SS ハナネコとモココメヨリ「あ、おはよ。風邪治った?」
ハナネコ「治った。大したことないのにみんなが休めってうるさいから……」
メヨリ「まあ無理しない方がいいよ」
ハナネコ「おかげさまで今日はなんともないから」
メヨリ「あ、そういえば係決めがあったんだけど……」
ハナネコ「え、聞いてない……」
メヨリ「文句言ったんだけどさあ……なんか、勝手に決められちゃってるみたいだよ」
ハナネコ「何の係?誰と?」
メヨリ「ま、待った待った。一旦落ち着いて」
ハナネコ「こんなの落ち着いてられない」
メヨリ「ハナネコは掲示係だよ」
ハナネコ「誰と?」
メヨリ「それが…………」
*
ハナネコ (最悪…………)
モココ「ハナネコちゃんだあ。おはよう。風邪?」
ハナネコ「……」
モココ「あのね、モココとハナネコちゃん、おんなじ係になったみたいだよ」
ハナネコ「知ってる」
モココ「うん、だから半年間よろしくう」
ハナネコ「…………」
モココ「……さっそく今日の放課後やることあるらしいよ〜」
ハナネコ「そう……」
モココ「…………じゃ、また放課後ね〜」
*
モココ「ハナネコちゃん」
ハナネコ「…………」
モココ「……これ、協力して後ろに貼っつけといて〜だって」
ハナネコ「わかった」
モココ「…………あのさあ」
ハナネコ「……なに」
モココ「ハナネコちゃんって、モココのこと嫌い?」
ハナネコ「…………」
モココ「返事とかそっけないしい……嫌いなら嫌いでいいから、嫌いって言って」
ハナネコ「…………別に、嫌いではないけど」
モココ「そうなんだ?」
ハナネコ「好きでもないけど」
モココ「ふうん…………」
ハナネコ「早く終わらせるよ」
モココ「……嫌いじゃないんならさあ、もうちょっと目合わせたりとか、話してくれてもいいんじゃないの」
ハナネコ「……」
モココ「別にモココ傷つかないよ。嫌いなら嫌いって言って」
ハナネコ「…………嫌いじゃなくて、苦手」
モココ「苦手?」
ハナネコ「……」
モココ「ふうん……なんで?」
ハナネコ「…………人との距離が近すぎる。そういうの、私は苦手」
モココ「あ〜わかるよ。モココもいきなりグイグイ来る人やだもん」
ハナネコ「…………」
モココ「……多分だけどさあ、ハナネコちゃんはモココ達のこと勘違いしてるよ」
ハナネコ「勘違い?」
モココ「うん」
ハナネコ「…………」
モココ「嫌がられたら仲良くするの諦めるし……ほんとは……もっといっぱいお友達欲しいけどね」
ハナネコ「…………」
モココ「……あ、ロッカーの上危ないよ」
ハナネコ「別に大丈夫」
モココ「そういうのはモココにお任せ」
ハナネコ「え、ちょっと……」
モココ「だいじょうぶだいじょうぶ。こゆの慣れてるしい」
ハナネコ「…………」
モココ「ほら、モココがやったげるからハナネコちゃんはそれ渡してよ」
ハナネコ「うん……」
モココ「……」
ハナネコ「…………」
モココ「……モココはちゃんと、空気とか読む系だから。だからハナネコちゃんがモココと必要以上に仲良くなりたくないんならちゃんと距離取るからさあ」
ハナネコ「……」
モココ「だからあ…………おはようって言ったら、おはようって返すくらいはいいじゃん?」
ハナネコ「…………うん」
モココ「……はあ、よかったあ。嫌われてたんじゃなかったんだあ」
ハナネコ「さっき嫌いなら嫌いでいいって言ってたのに」
モココ「嫌いなら嫌いでいいけどさあ、でもやっぱり嫌われてたら悲しいじゃん。モココなんかやっちゃったかなあとか、そういう余計なこととか考えちゃうしさあ」
ハナネコ「…………」
モココ「……こうやって喋ってくるのもうっとおしいの?」
ハナネコ「別に……平気……」
モココ「よかったあ」
*
メヨリ「お疲れ」
ハナネコ「まだ帰ってなかったの?」
メヨリ「ビンガン忙しいみたいだし、1人で帰るのもなあって思って。暇だし待ってた」
ハナネコ「そう」
メヨリ「……なんともなかった?」
ハナネコ「何が?」
メヨリ「係の……」
ハナネコ「別に平気」
メヨリ「朝はこの世の終わりみたいな顔してたのに?」
ハナネコ「そんな顔してない」
メヨリ「してたって」
ハナネコ「してないって言ってるでしょ」
メヨリ「ああそう」
ハナネコ「……あの子、馬鹿っぽいって思ってたけど違うのかも」
メヨリ「うん、そうだよ」
ハナネコ「苦手なのには変わりないけど」
メヨリ「そっか〜」