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    ひととせプレート秋の味覚盛り合わせ①:【315時空】だって二人で食べるから秋の味覚盛り合わせ②:【ゾン吸】祭りの片隅、秋の味覚盛り合わせ③:【315時空】今度は二人で冬のホットドリンク:【バーテンダー×アッシュ】メテオ・イン・バレンタイン春のパン:【黒うさぎ×オムレツ】春待ちオスターハーゼ夏のデザート:【315時空】夏の始まり、Happy Birthday秋の味覚盛り合わせ①:【315時空】だって二人で食べるから315神速のハロウィン

     かぼちゃを蒸して潰し、少しずつ牛乳を加えてなめらかにしながら蜂蜜で甘さを調整していく。かぼちゃの味見と攪拌は朱雀の役目で、さつまいものほうを混ぜて練っている玄武が時々朱雀のボウルも覗いて牛乳や蜂蜜を足していた。
     ちょうどいい固さと甘さになったのか、よし、と玄武が頷いてボウルを机の脇に置く。机の上に並べられているのは、製菓用の一口カップだ。
     玄武がゴムべらでさつまいもとかぼちゃをそれぞれ二等分し、まずはさつまいもから大匙一杯分ずつカップに入れていく。その間に朱雀はかぼちゃを大匙一ずつラップでくるむと端を一ヵ所にまとめてねじり、茶巾絞りにしていた。
     最初に玄武がゴムべらで二等分した片方がそれぞれなくなったら、さつまいもとかぼちゃのボウルを交換して残りの半分もカップやラップに入れていく。さつまいもとかぼちゃのカップを玄武がオーブンに入れて、朱雀は用意されていたチョコチップとチョコペンとを手に取った。
     丸い茶巾絞りにチョコチップを二つずつくっつけて目をつけ、チョコペンで顔を描いていく朱雀の横に戻ってきた玄武は、こちらはカラフルなチョコスプレーやアラザン、極小の金平糖を振りかけて茶巾絞りをデコレーションしていく。
     焼き上がったスイートポテトとスイートパンプキン、焼き上げない茶巾絞りもデコレーションが顔だったりカラフルだったりと、バリエーション豊かなおやつを作った二人は、ふうっと一息ついて紅茶を啜った。
    「いっぱい作ったなー!」
    「こんだけ作っても、事務所に持ってきゃあすぐになくなっちまうんだよな。仲間が大勢いるってのはいいもんだ」
     玄武は満足そうに笑いながら、作ったうちの少々不格好になったスイートパンプキンを手に取った。オーブン内の場所によって少々焼き色が濃くなってしまったとか、最後の最後にちょっと大匙一杯に足りなかったとか、手元が狂って茶巾絞りの顔が歪んでしまったとか。それはそれで手作りの愛嬌というやつだが、せっかくなら事務所の仲間たちには格好をつけたい。元々自分たちのぶんも計算して多めに作ってあるから、格好のつかないものがあれば遠慮なく、できたてのうちに自分たちのおやつだ。
    「それと、こいつは焼きたての特権だな」
     にや、と玄武が悪い顔で笑って、冷凍庫からバニラアイスのカップを取り出す。それを見て、朱雀は歓声とともに諸手を上げた。
     スイートポテトとパンプキンが一口大なので乗せるアイスも一口弱だが、焼きたての上に一すくい乗せれば、ゆっくり溶けて極上の贅沢になる。それを頬張って、朱雀はご機嫌だ。
     焼き菓子にはアイスを乗せ、茶巾絞りにはチョコチップやスプレー・アラザンの余りを豪快にまぶして、作り手の特権を盛大に満喫している朱雀を横目に、玄武は既に満腹の気分だ。
    「玄武」
    「ん?」
    「最後の二つだぜ、かぼちゃの茶巾とスイートポテト、どっちがいい?」
    「そいつぁ……いや、ありがとよ。茶巾をくれるか」
    「おう!」
     返事をしてから、朱雀は玄武の茶巾にチョコスプレーをまぶして、それからチョコペンでジャック・オ・ランタンの顔を描いて渡した。玄武は、せっかくだからとしげしげ茶巾の顔を眺め、その顔が眼鏡をかけていることと、向かって左側の目の少し上にチョコペンの線が斜めに入っていることに気づく。
     玄武は思わず吹き出した。
    「これ、俺か?」
    「う、気づかれたか。そうだよ」
     ちょっとだけ顔をくしゃっとさせた朱雀は、照れ隠しのようにもごっとスイートポテトを頬張る。そのまま黙って口をもぐもぐさせている朱雀を、玄武は柔らかく微笑んで見つめた。
    「美味いか、朱雀」
    「おう! 今夜、ぜってーすぐなくなるぜ。事務所のハロウィン、楽しみだよな」
    「ああ」
     頷いた玄武は、こちらもころんと茶巾絞りを口に入れた。舌の上でなめらかに溶けるかぼちゃの食感に、チョコスプレーがざらざらとアクセントをつける。飲み込んでしまった後も優しい蜂蜜の風味がほんのり広がって、玄武は満ち足りた気持ちで呟いた。
    「うめえな、朱雀」
     幸せだなと頭の中でつけ加えて、玄武は穏やかにホットミルクを口に含んだ。
    秋の味覚盛り合わせ②:【ゾン吸】祭りの片隅、ゾンビ玄武と吸血鬼朱雀のハロウィン

