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    帰港「ニール、キスをしてくれないか」
     ひとの部屋に入ってすぐに、ぼくの使うベッドに仰向きに倒れたと思ったら、彼はそんなことを言った。
     朝、部屋を出たときと同じ姿だった。グレーのスーツをきっちりと着込んで、ボタンひとつはずしていない。ネクタイすら緩めずにそのまま寝転んでいるので喉が窮屈そうだった。片腕を上げて肘で目元を覆っている。ライトの光がまぶしいからそうしているように見えるが、寝室の明かりは消えたままだった。
     だとしたら、先ほどのセリフを口にするのが照れくさかったのだろうか。
     寝ようとしていたところだった。昔のように長く起きていられないのと、今日のうちに彼が部屋に来るとは思わなかったからだ。最近は、仕事に出ると少なくとも数日はこの部屋には来なくなる。
     彼が部屋に来たときに用意するソーダ水のボトルとグラスを持っていた。仕事が退けてぼくの部屋で過ごすときに、彼はそればかりを飲んでいる。ボトルが水滴で湿り、手が濡れた。ずっと握っていたら水がぬるくなってしまうな、と考えながら、寝室の扉の前でぼくはただ立ち尽くしていた。
     彼と初めて会った頃、慣れない任務の際に頭部を強打しCT検査を受けたことがある。検査が終わるとすぐに別室に呼ばれて自分の頭部画像を見せられた。そこで初めて、自分の頭のなかに、撃たれた記憶もないのにきれいなかたちの銃弾がぴったりとおさまっていることを知った。
     頭に銃弾があることに気づいて以来、逆行にはいった際になかの銃弾が外に出ていくことは分かっていた。自分が順行している間は死なないだろうということも。
     だから、「未来の」彼に、逆行して若い頃の自分を助けに行くよう言われたときに、なるほど自分はこのタイミングで銃弾を放つのだろうと納得した。と、同時に、そうすることで若い頃の彼の力になるはずだと晴れやかな気持ちになったものだった。だが実際には、彼はぼくを諦めず、ぼくは命をつないでいる。あれから時間は流れた。ぼくが初めて彼に会ってから十年、彼が初めてぼくと会ってから二年が経っていた。
     ぼくを救ってからこちら、彼はぼくに命を助けられた恩義を感じているようで、献身的に振る舞った。入院時の看病から退院後のリハビリの受け持ちまでをこなし、日常生活を送れるようになった際にはぼくに不自由を感じさせないように身の回りを整えた。彼はぼくのために新しい身分を作り、家と仕事を与え、なにくれとなく世話をした。
     彼の世話を受けて己の果たすべき役割はすでにもうないのだと感じた。いまや、彼のサポートをするにも、後方も後方、後ろから数えたほうが早いくらいの位置でしか力になれない。そんなぼくにも彼は日々優しく接してくれる。互いに交わす労力の対価が割に合わないのではないかとこちらが気後れしてしまうほどに。
     その彼が甘えている。初めてのことだった。手にしたボトルとグラスをテーブルの上に置く。冷たい水滴が手のひらから床に落ちた。
     寝室に足を進めて彼のようすを上から下まで観察する。なにをするにしても、まずは彼のことをくつろげてやりたかった。
    「それ、苦しくないの」
     首元をきっちりと締めている赤みがかったグレーのネクタイを指して問いかけると、彼は、ぐっと喉を反らし、目元を覆った腕はそのままにして下襟の上にタイを引き出した。どうしても顔は隠しておきたいらしい。
     了解、とつぶやいてネクタイをほどきにかかる。ベッドの上に片膝をついて、前かがみに彼の上に乗り上げた。前ほど器用に、とまではいかないものの、日常生活を無理なく送れる程度に身体は動くようになっていた。だから服を脱がせることくらいはできる。
     今朝、ぼくが結んだかたちに、タイは結ばれていなかった。ふうん、と目を細める。ほどくための手は止めない。するりと首からはずしてやって、一番上まできっちりとめられたシャツのボタンもふたつ、はずした。
