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    素敵だわ!(腐*ノクプロ) エーコが暮らしてた世界とはちがう世界に来てから、お友達がたくさんできた。
     絵本で見たような冒険者に、ドロボウに、空賊と海賊。エーコと同じ召喚士もたっくさんいるのよ。
     それから王さまと、王女さま。お姫さまと王子さまもいるわ。
     みんなキレイなお洋服を着ていて、まるで絵本から出てきたみたい。
     でも王子さまはどっちとも、なんだか絵本のなかの王子さまとはちょっとちがう。どっちも髪は金色じゃないし、白馬にも乗ってないもの。
     だけどすっごくかっこよくて優しいから、そこは絵本の王子さまと同じ。
     エッジはおちょーしものだけど、本当は優しくて頼りになるのよってリディアが言ってた。ノクトも口は悪いしぶっきらぼうだけど、お人好しで誰より優しいんだって、最近お友達になったプロンプトが言ってたの。

     プロンプトはね、金色の髪と、時々青色に見える紫の目がキレイなルシスの一般市民よ。一般市民ってなにか知らないけれど、プロンプトがそう名乗っていたの。とても誇らしげだったから、きっと素敵なおしごとなのね。
     それからね、プロンプトはノクトの恋人なのよ。ふたりが夜にキャンプから抜け出して、木の陰でキスをしてるの、エーコ見ちゃったんだから。
     ジタンにそのことを話したら、絶対に言いふらしちゃだめだぞって。失礼しちゃうわ。エーコは一人前のレディなんだから、そんなことくらい言われなくったって心得てるのに。

     それにしても本当に素敵だわ。王子さまの恋人だから、プロンプトはお姫さまってことよね。憧れちゃう!
     とっても素敵だと思ったから、プロンプトにそう伝えたの。そうしたらね、プロンプトったらびっくりしたような顔をして、それからどうしてか悲しそうな顔をして首を振ったの。
     そのあとに「俺はお姫さまにはなれないよ」って、そうつぶやいた声はちょっとだけふるえていて、なんだかエーコまで悲しくなっちゃった。

     放っておけない。
     それからすぐに浮かんだのはそんな気持ちだった。
     プロンプトはとっても明るくて、優しくて、みんなのこと元気にしてくれるような人なの。そんな彼があんな顔をするだなんて、放っておけるはずがないわ。
     だいたい、かわいい恋人にあんな顔させるなんて、ノクトもノクトだわ!
     絶対にこのままにしておくもんですか。

    「そういうわけなの! ジタン、手伝ってくれるわよね?」

     エーコがジタンを呼び出した理由を話してそう締めくくったら、ジタンは困ったように頭をかいてみせた。
     それから次に腕を組んで、うーんと短く唸ってからようやく口を開いたの。

    「そうは言ってもなぁ……一般市民と王族が付き合うって、なかなか大変なんだぞ。俺にはよーくわかる」
    「どうしてよ! 一般市民っていうおしごとは、お姫さまになっちゃだめなの?」
    「いや、絶対そうってわけじゃないけどよ……というか、プロンプトはそもそも男だから、お姫さまにはなれないんじゃねーかなぁ」
    「そんなことないわ! 愛し合うふたりにはせーべつなんて関係ないのよ!」

     ってそうむかし読んだ本に書いてあったわ。だからプロンプトだってお姫さまになれるはずなのよ。
     きっと、ノクトがふがいないからプロンプトは不安がってるんだわ。この世界って美人が多いから、プロンプトが不安になるのもわかるの。だからここはひとつ、ノクトに男気を見せてもらう必要があると思うのよ。

    「うーん、つまり……俺からノクトに発破をかけろってことか?」
    「そうよ! ジタンの口説き文句のひとつでも伝授して、それをプロンプトに聞かせれば、きっとプロンプトも安心すると思うの」
    「そうは言ってもなぁ……ノクトのやつ、そういうセリフ言うようなタイプじゃないだろ。無理だと思うぜ」
    「やってみなきゃわからないじゃない。それとも、ジタンはプロンプトが不安なままでも良いって言うの?」
    「そうじゃないけど…………あーもう、仕方ないな! よし、いっちょ俺に任せな!」

     ジタンはトンと自分の胸を叩いて、それからニッと笑ってみせた。
     さっすが、エーコが認めた人なだけあるわ!


       ■ □ ■ □ ■


     ジタンの素敵なところはね、行動力があるところ!
     エーコのお願いをきいて、ジタンはすぐにノクトのところに行ってくれたの。
     ジタンがノクトを人のいないところに呼び出すのに、こっそりついて歩く。バレないように少し離れたところでようすをうかがっていると、なにを言っているのかはわからないけれど、ノクトがぎょっとした顔をするのが見えた。
     それからみるみる真っ赤になって、むりだって言うように首を横に振る。そのあとすぐに逃げようとまでした。
     だけどジタンはそれをゆるさなくって、うしろを向いたノクトの背中に飛び乗ったかと思えば、すぐに真面目な顔でなにかを言ってみせた。
     なにを言ったのかはわからないけれど、効果はばつぐんだったみたい。ノクトはピタリと動きをとめて、それからあわてたように自分から降りたジタンに向き直った。

     あとはもうジタンに任せようってその場をはなれてから一時間くらい経ったころかしら、ふたりが戻ってきたのは。
     エーコと目が合ったジタンはパチっとウィンクしてみせたの。どうやら心配はいらないみたい。
     ノクトの方はと言えば……真剣な顔でなにか呪文を唱えるようにぶつぶつ言っていたけれど、なにを言ってるのかまでは聞き取れなかった。
     ……うーん、本当に心配いらないのかしら……?


