ナオミ艶やかな黒髪が結い上げられている。烏の濡羽のような髪が数筋だけ項に溢れ肌の白さとのコントラストが眩しい。
傷跡一つ無い絹か真珠かと見紛うような肌はきめ細やかで口に含めばサラリと溶ける涼やかな砂糖菓子のような繊細な美しさがある。唇はさくらんぼのようにつやつやでそれが緩やかな弧を描いて微笑を描くのは仏のような尊さすら感じる。
瞳はコーヒーゼリーのように潤んで透き通って触れたいのに汚してしまいそうで容易に近づくことが許されない宝石のように感じてしまう。睫毛が瞳に悩ましげな影を落とし、見つめられればその懊悩はより強くなり体を内側からジリジリと焼かれているような感覚に苛まれる。
鼻も耳も上等の人形のように形が良く、手足は指の先までしなやかで動きの一つまで嫋やかで花があった。
純粋かつあでやか。繊細でありながら大胆。
彼女のまえでは美しいという言葉すら陳腐になり、嫉妬することすら愚かな行為に思えてくる。
人は皆、彼女を欲しいとは思わない。ただ彼女が歩き、笑い、花を愛でる姿を見ていたい。
それ以上に何か望むべき物があるだろうか。
私は彼女が望むなら世界も焼ける。