     それで? それで、どうしようか。ぼくはひとりごちる。スーツを着たままだと苦しいだろうとは想像できる。ぼくはもう着ていないが、ほかの服より重くて締め付けられたと記憶している。呼吸するのに合わせて上下する胸を眺めるうちに、襟に手が触れた。そのままジャケットのボタンまで指をすべらせる。簡単に前身頃がはだけてベッドに垂れた。
    「次はどうしてほしい?」
     はじめにされた要求を満たしていないと分かっていながら訊いてみた。吐息混じりの、そばにいないと聞こえないくらいの声になった。
     彼は、べッドの外に投げ出されていた足を振る素振りを見せる。靴には紐はついてない。足先をくいくいと動かすのを止めて靴を足から脱がせる。ぼとん、ぼとん、と一足ずつ床に転がした。普段なら、こういうだらしのない振る舞いは好きではないはず、と横たわるひとを見下ろす。
     彼は足指を開いたり閉じたりしていた。見ていると、片足を上げて、もう片方の靴下を下げようとするので手で押さえる。横着せずに口で言えばいいのに、と思いながらスラックスの裾に手を潜り込ませ、靴下と肌のあわいに指を差し入れた。ピクリ、と足が動く。
    「冷たかったか、ソーダ水を用意してたんだ。飲むか?」
     離れようとすると、彼はあいたほうの手で引きとめて軽く首を振る。
     このひとがこうして甘えるのは初めてだ、と改めて思った。最初に口にした言葉だって、いままで聞いたことはない。
     それを言うなら、靴下を脱がせるのも初めてだ、と、ボトルを持っていたほうの手のひらを握ったり開いたりして熱を取り戻しながら思った。片足ずつはいでいく。指の先に、細く引き締まっているくるぶしが見えて摑んでみたくなった。頭に浮かんだ期待を端に追いやってもう片方に取りかかる。足の裏に指が触れるとくすぐったそうにした。
     自分もこんなふうに世話されたのだと思い出す。自分で身の回りの世話ができるようになってからは一切彼の手を借りなかったけれど、もしかしたら、彼も面倒をみてほしいと思うときがあったのかもしれない。
    「ベルトはどうする」
     バックルの上に手のひらを置いて、とんとん、と指でお腹を軽く叩く。お腹がへこんで息を吐いているのが分かった。
    「はずしてほしい?」
     訊くと、軽くうなずくので取りはずしにかかる。スラックスから引き抜くときに腰を上げて手伝ってもらった。取り外したベルトはベッドの下にそのまま落とす。
     腕が顔にかかっていなければ、ジャケットも脱がせてあげられる、と考えて、すでに彼のペースに飲まれてしまっていると気がついた。ため息をひとつついて気になっていたことを訊いてみる。
    「今朝、この場所を離れてからどれくらい経ったんだ?」
     なぜ、明日でも明後日でもなく、わざわざ同じ服を着直してまで今日を選んだのか。詰問したいわけではない。ぼくには預かりしれない事情があるのだろう。でも、急にこんな振る舞いを見せるのには理由があるはずだ。
     目の前のひとはぼくの声が聞こえないかのようにゆっくりと呼吸して眠っているように見えた。警戒を解いて安心しきっている。上下に動くお腹に手をあてて、シャツの上から感触を確かめる。
    「怪我はしてない?」
     返ってこない返事を待つともなく待ちながら、治療の跡がないかを確かめる。シャツの上から見て触った感じでは包帯やテーピングの跡はなさそうだった。背中や腕、脚に傷があるなら隠れているし、分かりようもない。ならば、脚にも触れてみようかと考えて、やめた。さすがにそれはあからさますぎる。
     どこに触れようと、好きなようにさせつづけるのだろうか。不安になるほど彼は無防備に横たわっている。
    「ぼくも眠くなってきたな」
     答えないならそれでいい、もう眠っているのだということにしてやってもいい。
