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GALLERIA[ギャレリア]は創作活動を支援する豊富な機能を揃えた創作SNSです。

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    DA-190 自警団編もしもその声に触れられたならひとしずく甘く
    もしもその声に触れられたなら ――挙動不審なアンドロイドが街頭に集まっている、と、自警団に通報があったのは、ロイの反乱があったのと同じ二年前のことだった。
     通報の電話を受けた団員が、すぐにパトロール中の団員に無線を入れる。
    『ムステ通り南に不審アンドロイド複数の目撃情報アリ! 今日はいっぱい迷子アンドロイドの届が来てるからその子たちかも! 誰かパピッと確認に行ける?』
    「プルームさんよお、ムステ通りならオレたちが行くぜ! な、ダーク」
    「ああ。俺ならその場で届出との照合もできる、俺とブラッドが向かおう」
    『ありがっとー! じゃあダークには追加の迷子届データも送信しておくね!』
     そうしてブラッドとダークは、ちょうどパトロールしていた自警団の車でムステ通りへ向かった。ムステ通りは町の中心部にある大通りで、この田舎町では一番の人通りだ。
     ブラッドが生まれ育ったこの町は、田舎なりにアンドロイドも多少は普及していたが、都会ほど多いわけでもなく、町中ではちらほら見かける程度に過ぎない。そのアンドロイドが大通りに集まっていれば不審にも思われやすいだろう。ブラッドは助手席で首を傾げた。
    「何で、今日に限って迷子のアンドロイドが多いんだろうな? 何か怪電波でも飛んでんのか? ……いや、それだったらダークにも影響があるか」
    「どうだろうな、俺は通信に関しては全部登録制で、登録外の電波や通信はほとんどシャットアウトする仕様になってる。おかげで家庭型ほど手軽にアップデートはできねえが、仕事柄、盗聴やハッキング対策のほうが重視されてるんだ。だから、俺が平気でも、家庭型には影響のある電波ってのはあり得る話だぜ」
     そう言うダークは、元々は都市警で警官の補助・補佐をしていたGB‐190というシリーズの一体だ。捕縛・制圧に長けたプログラムとハードウェアを持ち、調査書や報告書の作成・登録・保存アプリがインストールされている。都市警が新型機を導入するので、旧型機を地方に払い下げる、という話に、ブラッドの町の自警団も乗ったのだ。そうしてやってきたのがシリアルナンバー0722の機体で、それが、今のダークである。
     そのダークも自警団唯一のアンドロイドというくらいで、K.G.D本部があるような都会からは遠く離れた田舎町やその周辺では、アンドロイドの総数も高が知れていた。特に、ブラッドの故郷は冬になれば雪が多く積もるのだが、精密機械にとって水分は天敵だ。豪雪対応のアンドロイドやカスタムパーツも少ない上に高価なので、この町でアンドロイドといえば、工場や店舗など屋内に勤める業務用機種がほとんどだった。
     ちなみに、都市警払い下げ品のダークもさすがに豪雪仕様ではないので、雪の季節になれば、おっかなびっくり防水カスタムをして雪に臨む。近年は、少し慣れてきたようだけれども。
     田舎だとか豪雪地帯だとか、様々な事情があってそもそもアンドロイドが少ないせいか、この周辺の地域ではアンドロイドの暴走事件もさほど目立ってはいなかった。故郷で暮らしていた頃のブラッドにとって、それらはテレビ画面やニュースペーパーの向こうの出来事だったのだ。


     ムステ通りに到着したブラッドとダークは団用車を降りて、無線で聞いたように通りの南側へ向かった。通りの人々はアンドロイドを遠巻きにしながら足早に過ぎ去っていく。確かに、十体前後のアンドロイドが一様に通りの先、同じ南側の虚空を見つめていては、不気味としか言いようがない。だが、見ている先は同じでも整然と並んでいるわけではない上に、それだけいれば通行の邪魔にもなる。ブラッドはとりあえず彼らの横から声をかけた。
    「……おーい? なあ、あんたら何見てんだ? 空ならもっとよく見えるとこあるぜ? ちょっと移動してみねえか?」
     声かけだけではなく、空を見上げる彼らの視線・視界に引っかかるように何度か手を上げ下げしたり、ぱたぱたと肩や背を叩いてみたりもしたのだが、それでも彼らは反応しない。ブラッドは諸手を上げた。
    「なん……みんなどうしちまったんだ? エネルギー切れか? 持ち主に充電ユニットとか持ってきてもらうか?」
    「それでもいいが……大半は届出から持ち主が辿れたが、届出より二、三体多いぞ。それに」
     虚空を見つめるアンドロイドたちを一体ずつ検分し、届出データと照合していたダークがムステ通りの北側を振り返った。ダークは、不審と警戒が綯い交ぜになった剣呑な顔で呟く。
    「……あいつらも、ここに加わる気なんじゃねえか」
     そのダークの視線の先では、他にも何体かのアンドロイドが、南の虚空を見つめながらも人通りを掻き分け、こちらへ向かってくるところだった。ブラッドもダークの視線を追ってそれを見つけ、思わず口をあんぐり開ける。
    「…………何でだ⁉」
    「さてな。しかしこいつら、どうしたもんか……」
     ダークが双方のアンドロイドを見比べて、人間のような仕草で顎に手をやり考えかける。しかし、彼は突然顔色を変えてブラッドの背を押し、アンドロイドから距離を取って声を張り上げた。
    「ご通行の皆様! 故障アンドロイドの電圧が上昇しています、危険ですので、不審なアンドロイドからは速やかに離れてください! 繰り返します、アンドロイド機から速やかに離れて――」
    「だ、ダーク⁉」
     喉元のスピーカーで拡声機能をONにしたダークの声がムステ通りに大音量で響く。ブラッドは、ダークの急な言動に目を白黒させながら、通りの人々を容赦なく追い立てていくダークの背中を追った。
     ――そのブラッドの背後で、昨今の技術発展ではめっきり聞かなくなった、不自然に平坦で冷たい機械音声がじわりと膨れ上がる。
    『『『…ten, toeten…』』』
     いくつも重なったその声に、ブラッドは思わず振り返った。ちょうどそのとき、通りの一画で南の虚空を見ていたはずのアンドロイドたちが、ぐるりと一斉に振り返って無感動な赤いアイセンサーでブラッドのほうを見る。
    「は……」
     ブラッドの喉から、声とも呼気ともつかない音が漏れた。ブラッドがその異様さに呑まれて足を竦ませるより先に、ダークの手がブラッドの二の腕を掴んで力任せに引き寄せる。
     ダークがブラッドを曲がり角の陰へ引きずり込んだところで、どこか遠く、いくつもの爆発音がした。
     ――ブラッドの心臓すら揺るがすようなその音の連なりは、後にアンドロイド反乱の一端、北部大規模テロと呼ばれる事件の、しかし始まりに過ぎなかった。


