開演前 放課後、レッスン室にて
放課後、人の疎らになった学校を宛もなく歩き続ける。聖には練習するからと伝えて別れた為、一人でふらふらとレッスン室の並ぶ廊下を歩いていた。
――空いてる部屋ねえのかよ、有罪だな。
どこを見ても使用中になっていて、なかなか空室が見つからねえ。今日は諦めて別のことでもするか――と、踵を返そうとした瞬間。どこからかピアノの音が聞こえてきた。
誰が弾いてんだ?――そう疑問に思っていると、そのピアノの音にのって、興味惹かれる歌声も聞こえてきて。
(この声……)
聞き覚えがある低音。低いのに、しかしキーは少し高めで色気のある声。
もしかして――そう思って、その声がする方へと足を向けた。
☆
(この部屋だな)
そうっと、扉を開けて中を覗き込む。――案の定、そこには想像していた通りの人物がいて――。
空閑愁。
二年MS組の同級生で、俺――北原廉とは育成枠の一つ、オーランド役を競い合う仲であり、俺を本気にさせた男。――そして、最近ことあるごとに俺が絡んでいる男で――。
その男が、ピアノを弾きながら歌っていた。
綺麗で芯のある歌声が、繊細なピアノの旋律と共に流れてくる。
真剣味を帯びた男らしい声。キーは高いのにその男の熱い部分が溢れ出ているせいか、その歌声には力強さを感じる。――反面、ピアノの音は丁寧で細やかだ。リズムに則って音階が奏でられていく。
(かっけーな)
ピアノを弾いているその様子は、普段とは全く違う雰囲気をまとっているのだが――それさえも、この男そのものな気がして。
つい、見惚れてしまう。
ふと覗かせるその色気と綺麗さが、普段この男が真剣になったときに垣間見せる、芯の強さと熱さみたいで――。ずっと眺めていたくなる。
そうやって眺めていると、愁が弾いていた曲が終わった。次の曲に入る前に――と、急いで声をかける。
「よお、愁。すげえじゃねえか」
「――北原か。何しに来た」
「ピアノの音がしたんでな、誰が練習してるのか気になってよ。そしたら、まさかの愁だろ。愁、ピアノ弾けるのかよ。無罪だな」
「…………俺は自主練をしてんだ。邪魔しに来たんなら出てけ」
「――な、そんなつもりじゃねえよ。つか、普通に褒めただけだろ?! なんでそんなにつめてーんだ。邪魔しねえから、聞いてたっていいだろ?!」
せっかくのチャンスなんだ。愁を間近で見続けられる――こんな貴重な機会、逃したくはねえ。
と、大人しくしていることを必死にアピールし、居させてもらえるよう懇願する。
「…………邪魔するわけじゃねえなら、好きにしろ。俺は自主練を続ける」
願い叶って、居座ることに成功する。思わずガッツポーズを取りそうになる拳を抑えて、聞きやすい位置に腰をおろす。――ここの練習室は小道具なのか、背もたれのある椅子も置いてあり――。ちょうどいいと、それを引っ張ってきて座った。
――うん、ここからなら愁がばっちり眺められる。
ちょうど愁の真横より少し後ろに陣取ったので、愁の視界の邪魔にもならねえだろう。
そんな当の本人である愁は、俺が何をしようと邪魔しねえなら気になんねえのか。さっさと自主練を再開し、もう既にピアノと向きあっていた。
再び流れ出したピアノの音を聞きながら、俺はただ、目の前の愁を見つめる。
(まさか愁の奴がピアノが弾けるなんてな。)
どっちかというと楽器系は苦手そうな顔をしている癖に、こうも様になっているとは。
本当にどんだけかっけーんだよ、愁の奴。ピアノ弾けるなんて――格好いい以外、あるだろうか。むしろ無罪通り越して逆に有罪なんじゃねーか?
