他みすみ受けまとめ悪い大人(つむみす)
月が綺麗に出ている日は、三角くんがお月見に誘ってくれるようになった。月明かりの下で過ごす時間はとても静かであったかい。他のみんなは自分の部屋に行っちゃったから、談話室の灯りも暗くしてある。
季節的にだいぶ寒くなってきた。だから、今日はブランケットを羽織りながら中庭のベンチに座ってお月見をしている。あったかいコーヒーを淹れて、カフェで見つけたサンカクのクッキーを食べながら、いつもとは違うお月見を楽しんでいた。
「つむぎ、寒くない~?」
「うん。三角くんは大丈夫?」
「だいじょーぶ!」
「あぁ…でも、手がちょっと冷たいかも」
そう言うと、あったかくて柔らかい手が…優しくぎゅっと握ってくれるのを、知ってるから。本当は…温かいマグカップを両手で持てばいいだけなのに。真ん中に置いてあったクッキーを端に移動させて、お互いの足が触れ合うほど距離を縮める。
「…手、繋いでもいい…?」
「うん…いいよ」
普通に握るのとは違って、絡ませた腕の先でもっと絡み合う指と指。空いている手がヤキモチを妬きそうなほど、ぴったりくっついて離れない。肩からずり落ちそうなブランケットを膝へかけ直してしまえば……お互いの手が、どう動くか…分からなくなった。
「三角くんの手、俺より大きいよね」
「うん! さんかくおにぎり、作りやすいよ~」
「ふふ、そうだね…」
話に花が咲かなくてもいい。だって、今は……夜なんだから。
「…っ、つむぎ…?」
「ん…?」
俺の手が上になるようにぎゅっと繋いだ手の力を抜いて、三角くんの膝の上から、そのまま流れるようにずらして内腿を撫でた。びっくりして体を跳ねさせてから、そーっと首を傾げるように顔を覗き込まれる。
「…つむぎ、これ…くすぐったいよ…」
「そうみたいだね」
ぐっと指に力を入れると、座っていて力が入っていないからか、布越しでも柔らかさで指が沈むのが分かった。短く声を上げる三角くんが可愛くて、すりすりと撫で上げていく。
「つむっ…もう、だめだよ…」
「どうして…?」
「お、お月見の途中だから…お月さまも、見てるよ…?」
「そっか…そうだね」
ごめんね…と、一言呟いてから、お月見の続きをやろうと手を離す。目線を潤ませた瞳から月へと移動させる。クッキーは残っていなくて、両手で持ったマグカップは…もう、ぬるくなっていた。
「つむぎ、もう…お部屋に戻ろう…?」
「うん。寒いしね…」
ブランケットを畳んで、使ったマグカップを洗って…それぞれ寝る準備を済ませてから自分の部屋へ向かう。おやすみを言ってから、別れて背を向けて部屋に入ろうとした時。
「つむぎ…」
いつもとは違う、消えそうなほど小さな声だった。
「あのね…今日は、くもんが…じゅーざと、寝る日だから…」
だから、の先を言えずに俯く三角くんの手を引いて扉を開ける。
「…三角くん、もしかして…わざとかな?」
返事の代わりに、何のことか全く分からない困った顔。そんな顔をさせたかったわけじゃないけど……この顔も可愛いんだよね。すごく。
「一緒に、寝よっか…?」
「……っ! うんっ!」
でも、やっぱり……笑顔がいいかな。…なんて、思ったり。
一緒にもぐり込んだ布団の中で抱きしめる。さっきより体がぴったりくっつくと、距離も近くなってお互いの体温も溶け合う。堪らなくなってキスをすると、お返しに触れるだけのキスをたくさんくれる。
「ふふっ…」
「…なんで、笑うの~」
「可愛いなと思って」
「でも…オレもう、子供じゃないよ…?」
「そうだね。…してほしい?」
「…っ、えっ…?」
「キスの話だよ?」
