記者怪見「あの、判っているんですか? 史上最大規模の出演者への性加害事件なんですよ。この説明で十分だと思……」
「カットッ‼ 撮り直し、何やってんの、この人?」
「いや、ちょっと、何を言ってるんですか?」
「聞いてないのかよ? この現場ではアドリブ禁止だって。あと、司会者、何で、予定と違う奴に当てた?」
「だから、何を……」
「何、ムキになってんだ? これだから女は……全く。はい、カメラ・スタート」
「いや、大体、何で、あなたが、この場に居て、この場を仕切ってんですか?」
「はい、カット。何やってんの、アドリブ禁止だって言ったでしょ」
「司会者さん、説明して下さい」
「いい加減にしろ、クソ女。デジタル撮影の時代だから、お前が意味不明な事を喚き散らしても洒落で済んでんだ‼ フィルム撮影だったら、お前のせいで、どんだけの金が無駄になったと思う? おい、誰か、このクソ女をつまみ出せ」
「い……いや……ちょっと待って……何を……」
「すいません、監督の言う事を聞いて下さ……おい、そこのカメラ、セットじゃなくて、まさか生中継してんのか?」
「え……えっと……そうですけど……」
「だから、まずは説明して……。何で、記者会見の場に
映画監督が居て、しかも記者会見を仕切ってんですか?」
「おい、カメラ、止めろ」
「そもそも、さっきの『カット』以降、撮影してませんが……」
「お前じゃねえ。TV局のカメラだッ‼」
「ちょっと……何すんですか? このカメラ、バカ
高価い奴なんで、壊されると……」
「うるせえ」
「あ……あの、ウチの番組から問い合わせが……司会者さんが読んでた資料がカメラに写ったんですけど……まるで
映画の脚本みたいに見える書式じゃないかって……」
「だまれッ‼ あ〜、クソ、今日の分は全部廃棄だ。明日、撮り直し。それまで、全員、頭冷やして来いッ‼」
盗畜映画発表:
先日行なわれました弊社プロデューサー中田友紀智による出演者への性加害に関する記者会見につきまして、製作進行を担当した下請会社の不手際により出演者の皆様に「監督の意向により現場でのアドリブは一切禁止。全て脚本通りに行なう事」という通達が行き渡っていなかったのみならず、脚本が送付されていなかった出演者の方まで居た事が判明しました。
当該下請会社に再発防止策の提出と謝罪を求めましたが、外資系の為、海外の本社との協議を経るまで待って欲しいとの回答が有りました。
なお、監督の飯塚祟志は「NGシーンを世に出す訳にはいかない」という意向ですので、TV・ネットでの中継を見た皆様は、あの内容に関して一切忘却していただくようお願いします。
え?「何で、記者会見に脚本が有ったり、監督が居るのか?」ですか……えっと……それが普通じゃないんですか?