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    ほのぼのな日常 第13話 ねこごっこの夜先に記しとく設定、
     田辺京志(たなべ けいし):女性
     今出川一司(いまでがわ かずし):男性
     衣笠律(きぬがさ りつ):男性
     藤沢慶子(ふじさわ けいこ):女性
     一司の家はワンルームマンション
     と言うことで。


     私は京志。
     今、私は大学生をしてる。
     毎日が楽しくて、毎日が嬉しくて、そんな日々が続いてる。
     まずは勉強。
     毎日、新しい発見がある。
     これが原因のひとつ……、としておく。
     気が置けない友達。
     律と慶子、も原因のひとつ。
     でもいちばんの原因は一司、私の彼氏。
     一司はずるい。
     すっごく優しい。
     私が落ち込んで憂鬱になったとき、一司は優しくしてくれる。
     私がイライラしてどうしようもないとき、一司は優しくしてくれる。
     どんなときでも一司は優しい。
     だから一司と一緒に居るとき、私は最っ高に幸せ。
     一司と一緒に居たいから、今日も私は一司の家にお泊り。

     私と一司、夕方の終わりくらいに大学を後にした。
     一司の家への道中、スーパーで食料品を買った。
     家に着いたときには夜の初めになってた。
     一司はすぐに晩ごはんの用意に取り掛かる。
     一司の料理はすっごく美味しい。
     ときどき苦手な野菜とかが入ってるけど、一司が作ってくれた料理はどういう訳か食べられる。
     できあがった晩ごはん、床にある小さなテーブルにならんだ。
     二人でごはんを食べて。
     一司が後片付けをしてくれる。
     その間に私はお風呂の用意。
     後片付けが終わるちょっと前にお風呂の準備が整う。
     お風呂はだいたいいつも私が先。
     私の後に一司が入る。
     今夜も私が先に入った。
     私と入れ替わりで一司がお風呂に。
     ぶかぶかのパジャマ姿でほこほこになった体を冷ましつつ、一司を待つ。
     いくらかの時間の後、一司がお風呂から上がった。
     この後、いつもはテレビの音をBGMにしてなんてことない話をしたり、ゲームをしたり。
     でも今夜は違った。
     一司が突然切り出した。
    「『ねこごっこ』しよ!」
    「はあ?」
     一司の突然の提案、『ねこごっこ』?
     何のことかさっぱり分からない。
     たぶん頭の上に『?』が浮かんでる。
     とりあえず尋ねる。
    「『ねこごっこ』って、何?」
    「例えば京志がねこになって、『ねこ京志』を俺が可愛がったり、『ねこ京志』が俺にあまえたり。
     そんな感じを楽しむ遊び」
     一司が『ねこごっこ』を説明してくれた。
     なるほど、面白そう。
    「そっか、
     で、どっちがねこ?」
    「んー、
     じゃんけんで決めよっか、勝った方がどっちか決める、で」
     一司が誘ってきた遊び。
     一司はもちろんやる気満々。
     新しい遊び、何か楽しそう。
     私はわくわくする。
     早速じゃんけん。
    「「じゃんけん、ぽん!」」
     私、ぱー、
     一司、ぐー、
     私の勝ち。
    「んじゃ、一司がねこっ!」
     私は笑顔。
     『ねこ一司』を可愛がってみたい。
    「そっか、俺がねこか……」
     ちょっと不満そうな感じを見せた一司。
     でも、すぐに表情が変わった。
     私を見て、にやり、って感じ。
     背すじがぞくり、とした。
     一司は良からぬことを考えてる。間違いない。
    「ま、良いか、
     ねこ……、とりあえず、舐める、から始めるか……」
     一司のつぶやき。
     もう一回、背すじがぞくっ、とした。
     一司は本気、絶対本気。
     となると……。
     前に一司にやられたいじわる。
     私の体、ほんのり気持ち良くなるところだけを一司に攻められた。
     初めはすっごく気持ち良かった。
     でもそれが続くと「あと少し」が欲しいのにもらえない。
     体の芯からむずむずするけど決定打が来ない。
     切なくなって、苦しくなって……。
     あれをもう一回は絶対に嫌。
    「やっぱり一司がねこ、はなしっ!
     私がねこっ!」
     あわてて言った。
    「ん?
     変える?」
    「うん! 変えるっ!
     私がねこ、絶対ねこっ!」
     私の言葉、一司はすんなりと受け入れてくれた。
    「じゃあ、京志がねこに決定!
     と言うことで……」
     私がねこに決まったと言うことで?
     一司は立ち上がってクローゼットを向く。
     クローゼットからちょっと大きめの紙袋を取り出した。
    「はい、これに着替えて」
     よく分からないけど一司から紙袋を受け取った。
    「?」
     とりあえず中身を取り出す。
    「……なっ、なにこれ?」
     入ってたのは黒いエナメル生地の服?
     広げるとかなりきわどいデザイン。
     一司が教えてくれた。
     『ねこスーツ』とのこと。
     しっぽもちゃんと付いてて、ねこみみカチューシャもおそろいの黒。
     床にならべてあきれた。
    「はあ……」
     ためいきが出た。
    「一司、初めから、これ、狙ってた?」
    「それもあるけど、純粋に『ねこごっこ』もしたいな、と」
