叱咤プラクティス「今更だけど監督生はアーシェングロット先輩の対策ノートのことを知らなかったんだよな?」
「うん、誰も教えてくれなかったよ」
「へぇー、オレはてっきりデュースあたりが教えてると思ってたんだけどなー」
「なっ!」
にやつくエースのからかいにデュースは大袈裟に驚く。
「そ、そこはまずグリムを疑うべきところじゃないのか!?」
「ふなっ!?オレ様よりもエースが先に疑われるべきなんだゾ!」
「はぁ~!?勝手に決めつけ──ってもしかしてこれ、そういうオチ?」
「かもしれないな……」
何かを確信したエースとデュースはほぼ同時に溜め息を吐く。
「えーっと……「どうせ誰かが教えてるだろうから自分は良いやー」を全員がやってたから自分に情報が全く流れてこなかったってこと?」
「オマエに話すとそんなものに頼らずちゃんと勉強しろーって言われるのが目に見えてたから言う気にならなかったんだゾ」
「右下に同じくー」
「でも今思えば監督生に咎められる方が何倍もマシだったんだろうな……」
「そりゃまぁ頭にイソギンチャク生やされてアズール先輩たちにこき使われるのに比べたらなー……」
エースたちの苦い顔を見て監督生はくすくす笑う。
「とりあえずエースとデュースも放課後スカラビア寮の勉強会に参加してみる?」
「ジャミルのうまいメシにありつけるんだゾ!」
「そうなのか、じゃあ──」
「いやいやちょっと待った!」
何の疑いも無くついていこうとしたデュースにエースが慌てて制止をかける。
「お前らどんだけスカラビア寮に入り浸ってんの!?」
「ウィンターホリデーの頃からずっと、かな」
「監禁された時のことはオレ様もコイツもまだ許してねーんだゾ」
ふっと虚無に満ちた顔をした監督生とグリムにエースとデュースは困惑した。