「む~っ……分かってるよ~!」
「…じゃあ、しようか…?」
月明かりは、夜の顔を照らす。街も花も動物たちも…もちろん人間も。俺たちが知らないことを、月はたくさん知っているのかも。良いことも、悪いことも。それって、すごく…楽しそうだよね。
俺は月みたいにはなれないけど……月が知らないことを知ってる。
してほしいが言えないこと。
くすぐったがりで感じやすいってこと。
大人のキスはクッキーより甘いこと。
……今日は、九門くんが十座くんと寝る日だってこと。
つむぎのスマホ(つむみす)
「…つむぎ、しょぼ~ん?」
中庭で水やりを終えた後、談話室でまったり過ごしていた時のこと。しばらく俺を見ていたらしい三角くんは、予想もしていなかった言葉をかけてくれた。
「そんなことないと思うけど…?」
「スマホ、壊れちゃって…さみしい~?」
そう言われてから自分の行動を振り返ると……意味もなくスマホを見てテーブルに置くという行為を何度も繰り返していた。先日、水やりの途中で大きめのじょうろの中に落として水没させてしまう事故があった。すぐに修理に出して代わりのスマホを貰ったんだけど……やっぱり、いつものスマホとは違うから慣れなくて。
「ああ…違う機種だから、今までみたいに喋ってくれないんだ」
「…そっかぁ~」
「自分では気づかなかったけど……寂しいのかな?」
気遣ってくれた優しさにお返しするよう軽く笑って、おやつにアイスを食べようと提案すると、喜んで冷蔵庫の前まで着いてきてくれた。三角くん…自分の気持ちの変化には疎いのになあ。
サンカクの形をした棒付きのアイスは、考え事をしているとすぐに溶けてしまう。今は、口の中に広がる冷たさと甘さに集中することにした。
「おはようございま~す!」
「……あれ?」
翌朝、俺の部屋には何故か三角くんがいた。まだ寝惚けたままの顔でおはようを返すと、嬉しそうにふわふわと笑いながら俺の手をとって洗面所まで連れて行ってくれた。
「今日は~、いいお天気ですね~!」
「そうだね。三角くんはお出かけかな?」
「三角は~…、つむぎと一緒です!」
「…ふふ。俺は特に予定がないから、寮にいるよ」
この時、三角くんの行動が何を表しているのか全く分からなかった。また何か新しい遊びを思いついたのかな? 程度に考えていて……かわいいなあ、って寝癖だらけの頭で思っていた。
「あっ、9時です! 9時のアラームですよ~!」
「…あぁ、そっか。水やりしなきゃ…」
「オレも手伝うよ~」
「ありがとう」
もうすでに眩しくて強い日差しの下、三角くんと一緒に中庭で花たちに水をあげる。今日も元気に咲いて、葉っぱからキラキラした宝石みたいな水の粒を落とす。見てるだけで笑顔になる場所で……一番きれいに笑う姿を見つけた。
「あ~っ! つむぎ、嬉しそう~!」
「うん。手伝ってくれてありがとう」
「どういたしまして~」
「…俺のスマホの真似だったんだね」
木陰に二人で腰を下ろして顔を合わせる。少しだけ照れているのを誤魔化すように下を向いて笑う三角くん。思えば、今日はいつもより…たくさん、たくさん…お話ししてくれたね。まだ朝なのに、昨日よりもいっぱい話せて嬉しいよ。
「だって、つむぎ……寂しそうだったから」
「うん。でも…もう寂しくないよ?」
「……迷惑、だった…?」
「ううん。寂しくないのは三角くんのおかげ」
撫でやすくなった頭にポンポンって触れる。見せてほしかった顔がゆっくりと上がって赤くなった頬をそっと撫でると、水で下がった体温を直に感じて気持ちよさそうに目を細める。