――それでも。
綺麗だな、純粋にそう思う。
紡ぎ出されるピアノの音も歌声も。透き通る声が耳に心地好い。ずっと聞いていたくなる。
それに、声だけでなく。その横顔も、綺麗だって思う。――真剣な眼差しで前だけを見据えるその横顔が――。
空閑愁、その人物まんまを表していて――。
格好いいんだよ、その生きざまが。
――だから、追い付きたいし、追い越したい。
オーランドの役は基本的に芝居部分が中心で、歌ったり踊ったりすることはなかった。――まあ、だから俺はこの役を選んだんだったが――。だが、アンサンブルとして混ざって歌うこともあり。――愁が弾いてるのは、そのアンサンブルでの曲だった。
アンシエントとの練習は重要な芝居部分に偏りがちだったので、こうやって自主的に練習しとかねえと、なかなかついていけねえ。――勿論、基礎練として発声やステップ練はやるし、一通りアンサンブル曲も練習するが――それだけで満足していたら、この男に勝つことはできねえ。役を勝ち取るには、自主練は欠かせねえ。
――そういえば。
元々はそのために部屋を探していたのだと思い出す。競いあってる相手と同じ場所で練習するのもどうなんだって思うが、ちょうどいい。――愁の旋律はメトロノームのようにきっちりとリズムを取っているので練習には持ってこいだ。
愁が歌っているところを邪魔しねえように、俺は俺のパートを歌い始める。――そもそも俺が混ざることで乱れるのであればアンサンブルとしてはやってられねえ。だから、これは邪魔ではなくむしろ協力してやってるんだ。
――そう勝手に結論付けて、その歌声に己の声を重ねた。
☆ ★ ☆
何曲かを連続して弾き、休憩をし、また新しく弾き始める。それを何度か繰り返していると、ふと、自分以外の声が聞こえなくなってることに気付く。――さっきまで俺が弾くのに合わせて歌っていた低音がしねえ。目の端で踊っているのも見えたが、それも消えている。――どうしたんだ?
そっと、北原が居るであろう方へと顔を向ける。が、椅子にもたれ掛かかっていること以外、ここからでは奴の様子がよく見えねえ。
「北原?」
声をかけても全く反応がねえ。――さすがに気になって、ピアノのを弾くのを止め。俺はそこへ向かうことにした。
★
(……寝てる……)
どうやらただ単に疲れたのか、それともピアノの音が子守唄になったのか。――とにかく寝ているだけらしい。椅子の背の方を前に持ってきて。そこに置いた腕を枕にし、頭をのせた北原は、そこで眠っていた。――つか、背もたれのある椅子なんてあったか? どこからか持ってきたんだか。
ぐっすりと、それはそれはすやすやと心地良さそうに眠る北原のその寝顔を眺める。普段よく分からねえことを言うその口も、気だるそうに――しかし意外に力強い意志を放つその瞳も、今は固く閉ざされていて。
本人曰く、芸能界入りもルックスがいいからだ――というだけあって、その顔立ちは全体的に整っている。
黙っていれば――と、よく言うことがあるが。確かにこいつの場合も、普段のよく分からねえ言動がなければ、きっと。イケメンの部類に入るのだろう。
――だが、こいつの良さは、その整った顔立ちでもルックスでもなく。ころころと変わるその表情と真剣になったときの鋭い眼差しだろう。
あの一件以来、心を入れ換えたのか。真面目に稽古をしているのを度々見かける。真剣な表情で役と向き合い、芝居をしているその様子は――こちらまでもが、気が引き締まる思いで。負けてらんねえ。
――それに。
さっきまでのこいつの歌声とダンスを思い出す。その様子がほとんど見えなかったのにも関わらず、耳に入ってくる歌声からも、目の端で映る踊りからも、気を抜いたら持っていかれる、そんな力強さと生意気さを感じた。
だから、なのか。ついつい意地になっていつも以上に練習をしてしまった、とは思う。
少し力を入れ過ぎたと思うくらいにはハイペースだったし、一曲の熱量もおかしかった。
