イラストを魅せる。護る。究極のイラストSNS。

GALLERIA[ギャレリア]は創作活動を支援する豊富な機能を揃えた創作SNSです。

  • 1 / 1
    しおり
    1 / 1
    しおり
    ほのぼのな日常 第10話 ふわふわ抱っこ先に記しとく設定、
     衣笠律(きぬがさ りつ):男性
     衣笠命(きぬがさ みこと):女性
     衣笠晶(きぬがさ あきら):男性
     家は二階建ての一戸建て
     と言うことで。


     僕は律。
     妻の命さんと、息子の晶と、家族3人で毎日が充実してる。
     晶が生まれる前、命さんと結婚する前、こんな楽しい生活があるなんて僕には想像できなかった。
     でも、命さんのおかげで今の日々が手に入った。
     命さんに感謝だ。

     今夜も家族3人で晩ごはん。
     命さんの料理はいつだって美味しくて、満足しかできない。
     「命さんのごはんはすっごく美味しい」、何回も言った言葉。
     言うたびに命さんは、嬉しそうに、恥ずかしそうに、照れてくれた。
     命さんの魅力のひとつ。
     ごはんを食べ終えて、3人で『ごちそうさま』をした。
     食器をキッチンに運んで、そこから先は命さんの役目。
     僕は口出しをしてはいけない。
     晶を椅子から抱き上げてリビングへ。
     床に降ろすと、晶はにこにこご機嫌で僕を見た。
     はいはいができるようになった晶。
     一緒に遊ぼう。
     リビングの端のおもちゃ箱からおもちゃをいくつか取り出した。
     おもちゃを持って晶の方へ。
    「あきらー」
     呼びながらおもちゃを振ってみる。
     晶はこっちを見て、ちょっと興味を持ったみたいだったけど、今日は僕が持ってるおもちゃの日じゃなかったらしい。
     自分でおもちゃ箱に行って、取り出したのはボール。
     ボールで遊び始める。
     ひとり遊びの気分なのかな?
     今夜は一緒に遊べなさそう。
     ちょっと残念。
     テーブルに戻る。
     椅子に座って命さんを見た。
     食器を洗ってる命さん。
     特別なことをしてるわけじゃない。
     それなのに魅力的。
     抱きしめたいな、
     ふと、思った。
     命さんの体はふかふか。
     それに命さんの匂い。
     例えようのない不思議な匂い。
     僕をどきどきさせる。
     ダキシメタイ、
     心の奥にどくん、と黒い欲望。
     命さんを思いっきり抱きしめたい。
     でも、命さんの気持ちがある。
     だから、いけない。
     理性で欲望を抑える。
     ダキシメロ、
     黒い欲望が僕を駆り立てる。
     けど、そんなのは許されない。
     突然抱きしめたりしたら、命さんを驚かせて、……傷つけることになる。
     もう一度、理性で抑える。
     僕は欲望を抑えつけたけど、そもそも抑えつける必要なんかない。
     命さんに「抱きしめたい」って言って、「はいっ」って言ってもらえば良い。
     だから片付けが終わるのを待つ。
     少しして、片付けが終わった。
     命さんがこっちを向いて、僕を見てくれた。
     テーブルに向いて椅子に座り直して、命さんに言う。
    「命さん、ちょっと良いかな?」
    「んっと、何ですか?」
     命さんはすぐに察してくれた。
     テーブルの向かい側、僕の正面に座る。
    「その……、
     ……抱きしめても、良いかな?」
     言ってみる。
     命さんの顔がみるみるうちに赤くなった。
    「あのっ、命さんっ、
     無理しなくて良いからっ」
     あわてて静めにかかる。
     命さんが落ち着いた後。
    「やっぱりやめた方が良いね」
     これにも命さんはすぐに反応した。
    「やめない方が良いですっ」
     嬉しい言葉。
     『抱きしめる』決定。
    「えっと、抱きしめるとして……、
     とりあえず立とっか?」
     二人、椅子から立ち上がる。
     僕は命さんに近づいて。
    「どんな感じが良いかな?
     その……、前から? 後ろから?」
     命さん、ちょっと考える。
    「……前から、って大胆ですね。
     それは……、ちょっと難しいです。
     だから、後ろから、で」
     僕への答え。
     「前から」は大胆で、「後ろから」は大胆じゃない。