「…もういっこね~、できることがあってね…」
頬に触れた手を握って立ち上がる。
「なに?」
「…スマホには~、できないこと~!」
ぎゅっ、と布越しに伝わる温度。
暑い夏でも、あったかくて心地よい。
「つむぎが、疲れてたりさみしい時は…オレを呼んでね~」
「ふふ。ありがとう。じゃあ…三角くんもね」
「……うん!」
……朝日を浴びた花が、耳元で小さく咲いた。
専属お夜食当番(つづみす)
とっくに日付が変わってしまった真夜中のこと。まだ起きている団員もいるが、夕食時の賑やかさが恋しくなるほど静かだった。102号室では、いつものように綴が執筆中でパソコンに向かってカタカタとキーボードを鳴らしていた。
「はぁ…」
一息ついて大きく伸びをする。本当は声を出したいところだが、静かに寝息をたてながら眠る真澄のことを考えると、それはできない。気遣いはどうしても疲労に繋がる…書き始めてはいるが、次の公演までにはまだ余裕がある。けど、書けるうちに書いておきたい。一度火がついた脚本家としての情熱は夜がより濃くなる深夜になっても燃え続けている。
「…あぁー…」
けれど、燃え続けるには燃料が必要だった。大きな音を鳴らす自身のお腹。誰も聞いていないのに、なんとなく恥ずかしさに襲われて乾いた笑いで誤魔化す。すっかり集中と緊張の糸が切れてしまい、夜食を作ろうと部屋を出た。
「…うわあっ!」
「うわっ…斑鳩さん!?」
扉を開けた先にいたのは…お皿を持った三角だった。驚いて落としそうになるのを咄嗟に二人で受けとめて、ホッと胸を撫で下ろす。
「珍しいっすね。こんな遅くまで…どうしたんすか?」
「あのね、つづる…おなかすいたかなぁ~? って思って、おにぎり作ってきたんだよ~!」
「…えっ、あぁ…ありがとうございます…」
あったかい気持ちと一緒に渡されたお皿を受け取る。机の上を確認して、お茶も持ってくるね! と、キッチンへ向かう後ろ姿を見送った後、お皿に乗ったおにぎりに目を向ける。綺麗な形の美味しそうなサンカクは、海苔ではなくラップにくるまれていた。今日は珍しいことばかりだと思いながら、机の上にお皿を置いてから気づく。
「もしかして…」
執筆中でも手が汚れないように、食べかけでも置いておけるように。
それは考えすぎかもしれない。斑鳩さんのことだから、ただ単にそういう気分だっただけかもしれない。だって、俺にはさんかくクンくれないし…自惚れすぎ。そう思って椅子に腰かけた時…持ってきてくれたのは、ペットボトルに入ったお茶だった。
「…ちょっと、待ってください!」
お茶を渡した後、すぐに部屋を出ようとする三角の腕を掴んだ。驚いた三角は、何も言わずにポカンとした表情で頭にハテナを浮かべている。
「斑鳩さんも、一緒に…食べません…?」
急すぎるお誘いに、目をぱちぱちさせる三角。
「…いらない?」
「いや、いらないとかじゃなくて…!」
「おにぎり、いやだった?」
「あぁー…えっと、違うんすよ…」
不安そうな三角を前にして、まだ腕を掴んだままだったことに気づいた。優しく手を離してから、今度はきちんと向き合ってぎゅっと両手を握る。
「お、俺が…斑鳩さんと食べたいと思っただけなんで…」
「…ほんと~?」
「ホントっす! 息抜きも兼ねて…少し、話せたらなぁ…とか」
「えへへ…つづる、一人でさみしかったんだね~!」
「いや、まぁ…もう、それでいいっす…」
寝返りをうつ真澄の寝言が聞こえて、二人は顔を見合わせ思い出したかのように口を閉ざす。部屋を出て談話室へ行くことも考えたが、せっかく持ってきてくれたのだから、静かに部屋で食べることにした。