     ダークとブラッド、二人の装備している無線からは、他の自警団員の切羽詰まった報告がひっきりなしに聞こえてくる。
    『こちらクローザ、西通りで火災! ……さんと避難誘導して……』
    『こちら……ル、本部にて計器のジャミング発生……』
    『……ら……、こちら……ギャレン、東地区シェルター満員……』
     ダークが一足先に人払いを始めていたおかげで、ムステ通りの人的被害は少なかった。救急隊員へ手早く引継ぎをしてから、ブラッドとダークは団用車に戻る。
    「ダーク、お前、アンドロイドの自爆が分かったのか⁉」
    「機体温度や電圧の急上昇が危ねえなとは思ったが、本当に自爆するとまでは思ってなかった‼ 何の意味があってそんなこと……!」
     ダークも眉を寄せながらアクセルを踏み込む。まずは一旦本部へ戻るのだ。登録外の電波通信を受け付けないダークならジャミングを修正できる可能性もあるし、車があれば本部で物資を積んで各所を回ることもできる。そうしてムステ通りから本部へ戻る間にも町にはサイレンがあふれていった。救急、消防、警報、人々が慌ただしく道路を流れていく。東地区はシェルターが満員になるほどだから、避難が進んでいるのか。
     混乱の中でようやく辿り着いた本部には、その東地区シェルターの報告をしてきたギャレンと、その双子の兄であるユアンのペアも揃っていた。
    「東の避難が終わったからさ、オレたちも一度戻ってきたんだ。これからクローザクンとキリオスのところへ応援に行く!」
    「今分かってる範囲じゃ、西側の被害が一番酷いみたいだ。確かに、あのあたりは加工工場が多かったから、アンドロイドも多いだろうし……ダークとブラッドはどうする? ……一緒に来てくれるとありがたいけど、ダークを怖がる人は、もしかしたらいるかもしれない」
     俺たちはダークが登録外電波を受け付けないって知ってるから暴走しないって分かるけど、町の人たちが全員それを知ってるわけじゃないから。
     冷静なギャレンの言葉に、ブラッドはハッとしてダークを振り向いた。本部の各計器に自分の機体から正常電流を流し込んで修復を試みていたダークは、計器担当のロールとそれを心配そうに見ていたプルームの間からブラッドを振り向いた。
    「怖がられるほど近寄らなきゃいいだけだ。俺とブラッドで暴走アンドロイドの鎮圧、ギャレンアニさん・ユアンアニさんが避難誘導の応援に回ってくれりゃあ問題ねえだろう。元々、俺は戦闘型の分類だしな」
     答えたダークは計器と手首を繋いでいた何本かのコードを手際よく外し、それぞれの計器の状態をチェックしていたロールが真剣な顔で頷いた。
    「……うん、ジャミング修復完了! 修復工程の解析と保存もOKだし、こっちはもう大丈夫だよ」
    「よし! じゃあ通信は頼んだぜ、ロールアニさん。ギャレンアニさん、ユアンアニさん、俺たちも行く!」
     そう言ってダークがブラッドの隣へ戻ってきて、カスタマイズを手早く耐火パーツへ換装する。それは着脱ではなくスイッチ切替で、駆動音とともに外装が開くとその内部から別の外装パーツが出てきて入れ替わった。
     その上から耐火ジャケットを着るのはダークもブラッドも同じだ。ユアンが運転する車内、後部座席で二人が耐火装備を整えている間、助手席のギャレンがキリオスと情報交換をしている。やっと無線が繋がったのだ。
    「キリオス、そっちの様子はどう?」
    『こちら避難は七割ほど完了でにゃんす。ただ、残り三割の工場作業員の方々とクローザくんとが奥側の工場に立てこもっているぞなもし。途中まで一緒だったのでにゃんすが、落下物で分断されてしまい……隠れ場所を見つけられたのは重畳、しかし周囲の暴走アンドロイドの目を盗んでシェルターまでやってくるのが難しい様子』
     慣れ親しんだ仲間でも、キリオスの声が淡々としているのは聞き慣れない。ブラッドは腹の底がぞわぞわとむず痒くなるような気持ちでその無線を聞いた。通信は本部とも繋がっていて、今度はロールがキリオスに尋ねる。
    『キリオスくん、クローザくんがいる建物の座標を送ってくれる?』
    『了解ぞなもし。うまく避難経路を作れるといいのでにゃんすが』
     カタカタと機器の操作音がして、それから少し黙ったキリオスは、やがてぽつりぽつりと言った。
    『……すべてのアンドロイドが暴走しているわけではない、というのが少し不思議で、そして厄介でにゃんすね。たとえ暴走していなくとも、アンドロイドが同じシェルターにいることを嫌がる人が多いでにゃんす。仕方がないので、シェルター内で区分けをして対応しているでにゃんすが……暴走のきっかけが分からない以上、どのアンドロイドに対しても、安全と言い切ることができないのがつらいでにゃんすな』
     その言葉に、ギャレンがしばらく考えてから頷く。
    「……そうだね、一旦油断させてから、第二波で爆破するために温存されてるのかもしれないし。今は、距離を取っておくしかないと思う。だけど、アンドロイドたちも、自分がいつ爆発するか分からないのは怖いだろうな……。ロール、何か手がかり掴めそう?」
    『妨害電波は逆探知にかけてるよ! まだ結果は出ないけどね。それと、もしも暴走アンドロイドの機体、せめてAI部分だけでも手に入れば、もしかしたら解析できるかもって、ランベルさんが』
    「そっか……分かった、クローザくんたちをシェルターまで護送したら、暴走アンドロイド捕縛の計画を考えるよ。任せて」
     ロールとの会話を一旦終わらせて、ギャレンが助手席から後部座席を振り向く。ブラッドとダークは彼と目を合わせて頷いた。
    「というわけで、ダークとブラッドはクローザくん救出の次にも任務があるよ! ……だから、どうか無事で帰ってきてね。クローザくんたちがシェルターへ移動する間、陽動チームは、戦闘を最小限に留めること。一度気を引いたら、後は逃げたり隠れたりして距離と時間を稼ぐんだ。頼んだよ」
    「おう! ギャレンさん、ユアンさんもよ、クローザさんたちの護送、頼んだぜ」
     ギャレンとブラッドが軽く拳を打ち合わせる。そして、彼らは西地区工場地帯へと足を踏み入れた。