     どんな基準なのか不思議だけど、僕と命さんの基準では正しい。
    「それから、
     ぎゅって抱きしめるのは、……ちょっとだめです。
     その……、どきどきしすぎちゃいます……」
    「うん」
     すっごく分かる。
     僕もだ。
    「じゃあ、後ろからふわって感じで……」
    「はいっ」
     決まった。
     命さんの後ろにまわる。
     できるだけ近づいて、でもなるべく離れて。
     お互いの体がちょっと触れるくらい。
     次に、両腕を命さんのお腹にまわす。
     お腹の前で両手を重ねて。
     僕の手に命さんが手を重ねて。
     完成。
     ふわふわでゆるゆるの抱っこ。
     『抱きしめる』とはちょっと違うかもしれない。
     でも僕の腕の中に命さんがいる。
     どきどきする。
     ぴったりくっついてるわけじゃないけど、命さんの体温を感じる。
     それに、どきどきしてるのも。
     と言うことは……、命さんも僕を感じてくれてるはず。
     なんて考えたら余計どきどきする。
     ずっとこうしていたい、って思う。
     だけど、それはちょっと難しい。
    「あの、律くん、
     ……その、そろそろ限界です」
     命さんの小さな声。
     夢から覚めた。
    「あ、えっと、うん……」
     ゆっくりと腕を解いて命さんを離す。
     これで終わり。
     残念。
     命さんが僕を向いた。
     ほっぺが赤くなってる。
    「あの……、
     どきどきしすぎちゃいました」
     照れた声で言われた。
     命さんの言葉に、治まりかけてた僕のどきどきが戻ってきた。
    「うん……、僕も。
     ちょっとやりすぎたかな?」
    「そんなこと、ないですっ、
     もっとしたいですっ!」
     命さんの本音。
    「あ……」
     言ってから気づいたみたい。
     落ち着き始めてたほっぺの赤み、改めて赤らんだ。
    「でも、今日はここまで、
     で良いよね?」
     これ以上の話は命さんがどんどん墓穴を掘りそう。
     だからおしまいにした方が良い。
    「はいっ」
     命さんの凛とした声が僕を嬉しくさせる。
     だからちょっとお願いした。
    「次は命さんから、
     ってどうかな?」
    「私から……、ですか?」
     命さん、ちょっと戸惑う。
    「良いと思います!」
     笑顔で言ってくれた。
     僕も笑顔になる。
    「あ、でも、
     私が抱きしめるのだったら、
     大胆になりたいです」
    「大胆?」
     それはもしかして……。
    「はいっ、
     律くんを、前からぎゅっ、てしちゃいます!」
    「そっか、
     それってすっごく楽しそう」
     命さんの提案、僕はもちろん嬉しい。
     二人で視線を合わせて、ちょっと恥ずかしさが入った微笑みになった。
     ぺしぺし
     ぺしぺし
     足にちょっとした感覚。
     目を向けると晶がいた。
     僕の足を一生懸命叩いてる。
     命さんの視線も晶に。
    「あらあら、
     晶くん、どうしたのかな?」
     命さんが晶を抱き上げた。
     晶は命さんにぎゅって抱きついて、ほっぺをすりすりと擦りつけた。
     ……うらやましい。
     毎度のことだけど、晶に嫉妬した。


     了
    混沌野郎 Link Message Mute
    2022/11/02 19:33:49

    ほのぼのな日常 第10話 ふわふわ抱っこ

    命さんとスキンシップをしたくなった律くん。
    衝動的に、なんてもちろんできるはずはなくって。
    自分の気持ちを命さんに素直に伝えて……。そんなお話。

    #オリジナル #創作 #ほのぼの #日常

    more...
    作者が共有を許可していません Love ステキと思ったらハートを送ろう!ログイン不要です。ログインするとハートをカスタマイズできます。
    200 reply
    転載
    NG
    クレジット非表示
    NG
    商用利用
    NG
    改変
    NG
    ライセンス改変
    NG
    保存閲覧
    NG
    URLの共有
    NG
    模写・トレース
    NG
  • CONNECT この作品とコネクトしている作品