なら責任者は誰だ？「総理の御決断で、このパンデミンク下でのオリンピックを取り止める事は出来ないのですか？」
　国会で野党議員は、総理大臣にそう質問した。
「不可能です。私には、その権限は有りません」
「では、中止の決定が出来るのは誰ですか？ 開催地の首長ですか？ IOCですか？ ……それとも……」
「やめろッ‼」
「あの……何を、そんなに興奮されてるんですか？ 冷静になって下さいよ」
「だから、やめろッ‼ 事前通告の無い質問と云うだけでも許し難いのに……TV中継されてるのに、そんなマズい事を聞くなッ‼」
「はぁっ？」
　次の瞬間、轟音と共に国会内の電灯が消え……。
「えっ？」
「もう遅い……。お前は……表に出る事を好まれぬ方々の存在を明かにしようとした。オリンピックの真の主催者からの天罰が下る……」
「あの……何を……言ってるんですか？」
「判らんのか？ オリンピックとは……元々……古代ギリシャにおいて神々の王ゼウスに捧げられた祭だった……。つまり、オリンピックの真の主催者とは古代の神々……うわぁっ‼」
　国会議事堂が落雷により焼失した時、永田町上空に有った積乱雲は……まるで巨大な人の形のように見えたが……それに単なる偶然以上の意味を見出した者は居なかった。オリンピック関係者を除いては。