     Happy Halloween.その夜、街は歓声にあふれて、人間と怪物とが入り交じる。しかし、その喧騒からさりげなく抜け出して、一人の吸血鬼が街の路地裏に消えた。
     使い魔の仔猫と一緒に狭い路地裏を早足で抜け、吸血鬼の朱雀は街はずれから森に向かう。森の入り口、約束のカエデの木の陰に待ち人がいるのを見つけて、朱雀は思わず顔を輝かせた。
    「玄武!」
     その声と駆け寄る足音に気づいた人影が、木陰からゆらりと長身を覗かせて朱雀を振り向く。朱雀は、最後の一歩をショートカットして思いきり彼に飛びついた。
     体温の低い身体で、少々よたつきながらも朱雀を受け止めた男は、血色の悪い指先で朱雀の頬を撫でる。朱雀はその手や目の前の胸板に頬を擦りつけ、めいっぱい感触を楽しんでから相手の顔を見上げた。
    「玄武、玄武! 元気だったか、今年も会えて嬉しいぜ!」
    「……元気だぜ、ゾンビだがな。朱雀こそ、飢えることはなかったか」
    「おう! オレにはにゃこもいるしな、ちっとくらい昼間に腹減ってもにゃこが精気を狩ってきてくれる」
     ゾンビの待ち人、玄武の腕の中から朱雀が振り向けば、少し離れたところで仔猫がみあんと鳴く。朱雀の使い魔である仔猫は、主である朱雀の魔道具役にもなる。街はずれとはいえ他の人間や怪物が朱雀と玄武の逢瀬を邪魔しないよう、仔猫はこれから結界の役目を担うのだ。
     その仔猫が、どろんと紫の煙になって不可視の結界に姿を変えてからが、二人の逢瀬の本格的な始まりだった。
     人間の街で、怪物たちが一堂に会するハロウィン。歌や舞踏でより多くの人間たちを虜にし、より多くの魂――活気を吸い取ることで存在を保つ怪物たちにとって、他種族の怪物は餌を奪い合うライバルだ。もちろんゾンビと吸血鬼だって例外ではなく、もしも二人きりで会っているなんてことがそれぞれの仲間たちにばれてしまったら、すわスパイか裏切り者かと、いらぬ疑いをかけられてしまうだろう。そうなればきっと、二度と会えなくなってしまう。
     だから、二人が顔を合わせて触れ合えるのは、一年に一度、このハロウィンの夜だけだ。ゾンビと吸血鬼に限らず、たくさんの怪物たちが集まるこの夜なら、他種族と顔を合わせないほうが難しいし、一人二人がお祭り騒ぎを抜け出したって誰も気がつかない。
     賑やかなハロウィンの街の盛り上がりを遠くに聞きながら、ゾンビと吸血鬼は抱き合って深く口づけを交わす。
     お互い、人間と比べればさほど体温は高くない。ぬるい咥内を何度も蹂躙し、舌を擦り合っては吸い上げ、口の端から細く唾液の糸を垂らす。大柄な玄武が朱雀を貪っている様子は、まるで獲物に覆い被さっているようだ。玄武が吸血鬼の尖った牙を愛しげに舐めてじゅるりと吸い上げれば、朱雀は顔を真っ赤にして玄武にすがりつくほかない。
    「……っはあ、あぁ……」
     抱きしめる玄武の腕が支えているから、崩れ落ちることこそないが、朱雀の足腰には既にろくな力が入らない。玄武が朱雀の舌を吸うたびに吸血鬼の腰はかくかくと揺れ、脚が震えた。
     それでも玄武の背にしがみつき、行為を止めまいと玄武の冷たい唇に食いつく朱雀を、愛おしい、いじらしいと思って、玄武は朱雀の肉厚の体を支えて腰に回している腕をぐっと己に引き寄せた。
    「!?」
     互いの腰がごつんとぶつかって、玄武の口の中で小さく朱雀の悲鳴がくぐもって引きつる。乱暴な快楽から逃れようと身を捩る朱雀は、しかし玄武の両手にそれぞれ後頭部と腰とを捕らえられていて、玄武の口づけと抱擁からは抜け出せそうにない。
     背中側から手のひらですくい上げるように朱雀の腰を捕らえた玄武は、ぐいぐいと朱雀の下腹を自身へ押しつけるようにして彼を抱きすくめる。明確に意図の透けるその行為に、やっと唇を引き離した朱雀がいっそ泣き言じみてこぼした。
    「げ、げんぶ、……だめだ、だめだからぁっ……」
     弾む吐息の合間、途切れ途切れの訴えの末尾に、ひゅ、と息を飲む音が続く。それからくったり力の抜けてしまった朱雀が崩れ落ちかけるのを両腕で抱きとめた玄武は、その体を自身の広い胸で預かるように抱えて吸血鬼の顔を覗き込んだ。
    「……朱雀」
    「んぅ……」
     目元まで紅くした艶かしい表情が、玄武の継ぎ接ぎの胸元で小さく喘ぐ。玄武はその様子を見て、悔しげにぎゅっと眉をひそめた。
    「……いっそ、連れ去っちまえたら、最後までしてやれるのに」
     玄武の胸元で、はふ、ふ、と息を整えていた朱雀が、ちら、と玄武の顔を見上げる。その視線に、ゾンビはなんでもねえと返した。
     嘘の下手くそなゾンビの胸元、心臓を喪った傷跡に唇を添えて、吸血鬼は小さく囁く。
    「……いいぜ、連れ去っちまっても」
    「朱雀」
     咎めるような諫めるような声が頭上から降ってくるのを、朱雀はそっと胸の奥へしまって目を伏せた。
    「最初で最後になってもいい」
    「だめだ」
    「また一年も会えねえのにか?」
    「…………」
     沈黙した玄武を見上げ、朱雀はその眉間へそっと手を伸ばした。深く刻まれてしまったしわを力任せに伸ばして、まだ赤みの残る顔でほのかに笑う。
    「わりい」
    「……朱雀」
    「ほんとに、ごめんな」
     唾液の交換くらいなら、後から他に飲み食いすれば気配の残滓も消し去ってしまえるが、一度その身に精を受けてしまっては、玄武の気配は朱雀の体に染みついて誤魔化せないだろう。かといって、それを気にせずに済むような遠い場所へ二人で逃げてしまったら、今度はハロウィンの夜に人間から魂を得ることが難しくなる。怪物たちは、人間を喰らうなり楽しませるなりしてその魂を得なければ、己の存在を保てない。
     黙ったままの玄武が、唇の代わりに鼻先や頬を朱雀に押しつけて情を示す。同じように顔を寄せて玄武の想いに応えながら、朱雀はすぐに明るく笑った。
    「カップケーキ! 買ってきたからよ、一緒に食べようぜ。そしたら街にも戻れるだろ。また来年、今度は玄武が買ってくる番だからな」
    「……ああ。来年もまた、一緒に、な」
     言い聞かせるように繰り返して、玄武は朱雀が差し出したカップケーキにかじりついた。ケーキを差し出す朱雀の手首を掴まえて、恋しい人の手ずから甘い焼き菓子を頬張る。
     短い逢瀬はこれで終わりになる、あまり祭りを離れたままでいては人間の魂を十分に吸収できない。そうなってしまえば来年また会いに来るどころか永遠に会えなくなるだろう。名残惜しいが、そろそろ祭りに戻らなければ。
     オレも、とねだる朱雀にカップケーキを食べさせながら、玄武は朱雀の髪に鼻先を寄せた。貴族らしい装いに合わせたほのかな香水は、玄武の寝床のような土臭さとは大違いだ。
     食べ終わったら、もうキスもできない。仔猫の姿に戻った使い魔を肩に乗せて、朱雀がハロウィンの街を振り返る。
    「…………」
     沈黙は二人のものだった。別れは惜しい、けれども、二人にはどうすることもできない。朱雀は玄武を振り仰いで笑った。
    「また来年な、玄武!」
     そう言って、吸血鬼がハロウィンの街へ去っていく。動きの鈍いゾンビはおとなしくそれを見送って、その背中が見えなくなるまでじっと見送って、見えなくなってからやっと、重い脚を踏み出した。
     また来年、吸血鬼との約束を守るために。
    秋の味覚盛り合わせ③:【315時空】今度は二人で事務所の食事会での2人

