閑話休題。
ユーリイには昔から一つだけ、夢がある。
「人」の近くに、「種もなしに」咲く花を創ること。
「人がいれば花が咲くなんて、とっても素敵なことだろ?」
って、本人は思っているけど。口には出さない。
李雄から、
「これ、逆の方が普通だろ?」
なんて言われながら、歴史を教えられて。
世界には植物の育たない土地があることを知って、
どうせなら、と、この「夢」を活用しようと考えている。
まだまだ、ただの花すら創れていないけど。
イェエーはユーリイのことをあんまりよく知らない。
知ろうと思ったこともない。いい奴だから。悪い奴じゃないから。
だから、そんな夢のことを知るはずもなくて、
「まぁーた、馬鹿なことしてんなあ」
としか思っていない。
種がなければ植物は咲かないと思っているから。
だってそれって自然の摂理だもん。
つまりユーリイは、人さえいれば花が咲く世界にしてみたいというわけだ。
魔力を花の種っぽい構造にして、そこら辺から採ってきた土に埋めて、
いつもの成長促進魔法使ってみた。が、全く咲かない。
李雄や星歌に協力を仰いで一般的な植物のように育てても駄目だった。
自分みたいに植物出せない魔法使いじゃあ駄目なのかもしれないと思って、
今は他の草属性の人たちをじっくり観察しながら魔法の使い方を勉強してる。
それこそ神出鬼没のストーカーのごとく魔法を使うとじっと見てくる。
しかもばれないように遠くから。
魔力の流れと植物の出し方をしっかり見て研究して、
自分にも植物が出せるようになったら、多分、出来るんじゃないかなあ。
と、思っている。
卒業後は李雄とコロシアムに行くという約束をしているので、
卒業までに何とかしたい様子。
だけど本読み漁って魔法観察してばかりだから成績は悪くなる一方。
元から良くなかったけど。
興味のあることにしか意識がいかないのが彼の悪い癖である。