オレンジキャットは甘えん坊「……ええとつまり、誤って被った魔法薬のせいで耳と尻尾が生えただけでなく発する言葉まで猫準拠になった、と……」
監督生が要約した内容にケイトはこくりと頷く。
「三年生でもそういう事故って起きるんですね……」
「みゃーお、なぉ」
「あ、猫語殆ど分からないんでどうしても言わなきゃいけないことがある時はスマホ使ってくださいね」
「にゃう……」
しょんぼりと耳を垂れさせるケイトの姿に監督生はくすくす笑う。
「みぃ」
「あっごめんなさい不謹慎でしたよね」
「ぁーお」
不機嫌な鳴き声を上げながらケイトは監督生の腰に腕を回し、肩に顎を乗せる。
「にゃー」
「ちょっ、」
ぐりぐりと頬を磨り寄せてくるケイトに監督生は顔を顰める。
「言葉が通じないからってスキンシップ過多ですよ」
「みゅ」
「今のでそこまで拗ねます?」
元々表情がころころ変わるタイプのケイトだが、今は猫語しか喋れないせいか表情による意思表示がより顕著になっている気がする。
そんなことを考えていた監督生の耳にケイトは舌を這わせる。
「いっ!?」
思いの外ざらついた感触に対する驚きの方が勝った監督生の反応にケイトは目を丸くする。
「舌も猫と同じになってたんですね……」
「み、みぃー……」
「大丈夫ですよ、ちょっと痛かっただけですから」
不安そうな眼差しを向けるケイトの頭を撫で、監督生は微笑んだ。