「チートの中の更にチート」でも「舐めてた相手が実は殺人マシーン」がやりたい ヤツの剣と俺の剣がぶつかり合った次の瞬間、ヤツの剣が跳ね飛んだ。
「う……うそだ……」
ヤツは、この国の大臣の1人の三男坊……そして、俺の父親は、ヤツの父親に陥れられ……辺境に左遷され、その数年後に流行病で死んだ。
だが……俺は、その辺境で剣術の名人に出会い、弟子入りをして……。
ある意味で、俺は父親の無念を晴らしたのだ。
俺の父親を陥れたヤツの息子を国王の前で叩きのめす事で。
王太子の剣術師範を選抜する大会は、決勝を残すだけとなっていた。
「認めてたまるか〜ッ‼ お前のような卑しい家の出の者が王太子殿下の剣術師範となるなどッ‼ お前が優勝しようとも、必ずや父上が、お前を……」
好きにほざいてろ。
だが……少し恐いな……。負け犬の遠吠えは心地良過ぎる。病み付きになりそうだ。
「えっ?」
何でだ?
決勝の相手は……俺が良く知った相手だった。
俺の師匠の屋敷の……召し使いの爺さんだった。
その小柄な爺さんは模擬刀を構え……。
う……うそだ……。打ち込める隙が無い。
一瞬だっただろうか?
それとも長い時間が過ぎたのだろうか?
何故……今まで気付かなかったんだ?
この爺さんは、師匠より更に強い。
「うわあああ……ッ‼」
俺は……無我夢中で爺さんに斬りかかり……そして……。
素手と素手なら、相手の攻撃の勢いを利用して相手を投げ飛す技が有るのは知っている。
だが、そんな真似が剣と剣の戦いで可能など聞いた事もない。
信じられない。
だが、実際に起きた。
爺さんに斬りかかった次の瞬間、俺の体は宙を舞い……そして、地面に叩き付けられた。
「孫弟子の分際で、儂に勝てると思うたか?」
えっ?
「ああ、そうじゃ……弟子の弟子であるお前に、良い事を教えてやろう。長生きの秘訣は……若い者を恐怖と屈辱のズンドコに突き落す事じゃよ。もう少し齢を取って、もう少し腕を上げたら試してみい。病み付きになるぞ」