     気持ちに応えて甘やかしてあげたいと思う。でも、どういうふうに振る舞えばいいのか分からない。彼の期待がぼくの持っているものと同じかどうか判断がつかないのだ。
     思った以上に、「ぼくの記憶のなかの」彼のことを分かった気でいたらしい。言葉にしなければ、なにを考えていたかなんて把握できなくて当たり前なのに。思い上がりをこんな形で目の前に突き出さないでほしかった。
     音を立てずに奥歯を噛みしめる。彼がぼくの部屋に来る際に彼が使うもうひとつのベッドに移動しようと腰を上げた。すぐに腕を強く摑まれた。
     ぼくはため息をついて低くささやく。
    「……答えないからだよ」
     摑んだ手を上からそっとさすってやると、彼はすぐに力を緩めて腕をほどいた。頭のほうににじり寄り、顔の上に乗ったままの手のひらに触れる。
    「顔を見せて」
     わずかなちからで腕は簡単にベッドの上に落ちた。少し眠たげにまぶたを落とした瞳がぼくを真っ直ぐに見つめる。彼はいつものように美しかった。表情だけでは、今朝、見送ってからどれだけの時間が経っているのかは検討もつかない。
     最初に彼がしたお願いを聞くまでの時間稼ぎも終わりかな、と視線に引きずり込まれるようにして両手を顔に伸ばす。身体にしたように、顔のパーツをひとつひとつ確かめるように触っていく。額を撫でて眉をなぞり、まぶたに指を這わせても、真っ白な白目に指を近づけても、彼はなにも言わずにぼくを受け入れた。
     こんなふうに自分を触らせることなんてなかった。この十年、一度も。
     品良くたくわえられた髭に指を這わせて唇の際を爪で軽くはじく。若い肌だった。髪も髭も黒ぐろとして艶がある。最後に会ったときの「ぼくの記憶のなかの」彼はもっと年齢を重ねていた。これからどれくらいの年月を経て、あのときを迎えるのだろうか。
    「ニール、おれを見ろ」
     目の前の唇が動いて白い歯と桃色の舌が覗いた。彼は少し眉をひそめて強い視線を投げてくる。
     はっとして思わず顔を背けた。
     彼はぼくの頭に片手を伸ばしてなだめるようにやわらかく撫でて髪を耳にかけるようなそぶりをする。
    「おれに、キスをしてくれないか」
     胸が痛んだ。さっきからずっと痛かったことをようやく認める気になった。痛みを堪えるように顔をしかめて長く息を吐く。髪をくしけずる指がぼくの頭皮をこそげ取っていくようだった。たまらず手のひらに顔を寄せる。両手で覆って顔にぴったりと張り付かせた。あたたかくて優しい手だ。ぼくは浅く息を吸い、身体の中身を全部吐き出すようにして言った。
    「どんなことでも、最初の刺激にはかなわない。はじめての記憶が頭に残って、あとは、もう、くだるだけ。廉価版になっていく、特別じゃなくなる。ぼくはずっと、自分にそう言い聞かせてきたんだ。だって、君は、そんなそぶりは少しも見せなかったから。ぼくがどれだけ求めても、きっと求め返してはくれないと思ったから。なら、いっそ、はじめてごとなくしてしまえば期待が裏切られることはない、自分の幻想のなかで生きていられる」
     それで良かったのに。それなのに、どうして。
     彼の手にしがみつきながら、自分本位の一方的な言葉を投げつけて唇を噛む。でも、このひとは理由を言わないのだから、これくらい言わせてもらっても構わないだろう。それとも言ってくれるのだろうか、ぼくが聞きさえすれば? なぜなのかを問えば答えが返ってくるのだろうか。それが自分の望む答えでなくても、耐えていけるのだろうか。慰めや憐れみ、恩情だったとしても、惨めに思わないでいられるだろうか。
     彼の表情は大きくは変わらない。少しだけ悲しそうに眉を下げていた。話している間中、ぼくから目をそらさなかった。あいたほうの手をこちらに伸ばそうとして途中で止め、身体を起こしてぼくに近づく。鼻と鼻がくっつくほどに顔を寄せてぼくを見た。ぼくは彼を見た。きちんと、目の前の彼だけを見た。
    「おれは、お前しか知らない」