    「………………」
    「………………」
     315プロダクションの寮、そのミーティングルームの一室で、神速一魂の二人が黙って机と向かい合っていた。
    「この丸っこいの美味そう」
    「後で食べるのが楽しみだな」
     時々そうして短く言葉を交わしながら、玄武と朱雀は包丁とナイフを使って黙々と栗を剥いていく。キッチンはCafé Paradeが占拠していて、隣のミーティングルームではF-LAGSがキノコの下処理をしており、屋上ではFRAMEが七輪の準備をしていた。今日の夕食は齋藤社長の鶴の一声で315プロダクション秋の懇親会となっており、手の空いているユニットはその準備をしているのだ。
     二人が剥いている栗は、社長が親類から貰ったものだそうだ。朱雀が栗の尻部分の皮を包丁で落とし、そこから素手で鬼皮を剥く。すると渋皮が残るので、玄武がそれをナイフで剥き、横のボウルに張った水へ漬ける。社長が「事務所のみんなで食べよう!」というだけあって、栗は大量にある。神速が剥いた栗は、栗ご飯や、鶏肉と合わせた甘辛煮になる予定である。
     その栗ご飯が炊けた頃、仕事を終えたユニットやプロデューサーも集まって、寮の屋上で食事会が始まった。
     秋刀魚やキノコが続々と七輪で焼かれ、たくさん並んだおにぎりはそれぞれ栗ご飯だったり炊き込みご飯だったり様々で、屋上に出されたいくつものテーブルには栗と鶏肉の甘辛煮や魚とキノコのホイル焼き、肉も魚も野菜もフライになったり煮つけになったりソテーになったりとたくさんの料理が並んでいる。もちろん、秋の果物を使ったデザートも後からやってくる予定だ。わいわいと事務所の仲間たちが秋の味覚を頬張る中、朱雀もまた栗ご飯のおにぎりに舌鼓を打っていた。
    「うめえな~~~、このちょっと甘いのがいいんだよな」
    「ああ、優しい味が染みわたるぜ」
     栗ご飯のおにぎりを食べ終わった玄武も朱雀の隣で頷き、それから紙皿を片手に七輪のほうへ歩いていく。朱雀は何ともなくその背中を目で追いながら、手元のおにぎりにまた食いついた。
     それをまたもぐもぐ味わっていると、秋刀魚かキノコか何かを貰って戻ってきた玄武が朱雀の隣に立つ。そして、朱雀が口の中のものを飲み込んだタイミングで、さっき七輪のところで貰ってきた秋刀魚の身を箸で一口ぶん骨から剥がして朱雀の口元に差し出した。
    「朱雀、熱いから気をつけろ」
    「おお!? おう、ありがとな」
     ぱく、と朱雀が目の前の秋刀魚に食いつくと、玄武の目元がふっと和らぐ。だが、朱雀は口の中でとろけるほどジューシーに焼き上がった秋刀魚に夢中だ。
    「うめえ~~!! オレ今年最初の秋刀魚だ!」
    「七輪じゃ、他にもいろんなもん焼いてたぜ。豊年満作、今年も美味いもんがたくさんだな」
     玄武もまた秋刀魚を口に入れて、ゆっくり味わいながら目を細める。今度は朱雀がテーブルのほうへ料理を取りに行って、玄武はその背中を眺めながらまた一口秋刀魚を頬張っていた。
     テーブルから戻ってきた朱雀は、隣を見上げて玄武が秋刀魚を飲み込むのをうずうず待っている。ん、とそれに気づいた玄武は、秋刀魚を嚥下してからずいっと長身を屈めて朱雀の顔を覗き込んだ。
    「何くれるんだ」
    「栗!と、鶏肉だな!」
     言葉通り、栗と鶏肉をひとかけずつ玄武の口に放り込んだ朱雀は、あとはオレのやつ!と九十度身を翻した。醤油とみりん、砂糖で甘辛に煮込まれた栗が、玄武の口の中でなめらかにほどける。
    「栗ご飯は薄味だったが、しっかり甘いのもいいもんだな」
    「だなあ! あと鶏肉も柔らかくてうめえ、玄武も今度作ってくれよ」
    「栗剥くの手伝えよ」
    「作ってくれんのか! そんじゃあ栗、いっぱい剥くぜぇ」
    「……ああ、たくさん作ってやる」
     目を輝かせる朱雀に、玄武は思わずふっと穏やかに笑う。それから、味の研究のためにもう一口くれと嘯いて、朱雀の皿からもうひとかけ鶏肉をかっさらった。
    冬のホットドリンク:【バーテンダー×アッシュ】メテオ・イン・バレンタイン◆ジーク(バーテンダー)
    じんわり治安が悪い地域でバーを営む青年。今は店の用心棒としてアッシュを雇っているが、雇う前は自分でチンピラをボコしていた。
    一度ボコして力関係を叩き込んだらその後はチンピラの面倒もこまめに見てくれるので、少しずつチンピラに慕われて少しずつ総長じみてきている。

     しんしんと雪の降る夜に、街灯の明かりに照らされて鼻血の雫が散った。アッシュは嫌そうにその血がついた拳を払って、薄く雪の積もった上で大の字に伸びた連中を見下ろす。
    「ザコが、この程度で粋がってんじゃねえよ。喧嘩売るならもっと鍛えてから来やがれ」
     心底退屈そうに溜息をついたアッシュの後ろで、ゆらりと一人立ち上がる。一度伸してやった男だが立ち直ったようだ。足音でそれを察したアッシュは、振り向かないまま距離と呼吸を計る。
     ナイフを構えたその男は、黙ったままアッシュに突進した。アッシュが気づいていないと思っているのだ。いや、アッシュがわざとそう思わせていた、気づいていることを悟られないように振る舞った。
     早くも勝利を確信した男の唇がぐにゃりと歪む。しかし、その表情はすぐに凍りついた。
     ぎりぎりまで引きつけて振り向いたアッシュが真っ直ぐ男を見据えて笑う。炎のような双眸が男の戦意を灼き、ニタニタと弧を描く唇が魂を食むかのようだった。アッシュは男の手をナイフごと片手で掴むと、その手を引きずり寄せながら男の胴へ膝を入れる。
    「っ、ゴハッ」
     アッシュが手と膝を戻すと、男はその場へ崩れ落ちながら胃の内容物を撒き散らす。あーあ、という顔でアッシュがそれを見ているうちに、すぐ近くにあったバーのドアが開いた。バーから出てきた背の高い男が、一通り店の前の惨状を見てからサラリと問う。
    「アッシュ、終わったか?」
    「見ての通りだぜ。一人、活きのいいのがいたけど結局このザマだ」
     やれやれ、とアッシュが肩をすくめてみせると、背の高い男はアッシュに言った。
    「吐き終わったら、他の連中も二階に運んで介抱してやれ」
    「毎回毎回何言ってんだお前は。やるわけねーだろ。オレの仕事は、バーの迷惑客を懲らしめるまでだ」
     この背の高い男はバーの店主で、今はアッシュの雇い主だ。その雇い主に向かって、だいたいなあ、とアッシュは指を差す。
    「オレを雇ってわざわざボコしといて、後から自分が介抱して拝まれようってのがもう悪徳なんだよ。その上さらに介抱までオレにさせようなんてズルすぎるぜ」
    「別に、介抱したから拝まれてるってわけじゃねえぞ。だからほら、運んだ運んだ。お前に地球人の手当ができるなんてハナから期待してねえんだから、力仕事くらいやってくれ。」
     アッシュの文句にそう言い返して手をひらひら振った店主は、しれっと暖かな店内へ引っ込んだ。アッシュは、ドアが閉まる直前の店主の背中を見て呆れる。
    「異星人使いの荒い店主だなー! ……おい、お前ら、あんな奴に懐くのマジで正気の沙汰じゃねえから騙されんなよ」
     アッシュはしゃがみ込んでチンピラたちに声をかけるが、返ってくるのは情けない呻き声ばかりだ。ハァ、と盛大に溜息をついたアッシュは、両肩に一人ずつチンピラを担ぐとバーのドアへ向かっていく。両手の塞がったアッシュがドアにぶつかる前に、賢い賢いシンダーがドアノブに飛びついてアッシュの行く先を拓いた。
    「サンキュ、シンダー」
    『ニ゛ャ!』
     得意げに鳴いたシンダーが、バーの二階までアッシュの先を歩いていく。結局アッシュは何回かそれを繰り返して、ならず者たちを全員バーの二階へ放り込んだ。