     ――炎に巻かれた作業所の機械の合間に、作業服を着たいくつかの人影が倒れている。その傍らでは、同じ作業服を着てぼんやり突っ立った平凡な業務用アンドロイドが、動かない彼らを見下ろしていた。
     きな臭い煙と目に痛い火の粉の中で、アンドロイドの頭部パーツがぐるりと回転してブラッドのほうを向く。ブラッドを認識しているのかいないのか、アイセンサーが不規則にキロキロと音を立てて赤く光った。暴走アンドロイドだ。
     悔しいが助けられない。相棒に手早く背を叩かれ、ブラッドは奥歯を噛んで身を翻した。せめて火がなければ、業務用アンドロイドの一体や二体、いくらでもぶっ飛ばして、要救護者を担ぎ出してやれるのに。
     クローザと作業員たちがシェルターへ移動する間、工場地帯を駆け回って陽動をしていたダークとブラッドは、ダークが屋内から救難信号を受信したことで急遽、捜索活動を開始していた。一度きり途絶えた信号から必死で探して、それなのに、既に暴走アンドロイドが彼らを手にかけていたなんて。
     ブラッドはぎりりと奥歯を噛んだ。それでも顔を上げれば、長身の相棒が警棒で火の粉や落下物を払いのけながらブラッドの先を進んでいく。ブラッドはその背を追いかけながら町の惨状を思った。このフロアを抜ければ出口はすぐそこだ。建物の外、町の中に、まだ助けられる人はいるだろうか?
     そうして一瞬気を逸らしたブラッドの背後に、不気味な機械音声が近づく。さっきの暴走アンドロイドが追ってきたのだ。
    『…ten, toeten, toeten…』
     その単語を聞くのは、今日もう何度目か。言葉の意味も分からないのに、ぞっとブラッドの背が凍る。しかし、ブラッドが思わず振り返ってしまう前に、先にいたはずの相棒がブラッドの腕を掴んで工場の外へ放り出していた。
     玄関前のスロープをゴロゴロ転がりながら、ブラッドは必死で受け身を取ってタイルに肘を突き顔を上げる。
    「ダーク⁉」
     叫んだブラッドの喉は、しかし次の瞬間すぐに凍りついた。顔を上げたブラッドの視線の先、工場のエントランスで、ばちりと紫電が弾ける。
     耐火ジャケットを着た長身のアンドロイドは、まるで電源を落とされたかのようにぐったりとうなだれていた。その機体の胸には大きく穴が空いて、背後にいるのだろう暴走アンドロイドの腕が貫通している。
     ダークの機構中枢を破壊した暴走アンドロイドの指先が、感触を確かめるように開閉して、ダークの胸元で揺れる盾のペンダントを揺らした。ブラッドがハッとして立ち上がるのと、ダークの機体を貫通した腕が引き抜かれるのとは同時だった。
     ブラッドの目の前で、物言わぬダークの身体が閃電とオイルをぶちまけて崩れ落ちる。しかし、その体躯が膝をつく寸前、穴の開いた上半身がギョロリと真後ろを向いて、背後のアンドロイドを睨んだ。
     人間では不可能な、機械ですらパーツが軋む可動域。ブラッドが声を上げる間もなく、ダークは暴走アンドロイドに向かって両腕を大きく薙ぎ払った。
     次の瞬間、ダークの両腕が爆発したかのように硝煙が噴き上がって、薙ぎ払った軌道の先の工場外壁へ横一文字に弾痕が並んだ。その弾痕から工場の壁が崩落するのを見て、ブラッドは粉塵の中で叫ぶ。
    「ダーク‼」
     返答はない。ブラッドは必死で崩落に駆け寄り、瓦礫を掻き分けてダークの姿を探した。いくらかの瓦礫を放り捨てたところで、やっと彼の名前の由来となった頭部パーツの黒髪が瓦礫の合間に見え隠れする。
    「ッ、ダーク、ダーク! 今助けるからな……!」
    「……、――――、……ド……」
     次々と瓦礫をどかすブラッドの傍らで、仰向けに倒れたダークの口元がノイズ交じりに小さく動いた。ブラッドは慌ててダークの頭元へ屈み込み、必死で音を拾おうとする。
    「ダーク……⁉」
    「――――……、…………」
     ダークのかすかな言葉が、同じ唇から吐かれるノイズに邪魔されてうまく聞き取れない。唇や喉を動かすために外皮の内側で機械が動く音のほうが大きく聞こえる。言い知れない恐怖と焦燥で跳ねるブラッド自身の心臓の音が何よりうるさかった。ブラッドが息を止めて耳を澄ましても、心臓の音だけは止んでくれない。
     やがて、ダークの内側の機械音が止んだ。伴ってノイズも止んだ。ダークの声も言葉も、ブラッドが掴み取る前に消えて、ブラッドの心臓の音だけが残る。
    「…………そんな」
     ブラッドは茫然と呟いた。何も分からなかった、一言も、一音さえも。震える手をゆっくり伸ばして、ダークの顔の合成表皮を撫でる。ダークは新型の導入に伴って払い下げられた旧型モデルだ。旧型らしく、ダークも一度オフモードやスリープモードになると次の起動に少々時間がかかる節があった。だから、待っていればまた起動してくれないかと、……瓦礫が隠している損傷のことを今だけは頭の外に追いやって、ブラッドはしばらくそうしていた。
     ――その静寂を破って、ざっ、ざっ、と、いくつも足音が近づいてくる。
     ブラッドは、感情の抜け落ちた顔でそれを見回した。ダークは工場を崩落させた瓦礫で暴走アンドロイドと工場火災を封じ込めたが、その音を聞きつけて他のアンドロイドが寄ってきたらしい。うるせえ、と、ブラッドの口から言葉が漏れ出でる。
     ブラッドは、動かないダークの機体を守るようにその前に立って、じろりとアンドロイドたちを睨んだ。その背後の崩落した工場では、反乱の炎が伸び上がっていた。


