FLASH POINT世界最速のヒーロー「フラッシュ」ことバリー・アレンが居眠りから目を覚ました時、世界は変っていた。
彼は能力とコスチュームを失なっていた。
宿敵の1人だった「キャプテン・コールド」は「シティズン・コールド」を名乗りヒーロー扱いされていた。
幼い頃に何者かに殺された母親が生存しており、妻殺しの容疑で懲役刑を受け獄中で死んだ父親は、娑婆で平凡だが幸せな一生を終えていた。
バリーの妻は、バリーの事を知らず、そもそも結婚しておらず、別の恋人が居た。
どんな悪人でも殺さない筈のバットマンはジョーカーの手下を容赦なくビルから突き落し、スーパーマンの事は誰も知らず、若手ヒーローの1人に過ぎなかったサイボーグがアメリカで最も有名なヒーローだった。
そして、ワンダーウーマンの祖国である女戦士の国・セミッシラと、アクアマンの祖国である海底王国・アトランティスの戦争により、ヨーロッパ西部は滅んでおり……。
バリーは、自分と似て非なる力を持ち、歴史を改変する事も可能な宿敵・リバース・フラッシュの仕業だと考え……助けを求めてバットマンのアジトであるバット・ケイブに向かうが……。
そこに居たバットマンは、ブルース・ウェインでは無かった。しかし、バット・ケイブ内の机の上にはブルース・ウェインとその両親の写真が置かれており……果たして、このバットマンは何者なのか?
そして、バリー・アレンは世界の終りが近付く、この時間軸を本来の歴史を元に戻す事は出来るのか?
例えば日本のアニメやドラマを製作する際に、最初に決めるのは、「サザエさん」や「クレヨンしんちゃん」のような「永遠の日常」ものか、主人公が変化・成長し、それにともなって主人公を取り巻く環境・状況も変化していく物語か、だと言う。
だが、アメコミは同じキャラクター達が出る話が何十年も続いている一方で、主役級のキャラクター達は、事有る毎にアイデンティティを揺さ振られ続ける。
しかし、これには問題が有って、過去に克服したのと同じ悩みで再び悩むなど、主人公が成長している筈なのに、そうは見えなくなってしまいかねない。
更に、肉体的には普通の人間という設定のヒーローが、何十年も齢を取っていなかったり(例えば、ベトナム戦争の頃にヒーローになった筈なのに、21世紀になっても30〜40代にしか見えない)などの矛盾が起きてしまう。
そこで、平行世界という設定で今風に描き直した作品を作ったり、世界設定そのものを定期的にリブートする必要が有る。
この作品は、2010年代に行なわれたDCコミックを世界設定ごとリブートする為の作品である。
さて、この作品は近々劇場公開される映画の原案なのだが……困った事に日本語訳を出してた会社が出版事業から撤退していて……今、日本語版を入手する方法は、古本か書店の在庫しか無い。
ええ、残念ながら、某有名書籍通販サイトでは、最低でも定価の2倍以上の値段が付いてます。
ジェフ・ジョーンズ/アンディ・キューバート
三嶋 隆(翻訳)
ヴィレッジブックス(2012//05/20)