星願フューチャリティー「オイコラ!いつまでボケッとしてるんだゾ!」
グリムの叫び声に監督生は目を丸くする。
「えっと……皆は?」
「もうとっくに帰っちまったんだゾ」
「そっか、じゃあ自分たちもオンボロ寮に帰らないとね」
立ち上がって土埃を払い落とし、ついさっきまで願い星が飾られていた大樹の方に目を向けながら監督生はぽつりと呟く。
「……来年も自分はここにいるのかな」
「何を言ってるんだゾ?そんなの──」
当たり前、と言いかけた口を慌てて塞ぎ、グリムは監督生を見つめる。
「なぁユウ、オマエはどうしたいんだゾ?」
「……わかんない。元の世界に帰ってお父さんとお母さんに会いたいと思ってるし、グリムたちと離ればなれになりたくないとも思ってる」
星が瞬く空を見上げ、監督生は表情を曇らせる。
「どっちも本当の気持ちだから蔑ろにしたくない……なんてワガママだよね」
「それのどこが悪いんだゾ」
「わっ、」
監督生の頭に飛び乗り、グリムはにやりと笑う。
「もし来年の星送りまでオマエがここにいたら、今度はオマエに願い星を譲るんだゾ」
「え?」
「そんでもってこう願うんだゾ。『元の世界とこっちの世界を自由に行き来できますように』」
「──、」
「さすがはオレ様、名案なんだゾ!」
「……そうだね、凄く良いと思う」
「だろー?」
グリムの笑顔につられて監督生も微笑を浮かべた。