     異変を察知した自警団がブラッドのもとへ駆けつけたのは、そこから少し後のことだった。無事シェルターまで作業員たちを送り届け、仲間たちと合流したクローザが団用車を降りて駆け寄る。
    「ブラッドさん! ……そんな怪我で……!」
    「……、……ざ、さ……?」
     クローザがブラッドの肩を叩いたとき、ブラッドは額の端を切って血を流していた。それどころか、右腕は腫れ上がって動いていなかったし、装備だってぼろぼろで、とても瓦礫の除去などできる状態ではなかった。それでも、片腕と両脚、背中を使って必死で瓦礫をどけようとしているブラッドの足元を見て、キリオスがハッとして飛び出す。
    「ロールくん、重機の手配はできるでにゃんすか! ……ダークくんが瓦礫の下敷きになっているでにゃんす‼」
     それを聞いて、一緒に来ていたユアンとギャレンの顔色も変わる。二人は、瓦礫のまわりに散るスクラップの合間を跳ねるようにして瓦礫除去に加わった。
     ユアンとギャレンは脚力強化型のガジェットを、ブラッドとクローザは腕力強化型のガジェットを支給されている。靴やブーツ、籠手型の機械だ。さらにキリオスのゴーグル型ガジェットでサーチをかけ、動かしやすい場所から集中的に瓦礫をどけていく。
     一人のときとは比べ物にならないスピードで除去が進むのを見て、ブラッドはキリオスが団用車で応急処置してくれるのを途中で振り切って作業に加わった。血止めをしただけの処置で動き回るブラッドをギャレンが咎めたが、ユアンが淡々とそれを止める。
    「何回叱ってもどうせ来るよ。叱ってる間にダークを掘り出したほうが早い」
    「…………」
     ギャレンは不服そうな顔でユアンとブラッドとを見比べたが、それきり黙って除去作業に徹した。やがて、また一つ瓦礫を持ち上げて脇にどけた自警団たちが息を呑む。瓦礫の下から掘り起こされたダークの機体、その胸元には大きな穴が空き、そして、両腕パーツは肘から先が失われていた。いつの間に、とブラッドも改めてダークを見下ろし、最後に見た彼の姿を思い返した。
     そういえば、戦闘型とはいえ兵器でもない、警察補助程度を目的としたアンドロイドに、建物の外装を崩落させるほどの銃撃機能など搭載されるだろうか。もしかしたら、彼の最後の銃撃はずいぶんと無理な連射で、そのせいでパーツが壊れ落ちてしまったのかもしれない。だが、その崩落がなければ、ブラッドは仲間たちが来る前に暴走アンドロイドの手にかかっていただろう。
     ――暴走アンドロイド。
     ブラッドは、黙ったままゆらりと瓦礫の上へ足を運んだ。左腕ガジェットの操作パネルを前歯へぶつけるようにしていくつかコマンドを入力し、動かない右腕をぶら下げて瓦礫を登る。
    「ブラッド?」
     ダークの機体を素通りして瓦礫を登っていくブラッドの背中に、ユアンの不審げな声がかかる。しかしブラッドは返答しないまま、自分の足元、瓦礫の下をじろりと睨んだ。
     自警団の仲間たちが、ブラッドの後ろで顔を見合わせる気配がする。誰も言葉を発さない静寂の中、ブラッドには、耳障りな機械音と瓦礫の擦れる乾いた音が小さく聞こえていた。その音は少しずつ大きくなって、――つまりはブラッドへ近づいてくる。
     そして、ブラッドの足先の瓦礫がひび割れながら起き上がってくるや否や、見越していたブラッドは力任せに左の拳槌を振り下ろした。操作パネルからリミッターを外し最大出力を設定した左腕ガジェットの関節の隙間から、ブラッドの血が一筋こぼれる。
     瓦礫を押しのけて飛び出してきた何かと、ぼろぼろのブラッドの交戦を確認した仲間たちの声が、ブラッドの背後で交錯した。
     早くダークを回収しないと、それよりも撤退、いや応援要請、そんなことよりまずブラッドの回収――――オレの回収?
     振り返りもせずにそれらの声を聞いていたブラッドは、眉を寄せてその場に踏ん張った。回収などされてたまるか。目の前にいる、瓦礫の下から這い出してきた、相棒の仇を壊し尽くすまでは。
     ガジェットのコマンドで強化した腕を、拳を、動く限り目の前のアンドロイドに叩きつける。最初の拳槌で頭部パーツを下向かせた後、蹴り上げた靴先でアイセンサーを真っ先に潰した。災害救助の必需品であるセーフティブーツ、自警団の支給品として特に頑丈な靴の先でガラス玉を砕いたのだ。しかし、そこらへんの人形にも使われるようなガラス玉の眼球は、ただ外見を人間に近づけるためだけの装飾パーツに過ぎない。砕けば当然視界は悪くなるだろうが、本当のセンサーはもっと奥にある。だから、念には念をと、ブラッドは蹴り上げて仰向かせた顔面、砕けたガラス玉の上からガジェットごと何度も拳を叩きつけて、顔どころか頭部パーツ全体を歪めた。
     自分の身体が痛いのか、痛くないのか、そのときのブラッドにはよく分からなかった。身体ごと酷使したガジェットがどのくらい機能しているのか、自分がどのくらい負傷しているのか。頭の中がほとんど空白のまま、ブラッドは腕より無事な脚を片方振り上げて、アンドロイドの胸元めがけて踵からセーフティブーツを叩き落とした。
     靴底に装備された鉄板の重量まで上乗せされたブラッドの踵が、アンドロイドの胸部パーツをへこませて穴を作る。
     胸元に穴を空けてぐらつくアンドロイドの姿を見て、ブラッドの唇が歪む。それしか分からなかったブラッドが自分の表情を想像する前に、ブラッドの背後から二本の腕が伸びてその胴を捕まえた。
     ブラッドの腕と似た形の腕力強化ガジェット、背後の人物はブラッドより少し背が高くて、ブラッドよりぼろぼろでない。
    「……さん、ブラッドさん‼ ご自分の身体を大切にしてください!」
     何度も名前を呼ばれていたことにやっと気づいて、ブラッドは瞬きしながら後ろを振り返る。背後から腕を伸ばしてブラッドを捕まえていたのは、駆けつけた自警団の中でもブラッドと同じ腕力強化型のクローザだった。
     だが、頭の働いていないブラッドがクローザの存在と彼の目的をはっきり認識するより先に、ブラッドの足が宙へ浮いて胴がクローザの肩へ担がれる。ブラッドが暴れ始めたのは、既にクローザがアンドロイドへ背を向けてからだった。
    「⁉ 放せ、おい‼ まだあいつを壊してねえ‼ 放せ‼ 放せよぉぉお!」
     ブラッドが暴れただけ、クローザの背中が濁った赤で汚れていく。ブラッドの拳が描くかすれた動線は、しかし左手分しかなかった。右手は、クローザやブラッドが動いて揺れるたび、ぶつかった場所に斑点をつけることしかできない。クローザは前だけを見て瓦礫を駆け下り、そして言った。
    「私すら振りほどけないで、何を成せるとお思いですか‼ ……ブラッドさん確保、ギャレンさん発進お願いします!」
    「OK、飛ばすよ!」
     ブラッドを担いで団用車へ飛び込んだクローザの語尾に、ギャレンの声とエンジン音が重なる。車内に押し込まれたブラッドの目の前でドアが閉まって、窓ガラスの向こうの瓦礫の下に倒れたダークの黒髪が見えた。だが、ハッとして瞬きしたブラッドが次に瞼を上げたときには、その姿はもう窓からは見えなくなっていた。
    「―――、ぁ……」
     我に返ったブラッドは、どうにか動く左手を持ち上げて窓ガラスに手をつき、せめてと窓に顔を近づけた。ダークの機体を回収できなかった。――ブラッドが勝手に戦闘を始めたから?
     ブラッドの左手がずるずる落ちて、窓ガラスに汚れた線を描いていく。窓からも顔を離して、最後部座席のシートにぐったり身を預けたブラッドの腕を、その前列に座っていたキリオスが取った。
     ブラッドが視線だけキリオスに向けると、彼は力なく微笑む。
    「……鎮痛剤だけ打たせてもらうでにゃんす。痛覚が戻ってくる前に」
     ブラッドの返事よりも先に、隣のクローザがブラッドの左腕のガジェットを外して、キリオスが抱えている救急ガジェットにブラッドの腕を差し出した。二重構造のガジェットは、外装と内装との間で揺れや衝撃を吸収して、不安定な場所でも正確に負傷部位を計測・治療できる。箱を開けた状態のガジェットにブラッドの腕を乗せてから箱を閉めると、その見た目は箱型のガジェットがブラッドの腕を半分食っているようだ。
     箱の見た目には変化がなくとも、その内部では機械が動いて、血管や骨・筋肉の状態をチェックしている。それから、ちくりと針の刺さる感触がして、キリオスの言う通りなら鎮痛剤が打たれたんだろうなとブラッドは理解した。クローザの要望通りギャレンはけっこうなスピードを出しているから、もしも手作業だったら揺れる車内で正確に注射針を刺すのは一苦労だろう。救急ガジェット様々だった。
     その注射の痛みを最後に、ブラッドは意識を手放した。だから、少し後に救急ガジェットがチェック完了のアラームを鳴らした後、表示結果を見たキリオスとクローザがたまらず表情を歪め強張らせていたことは、ギャレンの横の助手席からずっと後ろを確認していたユアンだけが知っていた。


