の身を案じています」。妖精王オベロンの頼みを引き受けてフィン・マックールは倉庫街へと向かった。そこには好奇心がおもむくままに危なっかしく生きているジャックフロストたちがいる。久しぶりに顔を出したフィンはさっそく厄介な探し物に付き合わされることになった。
      ※この小説は妖精の里までの内容を含みます。
      (過去作。2022年3月15日に公開)
      #真・女神転生5 #フィン・マックール #ジャックフロスト #キングフロスト #オベロン #二次創作
      鴗 滝
    • 蓮華舟魔界に転じた後もウエノの不忍池にはハスの花が咲いている。オオクニヌシたちは花を見ながら酒を飲もうと不忍池を訪れた。池に暮らすサラスヴァティと共に開いた宴の中で、彼らは世界から失われた音を聞く。
      ※この小説はサブクエスト「明神の森へ連れてって」「オオヤマツミ捜索」「魅惑の甘露」の内容を含みます。
      (過去作。2022年2月27日に公開)
      #真・女神転生5 #カハク #サラスヴァティ #オオクニヌシ #スクナヒコナ #二次創作
      鴗 滝
    • 兎の耳タケミナカタはカンダの社からよく散歩に出掛けた。周辺の悪魔にとってみればタケミナカタは暴れ回っているのであって、カンダの社はその根城として遠巻きにされていた。魔界の中にありながら静けさが保たれているこの社の平和は、時として闖入者によって乱される。オオクニヌシはタケミナカタに崖を下り、そこにいる者を救ってくるようにと言いつけた。
      (過去作。2022年3月20日公開)
      #真・女神転生5 #タケミナカタ #オオクニヌシ #二次創作
      鴗 滝
    • 木乃伊取り一匹の幸運なガキが自動販売機の下からネズミの木乃伊を見つけた。群れずにいて正解だと思った。鼻先から尾の端まで全て自分のものだ。どうやってこのネズミを長く楽しもうかと考えていた頃のガキは、自分と飢えた腹とがもっとうまくやっていると思っていた。
      (過去作。2022年3月25日に公開)
      #真・女神転生5 #ガキ #二次創作
      鴗 滝
    • 桃色の氷雪の妖精ジャックフロストが妖精の里に「桃色の氷」を持ち帰った。妖精王オベロンと女王ティターニアは、不思議な氷を今一度手に入れようと護衛を依頼する。
      (過去作。2022年1月31日に公開)
      #真・女神転生5 #オベロン #ティターニア #ジャックフロスト #ナホビノ #アオガミ #二次創作
      鴗 滝
    • 天使像倒壊したビルの向こうにナホビノが立ち寄らなくなった通りがある。仲魔に見せたくない小さな教会があったからだ。サラスヴァティはその理由を知っていた。あるとき退屈した彼女はドミニオンに教会の存在を耳打ちしてしまう。
      ※この小説にはオリジナルのパーティーが含まれます。
      (過去作。2022年2月20日に公開)
      #真・女神転生5 #ドミニオン #ナホビノ #サラスヴァティ #ハヌマーン #二次創作
      鴗 滝
    • 口紅ネコマタが拾ったのは女子生徒が落とした小さな化粧ポーチだった。中にはほとんど何も入っていなかったが、一本の口紅が彼女の興味をそそった。彼女はもう前足でものをつついていた猫ではない。細い指先が小さな筒を手に取った。
      ※この小説には特殊会話の内容を含みます
      ※南シナガワ周辺の内容を含みます
      (過去作。2022年3月26日に公開)
      #真・女神転生5 #ネコマタ #リリム #二次創作
      鴗 滝
    • 海と希望ザントマンは眠れなかった。崖を越えて、川から嘆きの声が響いてくるからだ。呪いに支配されたマーメイドの仲間たちを元に戻すため、ザントマンとマーメイドは海を目指して広大な砂地を渡る。
      ※この小説は真・女神転生Ⅴのサブクエスト「呪われたマーメイド」「清浄なる源泉」「睡眠砂の補充」を取り扱っています。また、コマガタ近辺までの情報に触れています。
      (過去作。2022年2月8日に公開)
      #真・女神転生5 #マーメイド #ザントマン #二次創作
      鴗 滝
    • 3今際に至りて主天使斃れたる兵士を思ふ(全文)過去に公開した小説「燃える天秤」に繋がる絵の全文公開版です。小説の内容に関わるためパスワードを掛けています。鴗 滝
    CONNECT この作品とコネクトしている作品