Look at "me"「前から気になってたんですけど、ケイト先輩って前髪下ろしたらどんな感じになるんですか?」
唐突すぎる質問にケイトは目を丸くする。
「どんなって……普通だよ?」
「見たいです」
「めっちゃ食い下がるね……」
何を期待しているのだろうと不思議に思いつつもケイトは前髪を留めていたヘアピンを外す。
「ほら、別にどうってこと──」
予想とは裏腹の反応、頬を赤らめながらもじっと見つめてくる監督生の姿にケイトは面食らう。
「あ、あの……写真、撮っても良いですか?」
「んー……ダメ」
「ええっ!?」
まさかの拒絶に驚愕する監督生に対し、ケイトは悲しそうな顔をする。
「ユウちゃんも酷いこと言うよねー、前髪下ろすくらいならいつでもやってあげるのに」
「へ、」
「写真なんかで満足されたらけーくん悲しいなー、しくしく」
「あの、」
「……オレさー、ユウちゃんに毎回見とれてほしいんだよね」
「みとっ……!?」
ひときわ赤く染まった監督生の頬を撫で、ケイトはふっと笑みを浮かべる。
「その薔薇みたいに真っ赤な顔をオレ以外に向けないでよ」
「っ、」
「写真なんかじゃなくて、目の前のオレを見て」
「えと、」
「……なーんてね!」
突然発せられた明るい声に監督生が怯んでいる内にケイトは前髪を留め直す。
「まぁそういうワケだから、写真は撮らせてあげませーん」
「きゅ、急にキャラを戻さないでください!」
「ごめんごめーん。でもさっきのは本音だからそこんところ忘れないでね?」
再び頬を赤く染めながら監督生はこくこくと頷いた。