     日々着々と進歩を重ねる医療技術にはまだ限界が見えないが、人体の回復力には限界がある。ブラッドは、動かなくなった右腕と、ガジェットごと酷使してズタズタになった左腕を、医師と相談の上とはいえあっさり切り落とした。回復を待てるほど気長な性格でもなかったし、脆弱な人体よりも、発達した・していくであろう義肢技術のほうが有用だと判断したのだ。
     あの地獄のような一日に、北部大規模テロという名前がついてから一週間後、ブラッドはリハビリ用の義手を装着して自警団本部へ戻った。自警団を辞めるにあたって、ロッカーなどに置いてある私物を片付けるためだ。
     ブラッドが本部を訪れると、ロールとプルーム、それからランベルが大量の空中ウィンドウを見ながら話し込んでいた。
    「……双子が採集してきた暴走AIの通信記録を見ると、テロの少し前に何らかの電波を受信している。家庭型が一般的に受信する電波といえば、アップデート情報か家事コマンドがメインだろうが、この電波はどれとも一致しない」
     くたびれた白衣と黒髪の癖っ毛、左目だけのゴーグル。自警団で解析や調査を担当するランベルが物音に気づいてブラッドのほうを振り向くと、つられてロールとプルームもブラッドに気づいた。
    「ブラッド! 腕は大丈夫?」
    「うす。今はリハビリ用の義手でも、向こうに行きゃあ戦闘用のが支給になるんで」
     ブラッドが答えると、ロールとプルームは寂しげな表情で顔を見合わせた。ブラッドが黙って苦笑していると、ランベルが口を開く。
    「ロッカーとデスクを片付けに来たのだろう? 補助は必要か?」
    「リハビリ兼ねてるんで、とりあえず一人でやってみます。やってみてどうにもならなかったら言うんで、そのときだけ手伝ってください」
    「心得た」
     ランベルの首肯に見送られ、ブラッドは一人でロッカールームへ向かった。自分のロッカーの前に立ち、取っ手の横にある入力パネルを見下ろす。
     リハビリ用の義手は軽く作られてあるので、入力パネルまで腕を持ち上げるのは簡単だが、ブラッドはまだパネルの押下が苦手だった。狙いを定めて目的の場所をつつくのが少し難しいのだ。だが、これもリハビリ、いずれ義手に慣れればすぐこなせるはずだと思って、ブラッドは慎重にキーを打ち込んで無事に解錠するとロッカーを覗き込んだ。
     ロッカーの中には、飲料水のボトルとレーション、それといくらかの着替え・タオルが置いてあった。テロの日からそのままのロッカーにはリュックも置きっぱなしになっていたので、ブラッドはそのリュックに私物を雑多に詰め込んで背負った。
     ジャケットなどの装備品は、処分または譲渡になる。ブラッドと体格が近いのはランベルだが、彼は解析担当としてほとんど本部内にいるので、ブラッドが譲るより本人の所持品のほうが綺麗かもしれない。じゃあ処分だろうな、と思いながら、ブラッドはとりあえず装備類をロッカーから出して小脇に抱え、空っぽのロッカーを確認してロッカールームを後にした。それから一応ランベルに装備品の譲渡を相談すると、彼はあっさり頷いた。
    「ジャケット? ……そうだな、捨てるほどのボロでもない。我が譲り受けよう。いつか予備に使うやもしれぬ」
     そう言ってランベルがジャケットほか装備類を持って行ってくれたので、ブラッドは次に本部事務所のデスクへ向かった。椅子の上にリュックを下ろし、順番に引き出しを開けて私物をリュックに放り込んでいく。といっても、筆記用具がいくらかと少しの甘味を回収するだけで済んだ。あとは、書き損じの報告書とか、町内の地図とか、報告書調査書の書き方指南とか、不要ならこの場で捨ててしまえるものだったのだ。捨てていいかどうかチェックするため、引き出しから出てきた紙類をめくっていたブラッドは、書類の書き方指南を眺めて少し考えた後、そばにいたロールへ声をかけた。
    「……あのよ、ロールさん。ダークが作ってくれた書類マニュアル、事務所のどっかに置いててくれねえか。ずっとオレが持ってたけど、誰か次に新入りが来たら、そいつには必要かもしれねえし」
    「ああ……そうだね、残しておくといいよね。ラミネートもしておくよ。任せて!」
     ロールは元気よく頷いて、ブラッドからダークの指南書を受け取った。他の業種では様々な書類のペーパーレス化が進んでいるらしいが、災害対応などを業務に含む職種だと、重要な記録や作業手順書は紙にもしっかり残すことが多い。ダークの筆跡がまだ自警団に残ることに少しだけほっとして、ブラッドは小さく息をついた。これで、ロッカーとデスクの片付けは終わりだ。
     そこへランベルが戻ってきて、ブラッドに何かを差し出す。
    「ダークの機体を回収したことは、見舞いに行ったユアンとギャレンから聞いているな? ……回収しただけで、修復はとてもしきれなかったが……せめてと思い、これは磨いておいた」
     ランベルが差し出したのは、ダークがつけていた盾の形のペンダントだった。ブラッドはそれを見つめたまま、言葉を失って何度か口を開閉する。
     ブラッドは、いつもの矛のペンダントをつけていなかった。細かい作業にはまだ慣れない義手で、ペンダントの小さな金具を付けたり外したりするのが難しいからだ。それだけのことなのに、自分の胸元に今ペンダントがないのを酷く空虚で寒々しく思う。
     それでも、ブラッドはゆっくり義手をランベルの手元へ伸ばした。両手を揃えて、椀のような形にすると、ランベルがそこにペンダントを置いてくれる。ブラッドは落とさないよう慎重に胸元まで手を引いて、ペンダントを包み込むように手を閉じると、うなだれてその手に額をつけた。
    「…………」
     誰もが黙ってブラッドを見ていて、ブラッドは努めて大きく、体の動きが分かりやすいように深く息を吸った。かすかに声を出しながら息を吐いて、そうして気持ちの切り替えを傍目にも分かりやすく演出すると、ブラッドは顔を上げてランベルに笑顔を見せた。
    「ありがとな、ランベルさん。大事にする」
    「む、その……うむ、どう、いたしまして」
     ブラッドの笑顔を見て、ランベルはやや狼狽したようだった。何か言葉を探すように口をもごもごさせて、それから、小さく呟く。
    「……ブラッド、その、ダークがこんなことになって悲しい、寂しいのは、自警団の皆が同じだ。そして同時に、ブラッドが生きていてくれてよかったと、心底から思っている。……ああ、だから、その……あまり、無理をしないでくれ。自警団を辞めるとて、これまでのことがすべてなくなるわけではない。我らは、ずっとブラッドの仲間だ。新天地への旅立ち、当然応援するが、同様に心配もする。どうか、元気でいてくれ」
    「……」
     ブラッドがきょとんと瞬きすると、横合いから笑顔のロールが出てきてランベルの脇腹を小突いた。
    「もう、今日がお見送りみたいになってるじゃないですか! ブラッドくん、安心してね、出発の日は空港まで見送りに行くから!」
    「そ、そうそう! 今日はユアンとギャレンがパトロールに出てるけど、お見送りの日は双子もいるよ! えっと、空港のお見送りにいないのは……」
     プルームも慌てて手帳をめくり、日程とメンバーを確認する。目当てのページを開いたらしいプルームは、ツインテールを揺らして顔を上げた。
    「空港に来れないのは、クローザとキリオスのペアだね。パトロールが当たってる。でも、送別会には二人も来るよ!」
    「はは、ありがてえ。……その、クローザさんとキリオスさんは、今はどこに?」
     賑やかな三人の様子に、ブラッドが思わず笑みをこぼすと、彼らもほっとしたように表情を緩ませた。それから、プルームが室内の時計を見上げてブラッドに答える。
    「クローザとキリオスは、今日は夕方からだよ。あたしとロールと入れ替わりだけど、クローザならいつも通り、ちょっと早めに来るんじゃないかな?」