       ■ □ ■ □ ■


     作戦決行の日は思っていたより早くきた。というか、翌日だった。
     飛空艇から降りて、探索がてら少しのんびりしましょうってキスティスの提案で、何人かに別れてあたりを歩くことになったの。きっとユフィが今にも吐きそうな顔をしていたからね。

     ノクトとプロンプトが当然のようにふたりで行こうとするのに、エーコもジタンとついていくことにしたの。
     ジタンはノクトにかけよって、はげますみたいに背中をバシッと叩いた。
     ノクトもなにを言われてるのかわかったみたいで、ちょっとだけ気まずそうな、困ったような顔をして頷いてみせた。

     それから少しのあいだ四人でお散歩をして、タイミングを見計らってさりげなーくジタンを連れて二人から離れる。
     それに気付いたノクトは緊張した顔をしながらもすぐにプロンプトを呼び止めて、エーコが作ったチャンスを無駄にはしなかった。

     今度はふたりの声が聞こえる場所にかくれて、ジタンと一緒に聞き耳を立てる。
     盗み聞きだなんてレディとしてはしたないけれど、いまいち心配だから放っておくことはできないわ。

    「ノクト、大丈夫かしら……ねぇジタン、ノクトになんて言うように教えたの?」
    「ん? まぁ、聞いてりゃわかるさ」
    「いじわるね」

     頬をふくらませてみるけれど、ジタンは結局答えを教えてくれなかった。
     仕方がないから、草むらのあいだでじっとしながらふたりのようすを伺う。

     なにかを決意するようにぐっとこぶしをにぎったノクトが、ぎこちない動きでプロンプトの前にひざまずくのが見えた。
     ジタンがよくしている仕草だけれど、慣れてないのか全然ちがって見える。うーん、本当に大丈夫かしら。

    「えっ、どしたのノクト。足でも痛い?」
    「ち、ちげーよ。あーいや、なんつーか、その」
    「なになに? なんか怖いんですけど」

     プロンプトは今からなにを言われるのかぜんぜんわからないようすで、ひざまずいたノクトを不思議そうに見ている。
     だけどその顔はすぐに驚いた表情に変わった。ノクトが、プロンプトの手をとったから。

     まるで絵本の中の王子さまが、お姫さまにプロポーズする場面みたいだわ!
     そのくらい、ふたりともとっても様になってたのよ。ここは豪華なお城の中じゃなくってただの森の中だけれど、それでも、まちがいなくふたりは王子さまとお姫さまだった。

     王子さまはお姫さまの手をとって、その指先にゆっくりとキスをする。その仕草はやっぱりちょっとぎこちないけれど、お姫さまはそれどころじゃないみたい。顔を真っ赤にして、あわてて手を引こうとした。
     その手をぎゅっとにぎって、王子さまはお姫さまに告げた。

    「えっと……俺が絶対に幸せにするから……その、俺の、お……お姫さまになって……ほしいん、だけど」

     プロンプトの赤い顔がもっと赤くなる。耳の先まで真っ赤になって、それから目には涙が浮かんでいた。
     それ、嬉し泣きよね!?
     なんてハラハラしながら見守ってたら、プロンプトはぽろっとひとつ涙を落として、それから小さく首を縦に振った。
     それにノクトは小さくガッツポーズをして、すぐさまプロンプトを抱きしめた。あー良かった、ひと安心だわ。

    「素敵だわ! お姫さまになってほしい、ですって!」
    「うーん……俺はお姫さまにしてやるって言えって教えたんだけどなぁ」
    「それも素敵! でもノクトには「なってほしい」のほうが似合ってるわ」
    「それもそうだな」
    「そういえば」

     本格的に泣き出しちゃったプロンプトを抱きしめるノクトを見ながら、小さな声で続ける。

    「ノクトが逃げようとしたとき、ジタン、なんて言って彼をとめたの?」
    「あぁ……このまま不安にさせた状態で放っておいたら、バルフレアやエドガーに盗られちまうぞって言ったんだ」
    「まぁ! ふたりは愛にせーべつは関係ないタイプなのね」
    「……た、多分な」

     そう言ったジタンの顔はちょっとだけ引きつってたのだけれど……どうしてかしら。


       ■ □ ■ □ ■


     エーコとジタンの大活躍のおかげで、ノクトとプロンプトは前よりさらに幸せそうな顔をするようになった。にぶいのかするどいのかわからないバッツにどうしたのかって聞かれるくらいに。

     珍しくノクトと離れてひとり水を汲みに行ったプロンプトについて行って、訊ねてみる。

    「プロンプトはまだ、一般市民なの?」

     エーコの聞きたいことがわかったらしいプロンプトは、またまた顔を赤くして、けれど今度は涙じゃなくて笑顔を浮かべて言った。

    「一般市民兼、お姫さま……かなぁ」

     その嬉しそうな声にエーコも思わず笑顔になっちゃう。
     やっぱりプロンプトは笑顔のほうが素敵だわ!
    白崎 Link Message Mute
    2018/12/10 4:11:03

    素敵だわ!(腐*ノクプロ)

    人気作品アーカイブ入り (2018/12/10)

    おぺおむ世界でノクプロと世話を焼くエーコ。本編も可愛いけど、おぺおむのエーコもめっちゃくちゃ可愛い。素敵だわ!
    #腐向け #ノクプロ

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