そりゃどっかでバテたっておかしくねえ。――確かにこれなら大人しいが、そんなことのために、大人しくしてると言ったわじゃねえだろう。
寝てしまっては意味がねえんじゃ……とも思うが、そもそもなぜ、北原がそうまでしてここに残りたがったのか分からねえ。――このまま寝かせておくべきか迷ってしまう。
しかし、つらつらと考えている間、ずっと北原の寝顔を眺めていたが――一向に目を覚ます気配がねえ。それにその寝顔は気持ち良さそうなままである。
余程疲れているのだろう。
――なら、このまま寝かせといてやるか。
さて、そろそろ再開するか。そう踵を返そうとした時だった。
「……愁、何してんだ。有罪」
急に北原から声がし、思わず振り返える。
が、目はまだ閉じたままで。
どうやら、寝言らしい。こいつ、夢の中でも俺といるのか。
――そういえば。
虎石が散々言うもんだからそうなんだろうが――俺は今。四六時中、北原からの熱視線を受けている、らしい。
最近は気付いたら北原が隣に居る、ということに馴れてしまっていたが、視線といい絡んでくる回数といい、暇なのかと疑う程に多くなっているのは事実だ。しかもそれだけでなく、今は夢の中でまで俺と一緒らしい。
虎石曰く、俺のことが好きだから、らしいが。だからって、夢にまで出るって。
――こいつの頭、大丈夫なのか? 少し心配になる。
もしかして頑張り過ぎておかしくなってんじゃねえのか?
最近の北原の本気さは、人が変わったような凄みを感じる。そのせいでおかしくなったってんなら、やっぱりここは寝かせておくべきだろう。こいつの凄みも面白いが、調子が悪いならそれはそれでつまらねえ。
できれば本調子の北原と競いたい。
――まあ、それでも。
俺は俺のやることをやるだけだ。
ああやって宣言しなくったって、元々くれてやるつもりなど一切なかった。
――それでも、いいもんだなとも思う。誰かの本気でやる気が出るっつうのは。北原が本気になってくれて良かった。
俺も頑張らねえとな、こいつのように。そう思って、俺はピアノの前に戻り、練習を再開した。
★ ☆ ★
目が覚めたら、目の前に愁の顔があった。顔があるってか、え、近すぎねえか???
「――しゅ、愁???」
「起きたか。あんまりにも爆睡してたからな、そろそろ起こそうと思ったんだが」
そう言って離れていく愁に少し安堵する。と同時に肩にあった温かみも消えていった。――どうやら揺すって起こそうとしてくれたらしい。
「わ、わりい……てか、俺寝てたのか。――邪魔しねえって言ったのに、うざかっただろ。すまねえ愁」
「? 別に邪魔にはなってねえぞ?」
「いやでも起こそうとしたってことは中断させちまったんじゃねえか――自主練してたんだろ?」
「――いや、そろそろ帰ろうと思って見に来たところだ。練習は問題なくきっちりやった」
「そうか、ならいいんだ……わざわざありがとうな、愁」
愁の邪魔をしたわけじゃねえと知ってほっとする。思わずそうやって安堵した態度を出したからだろうか、不思議そうな顔をした愁が尋ねて来た。
「なんだ、そんなに俺の邪魔をしたくなかったのか?」
「何言ってんだ、愁の邪魔したら俺でも有罪だぜ? 本気でやってる人間の邪魔する奴は、どう考えても有罪だろ?」
「ふっ、それをお前が言うか?」
「な! あ、あれは、だってあのときはサラブレッド――月皇の奴だって問題あっただろ。あんな態度で通ると思ってる辺りお子ちゃまだろ。――感情に振り回されたまんまでも通るほど甘い世界じゃねえ。だから、有罪だって思わず……て、別にあれは邪魔したわけじゃねえだろ!? いや、そりゃ愁が怒るようなこと言っちまったのかもしんねえけどよ。……ただ、真剣に本気でやってる人間を見て思ったんだ。そういう奴のことを邪魔にしたり悪く言ったりするのは嫌だって。だから――」
今まで口では完璧に、そういいながら周りのことを冷めた目で見続けていた俺が言うことでもねえのかもしれねえ。