     クローザとキリオスのシフトを教えてもらったブラッドは、彼らが来るまで自警団のラボにいることにした。団員用強化ガジェットの開発や各種測定・探知機の調整、違法マシンや電波の解析などを行うラボは、ランベルほか自警団研究員たちが集う牙城である。ブラッドは、ガジェット部門にはそれなりに立ち入っていたが、他の部門のことはよく知らない。なので不用意に出歩くことはせず、ランベルに教えてもらった第二研究室で丸椅子にじっと座ったまま、時が過ぎるのを待っていた。
     今は他に誰もいない第二研究室には、ダークの機体が置いてある。
     それは、機体というよりも、もはや素体、あるいは残骸に近い。ブラッドが最後に見たときよりも随分と部品が減っていた。テロの混乱が落ち着き始めた頃、やっと回収できたときには既にそうなっていたらしい。他のアンドロイドか人間がダークを見つけて、使えそうな、もしくは売れそうな部品を奪っていったのだろう。ペンダントが残っていたのは、華美でないデザインが幸いしたか。
     どうにか回収できたダークのパーツ群は、元の位置関係を再現しながらアンドロイド解析用のカプセルコフィンへ並べられている。それでも、破損した前腕パーツや瓦礫で潰された脚部パーツは除去して比較的無事なパーツだけが保存されているから、長身だった相棒はずいぶんと背が低い様子になっていた。
     ただ、穴が開いた胸部パーツは、除去されずにコフィンへ安置されていた。破損が見えないように布がかけられている。けして無事とは言えないパーツだが、配置のバランスを取るためか何かで置いてあるのかもしれない。残っているダークのパーツは、この胸部パーツと、頭部、二の腕と腿の一部くらいだ。残っている中で一番大きいのが胸部パーツなので、それがなくなると、あまりにも寂しくなってしまう。ブラッドは、コフィンのそばからじっと中を覗き込んだ。
     胸部の次に大きい頭部パーツは、残ってはいるものの、顔の表皮カバーがいくらか剥ぎ取られて銀色の内部機構が覗いていた。片方のアイセンサーまでも奪われた相棒を見ながら、ブラッドの腹の底でふつふつとマグマが煮える。
     ダークのアイセンサーを奪ったのは、ブラッドがアイセンサーを潰したあいつだろうか。やはりあのとき破壊し尽くしておけばよかったと再び怒りが沸く一方で、怒りだけではない重さ、後ろめたさが腹の底へ溜まる。――あのとき自分が冷静でいれば、こんなことになる前に機体の回収が叶っていたかもしれないのに。
     暴走アンドロイドなんかに構わず、ダークのことだけを優先できていたら。
    「――ダーク」
     遠くに機械の稼働音がするだけの静かな研究室に、小さくブラッドの声が落ちた。カプセルコフィンは、観察のために上半分が透明になっている。その透明なカプセルに手のひらを置いたブラッドは、その手が機械の義手であることに一瞬だけ目を見開いて、それからカプセルに身を寄せて声を絞り出した。
    「仇は取ってやるからよ……」
     返答はない。それでも、ブラッドはコフィンのそばで耳を澄ました。
     相棒の言葉が聞きたかった。


     プルームが言った通り、シフト交代の時間より少し早めに本部へやってきたクローザは、その空き時間でお茶を淹れてブラッドに振舞った。ブラッドはリハビリ用の義手で慎重にマグを受け取り、クローザはその隣、ロールの席へ湯呑を置いて、椅子をデスクではなくブラッドに向けてから座った。ブラッドも同じように椅子を回して座っていたので、二人で文字通り膝を突き合わせる。
     座ってから改めてクローザがデスクから手に取った湯呑は、輸入雑貨店で一目惚れしたものだそうだ。ブラッドのマグにクローザが淹れてくれたのは、その湯呑と同じ国から来た抹茶という飲み物で、異国文化に馴染みのないブラッドでも飲みやすいよう、ラテにしてくれている。
     同じラテが入った湯呑を静かに傾けていたクローザの顔が正面へ戻るのを見計らって、ブラッドは潔く頭を下げた。
    「クローザさん、すまねえ」
     あの日、ぼろぼろのブラッドを回収しようとしたクローザに、ブラッドは必死で抵抗して暴れた。必死の人間を担いで車へ押し込むのは、けして楽ではなかっただろう。クローザに怪我をさせずに済んだのは幸いだった。
     ブラッドが謝ると、クローザはすぐに苦笑して、傍らのデスクへ湯呑を置くと膝の上で手を重ねた。
    「気にしていませんよ。私たちこそ、力及ばず……仲間を救えなかったこと、今でも悔しく思います。ダークさんのことも、貴方の、ことも」
     頭を下げたブラッドの視界の中で、クローザの手にぐっと力がこもる。
    「……私たちは、貴方たちのおかげでシェルターまで避難することができたのに」
     クローザの言葉へ滲む後悔を感じて、ブラッドは弾かれたように顔を上げた。
    「ッ、いや! だから、いいんだ、クローザさんや他の作業員の人たちが避難できたんだから、オレたちは何も間違ってなかったはずなんだ。ダークの仕事が成功した証なんだ、それは」
     慌てて言葉を繋げるブラッドの様子にか、クローザの頬へ少し笑みが戻った。ほっとしたブラッドが抹茶ラテを啜ると、クローザも再び湯呑を手に取る。それから、今度はクローザが口火を切った。
    「ブラッドさんは、町を出てK.G.Dへ行くと聞いています。……私たちは、人間もアンドロイドも分け隔てなく、『町』の平和を守る自警団ですが、K.G.Dは……」
    「……アンドロイド犯罪特化、だろ。分かってる。人間と半々くらいだった今までより、過酷になるだろうけど……その分、補えるような義手を造ってもらうからよ。心配いらねえぜ、クローザさん」
     リハビリ用の義手の右手を軽く振って、明るく強気に笑ってみせるブラッドの顔を見たクローザの表情がまた曇る。クローザが何を思っているのか分からず、ブラッドが眉尻を下げて苦笑していると、彼は声を押し出すようにつぶやいた。
    「……たとえ、K.G.Dがどれほどの対アンドロイド組織だとしても……。ダークさんが、戻ってくるわけではありませんし、仇を取ることにもなりません。……それでも、K.G.Dなのですか?」
     どうしても町を出るのですか、とクローザが重ねる。ブラッドは、心配そうなクローザの顔を見返して口を開いたが、その口から実際に言葉が出たのは、少し置いてからのことだった。
    「……このまま町にいたら、おかしくなりそうだからよ。そうするしかねえんだ。このまま自警団にいても、何回出勤してもダークはいねえし、他の誰かとうまく組める自信もねえ。……町なんか守れる気がしねえんだ。いつか、オレが事件を起こしそうだとさえ思う」
     そこで初めて、ブラッドの表情に自嘲が滲む。クローザがハッとして手を伸ばした。
    「ブラッドさん」
    「K.G.Dなら、この北部大規模テロのことだって放っちゃおかねえはずだ、いつか、いつか絶対に真相を……」
    「ブラッドさん、もう大丈夫です、……すみません、出過ぎたことを」
     言葉が止まらないブラッドの肩を掴んで遮ったクローザは、ブラッドの機械の手の甲へそっと自分の手を添えて言った。
    「……どうか、お元気で。疲れたら、いつでも帰って、遊びに来てください。またパンケーキパーティーをしましょう。バターも、シロップも、クリームもフルーツもたくさん用意しますから……みんなで焼いて、一緒に食べましょう」
    「ああ……」
     ブラッドは小さく笑って、手の中のマグカップをそっと握った。機械の手は、リハビリ用の軽量で簡易なものだからなのか、カップの温度まではブラッドに伝えてくれなかった。


