イラストを魅せる。護る。究極のイラストSNS。

GALLERIA[ギャレリア]は創作活動を支援する豊富な機能を揃えた創作SNSです。

  • 1 / 1
    しおり
    1 / 1
    しおり
    サソリ 村を出て三日目の早朝。キラはテントの中で目を覚ました。もう見慣れたテントの白い天井が目に入る。だが何かがおかしい。さっきから頬っぺたがモゾモゾと痒いのだ。何かの動く異物がキラの目にボヤけて映った。段々と焦点が合うと……サソリだ! 艶やかな飴色をしたサソリは尻尾を振り上げ、キチキチと体を揺らしている。
     
    「マーニー!」
     
    キラは恐怖で身動き出来ずに叫んだ。マーニーは直ぐに目を覚ましてキラの元へと忍び寄り、素早くサソリを捕まえると、ガラス瓶の中へ入れた。
     
    「大丈夫か?」
     
    「ええ、まだ刺されてはいないわ。それ、どうするの?」
     
    「これはな、こうして……」
     
    言いながらマーニーは瓶にウォッカをなみなみと注いで、蓋をした。
     
    「サソリ酒にするんだ」
     
    「サソリ酒?」
     
    「滋養強壮に良いんだぞ」
     
    「どうした?」
     
    ビランが目を覚ました。チトはこの騒ぎにもびくともせず眠っている。
     
    「サソリだ。捕まえて、瓶詰めにしたよ」
     
    マーニーは瓶に入ったサソリをビランに見せた。
     
    「こいつは……。猛毒の奴だな。大丈夫か?」
     
    「大丈夫だ。誰も刺されてない。キラの顔の上に居たんだ」
     
    「ほう。サソリも美人がお好みなのかね?」
     
    ビランがキラを見て笑った。
     
    「サソリにモテても嬉しくないわ」
     
    キラは頬を膨らますと、毛布を畳み始めた。
     
     チトを起こして朝食を摂ると、ニームの木の小枝で歯磨きをした。小枝の先の皮を薄く剥ぎ、歯で噛み砕いてブラシ状にして磨くのだ。木の樹液が天然の歯磨き粉の役割をしていた。
     
     テントを畳むとキャラバン隊は出発した。キラはラクダの上から周囲をぐるりと見渡した。この辺りは僅かだが木や植物が生えている。焼け付く褐色の大地に緑が安らぎを与えていた。ふいに茂みから黄金色の塊が飛び出して、キャラバン隊の前を猛スピードで横切って行った。
     
    「マーニー! 今のは何?」
     
    キラは叫んだ。
     
    「砂ギツネだ! すばしこいから、罠でも使わなければ捕まえられないし、食っても不味いぞ」
     
    「別に食べたい訳じゃないわ。砂漠って不毛の地だと思っていたけど、動物も居るのね」
     
    キラは砂ギツネの走り去った方を見詰めながら呟いた。
    kotsulis Link Message Mute
    2019/10/06 10:57:55

    サソリ

    砂漠でキラはドラゴンのレグルに出会う。

    砂漠の小さなオアシスの村、カラルで平和に暮らしていたキラは、病気の母を医者に診てもらうため、ウルの街へと向かう。

    お気軽にご意見、ご感想お寄せください。

    #オリジナル #創作 #女の子 #小説 #ドラゴン #剣#砂漠

    more...
    作者が共有を許可していません Love ステキと思ったらハートを送ろう!ログイン不要です。ログインするとハートをカスタマイズできます。
    2019/10/07 0:35:46
    ハート有り難うございます🎵
    200 reply
    転載
    NG
    クレジット非表示
    NG
    商用利用
    NG
    改変
    NG
    ライセンス改変
    NG
    保存閲覧
    NG
    URLの共有
    NG
    模写・トレース
    NG
  • CONNECT この作品とコネクトしている作品