     彼はそう言って、額をあわせて目を閉じた。吐息を感じるほどの距離だった。
     傲慢なのはぼくのほうだった。分かったふりをして勝手に他人の気持ちを推し量ろうとした。情けなさでぞっとする、でも、その気持ちと同じくらいの熱い感情も胸のうちに広がっていた。
     しがみつくようにして彼を握っていた両手から力が抜けてだらりと落ちた。
    「ニール」
     彼はぼくの名前を呼んで身体に手を回し、ぼくがなにを考えているにせよ全部を許してくれるように抱きしめた。筋肉質な身体がぎゅうぎゅうとぼくを包み込む。今度は彼の背中にしがみついて頭を擦り寄せた。応えるように、首の後ろに手が回される。
    「待たせて悪かった」
     彼はぼくの勝手な気持ちに対しても誠実であろうとしてくれている。目を閉じて、じっと感触とにおいを確かめた。若い男のにおいがする。外から帰ってきたひとのにおいもジャケットから少し香った。唇と頬で感じる肌の質感はハリがあって、髭はやわらかい。ぼくの顎には無精髭がはえていたから、首に当たると彼には不快かもしれなかった。
    「どうして今なのか、聞いてもいい?」
    「理由が必要か」
     こくこくと、彼の首筋に埋まるようにしてうなずく。彼は少し考えるようにしてから言った。
    「たぶん、前から考えてはいたんだと思う。お前と一緒にいるのは好きだし、お前もおれを好きみたいだし、してみたいと思ったから……これで理由になるか」
    「要するに、なんとなく?」
     ふふ、と自然と笑みがもれる。そういうものなのかもしれない。少し考えすぎていただけなのかも。表情を確かめようとして顔を上げると頭を肩の上に戻された。照れているようだ。ふたたび、口元が笑みの形を取る。
    「笑うな」
    「微笑んでるんだよ」
    「同じことだろう」
     彼の体温であたためられて、何年も持ちつづけていた勝手な思い込みがゆるゆると溶けていくのが分かった。
    「君のこと、ちゃんと見えてなかったのはぼくのほうだったな。君とあのひとは、別の人間なのに」
    「おれだって、きちんと見えているかわからないだろう」
     わかるよ、と言いかけて、やめた。そのかわりに顔を上げて彼の顔を見つめる。今度は止められなかった。
    「キスしてもいい?」
     尋ねると、彼は眉を下げて苦笑した。
    「さっきから頼んでる」
     優しい眼差しを受けてこころがしっとりと濡れる。唇を寄せると彼も甘く応えた。こちらの気持ちが落ち着くまで好きにさせてもらおう、としつこく食んでも拒否されない。間に、笑うみたいな瞬間があったり、ため息をつくようなときがあったりした。うっとりと感じ入っていると、彼は息継ぎのタイミングで距離を取る。追いかけると笑っていなされた。
    「ニール、おれと寝たいと思うか?」
     真正面から聞かれて、居住まいを正して座り直した。
    「……いずれは。いまはしたいと思わない。君はどう?」
    「つづきを」
     彼はあからさまにほっとした表情をしてぼくの頬に唇を寄せた。目の前に彼の耳がある。耳元で小さくささやく。
    「抱きたくなったらいつでも言って」
     ぼくの背中に回そうとした手を止めて、考えるような間を置き、彼もぼくの耳元でささやいた。
    「おれを抱きたくなったら言えばいい」
     ふ、と息がもれる。くすくすと笑い合って肩が揺れる。
     もっと前、この時間の彼と会う前の「彼」に想いを伝えていたらどうなっていたのだろう、と考えてもどうしようもないことに思いを馳せた。きっと実直に断られていたのだろう。でも、やはり、だからこそ、自分は言わないだろうと思った。
     彼が求めたのはぼくで、ぼくが気持ちをあらわにできたのは目の前のこのひとに対してだから。
     互いのすきまをなくすように彼を抱きすくめた。彼はぼくの背中をぽんぽんと叩いてなだめる。
    「最初が一番ではないと、おれに分からせてくれ」