     それからまた少し待って、シフト交代の時間になると、にゃんにゃかと元気にキリオスが出勤してきて事務所の沈黙を破った。
    「今日もしゅぴぴーんとしゅっきーんでにゃんすー。おや、ブラッドくん! 元気そうで何よりでにゃんす」
    「うす。キリオスさんも、ありがとな、手当てしてくれて」
    「何の何の、それが仲間というものでにゃんすから」
     いつも通り賑やかなキリオスの様子にほっとして、ブラッドはそれで自警団を後にした。仕事中にあまり居座っても悪いし、帰り際のロールとプルームにカフェへ誘われている。退勤するロールとプルーム、その二人と一緒に帰っていくブラッドを見送りながら、クローザは本部の玄関前で呟いた。
    「……今のブラッドさんを、一人で送り出すのは、やはり心配です」
    「しかし……それが、当のブラッドくんの望みでにゃんすから……」
     キリオスも困った顔で眉を八の字にした。それから、ブラッドたち三人の姿が見えなくなっても外に立っているクローザの脇を抜け、改めて事務所を見つめる。
     ブラッドが片付けていったデスクの隣、ロールの席の反対側は、ダークのデスクだ。だが、アンドロイドの彼は、元々私物をほとんど持たなかった。業務の引継ぎを割り振って必要書類や用具を新担当が引き取ると、それだけでダークのデスクがまっさら綺麗になるくらいだ。
     ダークとブラッド、殺風景なデスクが二つ並んでいるのをじっと見て、キリオスは静かに肩を落とした。
    「……寂しくなったでにゃんすなあ」
     それでも、長くは感傷に浸っていられない。人数が減った分は新たに補充人員の募集をかけないといけないし、新たなメンバーが来るまでは、今の人数で精いっぱい励むようになる。キリオスは淡々と頭の中でこれから先の見通しを立てて、それから、あっさりとそれができてしまう自分のことを少し嫌だなあと思いながら、自分のデスクで端末と空中ウィンドウを立ち上げ、人員募集の広報を作成し始めた。
     歴代の広報を参考に、必要事項の漏れがないよう確認しながら、キリオスのセンスで画像や見出しを切り貼りしていく。何かインスピレーションの湧くデザインや画像がないか、どんどん古いデータを遡っていたキリオスは、順番に開いていた過去の広報データの中に、とある注記を見つけて瞬きをした。
     ――※アンドロイド不可――
    「……にゃむ」
     キリオスは目を皿のようにして、しばしその文言と見つめ合った。
     随分古いデータの中の注記だから、当時はまだアンドロイドの信用や性能が低かったのかもしれない。だが、現在の社会でこの注記は必要だろうか? それとも、今だからこそ必要なのだろうか?
     キリオスはたくさんの半透明ウィンドウ越しに、空っぽになったダークのデスクを見た。皿のような目でしばらく無人のデスクを眺め、それから、コフィンのあるラボへ続くドアを見つめ、そうしてやっと自分のワークスペースへ目を戻す。キリオスは何度か瞬きした後、複写も保存もせずにあっさりとすべての過去データを閉じて、まだ名前もつけていない新規の広報データへ改めて向き合った。
    ひとしずく甘く
    「欲しいのか?」
    「だっ、その、ええと」
     スーパーマーケットの売り出し棚の前で、ブラッドは頭を抱えた。備蓄食の追加と自警団メンバーの昼飯の買い出しを頼まれてスーパーに寄ったのだが、ちょうどバレンタイン商戦の時期で、出入口すぐの大きなスペースに様々なプレゼントが並んでいたのだ。
     ついつい視線を吸い寄せられていたのが相棒にばれていたと知り、ブラッドはあちこち目を泳がせながらもごもごと言った。
    「ほ、欲しいっつったらくれんのかよ」
    「このくらいなら。いつも頑張ってるだろ、差し入れだ」
    「差し入れ……そ、そうじゃなくて、バレンタインのプレゼントだよ、ディスプレイ見たら分かんだろこんだけデカデカ書いてあって」
     ブラッドがやけに焦って説明する様子に、ダークは一瞬きょとんとして、それからああと頷いた。
    「おまえ、俺が好きなんだったな」
     自警団唯一のアンドロイドは淡々と呟いて、手に取ったチョコレートの箱と棚のディスプレイとを見比べた。


     自警団に加入したブラッドのバディになったのは、都市警払い下げ品のアンドロイド・ダークだった。新人のブラッドを引っ張って業務を叩き込んでくれたのもダークだ。それから、いくつものピンチや事件をくぐり抜けて、そうこうしているうちに、いつの間にかブラッドはダークに惹かれていたのだった。
     だから、なんやかやと理由をつけて業務外の時間に連れ立って町を歩いてみたり、遠出に誘ってみたりしていたのだが、先日ついに理由を訊かれ、ブラッドは腹を括った。
    『どうして俺を連れ出すんだ。都市警にもこんな奴はいなかった』
    『……一緒に居たいからだよ。仕事中だけじゃなくて、いろんな表情が見たいから、好きなものとか知りたいから。……駄目か?』
    『駄目なわけじゃないが……何故、俺なんだ。アンドロイドの表情なんて、プログラミングされてるだけに決まってるだろ』
    『それでも、オレが組んだプログラムじゃねえし、知らねえことばっかだよ。それに、AIの学習結果は環境ごとに違うんだから、同型機が何機いたって、ダークの表情はダークだけのもんだ。……そういうの全部見てたいんだよ。ダークのこと好きだから、アンドロイドにじゃなくて、ダークのことに興味があるから』
     嫌か、とブラッドが訊くと、そういうんじゃないがとダークは視線を泳がせた。ブラッドはこれ幸いと笑ってみせる。
    『じゃあこれからも誘うな』
    『俺は構わねえが……ふ、変な奴だな』
     つられてか、ダークの口元にも薄く笑みが浮かんだ。ブラッドは嬉しくなってもう一度言った。
    『好きだぜ、ダーク』


     ……とは言っても、ブラッドの恋路はなかなか一筋縄ではいかないものだった。ブラッド自身、ダークを好きだとは思うものの、アンドロイド相手にどういうことをしたらいいのかよく分かっていなかったし、ダークのほうも、なんだか他人事のような顔をして、ブラッドの告白後も変わらず、良くも悪くもいつも通りにしていた。ダークについては、そうしたことに対応したプログラムは搭載されていなさそうだから仕方ないと思っていたのだが、ここに来て初めて、バレンタインにかこつけてとはいえ何か恋人らしいイベントが始まろうとしている。ブラッドは慌てて自分もバレンタイン仕様の棚に手を伸ばした。
    「だ、ダークこそ、何か欲しいやつねえか、これとか?」
    「いや、俺は機械だから食わねえが」
    「ううぅぅぅ」
     ダークに似合いそうなビター強めのチョコレート、シックな包装の箱を手に取っていたブラッドは、すぐに撃沈してチョコレートを棚に戻した。言われてみればその通りだ。ダークは食べ物を貰っても困るだろう。はしゃぎすぎだろうか、失念していた。
     ブラッドが顔をくしゃくしゃにしていると、斜め上からダークが覗き込んでくる。
    「どうした?」
     いつも通りの相棒の顔に、ブラッドは焦って彼の肩を掴んだ。
    「お、おまえ、なにか欲しいもんねえのかよ、オレもなんか贈りたい」
     はあ、とダークはまるでピンと来ない顔だ。面倒だとか不快だとかの様子は見えないが、ダークは少し困ったような声で言った。
    「そうは言ってもな。物欲はプログラムされてねえんだ」
     期待に添えなくてすまない、と小さな声がブラッドとダークの間をこぼれ落ちていく。目に見えないそれを、けれども追いかけるようにブラッドの視線も足元まで落ちた。ダークの靴――支給品のセーフティブーツ――を一瞬眺めて、それから、ダークの視線がどんなものであっても受け止める心の準備を整えながら視線をゆっくり上げる。
     ボディの強度とか硬度とかという意味では、アンドロイドのダークが人間よろしくセーフティブーツを履く必要性は特にないのだが、屋外と屋内の行き来や他メンバーとの統一を考えると、結局アンドロイドも人間と同じように靴を使って履き替えたほうが楽だったりする。屋外活動用のセーフティブーツや、事務所の上靴、式典用の革靴、などなど。ちなみに、買い出しを頼まれただけのブラッドは、今は私物のスニーカーだ。
    「……!」
     ブラッドの視線がダークの胸元で止まる。自警団のジャケットの下は、黒いハイネックを着ているように見えるのだが、そういうテクスチャの素材なだけで服ではないらしい。機体の一部だから脱げないとかなんとか。
     それに、温度センサーこそあれ、寒いとまでは感じない機体だから、ジャケットの下はそのカバーだけだ。しばしばブラッドが遠出に誘うときはジャケットを事務所に置いてくるだけ。ついてっきり、アンドロイドとはそういうものかと思って黙っていたが、せっかくのデートならもっと着飾ってもらってもいいのではないか。
     ブラッドは勢い良く顔を上げて言った。
    「そうだ、服! 服買いに行こうぜ、そんならいいだろ」
     アンドロイドはほとんど人間と同じ形状で、人間と同じかそれ以上の可動域があるのだから、幅と丈さえ合えば人間の服が着られるはずだ。食べ物と違って、ちゃんと管理していれば腐ることもない。
     ダークは瞬きしてブラッドを見返すと言った。
    「まあ、サイズさえ合ってりゃ、着られないことはないが……今の支給品で十分だぜ? 他に服が要るような用事もねえし」
    「オレが! 作るから‼ 用事 チョコより先に服買いに行こうぜ、次の休み押さえたからな! そ、そんでチョコ買ってほしい、制服で買ったやつじゃなくてよ」
     そうと決めれば、ブラッドはぐいぐいダークの手を引っ張って、元々頼まれていた保存食品類のコーナーへ向かう。ダークはそれを追いかけてきながら言った。
    「……、よく分からんが、そういうものか」
    「そう! だからよ、チョコはまた今度な。早く帰らねえとみんな腹減らしてるしよ」
    「分かった。……ブラッドが、それで喜んでくれるなら、俺もそれがいい」
     ブラッドが一方的に掴んで引っ張っていただけのダークの手が、さりげなくブラッドと手指を絡めてゆるく握る。ブラッドはそれをぎゅっと握り返して、やっと足を止めるとダークが隣に並ぶのを待った。
     背の高いダークは、ブラッドが待ったと思う間もなく大きな一歩ですぐに並んで、二人は頼まれた買い物をほんの少し巻きで済ませた。
    浅瀬屋 Link Message Mute
    2023/02/14 21:00:00

