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  • 混沌野郎 Link
    2023/03/01 17:34:42

    ほのぼのな日常 第18話 とっても大事なことだから

    律くんと晶くんと一緒に暮らす毎日が幸せな命さん。
    でも、素直なスキンシップの晶くんがちょっぴり羨ましくって。
    スキンシップは『とっても大事なこと』、だから命さんも素直になることに……。そんなお話。

    #オリジナル #創作 #ほのぼの #日常

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    ほのぼのな日常 第18話 とっても大事なことだから先に記しとく設定。
     衣笠命(きぬがさ みこと):女性
     衣笠律(きぬがさ りつ):男性
     衣笠晶(きぬがさ あきら):男性、命と律の息子
     3人の家は二階建ての一戸建て、
     と言うことで。


     こんにちは。
     私は命、衣笠命です。
     いろんなことがあった末に律くんと結婚して、晶くんが生まれて、その晶くんは一人前のはいはいができるようになって、今は毎日がとーっても幸せです。
     でも、ちょっと残念なこともありまして……。

     晩ごはんの後片付けをしながら思います。
     私の料理を食べた律くん、
    『命さんのごはん、いつも美味しいね』
     そう言って微笑んでくれました。
     いつものことで、いつも通り嬉しくて、でもちょっと恥ずかしくて、なんだか落ち着かなくなっちゃいました。
     後片付けはもうすぐ終わり。
     リビングで遊んでる律くんと晶くんの声を背中に感じます。
     律くんも晶くんもとっても楽しそうです。
     少しの後、後片付けが終わりました。
     リビングを見ると、律くんと晶くん、やっぱりふたりで楽しく遊んでます。
     ボール遊びをしてたのだけど、晶くん的にはボール遊びはそろそろおしまい、そんな感じです。
     晶くん、今度は床に座ってる律くんに近づいて、そのまま律くんに登り始め? ます。
     ちょうど良い位置、律くんの胸のあたり、に決まっところで、ぎゅっ、て抱きつきます。
    「そっか、だっこ?」
     律くんは晶くんの体に腕をまわして、ぎゅーっ、て抱きしめます。
     晶くん、大喜び。
     ぎゅーっ、に満足した晶くんはまた律くんを登り始めました。
     今度は肩のちょっと上まで。
     次は律くんの首に腕をまわして、ぎゅっ、てしました。
     それから、ほっぺを律くんのほっぺに合わせて、すりすりすり、ってします。
     晶くんは自分の心に素直。
     ちょっぴり羨ましいです。
     でも、こんなときにどうすれば良いか、そんなのとっくに分かってます。
     私も素直になれば良いです。
     だから私の、ちょっと欲張りな、思いを律くんに伝えることにします。
     私もリビングに。
    「あの、律くん、
     ……ちょっと良いですか?」
     晶くんを抱っこしてる律くんの前に正座します。
    「ん? 何かな?」
     律くんは私を見て、すぐに「大事なこと」って分かってくれました。
    「晶、ちょっと休憩」
     そう言って晶くんを床に下ろしました。
     次に、私の正面に正座で座りなおして私を見てくれました。
     真面目な表情で見てくれます。
     きっと私も真面目な表情になってます。
    「大事なこと……、だよね?」
    「えと、はい」
     もちろん大事なことです。
     すーはーすーはー、と呼吸を整えて、
    「律くん、
     一緒に寝てください!」
     思ってることをそのまま言葉にしました。
     でも、上手く伝わらないときもあるわけでして……。
    「えっと、『一緒に寝る』て言うのはつまり……」
     律くんの言葉にどきっとしました。
     私のお願いはそこまですごいことじゃないです。
     あわててしまいます。
    「あの、あの、『一緒に寝る』って言うのはそんなにすごいことじゃなくてですね、
     もっとこう、柔らかい感じ、って言うか、特別なことじゃないって言うか」
     私ははわはわしながら律くんの推察を軌道修正します。
     でもさすが律くんです。すぐに分かってくれました。
    「うん、分かった。
     『一緒に寝る』で決まり!」
     良かったです。もう少しで大変なことになるところでした。
    「じゃあ、僕と晶で先にお風呂に入って、
     命さんがお風呂の間に晶を寝かせる、
     で良いかな?」
    「はいっ!」
     律くんの提案、私の希望にぴったりです。
     これで後は時間になるのを待つだけです。
     お風呂の時間までは、律くんと晶くんと私でいっぱい遊びました。