けど、真剣にやってる人間の本気さに触れて思ったんだ。そういう人間をとやかく言ったり馬鹿にしたりしたくねえって。
――特にこの男の、空閑愁の本気の邪魔はしたくねえ、って。
「わりい、冗談だ。お前が今ちゃんと真剣にやってるのは知ってるしな、俺だって。そのお前がそんな風に思ったって変じゃねえしな。――すまなかった」
「!!!!」
すまない、と。真っ直ぐにこちらを見据えて謝ってくる目の前の男の顔を見つめる。その目の真剣さと真面目な表情が、あんまりにも格好よくて。
「どうした北原、顔が赤いぞ?」
「な、なんでもねえよ!! それよりそろそろ帰るんだろう、だから起こしたんだろ?!」
「ああ、そうだ。そろそろ夕飯の時間だからな。――でも赤いってことは風邪引いたんじゃねえのか、こんなところで寝ちまったから……」
「ち、ちげけよ、これは、その――ほら、ちょうど夕陽差してんだろう?! そのせいだよ!!」
そろそろ夕飯の時間――というだけあって、窓の外では日が暮れようとしている。
ただ、時期が時期なので、日暮れというにはやや明るいのだが――それでも、少しずつ地平線へと向かう太陽のその色合いは少し赤みを帯び始めていた。
――その西陽がちょうど窓から入ってきている。
「夕陽のせいで赤いなら俺も赤いってことにならねえか?」
「――だ、だから、愁も自分じゃ分からねえだけで赤いんだよ!!」
「ぷっ、なんだそれ。分かった、風邪引いたわけじゃねえんだな?」
「ああ、そう言ってんだろ」
「――なら、いい。取り敢えず帰るか。腹減ったしな。」
「おお、帰ろうぜ」
愁があんなこと言うから思わず赤面しちまったけど、何とか誤魔化せたようでよかった。こんな恥ずかしい理由知られるわけにはいかねえ。そんなことになったら有罪だぜ、全く。
ずっと馬鹿みてえだと思ってた。周りの――特に揚羽や月皇とかの、練習の度に見せる熱の入りようを見て。感情がコントロールできなくなる程熱くなったって、選ぶ人間が見ているのは、ただ、求められてることを完璧に演じられてるかどうか、それだけだ。なら、冷静にやった方がよっぽどいいだろ。
それにこれは通過点だ。通過点なんだから突破できて当たり前だしそのための努力はする。ただ完璧にこなす、それだけ。
だから、馬鹿みてえだって。
でも本当に馬鹿みたいだったのは俺の方だったんじゃねえか、って。――これだけ本気でやってる今ならそう思う。
だって、本気にならねえで、どうして完璧にできると思っていたのか。
冷静であることと本気にならねえことは同義じゃねえ。感情に振り回されるからと言って、本気でやらねえのであれば、それは真剣に取り組んでねえのと同じだ。――真剣にやらねえで選ばれる程、甘い通過点でもねえのに。
それに。本気になんなきゃ、この男、空閑愁に勝つことなんてできるわけねえんだ。
愁はやっぱり格好いいんだよな。
ピアノだってすげえうまかったし、声だっていい。芝居も今のところ俺より一歩抜きん出てるのは知ってる。――負けてらんねえ。
「愁、俺だって負けねえからな! 覚悟しろよ。じゃなきゃ有罪だ」
☆ ★ ☆
練習室からの帰り道、並んで歩きながら横できらきらと楽しそうに俺のピアノの選曲への感想を言う北原。途中、休憩を兼ねて弾いてた曲の選曲が余程面白かったらしい。
楽しそう――つうか、無邪気だな。こうやって笑う北原の雰囲気もすげえいいと思う。今でもよく分からねえ発言はしているが、前みたいな斜めに構えた態度よりかはよっぽどいい。芝居だって歌だってダンスだって、真剣にやっているこいつのが断然いい。
ふと、気付いたら横から声がしなくなっていた。自分の思考に陥っていて、 いつから北原が黙っていたのか分からねえ。
思わず北原を見れば、眉間にしわを寄せて何やらつらそうにしている。……やはりさっき赤かったのは風邪を引いたからなんじゃねえか?