    DA-190 自警団編

    24/1/12
    『人機黎明闘争 Cybernetics Wars ブラッド異聞 DA-190』
    web版 自警団編です。

    紙版は2024/1/28 ミラフェス 東4ホール・コ44b 『浅瀬屋』で頒布予定です。
    (A5判2段組 244ページ(背幅14ミリ)しおり紐2本つき 会場頒布価格:3000円)

    DA-190短編集再録その2。過去編(自警団編)2本です。

    ・もしもその声に触れられたなら
     支部からの再録。ブラッドが相棒と両腕を失った日
     ※捏造自警団メンバー(彩パレW)あり。お察しの通りしんどい。

    ・ひとしずく甘く
     べったーからの再録。平和だったころのある日、ブラッドと相棒のバレンタイン。
     ※ほっこり系。恋愛色強めだけど左右までは言及なし。曖昧なままで大丈夫なら曖昧なまま、左右決めたいなら各自で自カプ変換して読んでください

    #DA-190 #サイバネ2

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    • DA-190 SS集24/1/12 SS「Fluorescent Oil」追加しました。

      ミラフェス32内 一魂祭 (神速プチ)新刊
      『人機黎明闘争 Cybernetics Wars ブラッド異聞 DA-190』
      web版 SS集です。

      紙版は2024/1/28 ミラフェス 東4ホール・コ44b 『浅瀬屋』で頒布予定です。
      (A5判2段組 244ページ(背幅14ミリ)しおり紐2本つき 会場頒布価格:3000円)



      ※支部に投稿していたSSのまとめです。
      CP要素はほんのり。読んだ人が好きなふうに解釈してもらって大丈夫です。
      ただし全然幸せじゃない。しんどみが強い。

       サイバネ・ブラッドくんとアンドロイドの話。
       ブラッドくんの欠損・痛覚描写、アンドロイドの破壊描写有り。
       細かい設定の齟齬は気にしない方向で1つ。

      #サイバネ2  #DA-190
      浅瀬屋
    • あとがき/ノートあとがき、プラス裏話集。あそこのあれはどういう意図で選んだとか、このときこんなことがあって大変だったとか。
      2P以降の裏話はネタバレとか小ネタ解説とか浅瀬屋の解釈とかなので、読むならご自身の解釈の邪魔にならないタイミングが良いかも。

      #DA-190 #サイバネ2
      浅瀬屋
    • 人物一覧『人機黎明闘争 Cybernetics Wars ブラッド異聞 DA-190』
      web版 人物一覧です。

      紙版は2024/1/28 ミラフェス 東4ホール・コ44b 『浅瀬屋』で頒布予定です。
      (A5判2段組 244ページ(背幅14ミリ)しおり紐2本つき 会場頒布価格:3000円)

      #DA-190 #サイバネ2
      浅瀬屋
    • エピローグ『人機黎明闘争 Cybernetics Wars ブラッド異聞 DA-190』
      web版 エピローグです。

      紙版は2024/1/28 ミラフェス 東4ホール・コ44b 『浅瀬屋』で頒布予定です。
      (A5判2段組 244ページ(背幅14ミリ)しおり紐2本つき 会場頒布価格:3000円)

      #DA-190 #サイバネ2
      浅瀬屋
    • 幕間-ダーク編『人機黎明闘争 Cybernetics Wars ブラッド異聞 DA-190』
      web版 幕間(ダーク編)です。

      紙版は2024/1/28 ミラフェス 東4ホール・コ44b 『浅瀬屋』で頒布予定です。
      (A5判2段組 244ページ(背幅14ミリ)しおり紐2本つき 会場頒布価格:3000円)

      #DA-190 #サイバネ2
      浅瀬屋
    • 幕間-クローン編『人機黎明闘争 Cybernetics Wars ブラッド異聞 DA-190』
      web版 幕間(クローン編)です。

      紙版は2024/1/28 ミラフェス 東4ホール・コ44b 『浅瀬屋』で頒布予定です。
      (A5判2段組 244ページ(背幅14ミリ)しおり紐2本つき 会場頒布価格:3000円)

      #DA-190 #サイバネ2
      浅瀬屋
    • 第Ⅲ章-揺れ動く人々『人機黎明闘争 Cybernetics Wars ブラッド異聞 DA-190』
      web版 第Ⅲ章です。

      紙版は2024/1/28 ミラフェス 東4ホール・コ44b 『浅瀬屋』で頒布予定です。
      (A5判2段組 244ページ(背幅14ミリ)しおり紐2本つき 会場頒布価格:3000円)

      #DA-190 #サイバネ2
      浅瀬屋
    • 第Ⅱ章-平和を掴むために『人機黎明闘争 Cybernetics Wars ブラッド異聞 DA-190』
      web版 第Ⅱ章です。

      紙版は2024/1/28 ミラフェス 東4ホール・コ44b 『浅瀬屋』で頒布予定です。
      (A5判2段組 244ページ(背幅14ミリ)しおり紐2本つき 会場頒布価格:3000円)

      #DA-190 #サイバネ2
      浅瀬屋
    • 第Ⅰ章-集いし者たち『人機黎明闘争 Cybernetics Wars ブラッド異聞 DA-190』
      web版 第Ⅰ章です。

      紙版は2024/1/28 ミラフェス 東4ホール・コ44b 『浅瀬屋』で頒布予定です。
      (A5判2段組 244ページ(背幅14ミリ)しおり紐2本つき 会場頒布価格:3000円)

      #DA-190 #サイバネ2
      浅瀬屋
    • プロローグミラフェス32内 一魂祭 (神速プチ)新刊
      『人機黎明闘争 Cybernetics Wars ブラッド異聞 DA-190』
      web版 前書き・プロローグです。

      製本版:A5判2段組 244ページ(背幅14ミリ)しおり紐2本つき
      通販→https://www.b2-online.jp/folio/19012500006/002/
      全文webにアップ済ですので、お手元に紙が欲しい方は上記FOLIOへどうぞ!


      #DA-190 #サイバネ2 #一魂祭 #MIRACLEFESTIV@L!!32
      浅瀬屋
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