     バーの店主は、名前をジークという。黒髪をワックスで後ろに流しているので、額の傷がよく目立っていた。一仕事終えたアッシュは、バーのカウンター席にどかりと腰かけて玄関先のジークをねめつける。
    「ろくでもねえ客ばっかだな。どうなってんだ、店主」
    「お前だって、そのろくでもねえ客の一人だろ」
     くつくつ笑ったジークは、バーの看板を店内へ引っ込め、店仕舞いの作業をしていた。表のドアに鍵をかけ、完全に閉店してしまってから、ジークはカウンターに戻る。これでもう客は入らないから、これからは二人の時間だ。
     客のいなくなった店で、ジークはカウンターテーブルを挟んだアッシュの向かいにどっかと座ると、二つのショットグラスに氷とウィスキーを注いで片方を自分の口元へ持っていく。もう片方のグラスをアッシュのほうへやりつつ、二度三度と喉を上下させたジークは、自分のグラスを置いてからカウンターに乗り出してアッシュの顔を覗き込んだ。
    「俺がチンピラに拝まれてるのは、ただ介抱したからじゃなくて、そこからマメに面倒見てやってるからだぜ。……好きでチンピラやってる連中ばかりとも限らねえからな」
     ただの先生役だから妬くなよとジークは笑って、それからカウンター奥の棚を見ながらまたウィスキーを飲んだ。棚には、所狭しと様々な酒瓶が並んでいる。
     アッシュはその横顔を見ながら眉をしかめた。
    「妬いてねえよ。お節介に呆れてるだけだ」
    「なんだ、残念」
     嘯いて笑ったジークは、グラスのウィスキーを飲み干して席を立つと、酒瓶の棚を見上げて黙った。次の酒を選んでいるのか、と察したアッシュは、自分のグラスも干しておく。
     やがて目的の瓶を見定めたらしいジークが、細長い腕を伸ばして丸っこい瓶を取る。アッシュは、カウンターに飛び乗ったシンダーがアッシュの手の近くで丸くなったので、その背中を撫でてやった。
     外は雪だが、店内は暖房で温かい。さらにはジークが小鍋で何か火にかけ始めた。その鍋から甘ったるい匂いが広がって、アッシュは顔をしかめる。
    「ガキじゃねえんだぞ。何なら、オレは地球人のお前よりか長く生きてる」
    「甘さはガキだけのもんじゃねえよ。ショコラの酒があるのくらい知ってるだろ」
     棚に戻っている丸っこい酒瓶を示して、ジークは肩をすくめる。不満そうなアッシュを横目に、もうしばらく鍋を温めたジークは、やがて満足したのか火を止め、鍋の中身をレードルでマグカップに注いでアッシュに差し出した。
     眉を寄せたままカップを受け取ったアッシュは、眉を寄せたままカップの中身に口をつける。隣のシンダーが、ニャアンと心配そうに鳴いてアッシュを覗き込んだ。
    「……」
    「どうだ? お気に召さねえか」
    「…………別に、悪くねーんじゃねーのォ」
     しかめっ面で、しかしカップを置くことなく二口めを啜るアッシュの様子に、ジークは上機嫌で自分もマグカップを手に取る。
    「そうか、美味いか。また作ってやるからな」
    「………………」
     アッシュはぶすくれた顔で黙って三口めを啜った。シナモンの香りが広がって、ただ甘いだけではないショコラとスパイス、そしてアルコールの味がアッシュの体を内側から温める。思った以上に美味いのが悔しい。
     アッシュがそう思いながらマグを傾けていると、向かいからじっとアッシュを見ていたジークがぽつりと言った。
    「……今日はな、巷じゃバレンタインデーなんだぜ」
    「? へえ」
     ジークの声は妙に硬い気がしたが、バレンタインデーが何なのか分からないアッシュにはその心情を測ることができない。アッシュは店内を見回して続けた。
    「なんか地球のイベントなのか? それにしちゃ、近所が静かじゃねえか」
    「静か……ああ、クリスマスホリデーやニューイヤーは賑やかだったな。でも、バレンタインはそういうんじゃねえんだ」
    「なんだ、地味なイベントなのか。それで?」
    「…………」
     ジークは難しい顔で顎をつまんだ。何かしら言葉を選ぶか組み立てるかしているらしい。地球人に限らず、その星で暮らしている人間が異星人にその星の文化を説明するとき、案外と言葉に詰まるのはよくあることだ。
     よくあることだが、頭の切れるジークでもそういうことがあるのか、とアッシュは興味深くなってジークを眺めた。しばらくして、ジークはマグカップを持ち直しながら口を開く。
    「……ふたりでショコラを食べると、願いが叶うって言われてる」
    「ハッハー、可愛らしいこって! イベントっつうか、ただのゲン担ぎだな。そりゃ近所が静かなわけだぜ。んで、その迷信に異星人を巻き込んでまで、お前はなんか願いがあんのか?」
     吹き出したアッシュが大笑いするのをぽかんと見ていたジークは、一拍置いてから柔らかに目を細めた。
    「……そうだな。願わくは――この出会いが、ずっと終わりませんように」
     背丈に比例して大きな両手でマグカップを包んだジークは、視線を落としてそのカップを見つめながらゆっくり言葉を繋げる。
    「俺の隕石(メテオ)が、このままずっと俺のそばにいてくれますように」
    「ふーん。隕石拾ったのか? よかったな」
     このへんにも落ちるんだな、とあっさり頷いたアッシュは、ぐびりとショコラを飲んでから薄赤い顔でジークを覗き込んだ。鼻先が触れそうな距離にジークが驚いて肩を揺らし、アッシュはその反応に満足してにやりと笑う。自分の椅子へ引っ込んだアッシュは、長い髪を搔き上げながら尊大に言った。
    「オレの星のゲン担ぎを教えてやるよ。拾った隕石は、空まで投げ返せばどんな苦難も越える力を、ずっと手の中で守ってやれば幸運を与えてくれるんだとよ」
     ジークが目をぱちくりさせて顔を上げ、アッシュは顔の横でひらりと手を振ってみせる。
    「ま、宙(そら)から来たってだけの石ッコロなんざ、うちの星じゃ珍しくもねえ。迷信を信じてずっと持ってる奴ってのはなかなかいねえな」
     地球人にとっちゃまだまだ隕石は希少か?とアッシュは笑い、それからニヤニヤと続けた。
    「つっても、本当に宇宙まで投げ返せるだけの体力があんなら、たいていの苦難は自分で乗り越えられるだろうよ。同じ話で、珍しくもねえ石ッコロをずっと大事にできるほど一途でこまめなら、幸運を逃すこともないだろうぜ」
     つまりただの迷信だ、とアッシュは嫌味たらしくまとめ、マグカップに残っていたショコラを一気に飲み干した。ジークは、アッシュが珍しく故郷の話をするのに半ばぽかんとしながらも、店主として癖になっているかのように自然な動作でアッシュのマグカップを回収する。
     そのジークは、隣の小鍋からレードルを取ってアッシュにおかわりを注ぎながらようやく相槌を打った。
    「……そうか」
     とろりとしたショコラが、アッシュのマグカップに再び満ちる。ジークはそのマグをアッシュへ差し出し、ほのかに笑う。
    「じゃあ、幸運を逃さないように、愛想を尽かされないようにしないとな」
    「ま、せいぜい頑張んな」
     ハ、と笑ったアッシュがマグを受け取ると、ちょうど二階から呻き声が聞こえてくる。先ほどアッシュが伸して二階へ運んだチンピラたちが目を覚ましたらしい。
     アッシュはあからさまに嫌な顔をしたが、ジークは二階を見上げてすぐに立ち上がる。
    「おっと……もうそんな時間か。アッシュ、おかわりは鍋にあるだけ自由だぜ」
    「……ハア。飽きねえなお前も。さっさと行ってこいよ」
     呆れ交じりなアッシュの言葉と視線を背に、ジークはすぐに二階へ上がっていった。アッシュとシンダーだけになったバーカウンターは途端に寒々しく静かになる。
     ジークはチンピラどもの手当をして、何なら悩み事を聞いてやったり仕事を紹介してやったりしつつ、また舎弟を増やすのだろう。アッシュはそれを想像して眉間のしわを深めた。握ったマグカップがみしりと鳴る。
    「……そんなんじゃ転げてどっか行っちまうぞ、テメーの隕石様がよ」
    『ニャー……』
     ひとりごちたアッシュを見上げたシンダーは、妬いてないって言ったくせにと、こちらも呆れた声で鳴いた。
    春のパン:【黒うさぎ×オムレツ】春待ちオスターハーゼ■東の森の黒うさぎ:だしまき
    毎春やってくるオムレツくんのために、日々料理の腕を磨いている。