あんまりにも気持ち良さそうに寝てるから、まあ、今の時期特に問題ねえだろうと放って置いたのがまずかったか。それに疲れているみたいだから――と、寝かせておいたのに、更に体調を崩しては意味がねえ。
気付いたあの時に、起こすべきだったのでは――と焦っていると、急に北原がこっちを向いた。
「愁、俺だって負けねえからな! 覚悟しろよ。じゃなきゃ有罪だ」
いきなりの宣戦布告。――いや、合宿の辺りからことあるごとに言われているから、いきなりではねえのだが。
こいつのあの自信気な、でも目は真剣味を帯び、鋭く俺を見据えてくる顔を見て。
取り敢えず、風邪を引いたのは早とちりだったと気付く。
いつもの真剣さを感じるし、熱に浮かされてる感じもしねえ。――なら、大丈夫か、と。
「なんだよ、俺が真面目に言ってるのに、溜息って……」
どうやら安堵のためか、思わず溜息をついてしまったらしい。まあ、毎度毎度聞かされる身としては何度目だと言いたくなるのだが。
――よく考えたらこいつの頭のおかしさは前からだったんじゃねえか。いつもいつも同じ目をして言って来てたし。まあ、その目の雰囲気が正常な感じするから、思考が突飛なのは元々なんだろう。――体調崩したわけじゃねえならなんでもいいか。
「いつものお前だったから安心しただけだ。――馬鹿にしたわけじゃねえ、悪かった」
「いつもの? よく分かんねえけど、馬鹿にしたわけじゃねえならその溜息、無罪にしといてやるよ」
「――そりゃどうも」
あれ、俺真剣に言ったよな? 何か伝わってなくね?――と横でぶつぶつ言い始めた北原を放って俺は歩き始める。
風邪を引かせたわけじゃねえならそれでいい。それこそ真面目にやってるこいつに悪いから、そうじゃねえんなら安心だ。まあ、頭のおかしさだけはどうしようもねえみたいだし。
横で一緒に競っているから分かる。北原のピリピリとした真剣さを真面目さを。その邪魔を――俺だってしたくはねえから。
振り返ると、北原と俺の間に、大分距離ができ始めていた。が、構うものか。待ってやるつもりはねえ。
「おい、先行くぞ」
「ひでえな、置いてくなよ」
「俺だって負けてらんねえからな。ぼやぼやしてたら置いてくぞ。覚悟できてねえのはどっちだよ」
「!! 言ったな? 待ってろ、すぐに追いついてやるからよ!」
煽ると、案外すぐに乗ってくるこいつの実は素直で好戦的なところは面白いと思う。
北原と競い合えてるこの日常、結構悪くねえしな。こいつの本気は心地好い。素直に真っ正面から向かってくるから。
だから、こいつと――北原とのこんな日常が。
いつまでも続けばいいなと、そう思ってしまう。
「追いついてみろよ。くれてやる気はねえけどな」
寮までの道のりはあと少し。それまでには横に並ぶであろう北原の駆けてくる音を聞きながら、俺はゆっくりと歩き出す。
なぜだかすごく気分がいい。今日の晩飯が何か分からねえが、何であっても美味しく食べられそうだ。俺はなんだが楽しくなりながら北原が追いつくのを待っていた。