ほのぼのな日常 第16話 私だけの一司っ!先に記しとく設定。
今出川一司(いまでがわ かずし):男性
田辺京志(たなべ けいし):女性
一司の家はワンルームマンション、
と言うことで。
私は京志。
一司の恋人で、運命の人。
私が「運命の人」なのは、一司が私の「運命の人」だから。
今日も一司の家にお泊り。
もちろんラブラブするため。
ラブラブ、だいたいはオーソドックスにベッドで。
「だいたいは」だからそうじゃない時もある。
一司は時々ヘンなことを思いつく。
一緒にお風呂に入って洗いっこ、とか、私に水着を着させて、とか、他にもいろいろ。
そんなのだから、今日は私から提案しても良いかな、って思った。
二人で晩ごはんを食べた。
一司の作るごはんはいつも美味しい。
ちょっと早めのお風呂。
いつも通り私が先で、私のあとに一司。
お風呂を済ませた後、二人で何となくテレビを見る。
お風呂上りのテレビ、だいたいいつも私がぺたん、って座って、一司が私を背中からふんわり抱っこする。
でも今夜はちょっと違って、私と一司、ならんで座る。
一司の肩に体を寄せる。
良い感じ。
……そろそろ始めよっか。
一司の肩にほっぺを寄せて、
すりすり
すりすりすりすり
頬擦りする。
「ん? なに?」
一司は私に顔を向けて、不思議そうに尋ねる。
「んー、マーキング」
すりすりを続けながら答える。
「マーキング?」
やっぱり不思議そうに聞かれる。
「そ、マーキング」
当然、そんな感じで言葉を繰り返す。
一司はちょっと考えてから。
「マーキングって……、
動物がナワバリの目印にする、あれ?」
「うん、一司は私のだよ、って言うマーキング」
イタズラっぽい笑顔で答える。
一司はもう一回考えて。
「なるほど……、
んじゃ、俺も京志にマーキングっ」
肩をくいっと抱き寄せて、私の髪に、
すりすりすりすり
頬擦り。
「んっ、一司ぃ、くすぐったい……」
身をよじらせて、猫撫で声で抗議する。
もちろん一司は聞いてくれない。
「んふふー、もっとマーキングっ」
私を抱きしめて、今度はほっぺに頬擦り。
すりすりすりすり
すりすりすりすり
ちょっと乱暴。
「んにゃーっ、一司っ、やめれーっ!」
じたばた暴れて一司の腕から脱出。
「もおっ、一司のいじわるっ」
ぷうっ、とほっぺを膨らませてそっぽを向く。
「あー、ごめんごめん」
一司はすぐに謝ってくれた。
もちろん本気で怒ってるわけなんかない。
だからすぐに笑顔に戻る。
それに、そろそろ頃合い。
次の段階。
「一司っ、私ももっとマーキング、したいなっ」
イタズラっぽい仔猫みたいな目で一司を上目遣いに見る。
「もっと?」
「うんっ、私だけの一司、って言うシルシ、
……つけたいな」
一司にふわっと抱きついて、今度は甘えるしぐさ。
「しるし?」
見当がつかないっぽい一司に言う。
「うん……、
……キスマーク」
一司の耳元にくちびるを寄せてささやく。
ちょっと恥ずかしい。
でも、がんばらないと。
「えっと……、
目立たないとこだったら、良い、かな……」
私の提案、戸惑った後、恥ずかしそうに、でもOKしてくれた。
イタズラっぽい笑顔のままで一司から離れた。
一司のパジャマに手をかけて、脱いでもらう。
こんなのはもちろん初めて。
だからどきどきする。
一司の胸に顔を近づけつつ、まぶたを閉じる。
鎖骨の少しばかり下にくちびるをつけた。
「っ!」
一司の体が小さく震えた。
ちうー、と強く吸う。
ちうー、ちうー、と吸い続ける。
少しだけの時間のはずだけど、長く感じた。
くちびるを離すと小さいあざができてた。
何かすっごく嬉しい。
「私の一司、ってシルシっ」
一司の胸にぎゅむっと抱きついた。
そんな私を確認して。
「じゃ、次は俺の番かな?」
「一司の?」
私の髪を撫でながらの一司のイタズラっぽい声。
それを聞き返す。
「京志にも俺のしるし、いーっぱいつけるっ」
ふんわりと抱きしめられた。
そのまま抱き上げられて、お姫様抱っこ。
「えっと……、
お手柔らかに……、ねっ」
いちおう注文するけど、一司の抱っこ……、嬉しい。
「できる限り、なっ」
笑顔の一司、私を優しくベッドに寝かせてくれた。
部屋の明かりが消えるとかすかな光だけ。
一司が近づいてきて、私のすぐ横に。
私は一司を抱きしめて、一司は私を抱きしめて。
今夜の大切な時間、スタート!
了