     春を運ぶうさぎたちの旅は、終わることがない。あの森この森に春を運んでいるうちに、夏や秋を経て冬になる森があり、やがてその森にもまた春うさぎがやってきて、そして再び旅立っていく。その繰り返しだ。
     この日、オムレツは、仲間たちと一緒にまた一つの森を旅立って、次の森へと旅を始めた。イースター・エッグを載せた荷車を引き、苔の生えた沢を渡って、葉の代わりに雪をかぶった木々の合間を抜ける。東へ向かう荷車をかわりばんこに引きながら、ベネディクトが目を細めてオムレツに言った。
    「次は、やっと東の森だねェ。オムレツのお気に入りだ」
    「だァッ!? そそそんなお気に入りとかねーよ! どの森も同じくらい大事だし楽しいぜ」
     慌てるオムレツにベネディクトは笑いかける。
    「そんなに硬く考えなくて良いサ。依怙贔屓は良くないが、お気に入りがあれば張り合いが出る。またあそこに行くまで頑張ろう、って思えるのは良いことさね」
     からからと笑って、ベネディクトはオムレツと一緒に荷車を引いた。キッシュとボイルドは、道に合わせて左右や後ろから荷台のたまごを支えている。もう一踏ん張りだよ、とベネディクトが声をかけると、キッシュとボイルドからも、おー!と返事があった。
     オムレツも一緒に声を上げながら、道の先の東の森へと思いを馳せた。


     東の森のうさぎたちは、荷車を引いて辿り着いたオムレツたちを今年も暖かく迎えてくれた。ベネディクトが長老うさぎへ挨拶に行った後、オムレツはこっそり厨房へ向かう。
     オムレツたちが滞在させてもらっている大きな館は、長老を中心に森の有志が管理している。暦や季節の節目に皆で集まって祝いをしたり、オムレツたちのような旅の者を泊めたり、使い終わった畑の道具を次のシーズンまでまとめておいたりと、森の皆が使う館だ。厨房にいるのも、森のうさぎの一員である。
     おやつを貰いに来た――わけではなく、そのうさぎに会いに来たオムレツは、厨房の入り口にかかった玉すだれからひっそり声をかけた。
    「……だしまきー? いるかー?」
     館の料理人をしているだしまきは、オムレツと同年代の若いうさぎだ。オムレツより一回り大きな体躯に艶やかな黒の毛並み、額の右上には傷跡があるから迫力があるように見えるが、毎年オムレツを迎えてもてなしてくれる眼差しは、春の日差しのようにあたたかい。
     オムレツが厨房を覗き込むと、いつ見ても不思議な服――ボタンがなくて、紐や帯で留めている――で厨房に立っていただしまきは、オムレツの声にぴんっと耳を震わせて振り向いた。
    「オムレツ! よく来たな。ちょっと待ってろ」
     嬉しそうな顔で振り向いただしまきは、四角いフライパンでくるくる玉子を巻いて火を止めた。それからオムレツを手招きして、オムレツが素直にだしまきのそばへ寄ると、焼きたての玉子焼きの端を菜箸でちょっと切ってオムレツの口に入れた。
    「んー! うめえー!」
    「ふふ、到着したって聞いたから、ちょうど作り始めたところなんだ。あとは、夕飯の楽しみにしてな」
    「おう!」
     オムレツは口をもぐもぐさせながら頷いた。だしまきはこの森の生まれだが、訳あって幼い頃に身寄りを失った。そのだしまきを養ってきたのがこの館で、だしまきは、館で育つうちに料理を身につけて腕を磨くことでかけがえない居場所を得た。祝いの席の料理を皆で作るときは、だしまきが中心になっているのだ。
     だしまきがくれた玉子焼きを飲み込んだオムレツは、にへ、と両頬をとろかすように笑った。
    「今年も、だしまきと会えて嬉しい」
    「ッ……」
     だしまきが息を呑んで、黒い耳が帽子の上でぴくぴく震える。ぎょっとしたような、でも青ざめるというよりはうっすら頬を赤くしただしまきは、少ししてからもごもごと言った。
    「……俺も、オムレツに会えて嬉しいぜ」
     春は短い。オムレツはすぐにまた旅に出て、次に会えるのは一年後だ。オムレツは、厨房をあちこち動き回るだしまきの背中を目で追ったり、だしまきの手元で綺麗に飾り切りされていく野菜に見入ったりしながら少しの時を過ごした。客人に手伝わせられるか、とだしまきが言うので、オムレツは椅子から見ているだけだ。それでも、みるみる料理が出来上がっていく様子は十分にオムレツを楽しませた。
    「やっぱ、だしまきってすげぇなぁ」
    「ん?」
    「みるみる料理が出来上がってくの、魔法みたいだ」
     オムレツが感心してそう言うと、だしまきは膳の皿を出しながら笑う。
    「はは、春の魔法、本物の魔法の使い手がそう言うなら、本当に魔法なのかもな。そら、もうすぐ持ってくから、お前は座敷に戻ってな」
    「おう、また後でな! 楽しみにしてる!」
     オムレツはぴょんっと立ち上がって言った。これから春うさぎの仲間たちと長老うさぎと、それからだしまきともう何人かの館のうさぎみんなで食事だ。客人のオムレツが遅れるわけにはいかない。
     オムレツは、厨房を出てベネディクトたちがいる座敷へ向かいながら、長い耳を喜びで震わせた。


