140文字のアンソロジーチップとテイルステイルスがチップの頭のてっぺんにあるトサカのような髪を梳いてやる。
最初はくすぐったがっていたチップも、やっとおとなしくされるがままになっている。
「ゴワゴワだったよチップ。これが終わったら首周りと尻尾もやろうね」
ソニックとシャドウ手元にある鉄の塊をていねいに磨いて行く工程を見ていた。
部品が外され、一つ一つ分解されていく。
「そんなもの使うなよ」
そう言っても相手は無言で手入れをする。
「命を奪うか、命を守るかは遣い方次第だ」
そう零す相方の表情に決意のような物が見えて、もうなにも言えなかった。
シャドウとマリア何時までも一緒にいられるとは思っていなかった。
だが、一刻でもその支えになりたかった。
全てと引き換えても守りたかった。
いつでも。
僕は後悔ばかりだ。
ソニックとエミーいつもいつも守ってやれるとは限らない。
もしも守れなかったらと考える時が無いとは言えない。
彼女が強いのは知っている。
だが無鉄砲なのも知っている。
いっそ彼女の前から、俺は居なくなったほうが、彼女にとって幸せなのかもしれないとさえ、
思うことすら あるんだ。
??あなたが居ないこの世界に、一体どれほどの価値があるというのだろう。
欠けてしまった幸せのカケラは、もう元には戻らないのに。
エッグマン一人ぼっちの価値観の世界を打ち破ったのは奴だった。
誰にも認められず、誰にも受け入れられない自分の才能に、
初めて答えたのが奴だった。
いつしか夢と思っていた目的も、
奴を倒すためだけの手段の模索に入れ替わっていた。
それはある意味、生きる糧を見つけたのと同意だったのかもしれない。
ソニックからシャドウへもしも。
今眼の前にいるこの奴が、あの時共に戦い、共に世界を救った奴だったとしても。
もしも。
その奴とは全くの別の奴だったとしても。
それはあまり関係の無い話で、結局奴は奴でしかない。
別人だろうとなかろうと、
この俺についてこれる奴はアイツだけだという事実は
変わる事など有りはしないのだ。
ソニックからテイルスへ星の種 植えた鉢植えそっと見る 双葉の上に水の一粒
小さな鉢植えに植えられた小さな白いタネから、芽がでたのは先日の事だった。
その時のテイルスの表情が思い出される。
嬉しそうな、だが寂しそうな、そんな顔。
小さいくせに、そんなとこまで大人びなくってもいいのにな、と、ふと思った。
─────────以下、アンソロジー掲載文です。
手君の手をそっと握ってみる。
眠りについている君は握り返しては来ないが、暖かな体温が伝わってくる。
あの時、手を握り返さずに跳ね除けてしまった。
思い出される光景がリフレインする。
もしもその手がまた再び、僕に差し伸べられるなら、もう二度と、振り払いはしないだろう。
手お前の手をそっと握ってみる。
眠りは深く、お前は握り返しては来ないが、仄かな温かみが伝わってくる。
あの時捕まえ損ねた手が、今俺の手の中にある。
二度と思い出さないと誓った光景が再び蘇ったとしてももう、
この手を掴み損ねるような事は決してしないと心に誓った。
こくはく好きになったとか、愛してるとか、そういう感覚とちょっと違うんだ。
きっと愛とか恋とかっていうのは、自分に無いものを埋める為に、相手を捜すもんなんだ。
でも、俺とお前はきっと違う。
言葉では言えない、本当に切れそうな位細い、でも確かな繋がりが、俺とお前には…あるんだよ。
それは誰かが切ろうと思っても切る事はできない。
そう、謂わば血の繋がりとか、縁とか、そういうものを言うんだ。
俺がいるから、お前がいて、お前がいるから俺がいる。
そういう、どちらかが欠けたら完全にならない、そんな感じなんだよ。
愛してるって簡単に言えたらどんなに楽か。
でもそうじゃない。
愛してるなんて軽い言葉じゃ俺とお前の繋がりなんか、説明すらできないんだ。
そう、きっとそれは例えば。
魂を共有してるんじゃないかってくらいに。