「想いを、ですね。伝えようと、思ったんです。私は、その、口下手なので」
目の前の少女は躊躇いがちに言葉を吐き出した。
例えば、ミニチュアなんかを作るときのような慎重さで、言葉を選んでいるように見えた。
『誰に?』
「それは・・・その」
『僕としても、仕事がもらえるのは嬉しいことなのだけど』
「えと・・・」
『大事な人には、自分の言葉で、自分の想いを伝えるべきなのではないかと、僕は思うんだ』
「・・・そう、ですか」
心なしかしょんぼりしているように見えるが、自分の言ったことは間違っている訳じゃあないだろう。
とてつもない罪悪感に襲われてはいるが、まあ、間違ってないんだからしょうがない。
そう思って、少女の顔を見た。
『手伝わないとは、言ってない』
『文章で伝えるなら添削ができる』
『だから、落ち込むのは伝えてからにして』
「は、はい!」
・・・女性の涙は武器って、ほんとなんだなあ。