「うまっ…」
「よかった~! 二人で食べると、もっとおいしいね~」
「そうっすね」
「…つづる、ありがとう」
「それ俺の台詞っすよ。…ありがとうございます」
どういたしまして~! と、返されてよしよしと頭を撫でられた綴は、年下扱いも不思議と悪い気はせず、それよりも触れ合っていることの方が嬉しさを感じた。
「そういえば…なんで、俺が執筆中だって分かったんすか? 一度も部屋に来てないっすよね?」
「えっ? え~っと、ね…」
「言いにくいなら…」
「…つづるの目が、きらきらしてたから…」
「キラキラ…?」
「うん! つづる、なにか思い浮かんだ時とか、書きたい~って時に、目がね~…きらきら~って、なるんだぁ…」
「へぇ…、俺とは縁がなそうな言葉っすけどね」
「その目がね、かっこよくて…だいすき。だから、わかるんだよ~」
えへへ…と笑いかける顔が可愛いやら、ストレートに思いを伝えられて照れくさいやらで、思わず隣に座る三角の手を上から掴むように握る。そのまま、指を絡ませて見つめ合う。
「斑鳩さん…今度、どこか出かけませんか? 一緒に」
「…どこかって、どこ~?」
「さんかく探しとか…どこでも付き合うんで…」
「でも…つづる、さんかく探し…へたくそだよ~?」
「…わっ、悪かったっすね! 下手くそで!」
「えへへ~! じょーだん!」
「ならいいっすけど…」
「…じゃあ、やくそく…する?」
「いいっすよ。指切りっすか?」
「も~っ…つづるは、だめ~!」
「えっ、ちょっと…斑鳩さん!?」
食べ終わったらお皿を持って、歯みがきしたら寝ます! と宣言してから、部屋を出て行った三角。綴は…一人寂しく突き出したままの小指をしまって、執筆を再開させようとパソコンの前に座った。その前に、お礼のLIMEを送るとすぐに返事がきた。
「…っ、えっ…えぇ~…っ」
スマホのディスプレイには、ちゅうがよかったです△△△ と、表示されていた。綴は、それを微笑みながら流して執筆を再開できるほど、大人にはなれていないのだった。
アドリブの本音(つづみす)
「監督っ…これ…」
二階にいた監督に書き終えたばかりの脚本を渡す。ちゃんと会話が出来ていたのかも分からない状態で、達成感と引き替えに、歩を進める度に重くなっていく限界が近い体を引き摺りながら、少しだけ寝ようと部屋の扉を開ける。
「…あれ? つづる~、どうしたの~?」
「えっ…なんで、斑鳩さん…」
「おへや、まちがったの~?」
重い瞼を持ち上げて室内を見渡す。そこには、これでもかというほどサンカクが積まれていた。どうやら、部屋を間違えたらしい。
「すみません…俺、ちょっと…」
「つづる~!? ふらふらしてるよ~!」
「いや、大丈夫っす…」
「大丈夫じゃない~! ここで、寝ていいよ~」
「あぁ~…うん…」
もう限界だった。崩れ落ちた瞬間、普段の言動に似つかわしくないガッシリとした腕に支えられて…重いよ~~っ! という斑鳩さんの声が耳元で響いたのを最後に、意識を手放した。
「…んー…」
少しだけ回るようになった頭で、今の状況を整理しようと考える。ここは…斑鳩さんと九門の部屋。一階の自分の部屋の配置とも違うのに…なんで間違えたんだ? 頭が回っていたとしても、回っていなくて本能的に入ったのだとしても、どちらも言い訳として言葉にするには…恥ずかしすぎる。
「…つづる、起きた~?」
「うわっ! あぁ…すみません…まだボーっとしてるっすけど…」
薄目を開けて見ていた、うるさい柄の天井を背景にして、斑鳩さんに覗き込まれた。気づけば俺は、並べられた三角形のクッションの上に寝ながら、足を崩した斑鳩さんに膝枕をされて、優しく頭を撫でられていた。