     そんなことの間にお風呂の時間になりました。
     手順通り、まず律くんと晶くんがお風呂に入ります。
     晶くんはお風呂も楽しいみたいで、ときどき嬉しそうな声が聞こえます。
     ……やっぱり晶くんが羨ましいです。
     少しして、律くんと晶くんのお風呂が終わりました。
    「晶、寝かせておくから」
     交代でお風呂に向かう私に律くんが言ってくれました。
    「えと、あ、はいっ」
     ちょっと緊張してる私。
    「うん」
     律くんは笑顔を見せてくれました。

     お風呂に入ります。
     かけ湯をして湯船に。
     お湯に体を沈めて、まずは軽く温まりたい気分、です。
     ちょっと強引だったかな? そんな思いが出てきます。
     ……でも、
     素直にならないと……、
     ……、
     ……何を言っても全部「今更」です。
     逃げるなんてできません!
     律くんと一緒に寝るんです!
     覚悟を決めました。
     湯船から出て、体をぴかぴかに洗って、湯船に戻って。
     今度はしっかりと体を温めました。

     お風呂から上がって、「覚悟」を確認します。
     ……大丈夫です。
     寝室に向かいます。
     部屋の前に立って、寝室のドアは閉まってました。
     すーはーすーはー、
     息を整えてドアを開けました。
     中は真っ暗です。
    「お風呂、終わった?」
     暗い中から律くんの声。
    「はいっ、全部OKですっ」
     律くんは自分のベッドで晶くんを寝かしつけて。
     晶くんはもう眠ったみたいです。
     私は私のベッド、律くんのベッドの隣、に入りました。
     ちょっとの後。
    「命さん、
     そっちに行くね」
    「えと、はいっ」
     私の声を確認して、律くんが動き始めました。
     お布団から出て私の方に。
     私のお布団にゆっくり入って私のすぐ横に。
     天井を見てる私の隣で、律くんも天井に視線を向けたみたいです。
     上手く言葉を出せません。
     ……律くんはどうなのかな?
    「もうちょっと、良いかな?」
     律くんの声。
     いつも優しいけど、今はいつもよりもっと優しい感じです。
     だから、
    「はいっ、良いです」
     言っちゃいました。
     そしたら律くんの手が私の方に。
     ごそごそと手を動かして、私の手を見つけました。
     優しく私の手を握ります。
     でも律くんの握り方……、恋人つなぎ、です。
     どうしようどうしよう、って思います。
     だけど今いちばん大事なのは律くんに応えることです。
     だから、ちょっと力が入ってる律くんの手、私もちょっと力を入れて握りました。
     手を握り合ってると、余裕が出てきました。
     私が思ってること、正直に言葉にしたい……。
    「律くん、がっかりしました?」
     私なりの勇気を出して尋ねます。
    「んっと、何が?」
     律くんの答えは質問でした。
     だから改めて。
    「その、セックスじゃなかったこと……、です」
    「あ、そう言うことか。
     そうだなぁ……、
     僕は命さんの気持ちに応えたい、そう思ってるから、がっかりなんかしてないかな」
     律くんの言葉はやっぱり優しくて、でも、ちょっと引っかかりました。
     だから尋ねます。
    「じゃあ、私がセックスしたい、って言ったら……」
    「やっぱり命さんの気持ちに応えるかな」
     律くんの言葉を少し考えます。
    「でも……、
     それじゃ律くんの気持ちがありません」
     少し間をおいて。
    「……うん、そうだね。
     僕の気持ち、か……」
     わずかな時間、音がなくなりました。
    「うん、僕は命さんの気持ちを大事にしたい。
     だから命さんがセックスしたい、って言ったら『しよう』って言う。
     したくない、って言ったら『やめとこう』って言う、かな」
     律くんの言葉を私が続けます。
    「私は律くんの気持ちを大事にしたいです。
     だから律くんがセックスしたい、って言ったら『しよう』って言います。
     したくない、って言ったら『やめとこう』って言います」
     私が言い終わって、ふたりでくすり、と小さく笑いました。
    「おたがいに大事に思ってるのに上手くいかない。
     これって変だね」
    「はい、でも良いと思います」
     私の言葉の後、音が途切れました。
     少しして律くん。
    「こう言うのはどうかな?
     ちっちゃい投票箱作って、
     セックスしたいかしたくないか書いて入れる。
     箱を開けるのは……、お風呂に入る前が良いかな?
     それで、命さんも僕も「したい」だったら「する」。
     これだったらおたがいを大事にできるし、自分の気持ちにも正直になれる、って思うんだけど……」
     さすが律くんです。
    「はい、とっても良いです」
    「じゃあ、箱、作ろう」
     新しいことがひとつ決まりました。
     とっても嬉しくて楽しいことです。
     その後も少し話が続きました。
     でも、少しずつ眠気が近づいてきて。
     明日も楽しくって嬉しい明日になりますように。
     そんなことを思いながら眠りに沈みました。


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