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    ずるいひと「うっ……ぐずっ……うええ~ん……」
     目の前のお茶を無視して留学生は机に突っ伏した。
    「今度こそ続くと思ったのに……うう……」
     留学生は付き合っていた相手と別れると決まってバルバトスのもとを訪れる。その度にバルバトスはとっておきの茶葉で紅茶を淹れ、会心の出来のお菓子を供し、落ち着くまで話を聞いてやることにしていた。
     顔を上げた留学生が、理由を聞いてくださいとばかりに見つめてくるので、仲睦まじく男子生徒と中庭で手作りと思しきお弁当を食べていたはずですが、と昼に見た光景を思い出しながら仕方なく口を開いた。
    「今回はどうなさったのですか」
    「……その、ね」
     頬を少し赤らめて恥じらいながら言い淀むその様は生娘のようで、男をとっかえひっかえ、と陰で言われているとはとても思えない。もっとも、留学生と付き合う男の中には食料としか見ていない輩も多いのだが。
    「また……満足、できなくて。態度に出ちゃってたのかな……気を付けてたんだけど……」
     それは昼の話ですか、夜の話ですか、とは聞かないでおいた。
     
     留学生が落ち着いてお菓子を食べ終え、お茶も飲み終えたところで頃合いかとバルバトスが声をかける。
    「さて、そろそろお開きにしましょうか。遅くならないうちに帰らなくては彼らも心配しますよ」
    「こんな顔で嘆きの館に帰れない……」
    「……かしこまりました。客室を用意しておきます」
     
     バルバトスがそろそろ寝ようかとベッドに入り、部屋の明かりを消そうとしたところで遠慮がちにドアがノックされた。
    「はい」
     恐る恐るゆっくりとドアが開けられ、留学生が顔を覗かせた。
    「あの……眠れなくて。一緒に寝ていい?」
     その表情は本当にただ眠れなくて困っているようにしか見えなかった。実際そうなのだろう。
     無言で少し横に移動し、ブランケットをめくってどうぞと促した。
     
     留学生が失恋するたびに何度この流れを繰り返したかわからない。たまに、これは故意にやっているのだろうかと留学生の夜着の釦を外し、滑らかな肌に手を滑らせ、熱を纏ってバルバトスの名を呼ぶ声を聞きながらバルバトスは思う。
     だが、それなら来るもの拒まずで立て続けに他の男と付き合ったりなどしないだろう。それにこの状況を利用しているのはバルバトスも同じだ。何時までも気付かない哀れな子羊。バルバトスを知ってしまった者が他の男で満足できるわけなどないのだから。
    8gb_obm Link Message Mute
    2024/03/12 22:04:27

    ずるいひと

    執事→←(?)MC
    失恋したときのはなし

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