「斑鳩さん…辛くないっすか? 足…」
「辛くないけど…つづるの髪、ちくちくする~!」
「あー…俺、髪硬いんすよねー…」
起き上がろうとすると、肩をぐっと押される。
「つづる…もうちょっと、甘えてもいいよ~…」
「…甘えてほしいんすか?」
少しの沈黙の後で……うん、という小さな声が響いた。
「なっ…なんすか、急に…いつもなら、こう…もっと…」
「つづるが聞くから、うんって言ったのに~…」
「えっ、あぁ…じゃあ、もう少しだけ…膝、借りますね」
「どうぞ~!」
いつもなら、こんなに素直な甘い返事はしてこない。心なしか今日の斑鳩さんは…なんか、こう…ぽわっとしてて色っぽい…? 撫でられる優しい手付きに体は癒されるけど、心は落ち着くことを忘れてしまったようで…。
「…斑鳩さんは、意外と柔らかいっすよね…」
「っ、んんぅ…」
寝ながら手を伸ばした先の髪に触れる。俺の指は、意図せず首筋と耳を掠めた。そのまま、首の後ろに手をかけて…自分の方へ引き寄せる。変な角度で重なった唇…舌先に尖った歯が触れる甘く痺れた感覚は依存性を孕んでいた。
「痛っ…!」
腕を解放した途端、顔をあげて俺から離れる斑鳩さん。膝の上に乗っていた頭は容赦なく床とぶつかり鈍い音をたてた。おかげで…しっかり目が覚めました。
「ごめっ…でも~っ…つづるが、わるいよ~…っ!」
「えぇ…」
「そういうのはね~…むっつり~って、言うんだよー!」
「…誰に教わったんすか…それ」
「いたると、ちかげだよ~」
「…ったく、余計なことしか教えねぇな…」
ニヤニヤと面白そうに笑う、たちの悪い大人二人の顔が浮かぶ。他に変なことを吹き込んでいないことを祈り、小さく溜息を吐きながら立ち上がる。
「そろそろ、監督たちのところ行くか…」
「いってらっしゃ~い! また来てね~」
「…今日は、たまたま間違えただけで…」
「じゃあ…また、間違えてね…?」
「もう、間違えませんよ」
「そっかぁ…」
「ちゃんと…自分の意思でここに来ますんで」
まだ頭が回っていないみたいだ。らしくないことを言った恥ずかしさと、斑鳩さんの無反応が地味につらい…。背中を向けて部屋の扉を開けようと手を伸ばした時、後ろからぎゅっと腕が回された。
「えへへ…かっこいいつづる、へんなの~!」
「どういう意味っすか! 褒められてないことは分かりますけど…」
「また、甘えんぼなつづるになってね…?」
「斑鳩さんも…歳とか関係なく、甘えていいっすからね…?」
「…やっぱり、ヘンだ~! えへへ~…」
「変でいいっすよもう…はぁ…」
「……いいなぁ…ますみ…」
ドアノブに手をかけて捻る。少し騒がしい廊下の音に消されてしまいそうなほど小さな声がした。
「斑鳩さん…」
ドアを閉めて振り向いて、もう一度…静寂をつくる。
「今日の夜…また、来るんで。一緒に寝てほしいっす…」
手を取りながらそう告げると、向かい合った斑鳩さんが…勢いよく抱きついてきた。それを受けとめて触れた頬どうしを擦り合わせた。
「…それって、あの……そういうこと~?」
「どういうことっすか?」
「今日はね~…くもん、じゅーざと寝るから…だから~…」
「…そういうの、なんて言うか知ってます?」
「えっ? …なに~?」
「ムッツリ…って、言うんすよ」
つづるのばか~!…っていう声を背中に受けながら、談話室へと向かう。あの賑やかな部屋にも慣れてしまう自分を想像して、髪と頬の柔らかさを思い出す。くすぐったい笑みがこぼれ落ちて、胸の中にじんわりとけた…。