    「あまりかわいいことを言わないでくれるか」
    「お前が言ったんだぞ」
    「君が言うとかわいくなるから困る」
     彼とひとつになってふわふわと揺れながら、ぼくの顔はもう、どうしようもなくやに下がっていた。
     しばらくぼくの好きに揺らさせていた彼は、はた、となにかに気づいたように動きを止めて身体をぼくから引き剥がし、気の抜けたぼくの顔をハッキリとした瞳でつらぬいた。
    「どうして、おれがしばらくこの時間にいなかったと分かったんだ」
     にこりと微笑んで言う。
    「それを言ったら今度から気をつけられてしまうだろう。ぼくは毎回気がつくはずだから隠さなくていい。力になりたいんだ」
     ハッキリとした瞳が少しだけ揺れた。実は、と声がつづく。
    「次の仕事に君の知識を使わせてほしいと思っている。急なんだが、手伝ってくれるか」
     内心の喜びを表情に出さないようにするために、ぼくの顔は先ほどまでのぼんやりと目尻を下げて緩んだ表情から、口元を緊張させた真顔に変わった。
    「体調のこともあるから、無理をさせたくはないんだ。当日の実行部隊に加えはしないが、近いところで待機はしてもらう。行動をともにするなら、おれと一緒に逆行しなければならなくもなる。それでもいいなら……」
     言葉の最後が尻すぼみになっていく。
     思ってもみなかった。期待しないように、考えないようにしていたのだ。また、彼と同じ時間を過ごせるようになるだなんて。
     急に表情をなくして黙り込んだぼくをじっと見つめて、彼はただ待っていた。彼は出会ったときより待つのがうまくなった。ぼくのできることがうんと少なくなってからも、ひとつひとつの行動ができるようになるのを隣でひたすら、待っていた。ぼくは、これからは自分が彼を待つ番だと思っていた。朝に昼に夜に、部屋を出ていく彼を、船を待つ港のようにじっとひとつところに佇んで、無事に帰ってきますようにと祈るしかないのだと。
     息を吸う。
    「そろそろ、君と仕事をしたいと思っていたところだよ。ただ、これからはうまくやらないとね」
    「うまくやってたんだろう?」
    「それは、どうかな、ぼくの口からは言えない」
     いたずらっぽく口角を上げて掬うように目を向けた。彼は仕方がない、とため息をついて苦笑いする。
    「さっきのは本気だぞ」
     彼の言葉に、さっきとはどのことだろう、ときょとんとしてしまった。思い当たるものが、かなりたくさんある気がする。
    「最初が一番じゃないと分からせてほしい、というやつのことだ」
    「もうそれは忘れてよ」
    「いや、ちゃんとわかるまでしてほしい」
    「次が二度目になる?」
    「わかるまでが、次だ」
     今度はぼくが苦笑する番だった。そう、彼は頑固なのだ。ぼくが間違っていると示したいらしい。それはぼくも望むところだ。
     これからは、いままでよりもずっと、お互いに話せることが多くなるだろう。勝手な思い込みや間違いをその都度訂正して、ぼくが知らない時間まで一緒に過ごせたら、それからも、また、同じように間違いを正しながら生きていくのだ。お互いに。
    「目をつむって」
     それまでは、こうしてひとつずつ、気持ちを伝えていけたらいい。ぼくの気持ちを伝えて、彼の想いを受けて、ぼくのこころは静かに踊っていた。
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    2024/04/12 19:00:00

    帰港

    初出:pixiv 2021/8/29(加筆修正済)
    「観測可能な並行未来」に収録しました。(7615文字)

    ニール生存if
    主さんがニールに甘える話。

    #主ニル #ニル主

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