写真の使い道(腐*ノクプロ)「ノクトー、こっち見て」
ソファに座ってゲームをしていた俺の隣に飛び乗って、プロンプトがピッタリと隙間なくくっついて告げた。
思わず声につられて視線を移動させると、伸ばしたプロンプトの腕の先にはスマホがあった。それから、その画面の中には多少怪訝そうな顔をした俺と、笑顔のプロンプトが写っている。
撮るよ、と短く告げられた言葉に何か返す暇もなく、カシャッとシャッター音を模した電子音が鳴る。
何度も聞いてきたその音に、勝手に撮んなよと別に思ってもないことを口に出す。
「やっぱノクトは不意打ちで撮ったほうがイケメンに写るね」
なにやら失礼なことを言う恋人の手元を覗き込めば、そこにはさっき見たちょっと怪訝そうな俺の顔がある。そんなにいい表情でもないと思うけど、プロンプト曰く写真に写ると意識した時の俺の顔はこれよりもっと酷いらしい。
らしいっつーか、まぁ、自分でも否定はできないのがつらいとこだけど。
「撮ったやつってどうすんだよ、後で見返したりすんのか?」
しょっぱい気持ちになりながら、スマホをいじるプロンプトに訊いてみる。
訊かれた本人は既にカメラアプリを閉じてゲームを立ち上げていた。
んー、と生返事をしつつ画面をタップしているプロンプトを黙って見ていると、返事を要求されてると気付いたか相変わらず適当そうな声音で告げてきた。
「家でノクトと電話してる時に見てる」
「……はぁ? なんで」
「だって〜、声だけじゃ寂しいじゃん」
冗談なのか本気なのか。
僅かに自分の顔が熱くなってる気がする。それを首を振って誤魔化していると、プロンプトはあっと短く声を上げて俺の方を見る。
その顔はやけに嬉しそうだ。
「あとねー、寝る前にノクトの顔見て寝ると夢に出てくる!」
と、そこまで元気よく告げて、プロンプトはようやく我にかえったのか笑顔のまま頬を赤らめた。
「……俺、恥ずかしいこと言った?」
真っ赤になったそばかすの散った頬を摘んで、質問に答える。
「可愛いこと言った」
摘んだ頬と同じくらい、俺の指も熱い。