     まったく。
    「でも、こんなのどこで売ってるの?」
    「ん?
     律に頼んだ」
     さらっと答えられた。
    「なるほど……」
     『律に頼む』
     なかなか手に入らないものとか、訳の分からないものとか、を手に入れるのにいちばん確実な方法。
     律には普通にしてると良く分からないルートがあるらしい。
     律が言うには「蛇の道は蛇」だそうだ。
     だから、だいたいのものは律に頼むと手に入る。
     もちろんねこスーツも。
    「ま、今更言っても仕方ないし、
     着替える」
     と言ったけど、一司は私の前に座ってる。
    「一司……、
     私、着替えるから」
    「うん」
     一司、動く気なし。
    「せっかくだから、着替えるところから見たい」
     はあ? と思う。
     ちょっと無理矢理、一司を立たせてベランダへ。
     ぽいっと追い出す。
    「はい、
     ちょっと待ってて」
     一司をベランダに締め出して、カーテンをシャッと引いた。
    「さて、着替えよ」
     パジャマを脱ぐのはもちろんとして。
     きわどいVライン……。
     ……ショーツも脱げ、と。
     一旦、裸になってねこスーツを着る。
     全体は私の体に合ったサイズ。
     でも、胸が苦しい。
     ……これは私に原因がある。
     だから仕方ない。
     当たり前だけど初めて着る服。
     きちんと着るのにはちょっと時間が掛かった。
     しっかりと着替えを済ませて、一司を部屋に入れた。
     一司は早速にと、私のまわりをゆっくりと回って、前から、横から、後ろから、横から、また前から、と何周か見た。
     次はしゃがんで私を見上げるようにして何周かした。
    「うん、似合ってる。
     良い感じ」
    「そ、そうかな……」
     何と言うか、ねこスーツでも「似合ってる」って言われたらちょっと嬉しい。
     でも、恥ずかしくもある。
     けれども、だ、
     ここまで来たら、後は覚悟を決めて『ねこごっこ』をするしかない。
     私は覚悟を決めた。
    「じゃ、『ねこごっこ』始めるにゃ!」
     まず一司をベッドに座らせる。
     私は隣に腰掛ける。
     一司の手を取って、指先をぺろっ、と舐め上げた。
    「え?! 京志?!」
    「えへへー、だってねこだもん」
     一司は戸惑ってる。
     私はいたずらっぽい笑顔で答えて、本格的な「ぺろぺろ」を始める。
    「ちょ、ちょっと、京志」
    「……嫌?」
     困惑してる一司に、小首をかしげてちょっと上目遣いで尋ねる。
    「嫌じゃないけど……」
    「んじゃ、続けるにゃ!」
     一司の言葉はたぶん良い感じ、ということ。
     だからちょっと嬉しくなった。
     ぺろぺろを再開して。
     ぺろぺろを続けて。
     うん、そろそろ変化をつけよう。
     一司に抱きついた。
     ぺろっ
     今度は首をターゲットに。
    「えっと、京志……」
     一司の言葉は聞かない。
     またぺろぺろを続けて。
     次は……。
     ちろっ
     ほっぺを攻撃。
     これは、ちろっ、ちろっ、とできるだけ、弱く、軽く。
    「んっ、
     ……あのっ、京志っ」
     一司の手が両肩に置かれた。
     軽く力が入って、一司と距離ができた。
    「えっと、
     ……ごめん、やりすぎた、かな?」
     ちょっとやりすぎたみたい。
     私の心、しゅん、ってなった。
    「いや、そうじゃなくて、その……、
     すごく良い……、かな……」
     一司、ちょっと照れてる?
     私と目が合わないようにしての言葉。
     そっか。
    「んふふっ、嬉しいにゃっ!」
     改めて一司に飛びついた。
     ぎゅむっ、と抱きついて、一司をベッドに押し倒す。
     一司に馬乗りになって、顔を近づける。
     今度はくちびるを狙う。
     ぺろっ、ぺろっ、とゆっくりと。
     これくらいかな?
     ちょっと休憩かな?
     そう思ったところに一司の反撃が来た。
     予想外。
     私にとっては不意打ち。
     一司の体に力が入って、私の体と逆転。
     私の上に一司。
     すぐに私のくちびるに一司のくちびるが重なった。
     ついさっきまでは一司が何もできなかったのに、今は私が何もできない。
     ひとしきりのキスの後、一司の体が離れた。
     一司、息が上がってる。
     もちろん私も。
    「ごめん、京志、
     おれ、もう我慢できないっ」
     言葉と同時に抱きしめられた。
    「にゃんっ!」
     いきなりのことだったけど、これは予想してた。
     あと、これから先のこと、十分すぎるくらいに予想できてる。
     今夜の嬉しい時間が始まった。


     了
    混沌野郎 Link Message Mute
    2022/12/07 19:24:59

    ほのぼのな日常 第13話 ねこごっこの夜

    今日も一司くんの家にお泊りの京志さん。
    いつものように、晩ごはんを食べて、お風呂に入って。
    でもこの日は「いつものように」にはならなくて……。そんなお話。

    #オリジナル #創作 #ほのぼの #日常 #青春 #恋愛

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