     オムレツたちの席へ準備された膳は、先ほど厨房でだしまきが飾り切りしていた野菜で華やかに彩られていた。小鉢、汁椀、どれを見ても鮮やかだ。館の皆が集まると、異邦人のオムレツたちも森のしきたりに合わせて合掌する。館のうさぎたちには箸が、春うさぎたちには箸と匙、ナイフとフォークも用意されていた。ベネディクトとボイルドは、もう何度も東の森に来ているので箸にも慣れたものだが、オムレツとキッシュはまだ箸の扱いが危なっかしく、ナイフとフォークに助けられている。
     そして、膳の中で特に目を引くのが、だし巻き玉子の野菜あんかけだった。飾り切りや型抜きの野菜と、菜の花まで散らされている。いつもの四角いだし巻き玉子だけれども、いつもと違ってあんがかかっている様子は、なんだかケチャップのかかったオムレツのようだ。
     さっきつまみ食いさせてもらったのはこれだったんだな、と思いながら、オムレツはわくわくした気持ちでフォークを伸ばす。
     春うさぎたちが来たばかりのこの森には、まだ冬も色濃い。オムレツがだし巻き玉子をフォークで割ると、中からは冬を耐えたほうれん草や冬瓜の甘辛煮が顔を出した。まるで本当のオムレツみたいだ、と思いながら、オムレツは膳を食べ進めていく。
     その様子を向かい側から眺めて、だしまきは穏やかに目を細めた。


     それから数日後。春うさぎたちが到着した頃はまだ雪をかぶっていた木々も、オムレツたちが歌えばすぐに蕾を綻ばせる。森の桜が満開になると、広場では宴が開かれた。
     春を迎えた森が、春うさぎたちに感謝を伝え、そして次の森へと送り出す宴だ。だしまきも森のみんなも腕を奮って料理を持ち寄り、広場の一画へ並べられたテーブルを所狭しと彩る。森の広場は、春の料理に舌鼓を打つ者、歌や踊りを楽しむ者たちで賑やかだ。
     その広場で、主賓の一人として好きなだけ踊ったオムレツは、小腹を空かせてテーブルに近寄った。いわゆる和食――ベネディクトが言うには、この森の料理はそういう種類らしい――が並ぶテーブルの一点で、オムレツの視線がぴたりと止まる。
     東の森で食卓に上るのは珍しい菓子パン、それもくるくる生地をねじって、耳の長いうさぎの形に焼き上げられたものが、テーブルの皿の上にぴょこぴょこと置かれていた。それらの姿を追ってオムレツがテーブルを見渡すと、焼き立てらしきうさぎパンをテーブルのあちこちに置いていくだしまきの姿がある。
     オムレツはぴょんっとだしまきに飛びついた。
    「だしまき! オレにもそれ一個くれ!」
    「っと、慌てなさんな。ほら、オムレツにはこっちの元気な奴なんかどうだ?」
     だしまきが籠から選んで差し出したのは、手足を伸ばしてぴょーんと跳ねる様子が鮮やかなうさぎパンだった。オムレツは喜んで受け取り、手の中であちこちひっくり返して造形を目に焼きつけてからかじりつく。だしまきは、オムレツのその様子をどきどきしながら見ていた。
     もふもふとパンを食べてみると、練り込まれたドライフルーツや洋酒の味がふんわり口の中に広がった。オムレツは目を丸くしながら口の中の分を飲み込んで、それからだしまきを見上げた。
    「これってよ、この森の料理じゃなくて、オレたちの郷里(くに)の料理じゃねえか? それとも、こっちの森にも似た料理があるのか?」
     オムレツが尋ねると、だしまきの表情からふっと緊張が抜けた。
    「すぐに分かってくれて嬉しいぜ。そう、オムレツの故郷の料理を、調べて自分で作ってみたんだ。とはいえ、俺は本場のものを食べたことはないんだが……」
    ちゃんとできているだろうか、とだしまきは頬を掻いた。オムレツは、満面の笑みで答える。
    「すげー美味い! 今まで食べたことないくらいだ」
     生地にドライフルーツを練り込み、うさぎの形に焼き上げたパンは、オムレツの故郷ではオスターハーゼと呼ばれている。懐かしい故郷の味に舌鼓を打つオムレツの傍ら、籠に入れて持ってきたオスターハーゼを全部テーブルへ配置し終えただしまきは、頬を膨らませ口をもぐもぐさせているオムレツへ密やかに声をかけた。
    「その……後で良いから、少し、歩かねえか? 百花繚乱の春は、広場の他にもたくさん花を咲かせてるから」


     広場からは賑やかな音楽が漏れ聞こえ、その一方で、オムレツとだしまきは春の森を二人でのんびり歩いていた。木漏れ日の揺れる森では、頭上の桜だけでなく、足元の小さな草花たちも伸びやかに春を満喫している。オムレツは上機嫌で森の空気を吸い込んだ。
    「賑やかな春だけじゃなくて、こーいうのんびりした春もいいもんだな!」
     な、とオムレツがだしまきの顔を覗き込むと、だしまきは驚いた様子で肩を跳ねさせた。どうした?とオムレツが目をぱちくりさせると、黒うさぎの彼は少し口ごもってから言った。
    「オムレツは……もうそろそろ、次の森へ向かうんだよな。その前に、聞いてほしいことがあって……」
     思い詰めたようなだしまきの様子につられて、オムレツも神妙な顔で耳をそよがせる。だしまきはまた少し呼吸を計ってからついに言った。
    「今すぐじゃなくていい、……いつか旅が終わったら、俺と一緒に暮らさないか?」
     オムレツはきょとんとしてだしまきを見返した。
     春を運ぶうさぎたちの旅は、終わることがない。あの森この森に春を運んでいるうちに、夏や秋を経て冬になる森があり、やがてその森にもまた春うさぎがやってきて、そして再び旅立っていく。その繰り返しだ。
     それを知らないだしまきではないだろうに、とオムレツが瞬きをすると、だしまきはいくらか慌てた様子で付け足した。
    「いつか、お前の旅が終わったら、……春を運ぶ役目を、次のうさぎと交代するときが来たら、だ。不老不死であるまいし、いつかはそういうときが来るだろう?」
     それはそうだ。オムレツだって、年嵩のうさぎと役目を交代して旅の仲間入りをした。だからいつかオムレツもまた、誰か若いうさぎに役目を託す時が来る。……けれどもそれは、オムレツにはまだ想像もつかない先の話だ。
     オムレツがぽかんとして遠い未来のことを考えていると、だしまきは、意を決した顔でオムレツを見て言った。
    「オムレツの旅を邪魔立てするつもりはねえ。だから、役目が終わったら……そのときは、俺と一緒に暮らしてみねえか。春の料理だけじゃなくて、夏の氷菓も、秋の実りも、冬の煮込み料理も……全部、オムレツに食べてほしいんだ」
     だしまきがオムレツの手を取って、二人の胸の間でぎゅっと握る。
    「……俺も、いつかは旅をして、たくさんの料理を知りたい。そのときはオムレツと一緒がいい」
     だしまきが言葉を絞り出して、そこでオムレツは、だしまきが本場のオスターハーゼを知らないと言っていたのを思い出した。途端に、茫洋としていたオムレツの未来図にも、だしまきと一緒にいるビジョンが鮮やかに浮かび上がる。
     だしまきと一緒に故郷の料理を満喫したい、だしまきと一緒に、食べたことのない料理や体感したことのない季節を楽しみたい。
     胸の底からふつふつと感情が沸き上がってきて、オムレツは胸元にあるだしまきの手を握り返した。
    「……待ってて、くれるのか?」
     まんまるい琥珀色の瞳が、満月のように爛々と輝く。オムレツは身を乗り出してだしまきの顔を覗き込んだ。
    「オレも! オレも、いつかだしまきと旅がしたい。いろんな森へ連れてってやる、だから待っててくれよな! どんな森でも案内できるようになったら、そしたらオレの旅は終わりにするぜ」
     ふすふすにぱにぱ、オムレツは気合十分だ。だしまきの緊張はようやく解けて、握った手をほどくとその手をオムレツの背中に回した。
    「ありがとな。……待ってる」
    「おう! それまで、来年も再来年も、この森に来るのを楽しみにしてる」
     桜の下でしばし抱き合い、互いの感触を刻みつけた二人は、それから広場に戻った。春の祭りが終われば、春うさぎたちは次の森への旅支度だ。夕暮れ時に祭りの後片付けをしながら、だしまきは、彼らに持たせてやる弁当のことを考え始める。
     常ならば、オムレツの旅立ちのことを思って物寂しい気持ちになるものだが、今年は、約束されたいつかの未来のことを思って、晴れやかに送り出すことができそうだった。


     よく晴れたその春の日、風に舞う花びらが春うさぎたちの旅路を彩った。東の森を出発した春うさぎたちは、またイースター・エッグの荷車を引いて次の森へ向かう。
     木立ちに紛れて小さくなっていくその背中をいつまでもいつまでも、背の高い黒うさぎが見ていた。
    夏のデザート:【315時空】夏の始まり、Happy Birthday玄武くんの誕生日に朱雀くんがケーキ作って一緒に食べる話。

     始まったばかりの夏休み、ところは横浜・中華街近くの高層マンション。そのキッチンを借りて、朱雀はスポンジケーキ台にホイップクリームを塗っていた。スポンジケーキは、Café Paradeの厨房設備と東雲を借りて焼かせてもらった手作りだ。焼き上げた後にしっかり冷まして慎重に持ってきたので、こうして玄武の家で念入りにデコレーションできている。
     朱雀はホイップクリームを詰めた搾り出し袋を握り、手の温度でクリームが溶けてしまわないように気をつけながらケーキの側面へ模様を絞り出した。その真剣な顔を、玄武がダイニングのソファから見ている。
     玄武のケーキはオレが作るから手出し無用!と朱雀が言うので、玄武はじっとそのケーキが出来上がる様を見つめていた。半分に切られたスポンジの間にクリームを塗り、スライスしたイチゴを円形に沿って綺麗に並べ、またクリームを塗ってもう半分のスポンジを重ねる。その上からさらにクリームを塗って、たまごとバターの色をしていたケーキが真っ白にデコレーションされていく様子を、玄武は朱雀の表情と一緒に目に焼きつけた。
     朱雀の真剣な眼差しが、己への贈り物へ注がれている。玄武にとっては、それだけの熱量をもって祝ってくれようとしているのも嬉しいし、単純に恋人の欲目として、顔立ちの好さや表情の漢らしさを堪能するのにも都合が良かった。ケーキの側面に、しなやかな帯のような涼しげな風のような模様をクリームで描き出した朱雀は、搾り出し口金を変えた別の搾り出し袋を取ってボウルからクリームを詰め、今度はケーキの上にころんと丸くクリームを搾り出した。市販のショートケーキで、よくその上にイチゴが座っているあれだ。
     おお、と玄武は目を丸くして、朱雀が慣れた手つきでたくさん搾り出していく様子を目で追う。玄武の知らないうちにたくさん練習していたのか、持ち前の器用さで軽々習得してしまったのか。
     朱雀はそれから、ケーキの縁取り部分にも、緩急をつけながら小さなクリームの粒を搾り出していく。完成が近いのか、朱雀の顔にも余裕と輝きが増してきた。クリームを全部絞り切った朱雀は、冷やしておいたイチゴを順々にケーキのクリームの上へ載せて、玄武の名前を書いて冷やしておいたチョコプレートも載せて、それから満面の笑みで玄武を呼んだ。
    「玄武ー!! できたぜ!!」
     そこで玄武はようやくソファから立ち上がって、キッチンの朱雀の隣へ並んだ。デコレーションをしている間は、緊張するから離れてろ!と言われたのでダイニングにいたのだ。
     朱雀の隣からケーキを見た玄武は、思わず頬を緩ませる。
    「豪華絢爛、見事な出来栄えだぜ、朱雀。……切り分けて食っちまうのが勿体ねえくらいだ」
     艶めいたクリームに輝くイチゴ、その中心に力強くチョコペンで書かれた自分の名前があることを、玄武は誇らしく思った。この光景を永遠に残しておきたい、とも。
     だが、デコレーションケーキは生菓子だ。そう長くは置いておけない。ほんの少し玄武の眉尻が下がったのを見逃さず、朱雀はパッとカメラを用意する。
     見覚えのあるカメラに玄武はすぐ笑って、玄武もまた、きっと出番があるだろうと自室からダイニングへ持ってきておいたカメラを取ってキッチンに戻った。それから数回ずつシャッターを切って、ケーキが出来上がったこの瞬間の光景を永遠に焼きつけておく。
     それから、スポンジとクリームを馴染ませるため、ケーキは一旦冷蔵庫へしまい込まれた。その間に朱雀が洗い物をして、玄武が紅茶の準備をする。ケーキは冷やされているし、室内もエアコンで冷えているから、飲み物は温かいのが健康にいいだろう。玄武がティーセットを出して湯を沸かしていると、泡立て器とボウルを洗っていた朱雀が口を尖らせた。
    「誕生日なんだから、座ってろよ」
    「俺は、二人で早く座りてえのさ。駄目かい?」
    「駄目じゃねえけど……」
     顔をくしゃっとさせて口ごもった朱雀は、そのまま洗い物を続けて黙り込む。玄武はちょっと笑って、朱雀の隣でケトルの湯が沸くのを待った。


     しばらくして紅茶を淹れた玄武は、ソファの隣に朱雀を誘って微笑む。
    「立ち仕事で疲れただろう。ケーキが馴染むまでゆっくりしてな」
    「おー! ……あ、せっかくだからよぉ、この一年で撮った写真の見せ合いっこしようぜ。ソロの仕事とかもあっただろ」
     先ほどケーキの写真を撮ったカメラを再び手にして、朱雀が玄武の顔を見上げる。玄武は笑って頷いた。
     ティーセットの扱いは、いつぞやの執事の仕事で体に馴染んだ。そして、その執事の仕事や、再びその手腕を披露した4thライブからも時間が経ち、このカメラをPRした仕事からも1年と半分ほどになる。つい先日には、神速一魂がお当番を務めた事務所の9thライブもあった。
     肩を寄せ合って互いのデジタルカメラの画面を覗くと、賑やかな雑貨店兼書店に集まった事務所の眼鏡ユーザーたちや、肩の上や腕の中に小さな相棒を連れた者どうしの撮影会の様子が鮮やかに蘇る。二人で歩きながら思い思いに撮った商店街の写真もあった。それらを順々に見ながら朱雀が笑う。
    「これからもよお、いろんな思い出が増えるといいな!」
    「ああ。どんな日も記念日になるさ、お前と一緒なら」
     しばらく二人がデータを眺めて、そして今日のケーキの写真に戻ってきた頃、ちょうど壁時計が鳴って八つ時を知らせた。月曜日、平日の昼日中からのんびりしていられるのも学生の長期休暇ならではだ。ぱっと顔を上げた朱雀が、いそいそと冷蔵庫からケーキを出してテーブルまで持ってくる。
     ケーキに載ったチョコプレートには、『げんぶ たん生日おめでとう』と途切れ途切れのチョコペンを何度も繋いで書いてあって、生クリームを絞るのは達者なのにな……と玄武は思わず頬を緩ませた。不格好なプレートも手作りの愛嬌、不慣れな文字すら愛情だ。
     それから朱雀は、ケーキへ丁寧にナイフを入れていく。二人で食べ切るのに困らない程度の大きさに焼いた小ぶりのホールケーキなので、豪快に四つ切りだ。一ピースずつ皿に移して、それから、玄武の皿のピースには、一度よけておいたチョコプレートが改めて載せられる。一つ重ねた年齢を祝い、次の歳までまた一年ひととせ、玄武の幸福を祈るプレートだ。
     ケーキの残り二ピースを朱雀が冷蔵庫へ入れているうちに、玄武がティーポットから紅茶のおかわりをカップに注ぐ。朱雀がキッチンから戻ってきて玄武の隣に腰を下ろすと、二人揃ってフォークを手に取った。
     へへ、と二人で笑い合って声を合わせる。
    「「いただきます!」」
     この一年も、次の一年も、その次の一年も一緒にいられますように。
    浅瀬屋 Link Message Mute
    2024/07/28 14:17:11

    ひととせプレート

    派生含む黒紅が四季折々にごはん食べるSS集。ピクシブ掲載の連作をまとめました。
    #黒紅

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    • DA-190 SS集24/1/12 SS「Fluorescent Oil」追加しました。

      ミラフェス32内 一魂祭 (神速プチ)新刊
      『人機黎明闘争 Cybernetics Wars ブラッド異聞 DA-190』
      web版 SS集です。

      紙版は2024/1/28 ミラフェス 東4ホール・コ44b 『浅瀬屋』で頒布予定です。
      (A5判2段組 244ページ(背幅14ミリ)しおり紐2本つき 会場頒布価格:3000円)



      ※支部に投稿していたSSのまとめです。
      CP要素はほんのり。読んだ人が好きなふうに解釈してもらって大丈夫です。
      ただし全然幸せじゃない。しんどみが強い。

       サイバネ・ブラッドくんとアンドロイドの話。
       ブラッドくんの欠損・痛覚描写、アンドロイドの破壊描写有り。
       細かい設定の齟齬は気にしない方向で1つ。

      #サイバネ2  #DA-190
      浅瀬屋
    • DA-190 自警団編24/1/12
      『人機黎明闘争 Cybernetics Wars ブラッド異聞 DA-190』
      web版 自警団編です。

      紙版は2024/1/28 ミラフェス 東4ホール・コ44b 『浅瀬屋』で頒布予定です。
      (A5判2段組 244ページ(背幅14ミリ)しおり紐2本つき 会場頒布価格:3000円)

      DA-190短編集再録その2。過去編(自警団編)2本です。

      ・もしもその声に触れられたなら
       支部からの再録。ブラッドが相棒と両腕を失った日
       ※捏造自警団メンバー(彩パレW)あり。お察しの通りしんどい。

      ・ひとしずく甘く
       べったーからの再録。平和だったころのある日、ブラッドと相棒のバレンタイン。
       ※ほっこり系。恋愛色強めだけど左右までは言及なし。曖昧なままで大丈夫なら曖昧なまま、左右決めたいなら各自で自カプ変換して読んでください

      #DA-190 #サイバネ2
      浅瀬屋
    • あとがき/ノートあとがき、プラス裏話集。あそこのあれはどういう意図で選んだとか、このときこんなことがあって大変だったとか。
      2P以降の裏話はネタバレとか小ネタ解説とか浅瀬屋の解釈とかなので、読むならご自身の解釈の邪魔にならないタイミングが良いかも。

      #DA-190 #サイバネ2
      浅瀬屋
    • 人物一覧『人機黎明闘争 Cybernetics Wars ブラッド異聞 DA-190』
      web版 人物一覧です。

      紙版は2024/1/28 ミラフェス 東4ホール・コ44b 『浅瀬屋』で頒布予定です。
      (A5判2段組 244ページ(背幅14ミリ)しおり紐2本つき 会場頒布価格:3000円)

      #DA-190 #サイバネ2
      浅瀬屋
    • エピローグ『人機黎明闘争 Cybernetics Wars ブラッド異聞 DA-190』
      web版 エピローグです。

      紙版は2024/1/28 ミラフェス 東4ホール・コ44b 『浅瀬屋』で頒布予定です。
      (A5判2段組 244ページ(背幅14ミリ)しおり紐2本つき 会場頒布価格:3000円)

      #DA-190 #サイバネ2
      浅瀬屋
    • 幕間-ダーク編『人機黎明闘争 Cybernetics Wars ブラッド異聞 DA-190』
      web版 幕間(ダーク編)です。

      紙版は2024/1/28 ミラフェス 東4ホール・コ44b 『浅瀬屋』で頒布予定です。
      (A5判2段組 244ページ(背幅14ミリ)しおり紐2本つき 会場頒布価格:3000円)

      #DA-190 #サイバネ2
      浅瀬屋
    • 幕間-クローン編『人機黎明闘争 Cybernetics Wars ブラッド異聞 DA-190』
      web版 幕間(クローン編)です。

      紙版は2024/1/28 ミラフェス 東4ホール・コ44b 『浅瀬屋』で頒布予定です。
      (A5判2段組 244ページ(背幅14ミリ)しおり紐2本つき 会場頒布価格:3000円)

      #DA-190 #サイバネ2
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    • 第Ⅲ章-揺れ動く人々『人機黎明闘争 Cybernetics Wars ブラッド異聞 DA-190』
      web版 第Ⅲ章です。

      紙版は2024/1/28 ミラフェス 東4ホール・コ44b 『浅瀬屋』で頒布予定です。
      (A5判2段組 244ページ(背幅14ミリ)しおり紐2本つき 会場頒布価格:3000円)

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    • 第Ⅱ章-平和を掴むために『人機黎明闘争 Cybernetics Wars ブラッド異聞 DA-190』
      web版 第Ⅱ章です。

      紙版は2024/1/28 ミラフェス 東4ホール・コ44b 『浅瀬屋』で頒布予定です。
      (A5判2段組 244ページ(背幅14ミリ)しおり紐2本つき 会場頒布価格:3000円)

      #DA-190 #サイバネ2
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    • 第Ⅰ章-集いし者たち『人機黎明闘争 Cybernetics Wars ブラッド異聞 DA-190』
      web版 第Ⅰ章です。

      紙版は2024/1/28 ミラフェス 東4ホール・コ44b 『浅瀬屋』で頒布予定です。
      (A5判2段組 244ページ(背幅14ミリ)しおり紐2本つき 会場頒布価格:3000円)

      #DA-190 #サイバネ2
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    • プロローグミラフェス32内 一魂祭 (神速プチ)新刊
      『人機黎明闘争 Cybernetics Wars ブラッド異聞 DA-190』
      web版 前書き・プロローグです。

      製本版:A5判2段組 244ページ(背幅14ミリ)しおり紐2本つき
      通販→https://www.b2-online.jp/folio/19012500006/002/
      全文webにアップ済ですので、お手元に紙が欲しい方は上記FOLIOへどうぞ!


      #DA-190 #サイバネ2 #一魂祭 #MIRACLEFESTIV@L!!32
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